《HAL's Hearing Report》


No.0139 - 2003/8/15

埼玉県川口市在住 N・S(LUX FAN)様より

「GOLDMUND FULL EPIROGUEとダイナ5555訪問記」

毎回、本論に入る前に簡単なテーマを挙げて話しを進めていますが、今回は
何にしよう・・・と考えたところで、ダイナ5555を訪問してのヒアリング
レポートですから、訪問したことのないメンバーのため、ダイナ5555の
紹介をすることにしましょう。

したがって、目次は次のようになりました。
1.ダイナ5555訪問記
2.フルエピローグ出現
2.1人生の目標となるスピーカ
2.2ヒアリングレポート

ダイナ5555(フォー5と略)のお店紹介は、フォー5ができたころ川又
店長からあったように思いますが、記憶が定かではありません。

私が前回訪問したのは “ESOTERIC論文コンクール”の少し前、P0の
購入を悩んでいたころですから約10ヶ月ぐらい前でしょうか。

毎週のように近くには来ては他の店を散策したり、隣のサウンドパーク・ダイナ
でSACDやDVDビデオのソフトを買ったりしていますが、フォー5の7階川又
さんのところに顔を出すのはなかなか容易ではありません。
そこら辺の印象をまじえて紹介していきましょう。
まず、これがフォー5のビルです(写真1)。この7階に川又さんはいます。

http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/op-pho/ph1.jpg

ここまでは、雑誌等で紹介されているので、ご存知のはずの方も大勢いらっしゃる
ことでしょう。
では、お店の顔といえる1階はどうなっているのでしょうか。

お店に入ると、まず目につくのが正面突き当たりにある壁いっぱいにディスプレイ
されたヘッドフォンの数々、その手前には種類ごとに並べられたインターコネクト、
スピーカーケーブル類のアクセサリーが余裕をもって、整然と並べられています。

ここら辺が、入ったとたんにスピーカやらケーブル類がところ狭しと並んでいる
周囲の秋葉原のお店と違うところでしょうか。また、この雑然としているところが、
部品の販売でスタートした秋葉原の伝統的スタイルでこれはこれで訪れる人はこれ
は承知の上で楽しんで買い物をしています。

しかし、これに対して、そうではなくオーディオ専門店は斯く在るべきという川又
さんのポリシーが感じられるディスプレーです。
したがって、秋葉原の他店と違う雰囲気が漂っていますので、一般の人には入りに
くいところになっており1階は平日お客はまばらです。

さて、問題はこれからです。
2階より上にいくには一度お店からでて、階段から行くか、その隣のエレベーター
で行くかどちらかになります。7階の川又さんのところに行くには階段を使う体力
はありませんのでエレベーターということになります。それが、この写真です。

http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/op-pho/ph2.jpg

でも、7階の雰囲気を知っている私はなかなか7階のボタンが押せなくて思わず
別な階のボタンを押したりして・・・なかなかたどり着けません(-_-;)。

今回のように予約してきますと、簡単に・・・というわけではありませんがエレ
ベーターの前で深呼吸をしてから気合を入れてボタンを押します。
そして、着いたところが7階の入り口です。

http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/op-pho/ph3.jpg

また、これがなかなか開けられない。

別に立て付けが悪くて開けにくいというわけではありませんので(^^ゞ。

また、深呼吸をしてから入り口に近づきますと「あら不思議」、呪文を唱えなく
てもドアがひらくではないか!
そう、ドアは自動になっています(^^ゞ。

この入り口をクリアーすると、(きれいな)女性と横向きにイスに座ってパソコ
ンをしている川又さんが迎えてくれます。では、なぜ横向きに座っているのか!?
正解は「入って右側にある試聴室を窓越しでのぞき見するため」なのです。

さて、今回の訪問の目的でありますこの視聴する部屋を私は“虎の穴”と呼んで
います。昔のプロレス漫画にあるように“修行の場”という雰囲気が漂っています。

それでは、この“虎の穴”の中はどうなっているのでしょうか・・・?
えーと、エー!!写真を撮るのを忘れてしまいました(^_^;)
しょうがないので、言葉で説明していきましょう φ(..)メモメモ。

部屋全体は調音のため壁一面にQRD、
http://www.ohbashoji.co.jp/products/qrd/index.html
天井にスカイラインが設置されています。
http://www.ohbashoji.co.jp/products/qrd/skyline/index.html

入って右側が試聴エリア、左側にスピーカやパワーアンプ、そしてその間に二段
のゾーセカス等の台に載ったCDプレーヤ、プリアンプ、D/Aコンバーター等
の群れ、これを結ぶのが想像を絶するような太く長いドミナス(PAD)のケー
ブル達、試聴エリアに座ったら即評論家気分。

