『The Koln Concert』
KEITH JARRETT

キース・ジャレット(p)
ECM POCJ-2002
●1978年1月24日録音


『インプロヴィゼーションとアドリブ』
・・・『キース・ジャレット/ザ・ケルン・コンサートを聴きながらお読みください』
  インプロヴィゼーション(即興、または即興演奏)といえば、まず思い浮ぶのはキース・ジャレットです。クラッシックの演奏会のように あらかじめ発表された曲が演奏されるのではなく、キースのソロ・コンサートは全くの即興による演奏なのです。まさに一回限りの演奏 であり、天才のひらめきが全てと言っても過言では
ありません。キースのソロ・コンサートの演奏には曲目もなく、どこどこでの演奏 としか記されていないので、1975年にドイツのケルンで演奏されたので曲目も、『ケルン、1975年1月24日 パートT/キース・ジャレット』 となります。
 わたしは最初はキースの演奏はあまり好きになれませんでした。先ず、時々
自己陶酔的にあげる唸り声や、腰をうかせて くねくねさせる演奏スタイルが
どうしても生理的に好きになりませんでした。どちらかと言うとレッド・ガーランドやオスカー・ピーターソン の様な線の太いトーンが好みなのですが、キースの音は繊細で常に緊張感を持った演奏で、目を閉じて聴いていると何やら自分 まで
繊細になったような気になってしまいます。それに、ECMレーベルの音は「沈黙に次ぐ最も美しい音」を追求するというだけあって ブルーノートやプレスティッジの音とはあきらかに違っています。でも待てよ、あまり好きではないと言ってもキース・ジャレットのCDだけ でも10枚位持っているじゃないか?まぁ、裏を返せば好きなんですね、キースが・・・。

 アドリブ(ラテン語で自由に)とは、広義には譜面と異なる演奏の全てを指す。狭義には、即興によるソロ部分をさすんだそうですが、 平たく言えばジャズは
殆んどアドリブで演奏している様なもんで、中には原曲がよく判らないくらいに
なっている演奏も中にはありま すが、適度のアドリブはその時のひらめきで
演奏せれるので、特にライブでは、同じ曲で同じ演奏者が演奏しても変わって
くるので曲 が生きてくるのです。正にジャズの醍醐味はここにあると思います。
ソニー・ロリンズの若い頃は凄いアドリブで、吹くよりも先にフレーズ が先に出て
くる感じといわれる程でした。キースの場合はアドリブと言う感じではなく、
「インプロヴィゼーション」と言った方があっているみた いです。今夜はキースを
聴いて少し賢くなったような気持ちになって寝ることにしました。

《一言いわせて》
最近のキースはソロも良いのですがスタンダース・トリオ
としての活躍の方もいい味を出しています。

10月□日『晴れ』糸井 司

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