《HAL's Monitor Report》


No.0211 - 2004/2/26

神奈川県藤沢市 K S 様より

モニター製品  ジェフロウランド モデル201+シナジーII


  『ジェフロウランド モデル201+シナジーII 在宅試聴記』

1月末で1年十ヶ月の単身赴任生活を終え、そろそろ引っ越しの準備をしなけ
りゃならないと思っていた矢先、川又さんの配信でジェフロウランド モデ
ル201をシナジーIIPreアンプとペアで週末の2日間をFullに貸し出し試聴
できるとの情報を知り、せっかく自宅に帰れるんだし、渡りに船とすぐにお
願いのMailを入れると、ラッキーなことに対応して頂けるとのこと。
更に、接続用のバランスケーブルまで準備頂きけるとのことで、いつものな
がらの周到な手配に感謝。
慌ただしく、引っ越しと仕事に引き継ぎをこなし、新しい職場での仕事をス
タートさせて一週間後の2/6金曜日、会議で遅くなり疲れ果てて深夜に帰宅す
ると、我が家の玄関にに段ボール箱が2つ。その晩は、"もう遅いから明日に
したら"という奥方の声を聞きながら、嬉々として、まだ引っ越し荷物の散乱
するオーディオ部屋に運びました。このあたり、HAL'sCircleの皆さんも同じ
様な経験有りますよね。さて、翌日の朝からセッティング開始。ジェフロウラ
ンド モデル201は小振りの箱に、2箱に分かれて梱包されていました。
中を空けると、電源ケーブルの入った中箱があり、その下に紫の布の袋で覆わ
れた201が鎮座しておりました。思いの外、小型ですね。重さは6.2Kgとのこ
とですが、片手で持てる重さと大きさ。アンプというよりは、精密なハードデ
ィスクといった感じ。高価な航空機用アルミだかを使ってあるとのことで、精
密感と高級感にあふれております。まあ、2台で92万円ですから、当然でしょう
が。表面には、パイロットランプ(ブルーに光ります)が付いているだけです
が、裏面には、電源イントレット、電源SW、バランス入力コネクター+中央に
大きながカルダス製の特殊Speaker端子。Yラグ専用で、結構締めやすいもので
すが、今回はスーパー・ツィーターも合わせて繋ぐので悪戦苦闘しました。
きちんとケーブルの末端処理をしなければ接続はつらいです。電源ケーブル
は(標準品のまま?)のベルデン製とおぼしき普通の黒いものがついてきました。

 

PreAmpのシナジーIIは, 今回なんとエソテリックのG0sの箱に入ってきました。
HAL'sCircle皆さんは良くご存じなんでしょうが、私はさわるのは今回が初め
てです。電源部、本体。両方とも幅は通常Sizeながら、奥行きが15cmくらい
しか無く、極めてコンパクト。これも、立派なアルミ削りだしケースででき
ており、かなり重くずしりとした手応え。不思議なのは、両方ともいわゆる
足が着いていないこと。ソルボセインの様な丸い黒いゴムのインシュレータ
ーが8ケ付いてきたので、足代わりに下に敷けということなんでしょうね。
本体の下には、さらに石の足を追加しておきました。実物はやはり格好良い
ですねえ。この物自体は、展示品で使い込まれており、かなりの擦り傷があ
りますが、各SW、ボリュームの操作感も精密感にあふれてます。電源と本体
は一本のケーブルで接続。電源ケーブルは、純正ではないと思われる透明樹
脂で覆われた高そうなモノが付いてきました。裏面は、バランス入出力のみ
という潔さ!。RCAケーブル端子なぞ付いておりません。201へ接続する
ためののバランスケーブルは、PADのバランス・イスタル(プラズマシールデ
ィング)という高価なものが付いてきました。設置するとこんな感じ。LPジ
ャケットと比べて、モデル201の小ささが分かりますね。



これを接続する我が家のシステムは、昨年、清水の舞台から飛び降りる気分
で購入したP0s以外は、HAL'sCircleの皆々様の装置に比べるとほんの入門機
種でして、

 エソテリックP0s+VUK-P0 
↓
PADデジタル PROTEUSx2 / WordSyinc PADデジタル コロッサス
↓
エソテリックD70
↓
PADバランス AQUEOUS
↓
PreMainアンプ  McIntoshMA6900
↓
JBL S3500+JBL UT025(スーパーツィーター)
となっております。

今回はアンプの部分をそっくり
Pre ジェフロウランド シナジーII
↓
PADバランスISTAL
↓
Power ジェフロウランド モデル201x2
に入れ替えての試聴となります。

さあて、音出しです。

まずは、Jazz。いつも使うピアノトリオ ニューヨーク・トリオの"Blues In The Night"。
一聴すると、ごく普通の音。とても、耳障りの良い磨かれた感じの音でした。
心地よく、聴き疲れしません。JEFFのアンプというので、もっと、高分解能、
ハイスピードを誇示するような音を想像していましたが、意外や自然。また、
小型のPowerAmpのくせに、Speakerへの支配力が素晴らしいようで、低域の制
動感を特に感じます。S3500のダブルウーハーをきちっと制御し、暴れさせな
い感じの音です。ニューヨーク・トリオの演奏はビルチャーラップのピアノ
だけが目立つのではなくて、ベースもドラムスもかなり存在感を発揮する所
がスリリングでおもしろいのですが、そのベースの音が不必要にふくらまず、
余韻を残しつつ引くべき所はすっと引く様です。結果として、夜のBluesのタ
イトル通り、トリオの楽器の間に夜の静けさが立ちこめるのが聴き取れます。
立ち上がりより、むしろ立ち下がりにHighSpeed振りを印象づけられました。
これが、自然な感じの源泉でしょうか。

