《HAL's Monitor Report》


No.0229 - 2004/7/9

東京都中野区 T H 様より


モニター製品:CHORD CPA4000E SPM1400E

4月にCHORD社製のアンプを試聴させていただいたSです。
モニターさせていただき、どうもありがとうございました。
大変遅くなってスミマセン。
レポートを書くのに3ヶ月もかかってしまいました。

それから、先日お店の方を訪問した際は、突然の訪問にもかかわらず、
温かく迎えていただいただけでなく、美味しいコーヒーまで出していただき
ありがとうございました。

それでは、早速本題です。

モニターした製品
CHORD社製アンプ CPA4000EとSPM1400E。

その他の機器
CDトランスポート:ESOTERIC P0-S VerUP
DAC:LAXMAN DU−10(DACの機能を使用)
スピーカー:B&W  Nautilus802

4月3日家に帰ってくると、大きな箱が玄関に届いており、ついに来たなと思い
早速、箱から出しセッティング。
最初、音を出したときの感想は、CHORDって、こんな音だっけ?

まあ、さすがに高級機なだけあって、今まで自分のシステムにあった問題点とか
は綺麗に克服されているが、費用対効果で見ると、こんなものかなーというのが
最初の印象。

CHORDの製品は、以前から注目しており、川又さんのフロアーでCPA4000EとSPM6000E
の音を聞いていたが、その時と印象が全然違う。

CHORDに対する私の記憶の音というのは、絹のような滑らかな音であり、抜群の
空間的表現力と言うイメージがあります。

しかし、実際に出てきた音は気難しい顔をした地味な英国紳士といった感じの
音でした。まあ、電源を入れたばかりだから、まだアンプが本調子でないので
あろうと思い、適当に聞く。

翌日、4月4日、色々聞くが、いまいちしっくり来ない。まだまだ機械が本調子
にならないのであろうと思いながら適当に聞き、一週間立つ。

4月10日、これでまともな音が出なかったら、箱にしまってしまおうと思いな
がら試聴する。

まずかけた曲が、
ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界より」 (JMCXR-0013)
4トラック目のAllegro con fuoco を聴く。

今までと違い、すばらしい演奏を奏でる。
冒頭から力強い演奏が始まる。スピーカーの幅を超え広いステージを作り上げる。
また、オーケストラにもかかわらず、混濁していない。我が家でかけるオーケス
トラは混濁する事tが多く、半分再生を諦めていたが、その悩みが払拭された。

力強い演奏のあと一転し、木管楽器を使った静かな演奏になるのだが、この音が、
綺麗に伸び、大変綺麗である。

次にかけた曲は、ムソルグスキー=ラヴェル 組曲「展覧会の絵」 (JMCXR-0016)
1トラック目 Promenade
冒頭の管楽器が綺麗に伸びやかに響いていく。
これは、良いの一言に尽きますね。
2トラック目 Gnomus
冒頭は低音の弦楽器から始まるが、弦を擦る音が質感をもって再生される。
そして普段聞き取れなかった細かい音も聞き取れる。
鬼気迫る演奏が、こちらにもわかる感じがする。
そして最後のジャン!と言う音で締めくくられるのだが、なんとも言えない迫力
で雄大な再生をしてくれる。

次は、リヒャルト・シュトラウス 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
Op.30 (JMCXR-0011 1トラック目のIntroduction
冒頭の暗騒音がいつもに増して、不安な気持ちにさせる。

そして、35秒目から鳴り響くティンパニーの音が、どこで演奏しているかわ
かるような空間表現力。
演奏者の配置が手に取るようにわかる。奥行きもかなり出ている。

次は、村治佳織さんが演奏する「アランフェス協奏曲」 (VIAC60001)
1トラック目、Allegro con spirito
ギターを弾く村治さんが目の前に現る。バックのオーケストラの配置もわかる。
さすがは、CHORDの空間的表現である。
ギターの弦一本一本が見えてくるような、緻密な演奏が目の前に繰り広げられる。
ただ、このDVD−Aは、演奏会場の空気というか雰囲気も再生されるのだが、
その辺が伝わって来ない。フィルターで会場の空気感をと言う物を濾してしまった
感じがする。

次は、アンサンブルプラネタの「乙女の嘆き」 (PCCA01711)
4トラック目、アヴェ・マリア
ソプラノがどこまでも綺麗に伸びて響く感じ。
綺麗な響きのある歌声に体全体がフッと包まれるような感じ。
我が家は他のお宅と比べると部屋の響きが、かなりあるほうだが
このような経験は初めてである。

ソニー・ロリンズ 「WAY OUT WEST」 (VIAJ60002)
1トラック目、I'M AN OLD COWHAND
サックスの音が非常に滑らか。ただ、JAZZを聞くにはちょっと綺麗過ぎる
感じがする。

Janet Seidel 「Don’t Smoke in Bed」 
(TKCB72395)
1トラック目、Blues in the Night
明るい健康的な歌声。
音楽的には良いが、このCDに関しては、もっと甘ったるい色気が欲しい。
声は綺麗に伸びて奔放。伸び伸びとした歌声である。

飯田圭織 「オサヴリオ」(EPCE2015)
2トラック目 シェルブールの雨傘
とにかく綺麗な歌声。
歌い手の感情がひしひしと、こちらに伝わってくる。
楽器とボーカルが綺麗に分離している。
ヴァイオリンの音が何とも悲痛。とても相性が良い。

浜崎あゆみ 「A BEST」 (AVCD11950)
まずは、16トラック目、Who...
おお!なんだこれは?
私の中ではお世辞にも良い録音とは言えないCDであった。
が、しかし、なぜか良い録音に感じてしまう。
AVEXの録音が悪いと言ったのは誰だ?
あっ、私か。(・・;)
とにかく良い。思わず、1トラック目から聞いてしまう。
気がついたら、3トラック目が終わっている。
結局このCDは最後まで聞いてしまった。

CHORDの製品に対するまとめの感想。
パッとした印象は、地味な英国人という所だろうか。
空間的表現はすばらしく、楽器一つ一つの位置がわかる。
音のスピード感が早いが、音が伸びきる前に切れてしまう所もある。
歪みが無く綺麗な音。JAZZを聞く人にとっては綺麗過ぎるかもしれない。
逆にこの綺麗さが、クラシックを聞くには良いと思う。

機器には、録音の悪いものは、そのまま悪い音で出すものと、ある程度
デフォルメして、悪いものでもそれなりに聞けるものがあると思っている。
CHORDの場合は、悪いものでもそれなりに聞ける方に分類されると感じられた。

事実、録音の悪いJ‐POPも、それまでの印象と違い、それなりの音で聞けた。
また、プロ用の機器を作っているメーカだけに、セッティングの仕方では、
モニター的な音に聞こえる。このようなセッティングの仕方をした場合
録音者がどう言う事を意として録音したのかがわかるような気がする。
正直良い機器であると思う。

ただ、私の好みとしてはもう少し温かみのある音が欲しい感じがする。
しかし、CHORDの音を温かみがあるという人もいるので、この辺は
個人差ですね。

それから、CPA4000Eのヘッドフォン端子に関する感想。
さすが高級機だけあって、音は今まで使っていたアンプやCDのヘッドフォン
端子よりも綺麗な音がする。ただ、SN比があまりよくない。
家の電源のノイズを拾っているのかと思い、部屋の他の電気のスイッチを切り
なおかつ夜中の2時頃という世間一般に電気が綺麗といわれる時間でも変わら
なかった。この辺は改善の余地がある。

このような機会を与えてくださった、川又様と株式会社タイムロ−ド様には
深く感謝いたします。



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