《HAL's Monitor Report》


No.0018 - 2000/08/19

千葉県在住 山中 様

 モニター対象製品 PASS X−350

 千葉県に住んでいる山中です。猛暑の中、清々しくなる音楽を聞いてますか?  オーディオを始めて30年、少ない小使いでより良い音を目指している貧乏愛好家です。
 私は、アルテック515Bのジャズドラムの乾いた音に引かれ、自作のオンケンB OX+木製ホーン/JBL2420+JBL2405/パイオニアPTR7をマルチアン プで鳴らしジャズボーカルを中心に聞いていましたが、5年前ダイナミックオーディオ の5階で、ボストンアコスティック300Lというバッフル面の小ささに比べ奥行きが有り、ツ イーターにデフューザーの付いたスピーカーの音を聞いてショックを受けました。  小型のスピーカの為低域は不足しているが、ジャズ演奏を三次元的奥行きを持って
鳴らし、ピンポイントな定位、SNの良さ等、家で聞いている音の古さを実感し、スピーカー の交換を考えている間に、ティール・アバロン・ウィルソン等今までの箱を鳴らす音作りから 箱を鳴らさず位相整合、バッフル面のカット等により、正確な音作りをするスピー カーが話題になり、ウィルソンシステム5の廉価版として出たWITTとジェネシスVを マラソン視聴会で聞き比べメインスピーカーを、WITTに決定し、現在のシステム になりました。

1 リスニングルーム  :2階洋室8畳
2 スピーカー     :ウィルソンオーディオ/WITT
3 プリアンプ     :アキュフェーズ/280V
4 パワーアンプ    :サンスイ/B−2301L
5 CDプレイヤー   :ティアック/VRDS−20
6 アナログプレイヤー :マイクロ/RX5000・RY5500+イナシャー
7 アーム       :サエク/WE−407+¥6Nコード
8 カートリッジ    :デンオン/DL103、ビクター/L10、サテン他
             オルトフォン/SPU−GTE改自作黒檀シェル
9 ラック       :自作36mm厚ボード+25mm黒御影石(ブチル接着)
10その他       :スピーカーベース(メーカースパイク)/25mm黒御影石+
             J1プロジェクト
             各アンプ下にブチルゴムテフロン巻き
             自作コード〜PADハンダ付け
                                以上

 上記の装置でオーディオを楽しんで来ましたが、どうしてもCD臭さが取れず音楽 演奏の高さ、奥行き、広がり、楽器の位置を再現する三次元的サウンドステージ、静けさ、描写 力、瞬発力も旧装置に比べ格段に向上しましたが、今まで良く鳴っていたLPが悪い方向になり、 CDも今一歩でした。これは、パワーアンプがマルチの低域には馬力が有り良かったのです が設計が古い為、WITTをドライブするのには無理が有るのではと思っていた所に、ハルズモニター の3週間自宅視聴記事に前から気になっていたパスラボのX−350が出ていた為、応募した ところ、川又様からモニターOKのFAXが届き早速段取りをはじめ7月16日から モニターをすることになりました。

 X−350が届く日曜日、朝からわくわくしながら待って居ると佐川急便のトラッ クが家の前で止まりました。チャイムが鳴り玄関に出てトラックの荷台に鎮座している梱 包は大きく重さ67kgも有り運転手さんと2人で玄関まで運んだ。
 重い梱包を1人で一階の和室に運び梱包からアンプを取り出そうと思ったが、箱が 2重になっており中のクッション材もしっかりしており袋入りの為、箱から出せず悪戦苦闘 の末やっとのことで出したX−350は予想以上に大きく全面パネルのアルミの厚さ・重 さに圧倒されたが実はオーディオルームは、2階なのである。(参った?)
 仕方なく息子の手を借りる事にして、ヒートアップの為X−350の電源(まず裏 に有るブレーカー?の白いスイッチをONにする)を入れ2階のB−2301Lの移動と ラック上、裏側等の埃を掃除してから30分後に1階のX350を持ち上げようとしてビックリ !A級350Wのヒートシンク(消費電力650〜1300W)は電熱器のように熱く 持てる状態ではなく、仕方ないので扇風機で冷やし、やっとのことで2階の部屋に運 び込んだ(この苦労を4年前にもした思い出が有る→そうだWITTの持込である、X−35 0は60kgであるがWITTは1本107kgなのである)
 できればスピーカの中央に置いてスピーカーコードを短くして視聴したかったので すが、床の耐荷重(250kg/平方m)の問題で壁際のラックの上にて試聴しました。
 まず、多少暖かいX−350の電源を入れると中央のブルーのLEDとメーター内 のブルーの間接照明が浮かび上がり、アンプの大きさとともに如何にも馬力があるんだ ぞという佇まいである。(この時点はオヤイデOB−1コンセントから電源を取った)
 FM放送にて30分間エイジングを行いアンプを暖めてから視聴に入りました。

