発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明

No.1108 2014年4月28日
 「H.A.L.'s One point impression!!-B&W 805Maserati Edition」


“鳴り物入り”という言葉があるが、このメーカー程の企業力がありながら
昨年の発表↓から実際の発売まで何とも時間を要したことか!
http://www.phileweb.com/news/audio/201311/02/13860.html

2014.03.24-No.3273-にて速報してから一カ月後、4月18日にやっと実物が入荷
してきた。展示した初日の音質はまだ未熟そのものだったが、早速のバーンイン
を開始して数日、めきめきとその真価を発揮し始めた805MEは只者ではなかった!!
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140418-me.01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140418-me.02.jpg

私はオリジナルモデルの805 Diamondとの対比に関心があるのではなく、この
H.A.L.に常設提示しているFrancoSerblin Accordo(1Pair¥1,320,000.)や
Kiso Acoustic HB-X1(1Pair¥1,700,000.) との比較において同格に推薦出来
るかどうかという着目点で試聴する事にした。

その意味では他の小型スピーカーと同様に、当フロアー常設の物々しい規模の
アンプではなく、高品位ながら自然体で組み合わせ出来る下記のシステム構成
にて検証してみようと考えた。(以下本文では805MEと表記)

◇ H.A.L.'s Sound Recipe / B&W 805Maserati Edition inspection system ◇
 
………………………………………………………………………………
dCS Vivaldi Clock(税別¥1,920,000.)
http://www.taiyo-international.com/products/dcs/vivaldi-clock/
     and
TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別¥695,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
Cardas Audio Lightning BNC Cable
http://www.taiyo-international.com/products/cardas/digital/

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
dCS Vivaldi Transport(税別¥4,740,000.)
http://www.taiyo-international.com/products/dcs/vivaldi-transport/
     and
TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別¥695,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

JORMA DESIGN JORMA DIGITAL RCA/1.0m(税別¥108,000.)
http://www.cs-field.co.jp/brand/jorma_index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Devialet 240(税別¥2,180,000. / 2014.05.16より改訂)
http://stella-inc.com/002devialet/index.html
http://fr.devialet.com/
     and
TRANSPARENT PLMM2X+PI8(税別¥695,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

shizuka CCL-1(2.5m仕様/税別¥120,000.)ただし当フロアーでは8.0m特注品を使用
http://kisoacoustic.co.jp/shizuka_acc_all.html
http://kisoacoustic.co.jp/kiso_images/shizuka/ccl-1ka.pdf

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
B&W 805 Maserati Edition(税別¥1,500,000/1Pair)
http://www.bowers-wilkins.jp/Automotive/Car_Audio/Maserati/805-Maserati-Edition.html
………………………………………………………………………………

スタンドとペアの木目を揃えるためにスピーカー本体と一緒の梱包であり、
大きな箱を分解しないように注意深く取り出してセッティングした初日。

動作確認程度に鳴らしてみて第一印象はとても良好なもの。力みがなく自然な
音場感と清々しい楽音で、やはりB&Wの血統は間違いないものと懐かしく思われた。

左右805MEのトゥイーター間隔は3.2m、そして私が設定したソフアーの位置で
トゥイーターから耳までの距離は3.6mというトライアングルのセッティング。
私の視野からはこんな風に見えるようにセットアップした。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140422-me.05.jpg

■マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団

エンハンサーCD-ROMを徹夜でリピートさせた二日目…。定番のオーケストラを
聴き始めた直後にあるストレスを感じる。演奏がフォルテに差し掛かり弦楽と
金管楽器の迫力ある音が805MEから放たれた瞬間に、個々の楽音に質的違和感を
感じてしまうのである。それは音像のにじみとも言えるし、輪郭表現の乱れと
も言えそうな透明感の低下という印象。その原因は何か!?私は直ぐ思い当たった!

