
《HAL's Monitor Report》
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No.0145 - 2002/12/1 岡山県赤磐郡山陽町在住 S・M様より
モニター製品 PAD SPケーブル MIZUNOSEI & ISUTARU
○テストコンポーネント
PAD SPケーブル MIZUNOSEI & ISUTARU (バイワイヤ、2.0m)
○現用システムの紹介
SP: アクースティックラボ stella melody + ムラタ ES-105
(stand:アコースティックリヴァイブ特注)
AMP: BOW technology WAZOO (on RELAXA 2+)
DAC: goldmund mimesis SR DA
CDP: SONY CDP-X5000 (on RELAXA 2+)
ケーブル関係:色々。PAD製品は無し。SPケーブルだけ書きます。
アインシュタイン GREENLINE Vivace (@1,800/m) (バイワイヤ,2m)
○どっちから?
我が家にケーブルがやってきた。ミズノセイとイスタールの美人姉妹である。
ニコニコと開封。
ミズノセイ:うん。予想した通りの美貌。イスタール:むむむ重い。太い。
手強そうだ。しかしこのオーラは・・・
ここで悩む。どちらからつなぐ?二つを見比べる。イスタールに吸い寄せ
られた。「私を使って・・」という声が聞こえた(飲み過ぎ?)。
よし、食べ物は旨いものから食べる主義だ。ということでイスタールとの
生活スタート。
○バーンニン
早速結線。スピーカー側はかなり強く締め込まないとずり落ちる。
姫、重いです。借り物なのに傷が付いたらどうしよう・・とドキドキ。
なんとかつないで、とりあえず音出し。いきなり音場が3倍ぐらいになった。
スゴイ。
しかし何ともカタイ音である。低音は全くない。こりゃしばらく音出しし
ないと・・。といっても、エンハンサーは持ってないので、下から上まで
入っていそうなCDを小音量でかけっぱなしにする。
24時間、48時間、96時間とあっけにとられるぐらい音が変わる。
中域が吹き荒れるアメリカンサウンドになったり、低音がボンボンとスゴ
イ迫力で鳴ったり、これはこれで聞いてておもしろい。やっとPADらしい音
になったのは140時間ぐらいしたところ。「バーンニン150時間かかります」
は本当だった。
○欲しい音
ステラメロディは結構シビアなスピーカーで、普通に置いただけではスピ
ーカーに音が張り付き、高音はハデで低音はボンボンという困った音を出す。
特に専用スタンドに置くとその傾向が激しくなる。如何にスピーカーからの
音離れを良くして、周波数を整え、位相(スピード)を整えるかがキモである。
現用SPケーブルは、スピーカーと似た音の傾向を持っているのではないか。
また、バイワイヤで各2mも使うと、ものすごいアンテナになってS/Nが悪く
なっているような気がする。シールドのしっかりしたケーブルが欲しい。
PADなら自分の願う音が出そうな予感があった。
○やっと試聴
試聴ソフトは以下の通り。
ストラビンスキー 春の祭典 (ゲルギエフ/キーロフ管弦楽団)
ボブ ジェームス dancing on the water
マイルス デイヴィス カインド オブ ブルー
ブラスの祭典&ブラスの祭典2 (佐渡裕/シエナウインドオーケストラ)
S/Nが劇的に良くなっているのはバーンニン途中から分かっていたが、改めて
春の祭典冒頭を聞くと非常によく分かる。ファゴットが鳴り始める際の緊張
感、ゲルギエフの指揮の動きが見えるような気がする。音場、音像はあまり
にも自然でありそれに気づくまでかなり時間がかかった。
スピーカー間の音の埋まり具合が密度高く、さらに音場の広がり方が3次元
的なのだ。これまでの横方向5点定位、前と後ろ2点、高さなしの状態から、
一気に無限階調のステージが実在化した。
音の位相が完全に揃ってしまったので高音、低音という聴き方をしなくなった
のだが、あえて言えば高音域ははしゃぐことなく自然に立ち上がり消えていく。
低音はとにかく立ち上がりが早くなった。ピッチの再現が正確で微妙な変化が
よく分かる。ティンパニ、大太鼓ともに皮の厚みを感じるなり方で、これまで
のベン、ボン、とは雲泥の差である。
ホールトーンは、ただ単にエコーが長いとかいうことでなく、「そうそうホー
ルっていうのはこんな響きだったな」というリアリティである。
ボブジェームスのピアノも自然。これまでの左手と右手が違う楽器のように
聞こえたのとは全く異なる自然さ。ツイーター/ウーファーの音色とスピー
ドが一致していることがよく分かる。ツインピアノや連弾の位置関係もより
分かるようになった。
マイルスでは、これまで後ろで遠慮がちに弾いていたビルエヴァンスのピア
ノに非常に意味づけがなされているように聞こえる。コルトレーンの抜けは
良く、ドラムはシンバルがやかましいだけだったのが、すっと一歩引いたと
ころでズバズバ叩くようになった。そして皆がマイルスの挙動を注視しなが
ら演っている感じが分かる気がしてきた。
ブラス大好き人間の私には福音のような佐渡裕の2枚のCD。
音云々よりも、ここではノリの良さを求めたいのだが、これが見事。
縦に割ったリズムなどどこへやら、自然に足が動く。ノリが良い。みんな
楽しそうに吹いている。ブラスはこうでなくちゃ!
○・・ということで
SPケーブルだけでそこまで変わるか?というところであるが、変わったの
だから仕方がない。これにより他のコンポーネントの隠れていた問題点が
見えてきた気がする。もう元のケーブルに戻す気力もない。
買おう。(後で値段を考え相当悩んだが、こういうときはホントにそういう
気になるもんなのですな)
○ミズノセイは?
そうそう。イスタールで期限のほとんどを使ってしまい、あまり試聴でき
なかったのだが、音の傾向は同じ。ただ、ミズノセイがこれまでの自分の
方向性の延長上にあるのに対し、イスタールは2段ぐらい違った世界を
見せてくれた。その先にはまた新しい道があるけれども・・。システムを
ここで集結させるのならミズノセイも良いかもしれない。音楽のノリは
イスタール以上ともいえる。
○おまけ
蛇足であるが、我がシステムにはスーパーツイーターが付いている。
ムラタのES105である。これはメインSPの高域側から50cmほどフツーの
ケーブルをのばしてつないである。
せっかく2セットのケーブルがある。イスタールに加えてミズノセイを
アンプからSTWにつなげたらどうなる? ・・・やってみた。
失敗。音全体がミズノセイランクになってしまった。トータルケーブル
長が2倍のためか、S/Nがイマイチ。ケーブルって難しい。
○最後に
今回の試聴のため迅速な対応をしていただいた皆様に感謝いたします。
川又店長、シーエスフィールド今井社長、そのほか皆々様、大変ありが
とうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
以上
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