《BRASS SHELLレポート》


No.0096 - 2002/8/1

愛知県春日井市 K・H 様より

HAL's Circleに『BRASS SHELL』の情報がはじめて載ってから早、数ヶ月。
待ち焦がれて待ち焦がれて、ようやく製品が27日に初期ロットの10セット
の内の1セットして我が家に到着しました。 

到着するや否や、ハサミを使うのももどかしく開封すると、なにやら立派な
ケースが出てくるではありませんか。

なお、開けてビックリ!!感動ものでした。

よい製品を所有する喜びをくすぐるような素晴らしい梱包及び付属品類。

さすが川又様のプロデュースされるものは一味も二味も違うなあと関心し
きりでした。そして、ロットナンバー 『BT0101』というなんと1番という
名誉も授かり、素晴らしい試聴結果となったことに花を添えていただくこと
も出来ました。

早速、ハードケースより『BRASS SHELL』(以下BS)を取り出しじっくりと
眺めてみました。見れば見るほど吸い込まれるような美しい光沢に目を奪わ
れるばかりです。

部屋の照明に反射して一点の歪みもなく深く輝く様は、流石に1/100mmの
精度で切削され、入念に磨き上げられたものである事を、黙して語らず。

これぞ所有する喜び以外の何物でもないと深く感動をしました。
といってもいつまでも感動をしているわけにも行かないので、眺めるのも
そこそこに、早速試聴の開始です。

 まずは小生の稚拙なシステムの紹介を少々させて頂きます。

 スピーカー       B&W ノーチラス802 
 CDP            マークレビンソン  No.390SL 
 プリアンプ        ゴールドムンド   MM27Evo
 パワーアンプ      ゴールドムンド   MM28Evo
 インターコネクト    PAD    ISUTAL
 SPケーブル       PAD    ISUTAL Bi−W
 ACケーブル       PAD          TANTUS

このシステムに至るまでもいろいろとカット&トライをしてきたのですが、
いまいち納得が出来ないものが残っていたのも事実でした。

それは解像度の部分でした。
これがN802の実力なのだろうか?

そうであれば巷で言うほどのたいしたスピーカーではないような気がしていた
のです。これが今回の試聴で一気に解決の方向へ向くことになろうとは・・・。

まずはチューニングリングを標準のブラスフラットにし「大植英次/ミネソタ
管〜メフィスト・ワルツ Referennce recordinngs」のtrack001をかけてみ
る・・・。

いったいこれは何だ?? 

何10回と聞いたチェロのアンサンブルから始まる導入部分。
全く別のCDをかけていると言っても過言でないほどの変わりようです。

弦がうねって音を発していると言う実態感、弓の上下運動が垣間見れるような
空気感がN802のから発せられているのです。その上でアンサンブルの人数まで
分かるような解像度をも、もたらしているのです。 

あまりの差に疑いの念を持たずにはいられなくなり、元のプラスチック製の
フェージングプラグに思わず戻したほどです。
でもやっぱり、それはN802の実力を疑っていた“あの”音でした。

その先のブラスとコントラバスが加わるのですが、高域や低域への音の繋がり、
特に低域への音のつながりに自然観が生まれました。その自然なつながりの
中で、より一層ダイナミックレンジが広がりサウンドステージが広範囲に
展開されることとなったのです。(かつて、カンタベリーにスーパー
ツイーターをセットしたときに感じたものに近い感覚です。)

そう、まるでBSを中心に音の粒子が四方八方へ拡散しているような感じです。

その発散された粒子がリスニングルームの空気の中にとけこみ余韻となって
消えていく。まるでスピーカーそのものが入れ替わってしまったような錯覚
を受けたほどでした。それほどの変化をこのBSはもたらしてくれたのです。

ただし、トッティーに至る部分では、多少耳当たりが強いかな?と感じる事も
あったのは事実です。そのために3種類のチューニングリングがあると思いま
したので、こちらも早速試して見ることにしました。

カッパーフラット。これはサウンド全体が静かになり、重心が下がった感じに
なります。BGM的な聞き方をする場合には適しているのかもしれません。
ただし、分解能と言う点では今ひとつです。

ブラスエッジ。ブラスフラットに比べると明らかに余韻が短く(少なく)なり
ました。余韻が短くなったことで、軽快感が生まれてはいるのですが、サウ
ンド全体の響きが軽くなっているので、オーケストラのような重厚なサウ
ンドには適してないのかもしれません。

ただし、器楽曲の「渡辺玲子/バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタと
パルティータ」のようなヴァイオリンのソロの場合は、ややまろやかになった
耳当たりのよいサウンドと、切れの良さで他の2つのチューニングリングを
凌駕していました。

ちなみに、このリングの切カキをBS側にしてみたところ、解像度がやや下がって
しまいあまり芳しい結果ではなかったことを記しておきます。

最後にブラスフラットに戻し、「鬼太鼓座/怒涛万里」でのサウンドチェックを
しました。このCDはご存知の方も多いと思いますが、ルビジュームクロックを
使用して録音されたCDで私もシステムの評価によく使っているものです。

track001の爆発的な太鼓の導入から始まるのですが、怒涛のごとく押し寄せる
重低音の中に埋もれることなく撥が叩く皮の質感までも見事に表現をしている
ことに鳥肌が出る思いでしたし、track005では尺八の吹き口がかもし出す倍音
の消え行くような微小音の表出は今まで全く味わったことのないものでした。

 BSを装着して試聴した結果は以下のようなものとなりました。
 
1.非常に解像度が高くなり、広々としたサウンドステージの隅々まですっきり
 と見渡せるようになる。
 
2.高域から低域にかけてのつながりが良くなり、より自然な音場が形成される。

3.微粒子レベルでの表現がより鮮明になり空気の動きが感じ取れるようになる。

4.聞くジャンル等、場合によっては高域成分が耳につく事がある。
 その場合はチューニングリングで調整を。

 まとめとして。

この『BRASS SHELL』は、オーディオアクセサリーとしての抜群の効果と、
工業製品としての完成度の高さ、それと所有するオーナー心をくすぐる付加
価値の高さにおいて、抜群のコストパフォーマンスを持った製品であることは
疑いの余地はないものです。

特に、アクセサリーとしての効果は、まるでスピーカーを変えてしまったと
思えるほどの素晴らしいものがあります。いずれにしてもノーチラスシリーズの
オーナーは何はともあれこの素晴らしさを一度は体験してみるべきだと断言しま
す。幸い在宅モニターも行うということですので是非申し込んでみてはいかがで
しょうか?

必ず、返したくなくなると思いますよ!!

この素晴らしい『BRASS SHELL』をプロデュースされた川又様並びにOFFICE Iの
皆様にに敬意を表すると共に、今回このような幸運に恵まれたことを感謝いたし
てレポートの締めとさせていただこうと思います。

本当ありがとうございました。
 
          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

K・H 様 お礼を申し上げるのはこちらの方ですよ(^^ゞ
本当にありがとうございました。
本文中で「ブラスフラット」「カッパーフラット」「ブラスエッジ」などと
チューニング・リングにふさわしいネーミングもしてくださって重ねて御礼
申し上げます。これから到着するであろうレポートの良い表現事例として
他の皆様もきっと利用されることでしょう。ありがとうございました。(^^)v




HAL's Hearing Report