《HAL's Monitor Report》


No.0132 - 2002/9/18

千葉県市川市 T・I様より


モニター対象製品 B&W Signature 805 その2



「Signature」の血統

私はジャズが大好きだ。

無論、川又ROOMに足を踏み入れるまでは、JBLやALTECの
スピーカーが好きでたまらなかった人種。

B&Wのノーチラスなんかクラシック好きが使う線の細いスピーカーで、
ジャズには合わないものだと信じ切っていた人種でもあったのだ。

ところが、川又ROOMのN801やオリジナルノーチラスを聴かされて
考え方が180度変わったのは、過去のレポートをご覧いただいてもわか
る通り。

http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0020.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0019.html

http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0086.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0046.html

力強く、芯があり、生々しい。ありきたりの言葉ではあるものの、JBL
やALTECで実感したレベルを超えたところで、この言葉の意味を
ノーチラスを通じて教えられたものだった。

そしてS800を川又ROOMで聴いたのがちょうど1年前。

聴いてすぐさま「今は金額的に買えないけれど、生涯つきあえるのは
このスピーカーだ!」と確信し、今日まで仕事に励みながら貯金をし、
悶々とした日々を過ごしてきたものだ。

だからこそ「もうすぐSignature805が出ますよ」と川又さん
から聞かされたときは、心中穏やかではなかった。

見せて頂いたプレスリリースには、S800と同じ美しい表面仕上げ、
50kHzまで伸びているツィーター(N805は30kHz)、ネットワーク
などはS800と同じ手法で作られていて、ウーファーの磁気回路や
ケブラーコーンまでもがN805とは違うらしい。

なにより「56万円」という文字が私の心をときめかせたのだ。
高価ではあるものの、S800の360万円という数字から考えれば、
なんと現実的なことか…。

「早く聴いてみたいですねぇ」そんな言葉を川又さんと交わしていたのだった。

それから約半月後。S800を聴いて以来、初めて私をときめかせて
くれたスピーカーS805が自宅にやってきた。

他にモニターを申し込まれた方が何名かいらっしゃって、届いていない
方がいらっしゃることを思うと、申し訳ない気持ちが芽生えてしまう。

しかし、こんなときほど頭の中で考えていることと行動とが一致しな
いものだ。早速仕事はそっちのけで、まずは今まで使っていたN805と、
どこがどう違うのかをチェックし始めてしまう自分がはずかしい。

仕上げはS805のほうが段違いにいいね、とか、あらら、端子が
N805は金メッキなのにS805は銀だよ…とか、ケブラーコーンの
色もツィーターの色もちょっと違うかなぁ…、あ、ウーファーのフレー
ムがバフがけされて光沢がある…。

ブツブツいいながら、試聴するためにN805からS805にケーブル
を差し替えていたのだった。

私のシステムは下記の通り。
P-0s(PAD ACドミナス)→PAD デジタルドミナス→MレビンソンNo.360SL
(PAD ACドミナス)→PAD ミズノセイ→MレビンソンNo.380SL(PAD AC
ドミナス)→PAD ミズノセイ→MレビンソンNo.33HL→PAD ミズノセイ
V-Bi-wire→N805(BRASS SHELLのブラスエッジ+TAOCスタンド
改真鍮スパイク3点支持) コンセントはすべてPAD CRYO-L2

掃除していない部屋ですみません…。

まずは…ということでBRASS SHELLはS805に移植せず、純正のアルミ
フェイズプラグのままでの第一声。

CDは何にしようかと考えたあげく、川又ROOMのS800で、いろいろ
なアンプを聴き比べてきたジェーンモンハイトの「COME DREAM
 WITH ME」より1曲目のOver The Rainbow。

「あら、N805より口元がゆるい…。でも、マクブライドのベースが
なんか違うゾ…。うーん、やはりバーンインしないとダメか…」というと
ころで、やっと仕事の途中だったことに気が付く。

いか〜ん。早く仕事しないと間に合わないぞ…というわけで、システム
エンハンサーをかけっぱなしにしながら仕事再開です。

で、経つこと2時間半。仕事を一段落させ、システムエンハンサーを
2リピートほどさせたところで、再び同じ曲。

「来たねぇ。口元のシャープ度はもう一歩だけど、N805より力強く
て明るい。しかも、ケニーバロンのピアノはS800で聴いた柔らかい
タッチでいながら生々しい質感。なによりマクブライドのベースがライ
ブで聴いたエネルギーを感じるし、キレがいいじゃないの!」

すでにN805を上まわるところばかりが目立ってしまい、N805に
戻して比較してみようなどという気がなくなってしまうほど素晴らしい! 

