《HAL's Monitor Report》


No.0049 - 2000/12/28

東京都大田区在住 yasu 様

モニター対象製品:B&W803

 システムは、数年前にDVD5.1chをやりたくて揃えたもので、アンプはYAMAHAのAV-AMP DSP-A2、DVD/CDはPAIONEERのDV-S9、スピーカーはLINNのTUKANです。確かに5.1chもイイと思いましたが、最近、音楽はステレオ(2ch)の方が、心地よく感じています。ジャンルは、JAZZを中心に、CLASSIC・POPSも聞いています。最近は、クラッシック系のボーカルも聞くことが多いです。アメリカ的な元気の有る音というより、ヨーロッパ的なお洒落な音が好きで、B&Wノーチラスの音にはとても魅力を感じました。
 そんな関係で、モニター後にB&W803を購入し、とても満足しています。予算が許せば、より上位のモデルを選べばさらに良いのでしょうが、自分に出せる予算のモデルを選んでも、ノーチラスシリーズであれば部屋で聞いていて満足させてくれるスピーカーだと感じています。

 さて、本論のレポートですが、モニター当時に書いたメモを読み返すと、そのままの方が、素直な表現と感じるので、最小限の手直しをして、レポートにします。川又さんとのメールのやり取りもそのまま載せさせて頂きました。結果、長文になりましたので、ゆっくり読んでいただければ幸です。

 まとめとして、このモニター企画から私が得たメリットは、
 1)購入前に、製品の実力を納得できるまで確かめられた。
 2)購入価格は、勿論リーズナブル。
 3)そして今、満足した製品を手に入れ、楽しんでいる。
 4)アフターケアも万全。 ・・・ といったところです。

 でも、本当のメリットは、川又さんとのやり取りの中にあると思います。仕事のため、昼はなかなか電話の時間も無く、夜も遅いので、 頻繁に川又さんと直接コンタクトを取ることは難しい。そんな時、夜モニターしながら疑問に思ったことをメールで送信しておくと、翌日帰宅するまでに、川又さんからきちんとメールで回答が届いている。勿論、「こんな感じ」「スケール感が・・・」とか曖昧な表現にも ちゃんとクールな回答が届く。これって結構楽しい。(寝不足になることには注意が必要)  オマケに、業者と調整していただき、コンセントラでの試聴まで出来たことは大きな体験であり、喜びです。(詳細は、モニター本文をお読みください。)

 目的がハッキリしていて、興味の有る製品がモニターできるなら、迷わずに、川又さんへ電話することをお薦めします。

最後に、
 川又さん、大変遅くなりましたが、モニター有難うございました。

  ・・・コンセントラで聞いた音を思い浮かべながら。
                          (yasu)

-----モニターレポート(本文開始)-----

B&W803モニター(6/16-)
・6/16午後、【モニターのB&W803が到着】
 最初は綾戸智絵さんの「Life」。これまでLINNのTUKANに慣れていた耳と心がどう反応するか?・・・
 意外や意外・・・すんなり打ち解けてしまった(正直な感想)。本当は、これがB&Wだ・・・と大きな変化も期待していた面はあり、ちょっと拍子抜け。でも、高音の粒立ち/きめの細かさは、イイ。
 須川展也「air」、ヨーヨーマ「シンプリーバロック」でその音を再確認。特にアコースティックギターの響きは、リアリティーがあり心地よい。
 ハービーハンコック「QUARTET」ではシンバルの揺れる音が伝わってきた。夜遅く、音量を絞って聞く。 非常にバランス良く鳴っている。
 何とも頼もしく、楽しい来客を迎えられた。

・6/19 【「四季」@大貫妙子】
 大貫妙子の「四季」を聞きました。いろいろな音が目の前の空間一杯に広がった。歌声が包み込むように聞こえてくる。B&W803が来てからはじめての大きなインパクトである。
 驚き・感激の一言!。川又さんがなぜこの曲を何度も何度も試聴しているか、解った気がした。

 一方、クラッシックも聞いた。
オーケストラは、大音量で聞こうとすると高低音のバランスが悪くスケール感も無い(セッティングのせいかも?)。

・6/28 【"SoundParkDyna"川又様・・・これまでの様子をメールで交換】
(以下メール)


 > さて、試聴も10日を超えました。そこで、音に関して相談があります。
 > 数日前から「クラッシック・オーケストラ」のCDもかけてみていますが、
 > イマイチ音がまとまりません。 スケールが伝わってこないのです。


川又より
 このスケールをどのように定義づけるかが論点となります。もし、フルオーケストラの各楽器の間隔を広げてでも両翼へ展開する広がりを求めたいということであれば、スピーカーのオフセットを広げていきます。ノーチラスシリーズの場合にはクロスセッティングを推奨しています。これはスピーカーの主軸がリスナーの前方1メートル以上向こう側にクロスするようにセットすると言うことです。つまり、極端な内ぶりによってスピーカーの存在感を消し去り奥行き感を出していこうとするものです。その逆の操作をして、内ぶり加減をゆるくして平衡状態に近づけていくと言うことです。それによって、音場全体がパノラマ的に広がります。しかし、逆にヴォーカルの口元は大きくなります。
 従って、この中間でユーザーが自分の好みを発見していくと言うことが望まれます。単純なことですが、スピーカーのリプレースの実験です。

 次に、スピーカーの間隔を10センチ単位でもいいので大きくし広げて下さい。そして、内ぶりを強くして下さい。
 このように、現在置いている位置を変えないで角度わ変えるのと、置く位置を変えて角度を変えるのと両方の可能性があります。

 自分との距離については一定で以上の実験をされましたら、思い切って10センチ単位でスピーカーを手前に引き出して、同様な実験を距離をかえてやってみて下さい。
 これは壁面の一次反射から逃れながら、楽音の解像度を上げると言うことであり、その結果全体のスケール感は向上します。


 > 困っています。経験から、アドバイスはありますか?
 > 床がしっかりしているとは言えない。
 > スパイクは立てていない。
 > などは気になりますが、関係はあるでしょうか?