展示品の805MEではウーファーに装着する黒い布製のグリルは梱包材にしまった
ままで取り付けようとは思わなかった。同様に下記のようにトゥイーターの
メッシュカバーもそのままでバーンインをしてきたものだった。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140422-me.04.jpg

今から21年前にB&W Nautilusを初めて聴き、その二年後に発売されるや私は
多数のアンプとの組み合わせでNautilusを鳴らしてきた。その五年後にN800
シリーズが発表され、その当時からNautilusヘッドのトゥイーターセクション
が800シリーズに採用され、数々の改良を続けながら現在に至る。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto46.html

初代N800シリーズからテーパード・チューブ・ローディングを採用した高域
ユニットのマウント構造は変わらないが、外観の観察からオリジナルNautilus
と違うところは、ちょうど日本で言うお茶漉しのような金属製メッシュのカバー
が装備されている事。実は、このメッシュが想像以上に高域の音質に影響する。

このメッシュはマグネットチャックになっており、簡単に取り外しができる。
歴代の800シリーズすべてに共通することなのだが、特別にトゥイーターを保護
することが必要ないのであれば、使いこなしの第一歩としてぜひ取り外して
みることをお薦めする。805MEでも早速取り外して↓このようにした。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140422-me.03.jpg

ダイヤモンド・トゥイーターの超高域再生が謳い文句のように思われがちだが、
実はこのユニットの最大の特徴は極めて正確なピストンモーションによる高域
でのリニアリティーの高さなのである。

つまり、オンアクシスで33KHzで-6dBという再生帯域を示しているが、その高域
での再生波長はわずかに10.3mm、半波長では5mm程度という音波であり、毎秒
三万三千回も繰り返し放射される音波の発生源であるダイヤフラムの直前に、
このようなメッシュを配置して百害あって一利なし(保護目的を除く)という
のが私の考え方なのである。

メーカーとしては万一の事故からユニットを保護するという目的を形にしたが、
ファミリーユースで子供たちや知らない人たちに触れて欲しくない場合には
メッシュは取り付けたままの方が良いだろうが、オリジナルNautilusのように
広帯域低歪という再生音を求めるのならばメッシュは取り外すことを推薦する。
非常に単純ことではあるが、この一歩を踏み出さないと、せっかくのダイヤモンド
トゥイーターの真価を聴くことは出来ないと私は最初に申し上げたい。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

805ME展示開始から三日間のバーンインを続け益々調子を上げるが、ちょうど
20日の営業締め日で日曜日と言う事もあり、私の体験と感動を文章化するには
残念ながら余裕がない。しかし、この三日目の音は私を圧倒した!!

■美空ひばり 「川の流れのように」「影を慕いて」
http://store.stereosound.co.jp/products/detail.php?product_id=1916

イントロの遠目に定位するドラムの量感は当初より大分伸びと重量感も表れ、
ストリングスの展開もしなやかさが増し、今まで覚えのないような音場感が
805ME周辺に湧き起る!!そして、美空ひばりのヴォーカルが…!

「おー!何というキメ細かさと瑞々しい響きであることか!これが805MEか!?」

我が耳を疑うという陳腐な表現はしたくなかったのだが、これほど広大な音場感と
実に鮮明な弱音の数々が空間を埋め尽くす情景に私は唖然としてしまった!!

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto55.html
上記の随筆でオリジナルNautilusの設計者であるLaurence Dickie が新しく
興したVIVID Audioに関する解説をしているが、実はここで述べている原理は
まったくそのままにB&Wの現代のスピーカーたちにも共通することなのである。

先ず、外観からはスピーカーエンクロージャーのコーナー部における反射音が
発生しないようにと、Nautilusヘッドと称するミッドレンジドライバー格納部
の丸みを帯びたデザインがあり、それは内部構造の強化とブレーシングを兼ねた
マトリクス構造エンクロージャーを歴代の製品で採用する基本原理となった。

そして、ミッドレンジとトゥイーターに関してはテーパード・チューブ・
ローディング方式によって振動板の背圧・バックプレッシャーの消去という
原理が確立されてきたが、その目的は振動板そのものが発した後方への音波が
逆流することで、背後から振動板にもたらす反射音の影響を解消するためのもの。

その目的とは歪率の低下であり正確無比なピストンモーションの実現にあった。
そして今805MEの再生音を聴きながら、もう一つのメリットとして弱音成分の
再現性の素晴らしさを追加しなければと実感させられてしまった!!

