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H.A.L.担当 川又利明
    
2018年10月26日 No.1497
 H.A.L.'s One point impression!! - CS Port 除電・消磁器 IME1

私はダイナミックオーディオに入社して40年ということは以前にも述べていました。
CDが登場する4年前にこの仕事を始めたわけですが、アナログプレーヤーしかない
時代から色々な経験を重ねてきたのは言うまでもありません。
そして、もう12年前ということで懐かしく思いますが、こんな経験もしてきました。

随筆「音の細道」 第56話「Art for artist!!」2006/8/27
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto56.html

2017年3月30日 No.1373 では…
H.A.L.'s One point impression!! - Audio Fidelity Improvement flat.
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1373.html

上記ではビニール素材の分子の結晶を再整列させることでレコード盤のストレスを
解消し音質改善し、同時に盤面を平坦化するという製品を紹介しました。そして…

2007年11月29日
SFC SK-EX(ELECTROSTATIC EXCLUDER)⇒My before-after新企画
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/554.html

懐かしい企画ですが、上記はコロナ放電効果によってディスクに帯電した静電気を
除去することでLPレコードの再生音を向上させるというものでした。このSK-EXは
ハルズサークルの皆様に大変大きなご指示と評価を頂き200台近いセールス記録を
上げたもので私も良く覚えています。その節は本当にありがとうございました。

LPレコードの高音質盤という企画も、その時代で優秀なものを多数紹介してきましたが、
アナログディスクの再生に関しては未知の領域というか、新規開拓した新しい視点と
時代と共に進歩した技術力によって、所有するレコードが同じ盤であるにも関わらず
再生法によって更に音質が向上して聴くことが出来るという楽しみがあるものです。

そんな思いの中で、最近新しい視点による除電・消磁器を当フロアーの最新最高の
システム構成で試聴したことで、まさにアナログ再生の新機軸とも言うべき進化を
確認するに当たり、これはハルズサークルの皆様にお知らせしなくてはいけないと
いう使命感が湧いてきたのでした!!

■CS Port 除電・消磁器 IME1の詳細は下記にてご覧下さい。
https://www.csport.audio/ja/products/option-ime1.html
https://www.csport.audio/common-ver2/pdf/catalog-ime1.pdf

試聴システムはY'Acoustic System Ta.Qu.To-Zeroを核にした下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/H.A.L.'s_Sound_Recipe-Y'AcousticSystem-Vol3.pdf

このシステムのプリアンプに下記プレーヤーシステムをつなげてのラインアップです。

TechDAS  Air Force One 税別¥7,200,000.
https://www.stella-inc.com/techdas/index.html

Graham Engineering PHANTOM II Supreme 10inch 税別¥1,350,000.
https://www.stella-inc.com/graham/index.html

TechDAS	TDC01 Ti 税別¥850,000.
https://www.stella-inc.com/techdas/index.html

さて、IME1を実際にAir Force Oneに装備するとこんな感じです。
私はモーターユニットの上に乗せましたが、本機は振動面とは無関係だろうと
考えて手軽にセットできる場所に置いてみました。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20181023-IME1.02.jpg

説明書には15度傾けてと書いてありますが、最初はどういうことか分からなかった
のですが、ははあ〜こういうことね! と思って傾けてみたのが下記の画像です。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20181023-IME1.01.jpg

IME1には除電・消磁の二つの機能がありますが、本体の盤面からの距離と
押すスイッチが違うというだけで取り扱いは簡単。
先ずは消磁のために本体を下げて…
http://www.dynamicaudio.jp/file/20181023-IME1.03.jpg

次に静電気の除電という位置ではこんな感じでしょうか。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20181023-IME1.04.jpg

当然のごとく使用前・使用後の比較をしたいので、最も聴き慣れている次の二枚を
用意して、先ずは何もしない状態で聴き上記の二種類の処理を行って再度試聴した
のですが、それはこの私でも初めての体験というLPレコードの音だったのです!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

アルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux)の一枚が私のバイブルとなっている。
ソリスト・ロマンド/アルバト・ゲレッツ指揮による、バッハのヴァイオリン
協奏曲第一番イ短調1978年の録音である。グリュミオーは1921年の生まれと
されているので、彼が57歳のときの録音ということになる。

アルテュール・グリュミオー - グリュミオーのバッハ/ヴァイオリン協奏曲全曲 - 25PC-53
https://www.snowrecords.jp/?pid=90421082

今では廃盤になっていますが、CDでは下記のソフトとなっているようです。

ARTHUR GRUMIAUX / アルテュール・グリュミオー J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲(全3曲)
https://www.universal-music.co.jp/arthur-grumiaux/products/uccd-9832/

リードグルーブから滑るようにしてA面の一曲目に針が進んでいくと、先ずは
無信号であるはずの空白部でスクラッチノイズの質感と、その背後の存在感と
いうか、サーフェスノイズの透明感が両方ともに変化していることに驚く!!

不思議ですが、無信号時の音場感が明るくなっているのです!!

冒頭、協奏曲第一番イ短調 第一楽章Allegro moderatoを聴いた瞬間に、あっ!!

このレコードを購入して38年になり今まで何回聴いてきたか数え切れないものだが、
この瞬間に過去の記憶が全て上書きされてしまったのです!!

グリュミオーの力強いアルコから始まり、動機的展開のソロとトゥッティーが
絡み合うように結びついていく。この時のヴァイオリンの質感の芳醇さと明晰
さは何としたことか!! こんな鮮明な音像は今まで聴いたことがないぞ!!

そして、その音色には甘美な質感がほとばしり、ヴァイオリンの木肌のぬくもりが
私の耳を通じて官能的な余韻感をみなぎらせてくる。グリュミオーをとり囲む
ソリスト・ロマンドの各パートが各々の配置を後方に展開させ、楽団を俯瞰し
たときの状態を見事に聴き手にイメージさせる!! この空間表現は前例がないぞ!!

しかも、過去に聴いたどれよりも弦楽奏者一人ずつの音像が際立ち、克明な
輪郭を描きつつも、まろやかでとろけるような響きの連鎖が各パートの奏者を
空間に浮かびあがらせる。演奏中もずっと除電し続けるというのは画期的です!!

ふと気がつくとグリュミオーのヴァイオリンがこれまでに聴いた時よりも濃厚な
印象を受ける。いや、正確に言えば音像の中身がしっかりしていて楽音のエネルギーを
周囲に撒き散らすことなく包括し、アナログだからということで曖昧な音像を
ふわふわと浮かせると言うことがないのだ。

これはバックを務めるソリスト・ロマンドのヴァイオリンやチェンバロなどに
も共通して言える。くっきり楽音の"芯"が見えてくるが、その音の"核"の部分
が過去の記憶と比較して素晴らしく鮮明であり、同時にスムースなヴァイオリン
の音色が強烈な魅力として私のハートをからめ取っていくのだから堪らない!!

とにかく、これほど瑞々しく滑らかなグリュミオーを聴いたのは初めて!!

IME1使用前と何が違うのだろうかと、めくるめく美音を浴びながら考え始めた!

良く私は再生音の情報量という言葉を使うが、それは空間に定位した楽音が
発祥から消滅まで余韻感の滞空時間が延長され音場感が拡大したという意味で
ご理解頂いて間違いないと思う。

IME1を使用すると誰しもが潤いある響きに変わった自分のレコードに愛おしさを
感じるようになるはずだ!!

この音が音溝に刻まれた本当の音なのかどうか、それを確認するには時代と技術の
進歩があると新しい視点、研究対象が新たに発見され、それを進化させようという
研究の成果がIME1のようなニューアイテムを生み出してきたのでしょう。

今までにも数多く体験してきたアナログ再生に関わる私の常識というか、チェック
ポイントの対象がIME1によって新たな一ページとして加わった瞬間だったのです。

しかし気持ちいい!!