川又より
 関係あります。スパイクは遠慮なく使用してください。床の傷が気になるようでしたら10円玉を敷いてください。それから、トゥイーターやミッドレンジのカバーはすべて取り外して下さい。音場感がガラッと変わります。

 取り急ぎ述べてきましたが、「そんな初歩的なことはもうやってみた。」ということであれば、次の検討をして見ましょう。
(以上メール)

・6/30 【続きのメール交換】 (続いてメール)
 > 早速、水曜日の夜、帰宅していくつか試して見ました。
 > ・スパイクを試しましたが、音全体の輪郭がくっきりしました。
 > 特に、低音のもたつきというか、床を漂っていたような低音が、
 > 輪郭がハッキリして、フォーカスが出てきました。

 
川又
それはよかったと思います。


 > これによって、オーケストラの全体像が浮かび上がってきました。
 > スケール感も満足は出来ていませんが、楽団らしくなってきました。
 > (これまでは、ボワーとしていたのでスケール感も感じられなかった
 > のでしょう)


川又
 ここですよ、ポイントは。
 スケール感とはやたらに大きな音量による迫力の誇示ではありません。楽音の群れが解像度を上げて単独の演奏が見えてくることによって描写力が向上します。本当に何よりでした。


 > ・そこで、これまで聞いていたCDをいろいろ聞きなおして見ましたが、
 > 良く感じるものと、イマイチの感じと両面の変化を感じています。
 > 良く感じるものは、フォーカスが上がり、(どこかで読んだ表現を使うと)
 > 「スピーカーが消えた」感じで、演奏が生々しく聞こえます。
 > 須川&ロン・カ−タ−「air」は、抜群です。
 > イマイチに感じるものは、力強さがなくなってしまった様に聞こえます。


川又
 これも良い方向での分析です。「力強さ」をイメージさせていたものが何か。この正体はルームアコースティックによる中低域のデフォルメされた再生音とご理解ください。つまり、録音にないものを付加して再生されたものを「力強さ」と誤解していることがままあります。私は数多くの経験から同様なことを何度も繰り返してきました。ここでノーチラスを聞かれるとよくわかります。
 ぜひがんばって下さい。そして、私のところに遊びに来るとゴールを見本として理解することが出来るでしょう。
(以上メール)

・7/1 【HALで試聴体験】
 今日は、HALのノーチラスで「自分のCD」聞いてきた。さっそく、自宅に戻って、真正面から45°以上思いきって振ってみると、★出ました出ました、HALのような音場感!!!何曲か聞いて感じたのは、音が横へ広がるのではなく、縦(前後)への広がりが出てきたように感じます。
 そして、(スパイクのおかげもあり)音のフォーカスがいいから、各楽器が混ざらないで存在感が有る。これでしょうか!?!
 存在感を持ちながら縦に並ぶと力強さも増してきたように感じます。

  ・7/11 【コンセントラがやってくる】
 昨夜、「良いアンプがあったら紹介下さい」の文面で終え、夜中に送信した。
 すると、翌日昼、「お薦めできるアンプを本日メーカーから直送させました」と返信が届く。早い・・・早過ぎる程早い。
 こうして、2日後の夜遅くに帰宅すると、何と「コンセントラ」が届いていた。寝てはいられない。梱包を解いて、アンプを繋ぎ替えて、さっそく試聴を始めている。

・7/17 【モニター終了】
 コンセントラで聞き始めてから、大きな違いが生じた。これまで、「高音の粒立ち」「スケール感」といった「音」を聞いていたのから、無意識に「音楽」を聴いて・楽しんでいる。いままで、途中で止めて曲を切りかえることも多かったのに、すべて一曲通して聞いている。そんな自分に気づいた。
 どこがどうの・・・というより、これがコンセントラへの印象だ。

 そろそろ、コンセントラともお別れが近い。最後に駆け足で、数曲聞いた。本当の最後にクラシックをとイムジチの「四季」をかけた瞬間・・・川又さんにやられた!
 スケール感がB&W803でもこんなに出るんだよ!!!・・・と見せ付けられた感じだ。派手さは無いが、音の重なりが奥から迫ってくるように聞こえる。

 今はJAZZを中心に聴いているが、もしクラッシックを聴くようになったら、コンセントラで聴くかもしれない。
 それほどインパクトがあった。

以上

<参考>
モニター中に良く聞いたCD/DVD ---◎誰かに聞かせたい、〇お薦め
■CD
◎大貫妙子「アトラクシオン」 (5)四季
〇綾戸智絵「Life」、「LOVE」
 今井美樹「Blooming Ivoly」
◎MILES DAVIS「KIND OF BLUE」 (3)Blue in Green
 HERBIE HANCOCK「QUARTET」
 MILES DAVIS「MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS」
〇VLADIMIR SHAFRANOV TRIO「WHITE NIGHTS」
◎Keith Jarret「The Melody At Night,With You」
〇須川&ロン・カ−タ−「air」
 Bill Charlap Trio「'S Wonderful」

■DVD
◎「モントセラト島救済コンサート」
◎Dave Grusin「WEST SIDE STORY」
〇「CATS」
 「TITANIC」
○「MATRIX」
○「PRINCE OF EGYPT」
 「007 TOMMOROW NEVER DIES」


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