《HAL's Monitor Report》


No.0053 - 2001/01/15

川崎市在住 HM 様

モニター対象製品:村田製作所 ES103

使用機種

トランスポート  PO-S
DAC       マークレビンソン30.6 
プリアンプ    コヒレンス2
パワーアンプ   X-350
スピーカー    ノーチラス802

試聴環境

 木造一戸建 2階隅の約10畳洋間
 家族にはステレオがうるさいといわれます。ほとんど誰もこの部屋には近づきません。しかし、今年一歳の末娘だけが私が部屋に入ると後を追ってきます。背伸びをしてやっとドアノブに手をかけドアを開けると、ニコっと笑ってそして私の膝の上に座るのです。後は大音量でハードなクラシックを二人で聴きます。この娘は特にワーグナーが好きなようです。(親バカ?)どんなに泣いていてもワーグナーがかかると泣き止みます。この理解ある家族の存在も音質向上のための努力に励む一因となっています。

 カワマタルームで初めて村田ES103を聴いたのが11月下旬。ヨーヨーマのシンプリバロックを聴いてとても音が柔らかく感じました。自宅試聴も可能ということですぐに送ってもらおうかとも考えましたが、ちょっと待て。どこに置こう。私に限らずこの製品の試聴購入を考えている方は誰もが考えこんでしまうであろう点、それは設置場所です。スピーカーの上部が平らになっていれば何ら問題がありませんが、最近の製品では平らなものは少ないのではないでしょうか。
 さて、当初アダプターのようなものを自作してスピーカーの上に乗せようと考えました。子供のレゴ等や針金の太いもの等で作ってみましたがうまく行きません。一番の問題は安定感がないことです。ではカワマタルームのように外部に設置する方法に変更です。マイクスタンドがベストですが床面積を大きく取りすぎます。壁に棚を取り付けたり本棚を置くといった方法も考えましたが今一つです。なぜならスピーカーの位置を変更したときや買い換えた時には対処できません。床面積を小さく、移動可能で棚の高さ調節可能な、それで安価なラックでなければなりません。そんな中見つけたのが浴室用つっぱりポールです。(近所のホームセンターで1セット4800円でした) 床から天井までポールを立てそこに高さ調節可能な石鹸箱を取りつけるものです。(下の写真) 準備が出来たところで貸し出しをお願いしました。

  

試聴

 私はクラシックしか聴きません。中でも最近はフルトヴェングラーに凝っています。録音されたのが半世紀以上前のものが多いので音は貧弱です。その貧しい音を少しでもいい音で聴くために努力してきました。LPで聴いたらどうかといわれそうですが、諸事情により現在はCDでの音質向上に努めています。

1.ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー序曲

 録音は49年12月19日、偶然にもちょうど51年後のこの日に試聴となりました。
 一聴では大きな差は感じられませんでした。何度も比較して聴くうちにヴァイリオンのやせた音がやや豊かになったように思えました。

2.バイロイトの第九

 有名な演奏です。ファンの方には怒られそうですが、これを聴いて一度も感動したことがありません。いや今日までありませんでした。しかし、高音がこれほどまでに良く伸び奥行き感のある演奏だったとは。これを第九のベストにあげる人が多いのがやっとわかりました。もちろん今日から私も同感です。

3.47年5月27日ベートーヴェン5番

 あれこんなに良い音だったけ。高音もはっきりしていて決して金属的でない。中音の2ndヴァイオリンもところどころ聴き取れる。ゆったりとして大きな音像に聴こえる。やはりこの演奏はすばらしい。

4.シューベルト未完成(52年2月10日)

 フルトヴェングラーの未完成の中では最も音がよいと思われるものです。ES103を使用して明らかにヴァイオリンがよく聴こえるようになりました。ES103無しで聴くと1stヴァイオリンの人数が半分になったようです。

まとめ

 全体的な印象としては、音像が大きく豊かになる、臨場感が拡大する、ヴァイオリンの高音の金属音感がなくなる、高音(特にヴァイオリン)がはっきり聞える、はずすと寂しい感じになる、といったところではないでしょうか。
 CDは理論的には超高域はカットされるはずですが、実際は若干この部分の音が含まれているそうです。そのCDのもつ超高域の含まれ方によってES103の効果の違いがでるようです。クラシック音楽ファンは一度御試しあれ。
 尚、購入前に貸し出しをしていただいた川又さんには深く感謝いたします。
 今後とも宜しくお願い申し上げます。


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