新製品のテストという分析の対象にする必要性を忘れさせてくれるのだから、
快感とも言える気持ちいい音としか表現できないのだ!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

クラシック音楽の弦楽器がこれ程滑らかに美しいというのは、オーディオ的な
メークアップが施されているのではないかと私は疑ってしまう。そこで次の
選曲ではスタジオ録音の名盤で楽音個々のなりたちを聴いてみることにする。

Grover Washington jr.「WINELIGHT」が直ちに頭に浮かんだ。迷うことなく
タイトル曲の「WINELIGHT」に針を落とす。すると…

マーカス・ミラーのペースがズンと沈む重量感、しかもくっきりはっきりの音像。
これがまた気持ちいい!!

エリック・ゲイルのギターがダンプした爪弾きで印象的なフレーズが切れる!!
そして、グローヴァー・ワシントン Jr.のサックスが…。あー!!この音色は!!

前曲のヴァイオリン同様に、幾多のシステムで聴いてきた完全無欠の記録状態で
私の頭の中に定着していたサックスの質感が、最初の一音から塗りかえられていく!!

何ともセクシーな音色、キュートな音像とは言いかえれば極小サイズであり、
センターにくっきりと定位して上空へと伸びあがっていくリバーブの美しさ!!

そして、便利な日本語「極めつきの滑らかさ」という一言に尽きる美しさ!!

グローヴァー・ワシントン Jr.のサックスがこんな表情と質感で聴けるとは
何とも素晴らしい発見であり驚きだ!!

弦楽器のように連続楽音の滑らかさはフォーカスを甘口にすれば演出できるが、
切れ味と解像度を求めるパーカッションではどうだ!?

ここでラルフ・マクドナルドの叩く一音ずつのパーカッションが抜群の解像度と、
余分な音を付け足さないY'Acoustic System Ta.Qu.To-Zeroの性格を証明するかのように、
一音一打が克明に再現されることの驚き。そして、その音像が極小サイズである事実!!

スティーヴ・ガットのスネアのテンションはきりりと引き締まり、一瞬の打音の
あとに仕掛けられたリヴァーブが飛び散っていくような余韻を、見事な残像と
して眼前の空間に展開する情報量の素晴らしさ!! 興奮し始めた私を諫めていた!

こんなテストをしている時、いつもちょうど良いタイミングで来店されるのが
下記にて紹介している関 守 様でした。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1486.html

毎年のように更新される関様のオーディオ年表には二台のアナログプレーヤーが
記されていますが、その両者ともに現役で愛用されており、ピックアップカートリッジも
オルトフォンやオーディオテクニカ、マイソニックラボなど各社のトップモデルばかりを
使用されているというアナログ再生に関しても超こだわりのVIPなのです。
http://www.dynamicaudio.jp/file/100306/sys-review.pdf

実は、ここで種明かしすると、今回のIME1も関様より実物を川又さんがテストして
評価してみて欲しいというご用命を頂いていたものだったのです。

上記のような大変素晴らしい効果を確認して、それをメールでどのように関様に
報告したものか、考えている時にちょうどご来店頂けるとは手間が省けました!

数時間に及ぶ試聴でIME1の素晴らしさを実感した私は関様に試聴して頂く選曲を
どうしようかと考えたところ、やはりオーケストラだろうということでターン
テーブルに乗せたレコードがこれです。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20150318-ozawa_boston.jpg

上記の写真は私が常々課題曲として使用している小澤征爾/ボストン交響楽団
によるマーラー交響曲第一番「巨人」の最初の録音であるLPとCDの両者です。

1977年のボストンシンフォニーホールでのアナログ録音であり、幻の第二楽章
と言われる「花の章」(Blumine,Andante allegretto)が収録されている貴重な
GRAMMOPHONの録音によるレコードで、当時42歳という小澤征爾の姿が大変若々しい
印象で大切なコレクションとして今までにも多数のプレーヤーで聴いてきたものです。