それほどにヴォーカルが発した音波の空間的広がりと、余韻感が完全消滅する
までの時間軸の延長が事の他素晴らしいのである!!

この音場感の素晴らしさは当フロアー展示の同サイズスピーカーと比較しても
群を抜く見事さであり、正にオリジナルNautilusを彷彿とさせる空間表現が
私を圧倒してしまったのである。これには参った!!

微小信号の再現性が素晴らしいということは音場感の魅力に通じる。しかし…
前回聴いていたマーラー交響曲第一番を聴き始めた時、私は更なる課題に直面した。

「おや〜!? 弦楽器の集団が左右スピーカーの音源位置にまとわりついているな〜」

その直感は聴き続けるうちに確信に変わった。第一ヴァイオリンは指揮台の
あるセンターからステージの向かって左方向に連なっているはずだ。

正面から見たらコンサートマスターを先頭にした直列の配置を横から見ると
いう図式で、一定の面積をもって中間定位しなければならないはずが、左側の
805MEを中心として孤立した集団となってしまっている。

また右側のビオラも同様にひと塊りとなった集団を形成し、805MEの中心軸を
離れようとはしない。右側後方からの金管楽器も805MEの軸上から発生する。

圧倒的な広がりの音場感を魅力として指示したいのだが、せっかくの空間提示
がホールの中でつながってくれないもどかしさが表れてくる。

「ははぁ〜、これはセッティングの問題だな。当然のことながらあの時と同じだ!」

B&Wと付き合いが長い私にとっては、過去の試聴カルテから簡単に対処療法を
検索することが出来た。それを済ませなければ先の試聴には進めない!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

http://www.dynamicaudio.jp/file/20140422-me.05.jpg
さて、この写真を見ておわかりだろうか!? 805MEは私に正面を向けている。
一般的な使い方ということになるが、勿論これでも相当なレベルで聴かせて
くれるものであり、左右両翼に更に広がる傾向の空間提示を好む方には十分な
セッティング。ここから先は私の独善的なこだわりとしてご理解頂きたい。

私が知るオリジナルNautilusを源流として、その後に発表された800シリーズに
共通して推薦してきたクロスセッティングの原理を知ったのも25年前のこと。
当時のワープロで書いた原稿をそのまま転載させた下記の随筆をご覧下さい。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto09.html

余談になるが、惜しまれつつも昨年亡くなられたFrancoSerblinは、次のように
語っていたのをご存じだろうか?

「スピーカーの音軸(スピースーの正面方向に延ばした直線の事)がリスナー
 の約一メートル手前で交差するように左右のスピーカーを内側に向けて角度を付ける。」

私がNautilusを聴いたいた当時、実は彼もクロスセッティングを試みていた。
それを試した私の感想も下記の随筆にて述べていたことを思い出したのである。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto16.html

さて、広大な音場感の再現性を持ちつつも、楽音が集団化してしまうという現象は
何が原因なのかという事を察知した私は↓このように805MEの角度を変化させた。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140422-me.06.jpg

この時に右側の805MEのスタンドを上から見たところで違いが分かりやすい。
疑問を感じた最初のセッティングが↓この写真の角度。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140422-me.07.jpg

この角度で左右805MEの主軸の交点が私の頭に位置することになり、左右の
スピーカーは私に向かって真正面を向くことになる。

それをクロスセッティングに変更すると↓このような急な角度になる。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140422-me.08.jpg

この状態で私の前方約2メートルくらいの位置に交点が移動することになる。
これがクロスセッティングだ!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■「あー!!美空ひばりの背中が見えるようになったぞ!!」

クロスセッティングに変更して先ほどと全く同じ音量で「川の流れのように」
を聴き直す。電気的には全く同じ信号が805MEに送りこまれているはずなのに
いったいこの変化はどうしたことか!

