発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
    
2021年3月10日 No.1652
 H.A.L.'s One point impression!!-H.A.L.'s E.S.M Insulator

新企画⇒New Original product release - H.A.L.'s E.S.M Insulator
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1651.html

既に上記を発表しましたが、E.S.InsulatorをE.S.M Insulatorに発展させるのが
[E.S.M Ring Kit]ということで、在庫も入荷しまして即納可能となりました。

そこで、当然のごとく私の好奇心の向かう方向としては前回のGrandioso P1Xに
加えて更にもう一台のコンポーネントに使用してみようと思い立ちました。

ディスクトランスポートの次はアナログ信号の最上流であるプリアンプ、
Grandioso C1Xに試してみようと、いそいそとセッティングしたものです。

そこで先ず私の失敗談から。例のごとくリングガイドを置いて位置関係をチェック。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210223182448.jpg

そして、リング小の取り付け位置検討の画像がこちら。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210223182438.jpg

こうして前回の手順に従いセッティングしたのですが、どうもおかしい。

リング大の位置関係も決定して実際に置いてみたのですが、前回のようにピタリと
はめ込まれるという感触がない。

どうしたものかとチェックするとフロント側二個のインシュレーターが噛み合って
おらず、わずかに浮き上がっているではないですか…、そうか!

Grandioso C1Xのリアパネルに接続した入出力ケーブルの総数はDCケーブルを含めれば
8本ということになりますが、ここで使用している6本のTa.Qu.To-XLRの重量が
結構な重さになり、リアパネルを引き下げてしまいフロントが浮いてしまったのです。

そうか〜、と単純でありながら気が付かなかった自分を呪い、いったん貼り付けた
リング小を剥がす作業を初めてやることに。

ヒートガンでしばらく温めるとわずかに白く変色し簡単に剥がすことができました。
しかし、いったん過熱してしまうとぐにゃりと変形してしまうので再使用は出来ません。

そして、前後のバランスを考えてリア側のリング小の位置を次のように変更しました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210223182428.jpg

これだけ後方に重心位置を移動すればケーブルの荷重がかかっても大丈夫。
今度はかちりと気持ちよくはまり込んで無事セッティング完了です。

さて、ここでもう一つのエピソードというか気が付いたことがありました。

カタログやwebでも紹介されていないESOTERICの新技術とはこれだ!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1121.html

上記の中に次の代表的なESOTERIC製品の事例を画像として紹介します。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20140720-P-01_botom01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140720-P-01_botom02.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140720-K-01X_botom01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140720-K-01X_botom02.jpg

このように近年のESOTERIC製品ではボトムプレートにスリットを設けてあり、
内蔵パーツの重量配分と共に振動対策を行っているという事なのです。

しかし、上記のGrandioso C1Xのボトムプレートにはスリットはありません。
なぜならC1Xの電源部は別筐体になっており本体には電源トランスがないからです。

このようにGrandiosoシリーズにおいてもメカや電源トランスなどの振動源が
回路基板の振動と相互干渉しないようにアイソレーションするためのスリットであり、
問い合わせてみるとGrandioso各モデルのスリット有無は下記のようになっていると
いう回答を頂きました。なるほどな〜と雑学的エピソードとして紹介しておきます。
https://www.esoteric.jp/jp/category/grandioso

・P1X本体:スリットあり
・P1X電源部:スリットあり
・D1X:スリットあり
・C1X本体:スリットなし
・C1X電源部:スリットあり
・M1X:スリットなし
・G1X:スリットなし(内部シャーシにスリットあり)
・K1X:スリットあり
・F1:スリットなし

しかし! 更にもう一つ疑問が湧きました。プリメインアンプであるGrandioso F1は
一体型で電源トランスを内蔵しているではないか。なのにスリットがないとは!?
https://www.esoteric.jp/jp/product/f1/top

そこで私はGrandioso F1の内部構造を画像で見て次のように問いかけました。

> 立体配置する「3Dオプティマイズド・シャーシ」ということで
> もしかしたら、トランスのマウント方法に関して、ボトムプレートから
> フローティングさせているためにスリットが不要であったという
> 解釈で良いのでしょうか?

