《HAL's Hearing Report》


No.0019 - 2001/02/15

千葉県市川市在住 T.I.様より

 堂々とハイエンドを聴かせてもらう方法

 「アポ取り」は有意義な時間の第一歩

 さて、コレを読むどれだけの方が、秋葉原にあるHALへ行ったことがあるのでしょう?実は私がHALへ行ったのは、今日(2/7)で2回目です。
 でも、7Fまで行って川又ROOMへ入ったのは今日が初めて。というか、いきなりお店に入って左側のエレベーターへGO。そのまま7Fまで行ったところで、個室の様になっている川又さんの部屋にドカドカと入っていける人は、よほど肝っ玉の座った方でしょう。いや、百歩譲って入れたとしても、落ち着いて音楽なんて聴けないでしょうし、コンポーネントの説明を聞いたところで、ウワの空ではないでしょうか。ましてや、その場で川又さんの演奏を聴いて、ハイエンドのコンポーネントが欲しくなってしまったら、大変な金額の買い物を勧められてしまうかもしれないんですよ。(実際はそういう勧め方はしませんでしたけど…)そんな時に冷静を装って「いやー、もうちょっとお金が貯まってからね」なんて軽く言えるほどの“余裕”はないでしょう。

 当然、私はそんな肝っ玉の座った人間じゃありません。どちらかというと、典型的なA型の小心者。お店に入った瞬間「店員からどういう目で見られるか」「どういう印象を持たれるのか」が、すごく気になるオドオド君なわけです。当然、興味本位で行った1度目の時は、エレベーターにある7Fのボタンはおろか、エレベーターの入口にある↑のボタンすら押せず、そのまま1Fのソフトコーナーをぐるっとまわり、秋葉原巡りをして自宅の市川へと帰ったわけであります。

 そんな私がどうやって川又ROOMに入って、冷静に川又さんの演奏を聴いてきたのか?
 答えは簡単というか、常識というか“アポイントメントを取る”ということです。と言っても、今回はタイミングよく、サークルの方だけに配信されていたメールに、非常に欲しいモデルの商談話が…。これこれあれあれと、川又さんとEメールのやり取りをしているウチに“試聴に行ってみよう”という気になり「では、いついつに…」というやり取りを交わしたワケです。

 それにしても、川又さんったら、Eメールの返信が早い早い。「お客さんが居ないときはヒマですから」とは言ってましたけど、丁寧なメールで毎回返事を下さるところは、川又さんの人柄なんでしょうね。おっと、話が脱線しました。アポ取りをして、無事に川又ROOMに入るところから話しましょう。しかし、事前に行くことを伝えてあるというのは、買い物前の気持ちと相まって非常に足が軽いですね。今回はHALの1Fに入ってからエレベーターの↑ボタンを押すのは、なんのためらいもなし。そのまま7Fへ直行し“カチャッ”というドアノブの音と共に中へ入れましたからね。
 「いらっしゃいませ」という第一声。おお、HPや広告の写真で見る写真そのまんま、と、当たり前の第一印象を描きながら「KIと申します」と言うと、「いやー、KIさん、お待ちしておりましたよ」と言う川又さんの声。でも、その声と目は、グルッと私を見まわすような“伺い”を感じながらの雰囲気。“ハハーン、第一印象はメールで感じていたイメージと違ったな…”などと思いつつ「失礼しまぁす」と言ってドカドカと川又ROOMに潜入開始です。

 この部屋にある機器の総額はいくら?

 改めて川又ROOMを見まわしてみると、JロゥランドのMODEL12が山のように積んであったり、部屋の両脇にはレビンソンのNo.33Lや33HLが置いてあったり…。ソファーの前にはP−0sやコヒレンス2、No.30.6L、32Lがあり、それらのすべてに直径4〜5センチはあろうかというPADのドミナスが繋いである状態。“こりゃ、よっぽどビッグな人物にならないと全部は買えな いな…”と、心の中で思うのですが、これだけ現実離れした機器を前にしてしまうと、自然と開き直りの境地に達してしまうんですね。私なんて“買えないけど聴かせてくださいね”という図々しい心境になってしまいましたから…。

 なんて思っていると「いやー、実は…」と言って来た川又さんの口から聞いた言葉は、クレルLAT−1での試聴だったのが、急遽ノーチラスの801に変わってしまったという説明。“ナルホド。それで伺うような口調だったのね…”などと思いつつ「ぜんぜん問題ありませんので801で聴かせて下さい」と私。でも、内心は“どっちもおいそれとは買えないけど、LAT−1の方が聴いてみたかったのに…”というのは、今だから言えるお話。まぁ、LAT−1の方が、ビッグな人物にならないと買えないスピーカーなんですけどね。

 金額の話はさておき、私がLAT−1の方が聴きたかったと思ったのには理由があるんです。
 実は今までに聴いたノーチラス800シリーズの感想って「オレは絶対に買わない音」だったからなんですよ。(使っている方、メーカーの方、ごめんなさい。でも最後まで読んで下さいね、誤解は解けますので…)秋葉原にある他店で聞いた801の音を簡単に言うなら“ブーミーな低音を響かせ、しかも定位はドコ?”というような、とても200万円もするスピーカーの音とは思えないもの。正直なところ、セッティングでどうにかなるレベルを越えているのでは…と思っていたのです。