当フロアーにNautilusをはじめとしてB&Wのスピーカーが常設していたころは
当たり前のようにやっていたクロスセッティングの威力を何年ぶりかで体感する。

イントロのペースやドラムというリズム楽器の音像が縮小し濃密なシルエット
に変化していることに最初に気が付く。全く同じスピーカーが描く音像サイズ
がこのように凝縮するが、香り高く周辺の空間に展開する音場感はそのまま。

低音楽器の輪郭表現がくっきりとする事でステージ後方へ移動したごとくの
距離感が発生し、ストリングスも見事に左側805MEの音源位置から離脱して
センターとの中間に定位する変化を伴っている事が確認される!これはいい!!

高音階のキーボードが転がるようなフレーズを一瞬奏でると美空ひばりが登場する。
その瞬間に先ほどまで聴いていたヴォーカルのピントが実はずれていたことに
衝撃とも言える発見があった!!いや、ピントがずれていた、フォーカスが甘かった
という表現を使うとクロスセッティングしていない805MEの音質を全否定する
ような誤解が生じるかもしれない。いやいや、リスナーに正面を向けた805ME
の再生音が間違っているとか不満があると言う事ではない。しかし…

「ヴォーカルが空中に浮き上がってきたような、美空ひばりが立ちあがって
 歌い始めたような、彼女に当たったスポットライトによって背後に伸びる
 影が見えるようになったということか!」

先ほどまでは美空ひばりのヴォーカルは、まるで富士山のすそ野がなだらかに
広がっていくような広大な音場感に、稜線が下っていくようなカーブで残響が
消滅するまでの滞空時間を減衰カーブとして提示するようになる。

しかも、その富士山の頂上には春の暖かさで減少した冠雪のように、白い部分が
頂点に近いところだけになったようでヴォーカルの口許サイズも縮小した。
きりりと引き締まってくっきりした美空ひばりの唇が左右805MEのセンターに
ぽっかりと浮かぶのだから、これをもってしてスピーカーが消えたという現象
を実際に誰でも体験出来るだろう!!

この曲のタイトルとなる一節を歌いあげるサビの部分では、小気味良いスネア
の連打に合唱が重なりヴォーカル後方の空間に見事な背景を形成する。まるで
富士山の向こう側に傾き始めた太陽がさしかかり、壮大なシルエットを後ろから
照らし出すように伴奏とヴォーカルの遠近感をぐっと奥行き方向に引き延ばす。

クロスセッティングによってフォログラフィックに音の彫像として空間に立ち姿を
表した美空ひばりの定位感はジャストセンターに三次元的に固定される。

リスニングポイントが左右にずれたとしても、805MEのセンターに留まったまま
定位感は移動することなく音の彫刻の側面が見えるだけなのである!!

多数の伴奏楽器を背景にして距離感を保ち、ヴォーカルの定位感はリスナーに
接近し、絶えず美空ひばりの向こう側に多数の楽音が並ぶあり様に驚く!!

そうだ!!正に美空ひばりの立ち姿が805MEが作り出す音場感の中で立体化し、
まるで美空ひばりの背中が感じられるようになった!!これは素晴らしい!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ヴォーカル曲でクロスセッティングのよる変化を感じ取った私は、そもそも
805MEで聴くオーケストラで発生した疑問点の確認を行うことにした。

■マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団

この第二楽章での違和感から始まったクロスセッティングへの変更だったが、
美空ひばりの曲で変化した各項目はどのように再現されるのか!?