 いよいよ決めて居た1曲目のCD(サイドバイサイド2)を聴く(LPではA面の ベーゼンドルファー1曲目「シーズ ファニー ザット ウェイ」)、ベーゼンドル ファーのアタック音、高域の伸び、立ち上がりが地を這う様名ベースの重低音と共に眼前に展 開され、菅野録音の凄さが改めて分かり、今までのCD臭かった音が大きな変貌を遂げました。
 私がマルチの中域に使用していたエクスクルーシブM4a他のA級アンプは、球管 アンプの様な柔らかい音であるが全体的には甘くなるイメージを持っていた(ラックスは馬力が有 るといわれるが、オーディオを始めた初期、憧れだったプリメインアンプL309が合わなかった為、 1週間で手放した経験があり、番外となった)が、しなやかでいて、馬力が物凄く低域から高 域までスピーカーの幅を越えて展開し、カーテンの開閉及び吸音ボードの移動による音の変 化等敏感に反応する為、購入したら悩まされる毎日になりそうです。

 2曲目は、CD臭さが特に気になった大貫 妙子(ピュア・アコースティック)の7曲目 「突然の贈り物」、キラキラと輝くピアノのアタック音、緊張感のある大貫妙子の 声、スタジオのエコー、静けさ、そこには今まで気になっていたCD臭さなど微塵も無 く、ゆっくりと歌う彼女のテンポが益々遅く感じられ低域が増えた事が解り、ダイナ7階 で聴いたノーチラスの音を思い出しました。しかし、多少ボーカルが演奏より強くなりアンプ と云うよりスピーカー回りの改善が必要の様です。

 3曲目はケイコ・リーのピアノ弾き語り(デイ・ドリーミング)の12曲目「ホ ワット・ア・ワンダフル・ワールド」、リーの丁寧にゆっくりとしたテンポで歌うフレーズの語 尾、途中からのギターの安定感、曲の最後にある雑音がピアノのペダル音とはっきり解り、ピアノの 余韻が長く響き、ケイコ・リーのボーカルを堪能しました。

 続いて4曲目もボーカルアルバムからリーナ・リバーグ(クローズ)の1曲目「リ トル・アンハッピー・ボーイ」、透明感の漂うスタジオの中央で切々と語りかけてくるリー ナ、ピアノも穏やかであるが1音1音力強い、すばらしい音あたかも音響特性の良いスタジオの 歌っているリーナの前に椅子を置いて聴いている様で、ウィルソン氏のコンセプトである「音楽 演奏の高さ、奥行き、広がり、楽器の位置を再現するサウンドステージの世界、静けさ、瞬発力、 音色の素直な描写」が一致した瞬間です。

 5曲目は小林 貢氏の(BELOVED)ピアノとベースのデュオの1曲目「親愛 なる人へ」、田園ホール”エローラ”でのベーゼンドルファー・インペリアルの重厚かつ深淵なる 響きを、イコライジングやローカット」・フィルターなどの電気処理を使うこと無くピュアで ナチュラルな響きで捕らえた録音を何処まで再現出来るかです。
 ゆっくりとしたテンポで始まるピアノソロ、今までより低域が増えたためか音の厚 み、ホール感、瞬発力共格段に向上し、ピアノの直接音と云うよりッピアノ中で弦を叩いた音が間接 的に響いているのが解る様です。