また、1階と同様に整理整頓されたうえに、余裕すら感じられる機器の配置、
まず部屋に入って目がいくのが高級な機器類へでしょうが、驚くのはドミナスの
『這いずり回っている』床の様子でしょう。

さらに、『驚嘆する』のが音を出してからでしょう(*^^)v。

それにしても、これらの機器を見たり、音が出ているのを聴くこともあるかもし
れません。しかし、これだけ整った環境の中で次々と組み合わせを変えながら機
器の限界までの音を発している場所は日本中、あるいは世界中でもないのではな
いでしょうか。

また、世界中の有名な開発者・責任者が来日されオーディオ専門店を訪れること
はあっても驚いて帰られ、中にはここでライバルの音を聴き負けないケーブルを
開発してくるようなドラマが生まれる「開発意欲をそそる」場所は他にはないと
断言できます。

ぜひ、「世界標準」となる場所をあなたも一度は訪れて限界の音を聴いてみては
いかがでしょうか。予約をすれば、コーヒー付です(*^^)v。

ここで、ご注意が1つあります。ぜひ予約をして訪問してください。
そうしないと、予約者を優先するために、川又さんに相手にしてもらえません。
コーヒーも出してもらえませんし(^^ゞ


2.フルエピローグ出現

2.1人生の目標となるスピーカ
“虎の穴”で出迎えてくれたのは高さ2m、重量320kgという巨体のゴール
ドムンドフルエピローグ、それを操るのはMillennium、Mimesis29.4をはじめと
するゴールドムンド最高級機種たち、お値段はスピーカだけでも2000万、
Millenniumは1500万、Mimesis29.4は600万ぐらい、それにCD/DVD
プレーヤ、DAC,プリアンプのゴールドムンドシステムに加えてドミナスたち
・・・軽く都内の一等地のマンションが買える値段です。

しかし、マンションを買ったところでこの巨体は入らないし、入ったとしても
置いたとたん床が抜けてします。もし、床を補強して入れたとしても本来の音
を出すと3分もしないうちに隣近所が騒がしくなります。

フルエピローグの演奏を聴き終わって余韻に浸っている頭で考えました。
これは、“人生の目標になるスピーカ”であると。

どうしても入手してこのシステムの最高の音を聴きたければ、それだけの準備が
必要になる、その準備をするには・・・。

さて、その“人生の目標になるスピーカ”が聴かせる音とは・・・ヒアリング
レポートに続きます。

2.2ヒアリングレポート
 いつものように、プリアンプとCD/DVDプレーヤのリモコンを渡し、簡単
に説明をしてから川又さんは食事にいかれてしまいました。
そして残ったのが、私とこれ(写真4)

http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/op-pho/ph4.jpg

ちょうど、川又さん推奨の“VIOLA”のプリとパワーアンプがSignature800
とP0につながれていましたので併せて聴いてみましたー意外だったのが、
“VIOLA”の大きさ、パワーアンプは1個当たりではMillennium1個より大
きく、重量も95Kgを超えています。

お値段も約4分の1の400万、お買い得!?詳細はStereo Sound No.147か
“虎の穴”へ―。

http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/op-pho/ph5.jpg

さあ、どれから聴こうか。
35Hzでつないで、それ以下を専用アンプで再生するように設計されたスーパ
ーウーハーの調子をまずは確認と・・・。それには最近気に入っている“harem
(SARAH BRIGHTMAN)”からNo.1HAREMを聴きましょう。

このCDは私のメインシステムのスピーカにつないだ2台のスーパーウーハー
(SW−1000)がブイブイと盛んに活躍するような超低域を含んでいる一方、
シンセサイザー、バイオリン、太鼓、笛、それにボーカルなどまったく種類の違
うさまざまな超高から中域の音が多重録音されており再生の難しいソフトです。

 “では、Play”・・・“

何だ、この風は?!”音が風圧となって押し寄せてきます。

それもスーパーウーハーがついていることを感じさせない一体感をもって・・・
何といえばいいのでしょう。

例えて言うならコンデンサースピーカの振幅を大きく取れるようにして、スピー
カから出た音が壁となって迫ってくるような音とでも言えばいいのでしょうか。
ついついボリュームも上がっていきます。どこまで、低域が再生できるのか確認
したくて・・・バランスを崩さずいくらでも出てきます。

これは、風圧を感じるアンプといわれるMillenniumの実力もあるのでしょう。
「快感」の一言につきます。

私のメインシステムも先ほど紹介したように低域を強化したいわゆるピラミッド
バランスに調整したシステムで低域を振動ではなく風を浴びるように再生してい
ます。しかし、レベルが違います。