するとたちどころに回答が…

「その通りです。F1のトランスは内部シャーシにマウントされていてボトム
 プレートから浮いていますので、スリットを入れておりません。

 P1Xなどに比べて重量のあるトランスを強度的な意味でボトムプレートに
 直接マウントせず、立体配置でのレイアウト最適化とあわせて、このような
 構造をとっています。」

というESOTERICの回答でした。余談ではありますがGrandioso C1Xのオーナーの
皆様にも納得して頂けるESOTERICのトリビアとして紹介致しました。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

H.A.L.'s Sound Recipe/H.A.L.'s E.S.M Insulator-inspection system -Vol.2
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210307162656.pdf

前回は小編成のスタジオ録音で音像の品位がきちんと解かり、同時に音場感が
克明に観察できる選曲ということでスタートしましたが、今回はそれらを同時に
チェック出来るものということで下記のレーベルから選曲しました。

Kirkelig Kulturverksted  30 years’ fidelity 
http://kkv.no/en/musikk/utgivelser/2000-2009/2004/divers/

Kirkelig Kulturverksted(KKV)は、1974年にErik Hillestadによって設立された
ノルウェーの会社兼レコードレーベルです。
http://www.kkv.no/

kirkelig Kulturverksted(シルケリグ・クルチュールヴェルクスタ)という大変
長い名前のノルウェーのレーベルです。「教会の文化工房」という意味です。

長い残響時間で豊かな響きの教会での録音が多数あり、またスタジオ録音での
楽音を魅力的なマスタリングの上で追加した曲も多く、素晴らしい響きの空間と
鮮明な音像両者を同時に楽しめるハイブリッドレコーディングというもの。

私も10年ほど前から知っているレーベルであり、この試聴室にも何枚もディスク
をコレクションしています。その中でも「これは!!」というものを選曲しました。

曲名はノルウェーの言語なので私は発音出来ませんが、15年前にはなかった同社の
情報が現在ではwebで集められますので、下記の選曲の参考として関連リンクを
貼り付けました。

クラシックでもジャズでもない、ロックやポップスでもない、このKKVのアルバムで
私はE.S.M Insulatorの素晴らしさを確認していったのです!

7. Som En Storm, O Hellig And - Ole Paus & Oslo Chamber Choir 
https://www.youtube.com/watch?v=9CJBropx7SE

ちょっと調べてみると、このOle Pausはスウェーデンとノルウェーのバラードの
伝統におけるノルウェーの吟遊詩人であり、作家、詩人、俳優とのこと。

彼はノルウェーで最も人気のあるシンガーソングライターの一人と考えられ、
ボブ・ディランに相当するノルウェー人であり「国民の声」と言われていという。

この曲の冒頭は大変美しいオスロ室内合唱団による合唱から始まります。
そして、この混声合唱が始まった瞬間に私の口は半分開き、声にならないほ〜と
いうため息が…。

「なんということか! この透明感溢れる歌声が広がっていく空間と余韻の素晴らしさ!」

ノルウェー語でSom En Stormとは「嵐のように」という意味らしいのだが、その嵐の
前の静けさを歌ったらこうなるのだろうかと思ってしまうほどの清々しいコーラス!

もうこれだけでE.S.M Insulatorのアイソレーション効果の恩恵というものが実感される!

そして、左右チャンネルに二本のギターが軽やかにカッティングを刻むリズムが入り、
センターにはウッドベースが登場する。ここです!

センター定位のベースは膨らまず広がらず極めて鮮明な輪郭を描くのだから堪らない。
そして、そのペースの定位は同じくするが更に遠方の上の空間からサックスが登場する。

このサックスは十分にウェットな質感を保ち、正に点音源と指さすことが出来る
ような引き締まった音像から呆れるほど広大な音場感の広がりをもって展開する。

そんな楽音の舞台装置が揃ったところでOle Pausの渋いヴォイスが出現する!

歌うでもなくラップのように叫ぶでもなく、しっとりとしながらグルーブ感のある
ヴォイスが正に吟遊詩人として語り掛けてくるリアルさに背中がぶるっとする!

「オンマイクでのリアルな声、余分なリバーブもない緻密な音像が素晴らしい!」

知らぬ間にOle Pausの背後にはオルガンが表れ、長いトーンの合間に細かい音符を挟み、
ギターとベースの背景に風に揺らぐ音響カーテン、いや、オーロラのように煌めき
揺れる響きの背景を形成する。これがまた素晴らしい!

二本のギターはヴォイスの合間に交互にスリリングな見せ場を作り、間奏での
サックスを再度迎え入れ、リードのバイブレーションをたなびかせるサックスとの
連携において、あたかも教会という豊かな響きの空間で吹いているような美しい
音場感を私の眼前に展開していった! この音場感はいったい何なんだ!

youtubeでパソコンのスピーカーで聴いている皆さんには想像も出来ないハイエンド
オーディオの極みとも言いたい演奏空間にしびれていると、オスロ室内合唱団の
コーラスが冒頭の主題をもう一度繰り返し、その厳かな響きが数秒間私の頭の中に
余韻のリフレインを残して幕を閉じる! いや〜、これには震えました!!

