《HAL's Monitor Report》


No.0045 - 2000/12/15

東京都板橋区在住 M.K 様

モニター対象製品:信濃電気 GCP−1500

●簡単な自己紹介

 今から約3年位前の出来事です。それ迄は、ある程度の機材が揃い、まっ たりと音楽を聴いていたのですが、ふと今の機材で何かしたら現状の機械 でもっと楽しく音楽が聴けるのではと思い、今迄着手していなかったケーブ ルへの興味の始まりでした。そして、色々として行く内に『PAD』と云うメーカー の存在を知り、そしてこのメーカーの事をもっと知りたいと思始め、約1年前 に川又店長さんの所に行き、PADの魅了に毒されてしまいました。本当に 色々な事を教えて頂き、心からの感謝をしております。
 さて、今回の信濃電気のGCP−1500の自宅視聴に至ったのは、上記に 記した通り、電源関係を変える事で音質が変化すると云う事が大変面白く 思っていた所に今回視聴させて頂いた機械に興味の矢が向いてしまいました。

●テスト環境

プリアンプ     : LINN KAIRN
パワーアンプ    : LINN KLIMAX 
CDプレイヤー   : LINN CD12
カセットデッキ   : Nakamichi 1000ZXL Limited
DA/AD コンバーター : Nakamichi 1000p
DATデッキ      : Nakamichi 1000
ビデオデッキ    : SONY EV-NS-9000
アクセサリー    : スーパーアースリンク RE-9

●設置環境

 在住環境としては、マンション住まい。床は、絨毯で典型的なマンションの 部屋となっている状態です。問題は沢山あるのですが、出来うる範囲で電 源環境とアースが自分の中での一番の悩みとなっています。

●接続前の出来事

 機器が到着して開封している間は、ただ機器を接続して視聴をして行け ばと思っていたのですが、説明書を読んでいく内に悩みが深まりました。 その悩みは、背面の入力側と機器側の3段階のアーススイッチです。こ の存在は大変に私を悩ませました。簡単に書きますと、入力側で3段階 そして機器側で3段階と云う事で、ここで組み合わせが『9通り』発生する 事になります。更に、後述したいと思いますが、RE-9との併用を考えると 組み合わせがなんと『36通り』。同じ曲を視聴すると云うのは、人間の聴 覚記憶上限界を超えている事が発覚し、大変に困りました。最初はデジ タルテスターが無かったので、最初の一週間の間に同じ曲を100回以上 聴いてしまった事は内緒にしておきます。

●接続・結果

・GCP−1500のみ

 CD12のみの接続でテストをしてみました。デジタルテスターでシャーシ 電位を図った所、一番低かったのは『機器側=FG 入力側=INGND』で そして一番高かったのは『機器側=OPEN 入力側=OPEN』でした。

・GCP−1500とRE−9の併用、CD12のみの接続テスト

 接続方法としては、『入力側のみ』『機器側のみ』『入力側・機器側』の3 種類で、各々アーススイッチが9通り在りますので、全部で27通り存在 する事になります。この27通りの中で、一番シャーシ電位が低かったの は、入力側・機器側にRE-9を接続して『機器側=INGND 入力側=FG』 が一番低いと云う結果が出ました。

*環境の変化等を考えて、異なる日・異なる時間をランダムに選び5回測 定して出した数値で数値比較致しました。

 上記の数値を元に視聴しての感想を書かせて頂きますと、シャーシ電位が 高い時の音質は、全体的に圧迫感の在り、靄が掛かった音になってしまい ました。が、上記の36通りの中で一番低かった接続『入力側・機器側共にRE-9接続で 機器側=INGND 入力側=FG』のセッティングが一番良い音に仕 上がりました。高音域は、綺麗な延びを感じ解像度が在りました。しかし、残 念な事を書かなくてはならないのが、自分が所有している大半がLINN製品で 電源システムがスイッチング電源の為、相性で云うとマイナス面が出てしまい ました。電源タップでのダイレクト供給との比較をすると、ダイレクト供給に比 べて中域が引いてしまい、全体的な厚みが薄くなった様な感じが致しました。 パワーアンプとの併用も一応実験してみたのですが、パワーアンプの電源供 給の変化が在り、更に良い結果が望めませんでした。

 上記の結果が出てしまい、自分勝手に色々な推察を致しました。GCP-1500 にはトランスが2個搭載されているので、そのトランスとスイッチング電源が喧 嘩していると勝手に解釈をして、次の実験をしてみました。

・Nakamichi 1000ZXL Limited 使用

 上記の一番シャーシ電位が低かった設定に固定して、ダイレクト供給との比 較をしてみました。勝手な推測が当たったかの様に良い方向に向きました。 ダイレクト供給に比べると、高域の延びが非常にスーッと延び、静寂感も一皮 剥かれた様な感じが致しました。

・Nakamichi 1000p + Nakamichi 1000(DAT) 使用

 設定は、上記と同じで比較も同条件で行いました。変化としては、ダイレクト 供給と比べてデジタルのジッターが減り、音質的には高域の延びが出て解像 度も若干向上し、メリハリが付いた様に感じしました。

・SONY EV-NS9000 使用

 これは、私からもお薦めしたい程の変化が起きました。今迄は聴覚上の変化 でしたが、ここでは視覚と云う感覚が加わるので変化が楽しめる事が出来まし た。ダイレクト供給と比べると、音質の変化は全体的に上記のカセットデッキの 様な変化が起き、そして映像は輝度信号が若干向上し、色もはっきりと写し出 されました。又、Hi-8で解像度があってもS/N比が悪い事や、所々黒い斑点の ノイズが出ると云う事が起きるのですが、このGCP-1500を使用する事で、若干 ながら現象させる事が出来ました。付属として、モニターの電源供給としても 有効でした。

●まとめ

 総合的には、機種の組み合わせによって結果が分かれる事と云うのが私の答え となりました。簡単なまとめとしては、スイッチング電源使用の機種では足を引っ 張る印象を受けましたが、主としてトランス電源駆動の物は良い結果が得られる 事が判明。特に映像系には絶大なる変化が起きました。
 後、自分として問題点が1つだけ在りました。それは、電源ソケット部分の配列で す。川又店長さんの所で『PAD AC-Dominus』を購入させて頂いているのですが、 GCP-1500の電源ソケット部分が狭く、隣り合わせで接続する事が出来ない事で す。よって、テストに使用した機器以外にも多くの機械が存在する物で、隣り合わ せで差し込む事が出来ない・・・・・出来辛いのが残念でした。信濃電気さんには、 大変興味を持っておりますので是非とも改良版・グレードアップ版を出して頂きた いと思っております。それでは最後に、つまらない文章にも関わらずここ迄読んで 頂いた方に感謝申し上げます。


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