《HAL's Monitor Report》


No.0028 - 2000/09/28

奈良県橿原市在住 T・O 様

 モニター対象製品 marantz SA-1

 SACDの音はリアルすぎる、というのが最初の印象であった。MarantzのSA-1は 久しぶりのCD Playerだったから、その音を聞いたときの衝撃がより大きかった のかもしれない。引っ越しのためにWadiaの23を手放してから数ヶ月、CDはある のに聴くことができなかったが、このモニター体験のおかげで、3週間の間だけ だが久しぶりに音楽を楽しむことができた。

 我が家のセットはスピーカーがHales Degien GroupのConcept Two、アンプは プリメインでAccphaseのE-306Vである。電源部は付属のコードのまま、スピーカー ケーブルにはTara Labs.のSA-OF8Nを使用している。

 届いたSA-1を早速RCAケーブルで接続してみる。Van del ful社のケーブルを使い 最初に聴いたのはピエール・ブーレーズの指揮する「ボレロ」である。 (SONY Records:SRGR-732)ブーレーズの紡ぎ出す音は時として透明さをもって 聞こえるように私には思えるのだが、SACDをもってその音を聞くとその透明さが より際だってくる。だが私の関心は全体の音楽がどう聞こえるかよりもここの楽器 の音をどう描くかという方にいってしまった。コントラバスのわずかな低音まで 確かに響かせる、そして木管楽器の音を生々しく再現するのである。 「これがSACDの音なのか」といささか違和感を感じながら次のソフトを手に取る。

 こんどはポップスである。セリーヌ・ディオンの「ALL THE WAY... A Decade Of Song」 を再生してみる。一曲目の「THE POWER OF LOVE」からある種の違和感に おそわれた。曲が進むにつれ、その違和感の原因がわかってきた。セリーヌの ヴォーカルとバンドの伴奏が互いに独立しているかのように聞こえてくるのである。 セリーヌの歌声はまるで本人が耳元でささやいているかのように細かい息づかい まで伝わってくるし、伴奏の方はヴォーカルとは別に収録したものを付け足したか のように聞こえてくる。ありあまる声量を自在にコントロールして深く沈むような 心静まる曲から、躍動感を感じさせる曲まで様々な声色を可能にする彼女のすごさを 感じさせてくれたのはSACDの表現力のおかげであるが、ヴォーカルと伴奏が一体化 しない気持ちの悪さは拭いきれなかった。

 ここでソースをSACDからCDに変更してみる。私が愛聴しているアルバン・ベルク 四重奏団の「モーツァルト・弦楽五重奏曲3・4番」は同四重奏団のそつのない、 そして時折艶やかさをみせる心地よい音がよいところで、装置が変わるたびに最初に 回す一枚である。ところが再生してみると何とも気色の悪い音がする。ともかく音に エッジを感じるのである。音のアナログさではなく、デジタル臭い、ギザギザとした 音がするのである。いくつかほかのソフトも再生してみたが、同じような特徴は 否めないので、その日は再生をやめた。

 翌日、接続方法を変えてみる。SAECのバランスケーブル、XR6Nをつかってバランス 接続でSA-1とE-306Vを結び、Concept Twoにはスパイクを履かせた。(それまでは床に 直置きであった)バランス接続にすると、RCAのときのような気持ち悪いまでの生々 しさは消えたが、音はかなり落ち着いた、そつのない音となった。それは同時に 真面目に過ぎる音でもある。RCA接続の時には良きにしろ悪しきにしろ時に艶が 感じられた。ところがバランス接続にしたとたん、そのような艶は消え、ディスク に記録されている情報をひとつひとつ素直に音に変えていくというような印象を 受ける音になった。ソフトをSACDからCDに変えてみても、先日感じたような エッジの不快感は感じなくなった。ただ真面目さだけが印象に残る演奏となった。

 E-306Vを購入するときに、SONY:SCD-1の音を聞かせてもらったことがあるが、 あの音を思い出すとSA-1の方が音も落ち着いているし、滑らかな耳障りである。 それは後発機だからというのではなく、メーカーの違いによるものだろう。 ただSA-1にもまだ物足りないものがあり、WADIAのプレイヤーが奏でるCDの音の 方が私には心地よく感じられる。いずれSACDプレイヤーを導入する時期が来る だろうが、それまでプレイヤーの向上を見守ろうと思う。


HAL's Monitor Report