アナログ録音特有のふくよかさと、ある意味で緩和されたテンションのオーケストラは
多数のシステム構成で聴いても心地良さを感じさせるものでした。

この録音はオーケストラ全体との距離感が遠い、ホールエコーの在り方も控えめであり、
弦楽器の質感はあっさりとしていて淡白、金管楽器はいぶし銀のごとく輝きを
抑え込んだ鳴り方。これが今までの過去の印象でした。

でも、関様にはそんな私の思いは一切お伝えすることなく、先ずは「花の章」を
一曲まるまる聴いて頂きました。

そして、前述の消磁作業を行い、専用スタンドのHLD1の高さ調整ネジを緩めて
目測で高さ8センチくらいにして、本体のSEボタンを押してIME1が除電開始した
ことを確認して針を落とし同じ音量にて「花の章」をかけたのでした。すると…

「川又さん、これいいね〜」というお言葉を筆頭に関様のボキャブラリーにて
変化したポイントを順番に口にされていきます。

そのお言葉は上記のグリュミオーにおける音質変化で私が感じた項目と同一であり、
私が表現に使った単語と次々にマッチングしていくのですから嬉しくなってしまいました!!

「川又さんが薦める品物として88,000円は安いよね〜(笑)これ頼みますよ!」

と、第一号のご注文を頂戴してしまいました。本当にありがとうございました。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

LPレコードの再生、言い換えればアナログ再生というものは変化要素が無数にあります。
細かいことを言えば枚挙がないアナログ再生は何かをいじっても変化があります。

しかし、最も大切なことは音が変化するという事ではなく、変化した音が良いのか
どうかという見極めであり、そのためのセンスアップという楽しみながらの
トレーニングというのがオーディオという趣味の醍醐味でしょう。

そんな世界を職業としてきた私は音が変化する項目を当然多数知っているものです。
そして、変化した後の結果の良し悪しを判定する感性を同時に磨いてきたからこそ、
今現在の私があると思っています。

■CS Port 除電・消磁器 IME1の詳細は下記にてご覧下さい。
https://www.csport.audio/ja/products/option-ime1.html
https://www.csport.audio/common-ver2/pdf/catalog-ime1.pdf

この新製品は専用スタンドとセットで税別¥121,000.これは安いか高いのか!?

しかし、重要なことはIME1と同様な変化の方向性を示す商品がなかったということです。
そして他のアクセサリー商品と価格対比してみて下さい。そして結論です!

アナログ再生に情熱を注ぐ皆様に私はIME1を推薦致します!!

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以上の原稿を書き上げてから試聴室にしばらくこもっておりまして、今は苦笑いを
しながら追記を書かなければと急ぎデスクに戻ってきたところです。

上記ではアナログ再生に情熱を…と書きましたが訂正させて頂きます。
というのは、いつも聴き慣れている試聴CD数枚に対してLPレコード同様にIME1にて
消磁を行い、その後にも同じく除電を2〜3分、いやもっと短時間だったかもしれませんが、
同じ処理をして試聴したみたら!?

試聴システムは同様にY'Acoustic System Ta.Qu.To-Zeroです。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/H.A.L.'s_Sound_Recipe-Y'AcousticSystem-Vol3.pdf

何と!! CDにおいてもIME1によって劇的変化が起こってしまったのです!!

変化のベクトルは同じ方向性ですが、当然S/Nはアナログに比べて素晴らしいので、
変化量はレコードよりも大きく感じるかもしれません!!

いやはや、驚きました!!好奇心で実験したところがビンゴでした!!

CDに関しても同様な効果を発揮しますので更にデジタル再生に情熱的な皆様にも推薦致します!!

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以上の体験からハルズサークル会員限定企画を実施しています!!
この機会にどうぞハルズサークルにご入会頂ければと推奨致します!!

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

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