想像で補っていた音が現実のものとして目の前で繰り広げられています。
超低域も分解して聞くとここまでの実態感が味わえるのですね。

風といいましたが、ホーンスピーカが聞かせる耳の横を通り抜けるような風の音
とは違います、壁です。誤解なきように。

あまりの音の大きさから途中で退室された方、ドアを開けて入ろうとしてやめた人。
「ごめんなさい。でも今は私の自由にさせてもらいますよ」と心の中で叫びながら
・・・。

同じ、CDを“VIOLA”システムで聴いてみましょう。
これはこれですばらしい。より細かい音が聴こえますし、オーディオ的に分解し
て再現して来ます。細かい音を精密に積み重ねてどの帯域も強調することなく自
然さを再現するオーディオ的な快感を感じるシステムのように思います。

しかし、スピーカの中央を中心に濃く像を描くシステムで、壁のような風圧で聴く
システムではないですね。これは今までの想像できる範囲の音ですが、フルエピ
ローグが例えようのない今までに経験したことのない音といえばいいのでしょうか。

次、いきましょう。
いつもの私のお気に入りのCD“諏訪内晶子/メロディからチャイコフスキー
「なつかしの土地の思い出」”です。
まず、静かにオーケストラが一体感を伴って聞こえ始め、次にピアノの左手の
ガツンというピアノらしい低音、さあ出るぞバイオリン・・・ウン?
うん??これバイオリン?

あまりにも低域から出るので“バイオリン”が“ビオラ”に聴こえます。
さて、後半7分からの“バイオリン”の最低域から最高域までに駆け上がっ
ていく音は・・・ウーン、力強さは最高!でももう少し高域を伸ばして欲しい
なー。これに合うスーパーツイターがあれば付け加えたくなるような音です。
まあ、欲望はきりがないもので、贅沢を言わせてもらえばの話です。

次、いきましょう。
川又さん愛蔵盤の“くるみ割り人形/ゲルギエフ指揮から1番” 、
オーケストラの広がりと前半に出てくるトライアングルの響きに注目しましょう。
なんといったらいいのでしょう。フルエピローグで聴くオーケストラの音はあり
きたりですが目の前にオーケストラが自然に現れて演奏しているといいましょう
か。ただ現れ方が尋常ではなく演奏している人が漫画のように輪郭がはっきり
くっきりわかるというよりは、自然とそこに座って演奏しているのが劇画調に
立体感を伴ってわかるというか、言葉を替えれば、各楽器群が演奏するとそれ
ぞれの位置から風圧のように時間差をもって音が届く。これが、スピーカの外
までグラデュエーションをもって広がってゆきます。

さあ、トライアングルが鳴るぞ・・・“ゴッツン、ゴッツン”??
これは太い、鉄棒のようだ(^^ゞ。でも、本当に鉄棒を叩いているような実態感
のある音だ!

このシステムは想像で補う必要がはありません。目の前で出現した力強い演奏を
聴くだけでいいのですから・・・。

このシステムやMillenniumのことを雑誌*では「広大な音場感」、「空気感が
よく伝わる」、「“フワー”とくる風」「桁外れの透明感と自然な音触」と書
いていますが、よく意味がわからなかったのですが、聴いてみて初めてわかった
ような気がします。

*Stereo Sound 128 ,129, 141
聴き終えて、“虎の穴”から出たところで、川又さんが聞きました。
「どうでした?」
「上には、上がありますね。想像を絶する音のするシステムですね。」と
答えました。

次はAdvantgarde TRIO+6BASSHORNが登場します。これは、フルエピローグを超え
るシステムの規模を持っています。川又さんはこのシステムをどのように料理し
てどんな演奏を聞かせてくれるやら、期待いっぱいです。

最後に、「また、Advantgarde TRIOを聴きにきます。川又さん、よろしく!」と
言ってフォー5を後にしました。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

N・S(LUX FAN)様ありがとうございました。
楽しんで頂けたようで何よりでした。
また、私はご信頼申し上げている皆様には気軽に試聴の“主導権”を
差し上げておりますので、どうぞ皆様も気軽にご来店頂ければと思います。

そして、N・S 様もおっしゃっているようになるべくご予約くださいませ。
とにかく一日の来店客が多いので、ギャラリーの皆様には私が接近して
いくとかえって敬遠されるケースもありますので、最初のご挨拶だけに
させて頂いております。ぜひ、ハルズサークル会員であることを最初に
一言おっしゃっていただければと思います。よろしくお願い致します。



HAL's Hearing Report