 CD最後の6曲目は、イーグルス(ヒル・フリーゼン・オーバー)の6曲目「ホテ ル・カリフォルニア」拍手とアコースティックギターのイントロでで始まるライブ会場の広大な臨場 感がSNの良い雰囲気と共に伝わってくる、ギターのトレモロの後に右前方からバスタム?の地を這 うような低音、コンサート・ライブでの録音としては驚きです。

 ここから相性の悪いLPレコードに切り替え、どのように変わったかわくわくしな がら1曲目に決めていた西島三重子(地球よ廻れ・45回転)のダイレクトカッテング盤2面2曲 目歌謡曲の様に鳴っていた「池上線」、1コーラスを無伴奏で唄っている彼女の緊張感がのどの 震えから聞き取れ、透明感のあるボーカルはブレスやビィブラートなど細かいニュアンスまで 鮮明で、スタジオライブの最前列で聴いている様になりリアルさ、空気の振動する様子まで実 在的に再現するX−350の実力の高さを見せつけられました。

 2曲目は、ロブスター企画・DCレコード/アンバートン(ヒズ・ファニー・ ザット・ウェイ)の1曲目「ラバー・カム・バック・トウ・ミー」、ピアノとベースの伴奏で唄うアン ンの何と柔らかく暖かい音だろう、多少口が大きいがマスターテープを聴いている様である。 二曲目「レニイ・デイズ・アンド・マンデイズ」、情感を込めてしっかりと唄うアン、デジタルの透き 通る様なボーカルとは違う温度感のある暖かい音、やっぱりアナログは、聴いていて落ち着き ますね。(これもX−350のお陰です)バックのベース(稲葉)、ドラムス(小原】もご機 嫌です。

 3曲目は、アナログプロダクション/ジャニスイアン(ブレーキング・サイレン ス)、2曲目「ライド・ミイ・ライク・ア・ウェーブ」レコードでここまでのSNの良い音は聴い たことが無いほどで三次元的な音、バックのベース等の音の厚み共に最高である。しばし聞き 惚れてしまった、それにしてもレコードとは思えない静かである、ボーカルもバックの演奏もかなりの 音量で鳴っているというのに、すごい!

 4曲目は、TBM(ムーン・レイ)の1曲目「ムーン・レイ」、ベースの重低音と 大友のサックスで始まる、今までと格段の違いの出だしである。しびれた!
 今までのサンスイは、WITTに変えてからあまりジャズが鳴ってくれず、ボーカ ル中心の曲選びになっていた理由が、ここにきて解った思いがする。アルテック515B等の38cm ウーハーの低域限界はWITTよりかなり高いところに有り、パイプオルガンの最低音は出な かった。サンスイも設計が古い為下まで出ずアルテックと合ったのだと思います。X−350で上も下も 伸び、やっとWITTをドライブ出来たのです。

 5曲目は、スパーアナログ/サン・サーンス(ヴァイオリン協奏曲3番)全体的に 沈んだ感じの暗い演奏であまり聴かなかった曲であるが、チョン・キョンファのバイオリン、バッ クの楽器ともドリンク剤を飲んだように元気に演奏しているではないか。
 今まで、スーパーアナログは評判ほど凄いと思わなかった原因がプレーヤーではな くパワーアンプにある事がはっきり判りました。これ程までに変わると、プリアンプ、CDプレイ ヤー及びDAC、アーム、コード類、電源、アースと変えて行くと、どうなってしまうのか想像もつき ません。

 LP全盛期の変り種も聞いて見たく2枚聴いて見ました。希少盤の零戦「サンライ ズ」あの当時(1976年)は、まだオーディオ・チェック・レコードは少なく話題になりまし た。かなりハイ上がりの音作りであるが、ドラム、ウッドベース、ギター、ピアノ、パーカッ ション等の迫力は今の録音に負けないだけの力がある、さすがビクター・オーディオ・チェック ・シリーズ!