E.S.Insulatorだけでも録音に含まれる潜在的空間情報を十分に引き出すのに、
たった…、そうたった2グラムのE.S.M Ringを追加したことで起こるマジック!

今後は最初からE.S.M RingとE.S.Insulatorを同時にお薦めして、三種類の対策を
当初から施すことになるE.S.M Insulatorとして皆様に推薦ししなくてはと納得する。

10. Mitt Hjerte Alltid Vanker - SKRUK / Rim Banna 
https://www.youtube.com/watch?v=42fIQbjp3bY

SKRUKは1973年に設立されたノルウェーの合唱団で、指揮者のPer Oddvar Hildreと
共に現在まで広範囲な活動をしている。Rim Bannaはパレスチナの歌手、作曲家。
この曲も、くれぐれもパソコンのスピーカーで聴いて誤解なさらないように(笑)

Rim Bannaが登場するのは冒頭の一分間だけ。しかし、このソロバートが凄い!

伴奏はウッドベースだけ。それも、わずかにそっと弦に触れるだけという弱音の
ピッチカートでヴォーカルに寄り添うような低音の起伏を響かせる。

このRim Bannaのソロヴォーカルが聴かせる音像の忠実さ克明さという描写力に驚く!
同時に彼女の歌声によってスピーカーの周辺に出現するサウンドステージの素晴らしさ!

それはヴォーカルの質感に先ずは安定した艶やかさと滑らかさが感じられるという
基本構造の上に成り立っていて、ここで強くE.S.M Insulatorのアイソレーション
効果が人間の声をここまでリアルに浮き上がらせるのかという発見に言葉を失う! 

一分後にセンターからアフリカ系パーカッションの乾いた打音が出現し、同時に
右チャンネルからは一定間隔で鳴らされる鈴の音が幻想的な空間を醸し出す。

その辺からベースは低音階のピッチカートで存在感を示し始め、先ずはSKRUKの
男声合唱が重厚なベールを思わせるハーモニーで湧き上がってくる。ここがいい!!

幾重にも重なるコーラスはパートごとの分解能を理路整然と示し、センター右寄りの
中空に極めて鮮明であり美しいピアノが登場する。このピアノの質感は絶妙な立体感と
ともに、まさに空間を転がるように一鍵ずつの打音の連続と、その瞬間から放出される
透明感抜群の響きの連鎖を展開していく。これは見事! ピアノの一弦にも音像あり!

ゆったりした男性合唱が招き寄せるように女性コーラスが登場し、youtubeでも分かる
バラード調の旋律が上品なうねりを伴って重なり合っていく。素晴らしいです!

右チャンネル寄りのピアノが儚なげなメロディーを奏でていると、左チャンネル寄りの
後方から女性ソプラノが立ち上がり清涼感溢れるみずみずしい歌声を披露してくる。

伴奏楽器はシンプルであるが繰り広げられるコーラスの響きの階層は美しい連なりを見せ、
それを縫い上げるようにピアノの美音が演奏空間を引き締めながら、しっとりと幕を下ろす。

スタジオと教会という残響時間が極めて異なる空間で演奏された両者の楽音を
絶妙なテクニックで合成することで展開する録音芸術の見事な再現性!

E.S.M InsulatorをKKVの録音エンジニアにプレゼントしたら、彼らの感性で評価し
どんな反応をしてくれるのか楽しみになってしまうような変化を確認出来ました!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

次の選曲は対照的なコンテンポラリーR&Bでグラミー賞を三度受賞しているカナダ
出身のアーチスト、Abel Makkonen Tesfayeの曲です。別名THE WEEKENDですね。

■FIFTY SHADES OF GREY ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
  3.THE WEEKEND / EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL)
http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262

今までにも多用してきたスタジオ録音の課題曲を忘れることなくチェックする。
すると新たな発見が…!?

冒頭から噴出するがごとくの音の洪水。スネアーの打音と共に低弦楽器の重厚な
低域がスピーカー周辺を埋め尽くす録音は相変わらずの迫力。しかし、この低音が!

「この低域、質感と余韻感の両方が変わってるな〜、もちろんいい方向で!」

重厚な低音が広がっていくことに快感を覚えていたものですが、E.S.M Insulatorを
セットしてから、この低音の濃度が50%程高くなってしまったのです!