実は、通常の805MEを正面で聴く場合とクロスセッティングとの違いを何回も
角度調整して比較試聴を繰り返していた。スタンドと合わせても22Kgという
805MEは実にハンドリングしやすく、二種類のアライメントを比較するのは容易だ。

先ずは805MEに正対する第二楽章を再度聴き直し、弦楽器群の集団化と管楽器
の軸上定位を確認し、席を立って805MEの角度を調整しボリュームは同じにして
再度リスニングポジションに戻って来る。もう何回もこれを繰り返してきた。

「あー!!これですよ、これ!!これが出なくちゃB&Wじゃない!!」

今まで左側805MEの中心軸に憑依するように集団化していたヴァイオリンは
あたかも客席に面と向かって演奏していた角度だったのだろうか。

クロスセッティングにしたとたんに客席に向かって右側面を見せる配列に変わり、
指揮台のセンターとLch音源位置とを結ぶ中間に見事に整列する。これいい!!

なぜかというと第一第二ヴァイオリンの集団の内部には個々の奏者による微妙な
音色の個性が多数の色彩感として見分けられるようになっているからだ!!

一般的には26名という構成のヴァイオリン奏者が緻密に並ぶように楽音の群像
を805MEが表現するが、彼らの発する響きと余韻感は何ら衰えることなく右側
のビオラと中央奥のチェロに向かって挑発的な残響を投げかけ、ステージの
両翼に広がる音場感の中で呼応する響きで回答を求めるように展開する。

ステージ上手から発せられた弦楽器の響きが下手へと空間の連鎖を見せると、
今度は主題の旋律をビオラが下手から上手に向けて送り返していく!!

弦楽五部の各パートが左右と中央に孤立していた情景から、各々の楽音が対極
する位置関係にある弦楽器群の頭上に向けて響きのシャワーを双方で振り撒く!!
ボストンシンフォニーホールの空間を見事にまとめ上げた805MEに私は舌を巻いた!!

弦楽器群を面として水平方向に配列する音像の変化に感動していると、実は
それだけでない音ポリフェノールを805MEが含んでいたことを発見する!!

木管楽器のソロパートが以前にも増してくっきりと小粒な音像として提示され、
ウェットなリードの響きが弦楽器の背後に立ち上がる。ほほ〜と感心している
ひまもなく、トランペットの鮮烈な響きがステージ下手後方から、夜空を切り
割くようなサーチライトの光軸としてホールの天井を照らし出すような動きを
見せて展開する。しかし、煌めく金管楽器であるはずなのに全く眩しさがない。

壮大な弦楽器のアルコが繰り返される中で、これほど微小な音像なのに精密な
響きの組み立てで叩かれるトライアングルの打音に私の目線は釘付けとなった。

クロスセッティングによる変化の一旦は、ダイヤモンドトゥイーターが発する
極小の打楽器の響きを中空にピン留めするように固定した。805MEいいです!!

弦楽器の滑らかな音色が空間を彩り、木管楽器の潤いを感じ、金管楽器の輝き
がホールの隅々まで視界を広げ、グランカッサの低音はゆったりと響き渡り、
トライアングルの煌めきは鮮明な残像を私の目と耳に置いて行った。こんな
オーケストラに変貌するとは…。何と!!805MEの潜在能力は想像以上だった!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

B&Wの特徴でもある黄色いケブラーファイバー・コーンのミッドバスユニットは
特殊なバインダー(繊維を半固定化する特殊な接着剤)によって、意図的に分割
振動をさせることで広帯域再生と低歪を実現しているわけだが、805MEでは
4KHz以下を受け持っており想像以上の貢献をしている事が実感された!!