次に、ジャンルを変えて、Classic。結論から言うと、これはとても宜しい。
同じピアノものですが、ポリーニのポロネーズ集。これは、SACDとのハイブ
リッド盤で再発されたもので、CD層の音も良くなっているという評判だった
ので買い直しました。若いときのポリーニの演奏で、ショパンのイメージか
らすると結構ハードでダイナミックな演奏で、落ち込んだときに元気を出す
ために一、二曲ぐらい聴くことはあっても、めったに全曲聴くと言うことは
無かったのですが、久しぶりに全曲堪能して聴き通してしまいました。我が
家のS3500はJazz向きに結構ハードなセッティングになっていると思ってい
るのですが、今回は聴き疲れしませんでした。後で聴き比べたMcIntoshMA6900
に比べると、明らかに歪みが少なく、磨かれた感じの音。これはPreの差でし
ょうか。モデル201がS3500の能力一杯まで、ポリーニの輝かしくもダイナ
ミックな演奏を、伸びやかに十全に鳴らしきる感じで、感激しました。

続いて、ウィーンアルバンベルク弦楽四重奏団のシューベルトの弦楽四重奏"
死と乙女"。出だしの合奏の部分は、MA6900だと音が少しダンゴになりきつい
所なのですが、JEFFだと各楽器が綺麗に分解されて気持ちよく聴けます。
これはPreの差でしょうか。S3500はあまり弦がふくよかに鳴るTypeでは無い
(あるいは、そういうセッティングをしていない)のですが、JEFFの組み合わ
せだと結構楽しめる音で、そこそこに弦が鳴ります。

次は、オーケストラでゲルギエフ指揮・キーロフ歌劇場オーケストラの"シェ
ラザード"。これは、前にお借りしたB&WSignature805(結局一緒に試聴した
友人が気に入ってしまい、そのまま家に持って帰りましたが)の試聴の時に、
S3500と大差が付いてしまった因縁の曲。S805ではオーケストラの各楽器の定
位と分解能の素晴らしさに参った覚えが有ります。今回は、いつものS3500よ
り、低域がしまり、各楽器の細かい音がわかり見通しが良くなり、一段ランク
が上がったような聴こえ方です。但し、今回アンプを変えても、さすがにあの
時のS805のレベルまでは行きませんでした。やっぱりSpeakerの差は大きいよ
うです。

ここで、我が家のMA6900に変えると、躍動感が全面に出てきて、JazzやVocal
は楽しくなりますが、やはりClassicは歪み感、分解能に差があり完敗。音の
質から言えば、やっぱり合計で3倍の値段の差は有りますね。
但し、JEFFの組み合わせはJazzやVocalはClassicに比べると、少し苦手かもし
れません。正確で綺麗な音ですし、ダイナミックレンジも申し分ないのです
がJazzのもつ躍動感は、安くてもMA6900の方が少し上ですね(マッキンはそ
のように音作りされているということなのでしょうが)。ソニー・ロリンズ
のサキソフォンコッロッサスではテナーの野太さが少し足りず、端正な感じ
になりますし、女性Vocal、クリス・コナーの"The Trill is Gone"(This is
 Chris)とか,ヘレン・メリルの"Don'tExplain"(withクリフォードブラウン)
など聴くと、少し溜息度、ささやき度が減り、色気不足の感じかしなくもない
です。勿論、MA6900を買うときに比較した、某国産セパレートアンプの素っ気
なさと比べたら全く雲泥の差で、通常は全く問題なく楽しめますが、強いて言
うとという所ですが。

ICE Powerモジュールを搭載した新シリーズは、過去のJEFFのアンプの音質と
比較して色々言われているようですが、小生は過去の高価なJEFFのアンプの音
を聞いた経験がないので、判断ができません。このモデル201を聴く限りは、
小生のMA6900と比べたら十分に素晴らしい音質に思えます。もっと高価なAmp
と比べたら良くわかりませんが、この値段で、この音、この作り、Power(250W)
なら極めてお買い得に思えます。Sizeが手頃で置き場に困らないのも美点です。
S805+モデル201なんてとても良い組み合わせに思えてきました。正直、あ
まりに自然にSpeakerが良く鳴るものですから、お返ししたくなくなりまして、
2日目はずっとJEFFの組み合わせに固定して、一日中CDを聴きまくりました。同
じ100万円前後クラスの他のアンプ、たとえば、McIntosh MA402 、ゴルドム
ンド SRM2.3、アキュフェーズ P7000、McIntoshMA602、リン KlimaxTwin、
マークレビンソン ML431L、McIntosh M501、マランツMA9S1、ちょ
っと上のエソテリックA70、ゴルドムンド ミメイシス18.4など選択肢は一杯
有るようで、比較したらどうなんだろうと、興味はつきないところですが、
困ったことに、良いAmpで聴くと、一層、我が家のシステムの弱いところが見
えてきます。拙宅のS3500は肝心な中域のドライバーがやっぱり質的に弱い様
です。値段が値段だからしょうがないですがやっぱり、このAmpだったらSpeaker
は最低B&WS805/JBLS4800クラスでないと釣り合わない感じです。まずはSpeaker
を何とかすべしという(予想通りの)結論に落ち着きました。困りました..。

最後に、いつもながら、このような素晴らしい機会を与えて頂いた川又様、
いろいろと配送の手配をして頂いた上遠野様に改めて感謝致します。
ありがとうございました。



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