まず今まで低音の広がりと拡散は野放図にしていたのではないかという変化!
自信たっぷりのシステム構成であったはずなのに、広がる低域のエネルギー感を
心地よいと思っていたはずなのに!

分散して広がっていくという低域ではなく、ある種の個体感というか楽音の集束と
いうものか、量感が豊かになるだけを望むのではなく引き締まりながら拡散すると
いう相反するような描写力が与えられたと言ったらいいだろうか。これいいです!

E.S.M Insulatorは低域を凝縮させ濃密にし、重厚感を割り増しサービスするのです!

低域が拡散し広がっていく過程において、その残響の時間経過と共に質感も軽くなり、
消滅するまでの準備期間として響きを引き延ばしていたという事でしょうか。

E.S.M Insulatorによって凝縮し濃厚になった低音は重みを増して薄く淡泊になって
いく変化を否定し、低音の残響の端切れをはためかせるのではなく、低音の響きに
自然界の重力を思い出させたように増加した重量感を保ったまま着地するのです。

これは低音の残響の消え方を正確にしたのでは、という推測が脳裏をよぎる変化であり、
低音楽器にも音像のライザップ効果をもたらしたのではと考えてしまいました。

ヴォーカルや伴奏楽器の個々に関する分析は前述の各ポイントと同様なのですが、
今までの低域の広がり方に関するアンチテーゼをE.S.M Insulatorは投げかけてきたのです!

ここまで言えば前曲でのヴォイスにおける音像の鮮明化と同じく、THE WEEKENDの
透明度の高い澄んだ声質のヴォーカルがセンターに堂々と、しかもリップサイズは
チャーミングに変化して左右スピーカーのトゥイーター位置よりも高いセンターに
くっきりと浮かび上がる快感は予想していたより私の好みだった! いいですコレ!
https://www.youtube.com/watch?v=xe_iCkFsQKE

細かいアルコで背後を飾るストリングス、華やかなシンバルの響きに磨きがかかり、
ダイナミックなバックの楽器群とは対照的に、しとやかでクールなピアノが空間で
囁くように響く情緒的なパートが気に入った。ピアノ…いいですね〜。それでは…

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ドビュッシーの『ベルガマスク組曲』第3曲「月の光」は8分の9拍子によるほぼ
ピアニッシモで演奏される夜想曲で優しく切ない曲想で有名であり私も大好きな曲。
しっとりとしたピアノを聴きたいという次の選曲は自然に発想された。

■KHATIA BUNIATISHVILI  Motherland / 4.Clair de lune/Debussy
https://www.sonymusic.co.jp/artist/khatiabuniatishvili/discography/SICC-30172
http://www.khatiabuniatishvili.com/music/motherland/
http://www.khatiabuniatishvili.com/

Jesus-Christus-Kirche (Dahlem)イエスキリスト教会というドイツ南西部にある
教会で2013年に録音されたものですが、高さが22mもある天井はスリットの入った
木製羽目板で構成されるというもので、ヨハネス・ビーレ教授が1929年秋以降に
音響に関する問題に取り組んだ成果としてクラシック音楽の録音にも多用されて
いる建築物であるという。
https://www.jesus-christus-kirche.de/

この教会での実際の録音事例として下記の動画をご紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=aNiy1x457S4

さて、ピアノという楽器は録音環境とマイクセッティングによって音の印象が
大きく変化する楽器であることは皆さんも経験済みの事と思います。

ホール録音を印象付けたいピアノでは距離感があり演奏空間の響きを多分に含むもの。
逆に至近距離を感じさせたいスタジオ録音では打鍵の一音ずつが正に眼前で響くもの。

録音センスによって千差万別であり、アーチストによって固有の特徴を意図して
録音作品に仕上げられたものは同じ楽器であっても様々な表情を見せるものです。

私はKHATIA BUNIATISHVILIというピアニストをこの録音で初めて知ったのですが、
このディスクに収録されているピアノの質感に大変素晴らしい印象を持ちました。

それには上記のイエスキリスト教会という素晴らしい音響空間の恩恵もあるでしょうが、
ピアノソロの録音として秀逸な音質であることが、再生システムのグレードと同時に
直感され私の記憶にないほどの美しい響きだったのです。これは素晴らしいです!

この「月の光」はピアニッシモで演奏されるいるはずなのですが、弱音であっても
含まれている情報量の豊富さから、私にとってのリファレンスであり聞き慣れている
HIRO Acousticによる冒頭のピアノの一音から今までに経験のない美的要素が多分に
感じられました!