結局、ストップすることなく、CDの最後まで聴き続けてしまったのだ。

ここまで聴いてわかったS805の大きな違いは「N805より個々の
楽器が力強くて明るく聞こえる」ということ。

くどいようだが、私はジャズ好きだ。BRASS SHELLのレポートを拝見し
ていると、クラシック好きな方が多いようでブラスフラットが一番人気。

川又さんも「ブラスフラットが一番いい」とおっしゃる。

しかし、私のお気に入りはブラスエッジ。

エコー感より、個々の楽器の力強さを強調したいからだ。
力強くピアノを弾き、ボーカルはヘソに力を込めて歌う。

なによりベースは弦がブルンブルン震えているのが見えるくらいでいて
ほしいのだ。

ところが、N805+BRASS SHELLのブラスエッジよりも、S805の
方が力強く感じてしまうのだから、1Roundノックアウトという感じ。

ジェーンモンハイトはN805のときよりも一歩前に出てさらにベールが
はがれ、ピアノは力強さに加えて立体感が際だってきた。

ベースにいたっては「指が太い」という言葉がピッタリ。
太い指で弾かれた弦はブルンブルンと震えているのが想像できてしまう
くらいだ。

川又さん流にいえば「いいですコレ!!」ではなく「私のレベルで二重丸!」
という力強い評価といえばわかりやすいだろうか…。

家に届いて3〜4時間後には「定価56万円はコストパフォーマンス高すぎ! 
川又さんに相談するといくらになるんだろう…」と、すで買う算段をつけて
いるありさまだったのはいうまでもないだろう。

とはいえ、まるっきり欠点がなかったわけではない。

まだまだバーンインが足りないせいか、音像のシャープ度はN805+
BRASS SHELLが上だし、ベースの下の音が出きっていない感じ。

もうちょっとシステムエンハンサーをリピートしなきゃだな。
ということで、まるまる1日リピートさせっぱなしにし、トータルで36時間
ほどバーンインをしてみましたよ。

約2日ぶりのS805は…。

「うわぁぁ、口元がシャープというより立体的でリアル。力強さに加えて
エコー感まで加わってきたゾ。低域も805サイズとは思えない太さだ。
もうN805には戻れないなぁ…」

という好ましい方向にばかりベクトルが向いてしまったからたまらない。

厳選されたコンデンサーやコイルで作られたネットワークや、新しい
ケブラーコーン&磁気ユニット。50kHzまで伸びているツィーターなど、
S800の直系であることをヒシヒシと感じさせてくれる生々しい演奏。

「あるべき音がそこにある」どこかで聞いたような言葉ではあるものの、
本当にそう感じてしまうから不思議なもの。

その瞬間に自分の部屋で聴いた最高の演奏記憶が更新されたことを認識
してしまった。

ここまでバーンインが進むと、改めてN805はN801直系の音作りで、
S800、S805とは設計理念が違うことを感じずにはいられない。

そう、S805はN805の形状を借りながら、間違いなくS800と
同じ音作りで設計された別物のスピーカー。

生涯を共にするだろうと思うS800と同じニオイがする低価格(?)
なスピーカーなのだ。

あえてS800とS805を比較するなら、見た目通り片側2発の超
ハイレスポンスウーファーの有無だけだ。

だからといってS805の低音がダメだとは思わない。
サイズからは想像が出来ないほど豊かで下まで伸びているし、S800
に引け劣らないハイスピードなベースやキックドラムを聴かせてくれる。

好みの問題なのでN801をお使いの方には申し訳ないが「N801か
S805かを選択しろ」と言われたら、私はS805を選ぶだろう。

しかし「S800かS805かを選択しろ」と言われると迷ってしまう。
300万円以上の価格差によって生み出される「低音の量」が私の6畳と
いう部屋に必要なのだろうか? 

それともS800を自分の部屋に持ち込めば、さらに最高の演奏記憶が
更新されることになるのだろうか?

現時点で判っているのは、どちらかを選ぶのは間違いないということ。
現実的なS805か、それとも試聴=ローン残高の増大になるのか? 
うーん、またひとつ悩ましい選択肢が増えてしまったようだ。

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

T・I様 画像付きの克明なレポート本当にありがとうございました。

しかし…、どなたかがおっしゃった「試聴=ローン残高の増大」が
流行語になりそうな気配ですね(^^ゞ

T・I様 こうしましょうよ!? 「試聴=生き甲斐の増大」

     (^-^)(。。)(^-^)(。。)ウンウン!!

そして、昨日の…、

「“原稿料”の割引でM・H様はどうなされるのでしょうか!?」

奥様の支持を得てめでたくS805のオーナーと相成りました!! (^^ゞ


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