大動脈が逞しい鼓動によって血流を担い、それが体の細部では毛細血管と
なって細胞に必要な養分を与えるからこそ、人体における精密で微妙な動作を
可能としている。

大口径ユニットを搭載したスピーカーでは大動脈に例えられるようなエネルギー感
の再現性は得意かもしれないが、小口径ユニットが微小信号に緻密な反応を
するということは、正に805MEを構成するユニットに音楽信号を伝達する毛細
血管が存在しているという思いがする音質なのである!これは貴重な存在だ!!

前述したように、オリジナル805SDは1ペア税別60万円というプライス。
基本構成がそれと同じものだからと言って、805MEの価値観を推し量ることは
今回の試聴体験からすると意味がないように思われた。

むしろ、同価格帯であり同サイズのスピーカーたちとの比較において、私が
魅力を感じている他社スピーカーと同レベルのクォリティーを805MEは有しており、
使い手の選択において自分にとって価値あるものを選択する土俵に805MEという
別バージョンは間違いなく存在していると実感された!!

以上の私の推薦コメントが未公開であるにも関わらず、既に試聴された皆様の
評価が805MEはH.A.L.レベルであるということを物語っているだろう。

今年のゴールデンウィークの初日に本文を配信出来た事を私は嬉しく思っている。
同業他社にも多数展示されている805MEなのだが、H.A.L.で聴くことによって
このスピーカーの本当の魅力が一人でも多くの皆様に認めて頂けるきっかけと
して、私の拙いインプレッションがMaseratiのエンジンを始動するキーの役目
を果たせるのであれば何よりである。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■第一弾・国内最速での展示導入!! しかも、このボリューム!!

4月18日(金)ダイナミックオーディオ5555/ 2F 4F 7Fに3セット同時展示開始
★7Fの展示品は当店の他のフロアーに移動しての試聴も可能です。
http://www.dynamicaudio.jp/5555/MonthlyHi-Fi/201405/

■第二弾・ゴールデンウィーク期間中には更に!!

4/29-5/7の期間限定にて5Fにて展示試聴実施!!

■第三弾・更にダイナミックオーディオ各支店にも続々と展示導入決定!!

5/20前後にトレードセンターに更に1セット展示、その後は新宿店でも展示!!

■希少価値

このスピーカーの生産台数は500セット限り。これを世界市場に出荷しますが、
日本への輸出割り当ては100セットとなっています。

★限定品にふさわしいプレミアムアイテムをご注文の皆様先着25名様に贈呈!!

http://www.dynamicaudio.jp/file/20140325-805me01.jpg
この黒い表紙の本は何だと思いますか!? B&Wが805 Maserati Editionのために
限定制作したカタログなのです。これは一般の販売店で配布されるものではなく、
限られたディーラーにごく少数配布されるものであり、本企画を承知している
輸入元からの特別な計らいでハルズサークルの皆様に向けて25部を用意しました。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20140325-805me03.jpg
Maseratiのイメージを精悍に優雅に表現したページこそ、このスピーカーの
オーナーが所有するにふさわしいブックレットだと思います!!

http://www.dynamicaudio.jp/file/20140325-805me02.jpg
そして、805 Maserati Editionの特徴を解説するページも美しい写真で構成
されています。更に、このブックレットには日本語のスペックシートが添付
されています。益々皆様にお持ち頂きたい貴重なカタログだと思います!!

★805MEの納期は1カ月から2カ月程度という想定となっています。
 ご注文には特に書式はありませんので気軽にメールにてお申し込み下さい!!

■販売価格

この製品は消費税8%にて販売されますが定価販売ではありません。しかし…
輸入元でも卸価格を協議中であり、当社への仕入れ価格が判明しましたら
希望者にお見積り致します。つまり、私の裁量でお値段つけます!!(意味深…)
何なりとお問い合わせ頂ければと思います。何卒よろしくお願い致します。

■当フロアーの805MEは他のフロアーに移動して展示している場合も
 ありますので、ご指名の試聴に関してはご予約頂ければと思います。
 http://www.dynamicaudio.jp/5555/MonthlyHi-Fi/201405/


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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