《HAL's Monitor Report》


No.0137 - 2002/11/11

東京都新宿区在住 S・T 様より

モニター製品 ESOTERIC DV-50

            *** 序論 ***

私は ハイサンプリング,5.1ch 推進派です。
暫くサボっていましたのでピュア2chのデジタル化、ハイサンプリング化の
波には乗り遅れたクチですが、気が付くと世には新しいフォーマットの息吹
が感じられましたので、ならば…ということで1年ほど前からマルチチャン
ネルやハイサンプリングソースを楽しんでおりました。

しかしながら音質、機能、デザインにかなり妥協しても結局フォーマットの
種類ごとに機材が増え、ラックや配線は大変なことになってきていました。

特に著作権や規格の問題もあって多チャンネル、ハイサンプリングをアナ
ログ伝送するという現状では、インターコネクトケーブルの取り扱いや
ACケーブルをはじめとした電源周りへの投資には大変苦労させられていま
した。「完全は望まない。しかし"定番"が出現するまでの間、腰を落ち
着けていられるユニバーサルプレイヤーは登場しないものか」と常々
考えておりました。

そんな中でもHAL'Sサークルから得たDV-50 のニュースは衝撃的でした.

            *** 決意 ***

結論から書きますと私は DV-50のおかげで、以下の12cm系機材は主役から
は引退しそうです。機材群は一般的には安物ではありませんが超高級品で
もありません。どちらかというとDV-50と同価格帯の製品と言えるでしょう。
それらの機材と私の用途は以下でした。

SONY SCD-1(500,000)
 -> CD
 -> SACD(2ch)

SONY SCD-XA777ES(OPEN)
 -> CD
 -> SACD(Multi)

Pionner DV-AX10(定価 500,000)
 -> DVD-VIDEO
 -> DVD-AUDIO

            *** 評価 ***

絶対的な評価やESOTERIC商品間での比較評価は既に御座いましたので、
そちらに譲りまして同価格帯の機材間での比較について参考になればと
思い記述いたします。

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主な検証機材

PRE : KRELL SHOWCASE
http://www.krellonline.com/html/m_KAV_p_SHCSp.html

PWR : MarkLevinson No.335L + MarkLevinson No.336L
http://www.madrigal.com/ml2001/poweramplifiers_fr.htm

SP  : JBL K2-S9800
http://www.jbl.com/home/products/product_detail.asp?ProdId=K2S9800DG

PJ  : Marantz VP-12S1
http://www.marantz.co.jp/ja/marantz/h_theater/vp12.html
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DV-50 付属のACケーブルは見た感じ大変しっかりしておりましたが、
現状機材との視聴比較を重視するため全て既存の "Synergistic Research
X-Designers' Reference AC" を使用しました。

以下、あくまでも私の環境での個人的な見解でしか無く普遍的な意見では
無い点と、個々の機器は吟味して購入し時間をかけてエージングし、工夫
してそれなりに使い込んできたものであり、今でもそれぞれ個性のある愛
着のある機材である旨予めお断りしておきます。

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o SCD-1 とDV-50,ハード について(CD視聴)

まず、興味深かったのが SCD-1 との通常CDの比較でした。
RDOTモードでダイアナ・クラールを一聴して「おお!!なんと豪奢な音が出る
50万円のプレイヤだろう…」と息を呑みました。

濃厚でズッシリしていて芳醇。でもキレや解像感も良い。
一聴しただけて感じたのは、ああ…これはある種のリファレンスにはなり
得るのかな…SCD-1と比較しても、カラレーションの無い素直な音だなあ、
ということでしょうか。

個人的趣向として再生系には低音の磐石さに先ず大きな欲求があるのですが、
DV-50のデジタルフィルタは各々個性はあるものの、概ね各モードにて低音
の力感は十分にあり、最初の懸念はクリアです。

マーカスミラーのM2をFIRモードでは、MarkLevinsonがK2のウーファーを
凄まじい勢いで弾いているではないですか。

なんですか、このキレキレなのにエネルギッシュな低音は!!
「これはいけるかも??!」私の中で期待感がますます高まってきます。

全体を通して、RDOT + FIR よりも、RDOT or FIR 単体での試聴のほうが
音離れもよく、音場も広がりがある感じはしました。

これは今後の課題にしたいと思います。今後のエージングの進み方や
セッティング・使いこなしでまだまだ可能性を残すところだと思います。

音質以外では、筺体の奥行きは予想以上に短く、独特のスパイク構造も
伴って設置の簡易性と設置後の安心感を得られて好感触でした。

このプレイヤーは、置き場所や設置に本当困りませんね。
出力端子も多くて、特にアナログのフロント2ch出力は高品位と通常あわ
せると4系統もあります。

ESOTERICのページ
http://www.teac.co.jp/av/TEAC_ESOTE/index.htmlには…

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ピュアオーディオ用アンプとAVアンプを使い分けたい人のために、高品位
2ch端子にはRCAの他にXLR端子を設けました。

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と、ありますがこれらは勿論"同時"に"両方を"AVアンプに入れることも
出来るわけで、5.1ch 推進派の方でXLR入力もある AVアンプを導入され
ている方も、色々応用できること間違いなしです。

その場合、高品位出力以外を利用する必要はありません。
高品位出力のXLR、RCAからは 内部設定で 5.1ch出力設定にしたとして
も、"どんな時でも高品位に出力している"ので、5.1ch 接続も、C, SW,
SL, SRのみを標準品位出力からとって、LRは高品位RCA端子からとる事が
出来るわけです。

また、高品位出力端子のみなのですが、端子間のクリアランスやホールド
力が十分に確保できていて、太いインターコネクトケーブルや堅牢な端子
部を持ったケーブルにもある程度対応できています。このあたりは信頼性、
使い勝手のメリットが大きいと感じました。

それから、DV-50 のトレイの出入りはそこそこキビキビしていてとにかく
好感触です。早すぎてチープな感じもありません。ベストだと思います。

脱線しますが昔のパソコン用CDROMのメカも、TEACのものは最速でEJECT/
LOADINGが行えていたのを思い出します。細かい所ですがメカに対する技
術者の真摯な努力を感じる点でもあります。

悲しいかな、一日の視聴時間が長く取れない私にとって、ディスクの入れ
替えも多くなりがちで、DV-50がメインとなればそのあたりも大きなポイ
ントとなるのです。


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