発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
    
2024年4月20日 No.1764
 MAGNETAR見参!果たしてH.A.L.レベルのハードルはクリアー出来たのか!?

UDP800 オープンプライス(市場予想価格税込297,000円)
UDP900 オープンプライス(市場予想価格税込550,000円)
https://magnetar-audio.jp/

上記二機種が現在当フロアーにあり、先日よりエンハンサーCD-ROMをリピートさせ、
HIRO AcousticとESOTERIC Grandioso M1X+C1Xというリファレンスシステムにて
試聴を行いました。

この両機種は新製品のため長期滞在は出来ませんが4月22日(月)まで期間限定展示を
行っておりますので、予約の上で試聴可能というご案内を申し上げておきます。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/appoint.html

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何が私のこだわりなのかというと、デジタル再生のソースとしてCDディスクなのか
データファイルなのかという選択に関して、依然として私はディスクをリファレンスに
しているという現状に関する考え方です。

当フロアーでは歴代のESOTERICのディスクトランスポートとD/Aコンバーターを
リファレンスにしています。これは元よりアンプやスピーカー、更にケーブルや
電源関係の製品を見極めるのに最高の音源は何かという価値観からの選択です。

言い換えれば、CD再生システムの音質は製品としてパッケージ化された完成度があり、
電源やケーブルなど付随するアイテムの選択によって音質変化はあれど、基本的には
私が認定した音質を特定・固定させた商品として販売することが出来る事を意味しています。

確かにハイレゾという言葉が市民権を得て久しくなりますが、ネットワークオーディオ、
コンピューターオーディオ、ファイルやストリーミング再生と言われる分野では同様に
電源やケーブルによる音質変化はあるものの、その本質を追求していく仮定では
サンプリングレート、レゾリューション・ビット数、ファイル形式、リッピング機能
におけるアルゴリズム、伝送方式やWifi環境の影響などなど現在では解明できていない
要素と多様性が多数あり、いまだパッケージ化された完成度という見方では未開拓
分野ではないかという私見として一抹の不安があります。

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上記は当フロアーのリファレンス・ソースコンポーネントであるESOTERIC Grandioso
P1XSE & D1XSEの下記インプレッション記事からの抜粋です。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1757.html

これにマスタークロックジェネレーターGrandioso G1Xを加えたシステム合計は
税別990万円という事になるのですが、それを基準としている私がMAGNETARに
なぜ興味を持ったのか!?

「究極のハイレゾオーディオBlu-ray Disc Audio」2013年
https://www.jas-audio.or.jp/journal-pdf/2014/01/201401_014-017.pdf

「なぜヨーロッパではBlu-ray Audioが好調なのか?」2014年
https://www.phileweb.com/review/column/201409/26/373.html

上記のように25GBの大容量(1層)をほとんど音声の収録に使ったメディアという
Blu-ray Audioは10年前には期待の星であったわけですが、そのパッケージサイズを
2chステレオで使うのか、7.1chのマルチチャンネルでサラウンド再生を目指すのか、
手法は異なれどオーディオ専用という用途に大きな可能性があったわけです。

ところが皆様もご存知のように昨年には大手パナソニックがブルーレイディスクの
生産終了を発表するなど、映画を中心とした映像メディアの消費そのものがネットを
通じて行われるようになったという事で市場規模の縮小が今もなお進行しているものです。

上記の10年前の記事ではBDプレーヤーも低価格化してきたのでBlu-ray Audioも
普及するのではという推測も述べられていましたが、業界全体としては前述の通り。

むしろ低価格化しながらもハイスペックな能力を実現したが、音質はそれだけでは
語れないというオーディオの世界観との隔絶がBlu-ray Audioの将来性をも霧散させ
てしまったのではと思います。

そして音楽産業も同様にディスクメディアよりもネットを通じての配信ビジネスが
より大きな勢力を持つようになってきた現状であり、残念ながらBlu-ray Audioも
ソフトのタイトル数を見ても虫の息という感じで今や話題にもならない状況かと思います。

ですから、今回私はMAGNETARでBlu-ray Audioなどのハイスペックディスクを聴こう
と考えたわけではありません。むしろその逆で、BDを再生出来るほど最先端な技術力に
よって設計されたMAGNETARにて、通常のCD/SACDを聴いたらどうなるのだろうかという
好奇心が動機となったものでした。

コストパフォーマンス、費用対効果という言葉を私はオーディオには当てはめない
事にしているのですが、前述のように10年前から存在していた大容量メディアが
再生出来るという技術力の進化が皆様が所有している多くのCDコレクションに
新たな可能性を与えてくれるのではないか…という期待と好奇心でのトライアルです。