上記のように録音作品における距離感としては遠すぎず近すぎず、演奏空間による
残響の分量が極めて優れた配分であり、正確に打鍵の表情を捉えながらも豊かな
余韻感が再生音に感じ取れる素晴らしさが大変印象的でした。

KHATIAの弾くピアノの一音ずつが独立した打鍵の分離感を空間で表現し、それは
眼前の空間において中空に表れたピンポイントの音源を克明な音像として示す。

そして、その打鍵の背景には極めて透明度の高い空気感を感じるものであり、
湿度も気温も低い清浄な空気が存在し響きの質感を音の消滅の最後までしっかりと
描き切るという弱音に対する高度な空間表現能力を感じるのです。

New Original product release - H.A.L.'s E.S.Insulator!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1422.html

ここで思い出されるのが上記にてインシュレーターの機能性を[A]と[B]によって
分類するという事で、製品そのものの硬度、つまり材質の硬さということに置き
換えて説明出来るということ。

要約すればハード系の[A]とソフト系の[B]と言い換えても良いと思います。
その両者のいいとこ取りがE.S.M Insulatorで実現できたとしたら褒め過ぎでしょうか。

微妙な接触点でE.S.M Ringの一部とE.S.Insulatorが連携することで、曖昧な音像と
いう印象は全くなく、極めて高度であり引き締まった音像を究極的な空間表現の
もとに展開するという高純度の再現性。これは聴いて頂ければ解かるものでしょう!

とにかくピアノの打鍵の一音ずつが、これほど高解像度な質感をもって空間に
並ぶという音を初めて聴いたといえます! さて次です…!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

セルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18第二楽章を元にして
作られたのがEric Carmenの「All by myself」というエピソードもありました。

KHATIA BUNIATISHVILI セルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調
https://www.sonymusic.co.jp/artist/khatiabuniatishvili/discography/SICC-40072

気が付かない程ゆったりとした、おおらかな自然なクレッシェンドによる
神秘的な弦楽序奏が美しい和音を展開するが、おや!? これは…!?

前曲と同じピアニストの録音ですが、ソロ演奏とオーケストラバックの協奏曲の
録音ではチェックポイントの数もおのずと増えてくるもの。

「ピアノソロで感じた変化は弦楽の質感にも巧妙な変化をもたらしている!」

前回のリリースではボストン交響楽団の弦楽器と溝口 肇のチェロの質感について、
美しくほぐれている弦楽と例えていましたが、録音のセンスによって解釈も異なり
この録音では弦楽パートの集合体としての調和というか一体感に美意識を感じます!

しっとりとしなやかに変化し響きの情報量が増えたのか、背景となるヴァイオリンの
音色の透明度が上がった! そんな見通しの良さを耳で感じてしまうのだから堪らない!

そして、例のピアノがゆったりとリラックスした音色で入ってくるが、その響きの
鮮明さも向上していることを直感する。確認済みですが、これいいですね〜!

たおやかに弾かれる後方でのコントラバスのピッチカートの響きに融合するかの
楽音のシナリオを空間に描く音像の造形力が引き立っているではないか!

そのシナリオはAll by myselfのフレーズに寄り添ったものかと思っていると、
その上からフルートの甘美で息の長いメロディーが入ってくる。ここです!

「フルートとピアノ双方にスポットライトが当たったかの如く音像が浮き上がったぞ!」

最初フルートで奏でられたメロディーがクラリネット、ピアノ、ヴァイオリンへと
受け継がれていく過程において、そのライティングもスイッチされるのか演奏者が
交代しても音像の鮮やかさは単体使用のE.S.Insulatorを上回っている!

清らかな空間に指揮者が音量を抑えるように楽員にアイコンタクトしているのか、
KHATIAの優しく優雅な旋律に従うようにオーケストラ全体が静寂感を背景にして
しっとりと主題を奏でる。これいいな〜!

そして、わずかにテンポが上がり、ピアノが第二主題を思い悩むかのように短調で奏でる。

ファゴットや低弦、更にフルートとオーボエなどと絡み、ピアノがメロディーを
奏でて盛り上がる過程において、主題の演奏をピアノとオーケストラが交代する
有様に私は安らぎと癒しを覚え、たった2グラムのE.S.M Ringの存在感を実感した。

その後ピアノソロになりテンポも上がり、華やかな分散和音の後に再度オーケストラと
絡んで、ピアノのカデンツァへと進み、その上で最初のメロディーをヴァイオリンが
奏でて再現する。演奏空間の空気を清浄化したような爽やかさを感じるという魅力!