 でも、川又ROOMまで来て、ダダをこねてもしかたがありません。早速挨拶もそこそこに、持ってきたCDで試聴開始です。

 今までのノーチラスって一体…

 エソテリックのP−0sから、レビンソンのNo.30.6L、No.32L、No.436L、B&Wのノーチラス801という組み合わせに、ケーブル類はPADのドミナスというのが試聴コンポーネントです。書いていて気が付いたんですけど、定価計算で2000万円近いシステムだったんですね。そんな高級システムを「ご自由にどうぞ」という調子でリモコンを渡されたら、アナタはどういうリアクションをするでしょう? ちなみに私は一瞬にして緊張状態に陥りましたね。「使っていい」と言われているのに、人間の心理とは不思議なものです。P−0sのリモコンを見て“再生はドコだ?”と、30秒くらい探したでしょうか。今、考えると、恥ずかしい限りです。そうそう、もし、そんな場面にアナタが出くわしたときにお教えしておきましょう。P−0sのリモコンの再生ボタンは、真ん中よりちょい下のあたりにあります。あわてずに探せば見つかります。

 また、話が脱線しましたね。

 で、これらのシステムを聴いた感想はというと“私が今まで聞いたノーチラスって何だったの?”というものでした。次元が違うとは正にこのことです。川又ROOMの奥の壁付近にポッカリ三次元的に浮かぶ音像たち。しかも、あるときはエネルギーが飛んでくるような力を感じ、あるときはP−0sが刻むカウンターが止まるまで、しっかりと心地よい余韻が聞こえるてくる。それでいて、音、というより音楽全体がやわらかいんですよ。大音量で聴いたとしても、気持ちよく寝ることができそうな音(音楽)とでもいいましょうか。とにかく、耳障りな音がしないんです。

 また、リスニングポジションを移動しても、音像は三次元的に残ったままというノーチラスの像の結び方にも感動しました。“キャビネットレスチューブ”というノーチラスの構造が生み出したモノという説明を川又さんから受けましたが、これはノーチラス独特の“置き方”があって初めて生まれるのなんだそうです。試しによく他のお店のデモで見かけるような置き方にしてみると、あら不思議。とたんに200万円のスピーカーとは思えないような、濁った音になってしまうんですね。
 いやー、このセッティングの違いによる音の違いは、絶対に聴いてみる価値がありますよぉ。ノーチラスが駄目スピーカーだと思っていた人は、間違いなく180度、考え方が変わりますからネ。私のように…。

 さて、買うべきか買わぬべきか、どうしよう?

 そんなこんなで約4時間近くも川又ROOMに居座ってしまった私です。結局、お目当てだった商品の実力は“こうすればこういう音になる”というのが判ったくらい。「●●●●●らしい音だね」とか「この口の締まり方が●●●●●の音なんだよ」といった、表現の仕方ができるまでは残念ながら到達しませんでした。というのも、他のメーカーのアンプを同じシステムで聴いていないですし、今日聴いたシステムと、ウチのシステムとでは、違いがありすぎますからね。ウチのシステムでお目当ての商品だけ換えると、どうなりそう…というところまでは想像できなかったというのが本音です。

 まぁ、それぞれのコンポーネントの可能性を見極めるのがお店でできること。そういう意味では、十分なくらい可能性は見えましたから、川又ROOMへ来た価値は大いにあったと思います。
 ただ、間違い無い選択をしたいが為に、もっともっと川又ROOMに通い詰めて、いろんなコンポーネントを聴かせてもらう方がいいかなっとも思いました。まぁ、それも川又さんにしてみれば困ってしまうでしょうが…。

 気になるコンポーネントがおいしい企画で出ていたら、とりあえずEメールで質問をしてみる。でもって、買う、買わないは別にして、川又さんの部屋へ遊びに行ってみるのは非常に有意義な事になるのではないか、と、今回、感じました。別に川又さんからお金を貰ったわけでも、特別割引してもらったわけでもありません。でも、これだけの文章を書こうかな、っと思うくらい素晴らしい体験ができましたし、年の差がそこそこあるであろう私に対しても、非常に親切丁寧に接していただきました。HALへ行ったことが無い方は伝わりずらいかもしれませんが、音はもちろんのこと、接客に至るまで、川又ROOMに居る時間はホント有意義なものだと感じました。

 川又さんはお店に来たからと言って「今すぐお買いなさい」とは絶対に言いませんでした。
 逆に感動できたんだったら、5年でも7年でもかけて、少しずつやっていくのもひとつの手。感動できなかったら買わなくてもいいんですから…と言う方です。
 「んじゃ、その感動を見せて貰いましょうか」というくらいの気持ちでHALへ遊びに行ってみると、いいんだと思いますよ。
 え? ところでお目当ての商品を私が買うのかって? 「うーん、今回は…」と断ってみるのもこのコーナー的には面白そうですねぇ。でも、あの「ズゥゥン!」という瞬発力があってしかも尾を引くような低音は、お目当ての商品ならではのような気がするし…。さて、どうしよう…。
 生活費を除いた給料の5ヶ月分以上…? ホントに困ったぞ。


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