 芸能山城組「恐山」(1975年)、杉並公会堂に70人の地声のコーラスグルー プとロック・バンドとの共演アルバム、出た時はその内容で驚いたが、今再度聞き直して見ると、 女性の物凄い悲鳴で始まり、広大なホール感、スピーカーの外側からも70人の一人一人の地声の うねりが聞こえ、圧倒されました。今だからこそ解るこの録音の凄さに脱帽!(このLPを1人暗い部 屋で聴いていると気違いと思われます〜実際の話です。)尚このアルバムの特徴は、製作者の山城洋二 が此音盤再生之秘訣(このれこおどのかけかた)で音量を指定していることです。
 「・・特に恐山におきましては、盛り上がりの部分で、体が音でゆさぶられ音の洪 水に押し流される感じを覚えるほど、苦痛にならぬ範囲内で最大限の音量による再生が望まれます。再 生系が不適合なものでなければ、こうして音場が形成されることにより、現代文明人がめったに味わ うことのない呪術的陶酔、一種の恍惚状態というものを体験していただけるはずであります。」抜 粋、今CDのかけかたを指定したら、個人の勝手でしょうと云われそうですね。

 CDに戻りムター(ツィゴイネルワイゼン)の1曲目「ツィゴイネルワイゼン」、 始まりのバイオリンの胴なりの見事な音に(直接音ではなくバイオリンの胴の中に入った音色 が、中で音を大きくし胴の音色と供に響きを増して出てきた様な音色)ひととき聞き惚れてしまい ました。

 X−350の実力を再確認するのに鬼太鼓座「富嶽百景」ダイレクト・カッテング CDを聴いてみた。2.25mの大太鼓の音が違うのである、今までの音を例えると成田山新勝寺 の御護摩会場にある大太鼓の音で実際正月に聴いて納得していました。しかし、鬼太鼓の大太鼓が皮 のたるんだやわな音では無いと云うことが今回の試聴ではっきりと解りました、小太鼓から大太 鼓まで皮を強めに張り最低域の音もドォ〜ンでは無くド〜ンとしまり、反応の速さが違うので す。生々しい尺八、切れ味の鋭い津軽三味線、1枚を一気に聴いてしまいました。

 最後にプロポリス(カンタータ・ドミノ)1曲目「カンタータ・ドミノ」、パイプ オルガンが、重厚ではないが」きちんとホール感を伴った演奏を奏で途中からのコーラスも一人一 人きちんと解る。今までとは格段の違いだ、特に11曲目「サイレン・ナイト」。女性コーラスで始ま り男性コーラス次いで合唱になるが、ホールに並んだアルト、ソプラノと一人一人が解り、写真など 無いので実際は解りませんが女性コーラスの列の後ろに男性コーラスが立っている様に聴こえまし た。低域は入っていませんが、このような再生は難しいと思っていたのでとてもうれしくなりま した。

 色々な曲を聴いてきましたが、今まではレコードが今一つ鳴らず、CDの方が良 かったがジャズ・クラシックは、少し物足りない音でした。X−350を替えただけでLPが格段にグ レードアップし、聴けなかった古いレコードも聴ける。CDも格段にグレードアップしたが部屋の関係 か?曲によって多少うるさく感じる程度です。
 パワーアンプを替えただけでクラシックもジャズも楽しく聞ける事が解り大きな収 穫でした。しかし、良い面だけではまずいと思いますので悪い所?も書きます。

(欠点)  1 重量(60kg)〜少し重すぎます。
      2 アンプの発熱量が物凄い〜ハイパワーA級アンプなので仕方ないの?
      3 電気代〜クーラーなみ

 欠点を並べてみると良い音のアンプの条件の様で、真夏のクーラー無しの2階での 試聴で、タオルで汗を吹き吹き聴いた為の欠点かも知れません。

 最後に、この様な素晴らしいアンプのモニターをさせて頂き今後の指針が出来た事 は大きな前進であり喜びです。先日家にきた知人も音の変わりように驚いていました。
 モニターを提供して下さったダイナミック・オーディオの川又様ありがとうござい ました。


HAL's Monitor Report