このヴァイオリンの音色は更に磨きがかかり、音像は鮮明になるし余韻感は向上し、
終焉部のピアノの右手が和音を波のように揺れて奏でながら、最後はピアノだけで
優しく静かにまとめる。この最後のピアノの響きの消え方が素晴らしくいいのです!

ピアニストの指は軽く触れているようにしか見えないのに、しっかりとした打鍵の
響きが生まれてくるのはどうしてなのか? 

そうです、E.S.M Ringは軽くタッチしているだけなのです!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

しかしながら、このH.A.L.'s E.S.M Insulatorを推薦したい対象ユーザーは
ある意味で熟成したシステムをお使いの方々になるであろうと私は考えています。

その熟成とはどういう意味か?

先ず、使用されているコンポーネントがひとしおのグレードであり、それらに対して
一定の満足感を持たれている皆様という意味です。つまり、使用システムの何かを
アップグレードしたいという気持ちを持たれていない皆様ということになります。

次に上記のinspection systemでもお分かりのように、振動対策を施している
オーディオラックはもちろんのこと、電源関係やケーブルにも気配りし、
使用環境に存在する高周波への対策も行ったりE.S.Insulatorで静電気に対する
対策なども行ってきたりというコンポーネント以外の要素にも情熱をもって
取り組んでおられるという皆様ということになります。

もちろん前述の対策を全てやっているということではなく、いずれかの対策ひとつでも
実行していればという意味ですので誤解なきように一言追記しておきます。

このような熟成と自覚しながらも、今後はどのような方向性において音質向上の
手段があるのか…、と思案していらっしゃる皆様には大きな魅力となり得ることでしょう。

もっと簡単に言えば、現状システムおいて何らかの疑問や不満を持たれていた場合に、
それを解決するための対処療法としては推薦しないという考え方であるとご理解下さい。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■H.A.L.'s E.S.M Ring Kit 税別価格¥18,000. (大小リング5セット入り)
キット内容は下記画像にて  税込み配送費込みとした販売価格¥20,000.
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210220123723.jpg

■H.A.L.'s E.S.Insulator 税別販売価格¥48,000. (1セット4個入り)従来通り
             税込み配送費込み販売価格¥52,800.

■H.A.L.'s E.S.M Insulator 発売記念として先着100名様限定スターターキット
 E.S.Insulator 2セット+E.S.M Ring Kit 1セットの組み合わせにて限定販売
              税込み配送費込み販売価格¥120,000.

★新製品E.S.M Ring Kitはこれからの製造となりますので納期が2-3週間かかります。
 今後一週間以内にご注文を頂いた皆様には初期ロットにて納品致します。

★E.S.M Ring Kitはドライヤーなどで温めて頂ければ簡単に剥がれます。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

H.A.L.'s E.S.InsulatorはAiTECのΛ8.24 The Professionalと同一個体であり、
H.A.L.'s E.S.M Ring Kitは同様にΛ8.24 Plusと構成パーツは同じですが、
セット内容で大小リングとリングガイドの枚数が異なるものです。

今回の新企画発表からハルズサークル会員の反響がどのような大きさになるか、
そして過去のオリジナル商品と同じようにハルズサークルの皆様の試聴評価によって
育てて頂きたいという願いがあります。

そして、ハルズサークル会員に向けての会員特典を上記の取り組みにて提案して
いるものであり、この機会にハルズサークルへのご入会をお勧め致します。

さて、本オリジナル商品はハルズサークル会員ではなく一般の皆様にも
販売して参りますので、下記の要領にてご注文頂ければ幸いです。

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        << H.A.L.'s E.S.M Insulator発注方法 >>

            キーワードはズバリ!!

              「H.A.L.'s E.S.I発注( )セット」

              「H.A.L.'s E.S.M Ring Kit発注( )セット」

              「H.A.L.'s E.S.M.Iスターターキット発注( )セット」

このキーワードを件名に貼り付けてカッコ内に希望セット数の数字を記入し
送り先情報と署名の上でメールをお送り下さい。

          mailto:kawamata@dynamicaudio.jp

お支払い方法のご案内と納期回答を返信致しますので何卒よろしくお願い致します。

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販売価格はハルズサークル会員と同様ですが、会員特典としてご提案できる企画を
用意しておりますので、是非この機会にご入会をお薦め致します!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/circle.html


川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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