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私はお客様に試聴した感想は美味しいか不味いかという単純な言葉で述べて頂ければ
いいですよ〜、といつも申し上げています。

オーディオ的知識、マニア的な情報や経験、そんなことは気にせずに「あ〜、こんな
美味しいもの生れて初めて食べた!」という感じで、経験や予備知識もトレーニングも
不要であり、本能的に感性で聴いたままの音質を評価する際の表現方法に関して
食べ物と同じでいいですよ〜と気軽に素直に聴いて頂けるようにガイドしています。

その例で言えば、私にとって不味い音とは曲の最後まで聴けない音で食べ残しです。

美味しい音とは完食できる美味しさが自然に感じられ曲の最後まで聴き続けます。

感動的な音とはおかわりしたくなるほど自分の舌と耳が喜んだ味と音質となります。

先ず最初に私がやったのはUDP800とUDP900の音質は同じかどうかという確認。
私のホームグラウンドで比較して違いがあるかどうかでした。

結果はあっけないものでした。UDP900の方がクォリティーが高い事を直ちに確認!
MAGNETARの音はUDP900で評価していく事に。

■溝口肇「the origin of HAJIME MIZOGUCHI」
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=3355&cd=MHCL000010099
http://www.archcello.com/disc.html

「1.世界の車窓から」

ハープとチェロのデュオ、しかも冒頭8秒間はハープだけのソロという録音です。
この曲ではチェロが良かった、素晴らしいです。質感といい音色といい余韻感もいい!

私は音像サイズを等高線理論なる自説で説明することが多いのですが、それを
持ち出してくるとGrandiosoシリーズとの比較においてハープの音像は残念。

しかし、ここのシステムと環境だから言える事であり、一般的にはふくよかな
音像表現として十分に受け入れられる範疇の音質であることは断言できます。

「10.Offset Of Love」

イントロのギターの質感は前曲のハープ同様に克明な輪郭というよりは適度な緩急を
つけた音像表現ですが、音色は正確で残響成分も十分な情報量があり合格と言えます。

右チャンネルのコンガの打音は切れ味よりもポリューム感と力感のある響きでまずまず。
ベースの質感もきちんと表現されて違和感なし。

そして圧巻はセンター定位のチェロの質感。これは前曲同様にかなりハイレベル!

音像の中心点には擦れる弦の存在感がくっきりと聴こえ、そこから周辺に拡散して
いく余韻感は実に美しい。初めて食べて美味しいと思ってくれるであろう自信が湧く!

「14.帰水空間」

冒頭の三種のドラムを厳密にGrandiosoと比べたらだめですよ〜、少し気を楽にして
聴いて頂ければ十分な重量感が音像そのものに感じられ好感が持てる質感だと気が付きます。

キーボードとパーカッションの展開する空間表現もいいですね〜、そして!

この曲のチェロがまた素晴らしい!コアになる音像の中心点がくっきり見えるようで、
鮮明さと見事な色艶の弦の音色が実にしっとりと空間に漂い出す快感、これいけます!

マリンバのころころ転がる打音が左右に展開し、その個体感と響きが連携しつつ
アタックの鋭さもきちんと捉える質感の充実。いいですね〜!

この切れ味と滑らかさの共存は次なるピアノのパートで再度光り始めるのです。
シングルトーンの長い余韻がふ〜と空間に漂い残っているうちに次の打鍵が響く。

複数の残響が織りなす空間表現がチェロの楽音とバックの伴奏楽器とに共存関係を与え、
ハイエンドソースコンポーネントとして私が認められるクォリティーだと実感された!

結論から言えば美味しい音、曲の最後まで十分に味わい楽しめる音質と太鼓判!

そして、最後にUDP900における機能性としてデジタルフィルターの選択がある。

今回は輸入元エミライの担当者がポータブルモニターを持って来て下さり、
7種類のデジタルフィルターを比較し私の好みにセッティングして頂いた。

何が言いたいかというと、音像と音場感の両立を追求すると今までに何度も
繰り返し述べてきた項目に関して、何とこのデジタルフィルターの設定によって
その両者の表現性が想像以上に細かく調整できる事に驚いてしまいました。

今まで経験したデジタルフィルターの変化とは違う方向性での調整が出来たのです!

ただしモニターをつながないと出来ないのですがHDMIケーブル1本で済むものであり、
既に同室にテレビなどがある環境でしたら簡単に調整出来るでしょう。

いやいや、技術力の進化というものが私が目指すハイエンドオーディオの世界観に
新しい角度から光を差し込んだのか、という思いの経験でした。

結論としてはUDP900お薦め致します!

★以上は期間限定展示のため要予約にてご来店下さい!
 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/appoint.html

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

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