《HAL's Hearing Report》


No.0095 - 2002/7/30

愛知県名古屋市在住 H.A.L.'s Circle Review-☆-No.0119に登場したT・I様より 

最初に、オーディオ機器のセッティングにはフローティング派とリジット派が
ありますが、僕はリジット派です。というよりも、リジット派だったというの
が正確でしょうか。

RELAXA2PLUSが家にやってくるまで・・・

12年前に社会人になって、初めての自分のステレオを買ったのですが、その
時のステレオ屋のアドバイスが「ラックはいい物を」でした。
その通り、70KgのMDF製のラックを買いました。やっぱり重いラックを買って
よかったと思いました。ただし、その部屋は和室ですから当然床は畳でした。
そのため、重いラックは必須だったのでしょう。

結婚して、マンションに引っ越し、リスニングルームは洋間14畳のリビング、
ダイニング兼用でした。その時も、ラックは隣の和室においたので、また畳の
上でした。そのせいか、左右の音量差はあったものの、定在波はあまり感じま
せんでした。

しばらくして、低音の形が緩いことに不満がでてきました。また、同じ頃にチョ
ンキョンファのコンサートを聴いて、愕然としました。彼女の鉈で切るような
バイオリンが全然再現できなかったのです。

ただ、穏和にまとまった音になっていたのです。ここでセッティングを堅い方
向にする決心をします。つまり、すべてのコンポーネントに御影石を敷くこと
にしたのです。これはとても効果がありました。

見違えるように低音の形がしっかりして、高音もより細かく、またシャープに
なりました。でも、不思議なことに、一番効果があったのは、レコードプレイ
ヤーでもCDプレイヤーでもなく、フォノイコライザーのSME-SPA-1HLだった
のです。

その後、色々、ピンケーブル、電源ケーブル、コンセントが変遷しましたが、
基本的には同じセッティングでした。HALの川又さんにいただいたPADのコン
セントは効果があって、かなり改善しましたが、また一方でこれはこれで完成
品かなという感じにもなってきました。

ところが、約1年前に現在の家に引っ越しして、僕のステレオの音はやり直しに
なってしまいました。今回は10畳の洋間で同じ部屋にラックを設置しました。

で、今までと同じようにセッティングしました。しかし、ぼわぼわ、ごりごりの
低音とキンキンの高音、エコーだらけの音、まあひどい物でした。

ここで詳しくは述べませんが、今までの音の改善において、H.A.L.'s arrange
order programには大変お世話になりました。
それらについては、すでに報告したとおりです。

ところで、今までの報告では、チョンキョンファのバイオリンは書いたことがあ
りませんでした。僕は、弦楽の協奏曲が好きなのですが、引っ越ししてからは
聞くことが減りました。ほとんどが古いレコードで持っていたためです。

最近の重量レコードではいい音が出るのですが、古いレコードではごりごりの
低音とキンキンの高音で、聞いていてもつまらなくなったのです。

フォノイコライザーのSME-SPA-1HLの神経質さにも参りました。日によって音が
ころころ変わる、ひどいときにはノイズもでる。
ついつい、レコードは敬遠気味になってしまいました。

今回、H.A.L.'s arrange order programでRELAXA2PLUSがでて、御影石を敷いた
ときのことを思い出しました。そうか、今度は浮かせてみよう。
早速応募し、購入しました。

今回の結果は(も?)予想以上でした。きめの細かいバイオリンパート、うなる
ようなチェロ、コントラバスのパートが戻ってきました。そして、協奏曲のソリ
ストがオーケストラからくっきりとして存在感が出てきたのです。

チョンキョンファのブルッフのバイオリン協奏曲での求心的でダイナミックな
演奏、それにあおられるオーケストラの演奏、その緊張感、再現されるように
なりました。

また、僕の好きなグリュミオーの洗練された甘美な音、ハイフェッツのなんて
言っていいか分からないほどの完璧な演奏、ヨーヨーマの完璧なテクニックと
なんの衒いのない音、マイスキーの少しやりすぎかと思うほどの内面的で激し
い演奏、などなど、次々と聞きまくってしまいました。

ここまでくると、次の課題がまざまざとわかるもので、若干、低音のしまりが足
らないことが分かってきました。そこで、プレイヤー(ノッティンガム)の底面
に某社のウイーン製のバネ型のインシュレーターをしてみました。(川又さん
すいません他で買った物です)で、見事解決。

やっぱりリジットだけでは解決できませんね。

つぎに、協奏曲に目覚めるきっかけになった曲を。フリードリヒ・グルダのモー
ツアルトのピアノ協奏曲20番、モーツアルトには珍しい短調のメロディをリリ
カルにアバド指揮のウィーンフィルが奏でグルダが研ぎ澄ましたピアノで応戦
する演奏です。

まず、ウィーンフィルのあのうねるような演奏がリアルになりました。一方で
管弦楽の大きさは以前より縮小した気がします。でも、考えてみれば、協奏曲
のオケは少し小編成になりますので、これが正しいのでしょう。

そして、第一楽章のカデンツア、グルダが床に足を踏みつけてひくありさま
(要するにドンドンと足踏みしている)がありありと再現されました。

今回、予想以上の結果を得たのは、まず、SME-SPA-1HLが全然フローティングさ
れていない、インシュレーターも持たない、剛構造であることが挙げられるで
しょう。また、フローティングされているアクリル板もよい影響を及ぼしてい
るようです。

所有したことのある人であれば分かると思いますが、SME-SPA-1HLは手に持った
時のズッシリした感触と反面のラックにおいた時の据わりの悪い感じの差が激
しい機器です。これはその構造上仕方ないのですが、RELAXA2PLUSの上に置くと
妙に据わりがいいのです。

これはフローティングだけでなく、アクリル板とのなじみがよいためと考えま
す。また、水平調整機能もかなり有効です。今回よく分かったのはSME-SPA-1HL
の重量バランスが悪いことで、ただ置くと傾きます。ずいぶん調整して水平が
とれました。音質的にも無視できないようです。

また、視覚的にもSME-SPA-1HLとRELAXA2PLUSは元からセットだったのか
と思うほどマッチしています。ただ、一般論として、フローティングがいいのか
リジットがいいのかは、僕自身はよく分かりません。ただ、今回のことで思う
のはバランスが大切で、あんまり固すぎるのは、よくないんじゃないかという
ことです。

RELAXA2PLUSにしても、zoethecusにしても、フローティング機構だけでなく、
それ以外の部分にも(RELAXA2PLUSならアクリル板など)色々ノウハウがあり、
それらが絶妙のバランスを取っているのでしょう。

ということで、お礼も込めて、報告します。皆さんの参考になれば幸いです。
ダイナミックオーディオ川又様とユキムの方々には厚く御礼申し上げます。
これからもいい物を輸入して僕らに紹介して下さい。


HAL's Hearing Report