GUEST & TALK

 

< GUEST & TALK Vol.11>

LINN SELEKT DSM

国内販売開始のアナウンスと共に製品発表会が行われたのが2018年10月初旬、合わせて来日となった Linn Product 代表ギラード氏の言葉でスタートした新製品発表会。今までLINNの新製品発表会は何度も開催されてきましたが、アップグレーダブルなLINN製品は既存プロダクトへの落とし込みによって作業が可能なこともあり、今回のように全く新しいプロダクトとして発表される製品発表会はいつにも増して新鮮で会場全体をワクワク感が漂っていました。集まった人達が一様に、ギラード氏自身もこの全く新しい製品を発表できることが嬉しそうでしたし、皆がギラード氏の一言一言に集中して聞き込んでいた様子を今でも良く覚えています。発表会より前、先行してアナウンスされたプレスデータに掲載のあった製品画像を見た時と会場で実際の製品を見て触った時の感触の違いときたら、プレスデータの製品画像を信用していなかった訳ではないのですが、実物は想像以上、とにかく触りたくなるような気持ちにさせられるプロダクトデザイン。これまでと同様にグラスゴーのLINNファクトリーで一台一台手作業で組み立てられる製品、有機ELディスプレイに浮き上がるように表示される数々の情報、触っているだけで嬉しくなるマルチファンクションのように様々な設定を行えるガラス製ダイアル、思い出せば1BOX ミュージックシステム CLASSIK MUSIC がそうであったように鍵盤をモチーフとしたファンクションボタンもその雰囲気を匂わせるようにSELEKT DSMに生きています。拘りの詰まったそれらひとつひとつが、シンプルな箱のように見える仕上がり、プレミアム1BOXミュージックシステムが拡張性を備えて登場したのです。

後に詳しく説明があったのですが、アップグレードという方法を続けてきたLINNがその経験を更に生かし、将来的な広い範囲での運用まで見据えた製品仕様になっていることが良く分かりました。最も重要なことは、そこに「音質」という最優先事項が常に据えられていること。音質より優先される条件はありません、当たり前のような事に聞こえるかもしれませんが、両手で心地良く抱えられる製品にはしばしばデザイン優先のような雰囲気を聞くこともありますがLINN製品にそれは全く当てはまりません。それはLINNの今までを見ればはっきりと答えが出ているのですから。


GUEST:リン・ジャパン 山口 伸一さん

 

山口さん:LINNは最初のプロダクトであるLP12から一貫して、アップグレーダブル、時とともに進化して、その時々の最新の技術を取り入れることのできる製品づくりを目指しているんですけれども、今回のこのSELEKT DSMは過去にないほどモジュール形式を推し進めたモデルになっています。

佐藤:ふむふむ。モジュールってのは機能の単位で入れ替え可能なユニットを用意するということですね。

柴田:既存のラインナップで考えると MAJIK DSM が同じ位置にあるように思えるけど、マルチチャンネル再生まで拡張性のある SELEKT DSM はまた別の位置にあると考えた方が良いかも。シンプルにプリメインアンプとして考える場合はお互い近いけれど、そこから先の設定の広さが SELEKT DSM には相当に存在しますね。

 

山口さん:SELEKT DSMはいままで、4つのバリエーション(スタンダードDACとカタリストDACモジュールそれぞれに対してパワーアンプ搭載モデルと非搭載モデル)がありましたが、新たなモジュールが加わって合計7つ、

・HDMIスイッチングモジュール
・サラウンドプロセッションモジュール
・カタリストDACモジュール
・スタンダードDACモジュール
・パワーアンプアウトプットモジュール
・ラインアウトプッとモジュール
・パワー+ラインアウトプットモジュール
この中から選択して、組み合わせることができるようになりました。

柴田:まさにSELECTですねぇ。

 
上の画像で内部の分かるSELEKT DSM、製品に向かって左側にモジュールが組み込まれる、画像では2台のモジュールが搭載された様子が確認できる

山口さん:というわけで、実際に今日はモジュールの変更の仕方を見ていただくために、2台のシャーシを持ってきています。まず上部シャーシがリア部にある左右ふたつのネジでぽんと外れます。そしてこのフロントパネルを止めている四つのネジを外す。ハンダや特別な工具は必要ありません。

厚木:楽しい!

柴田:今までもアクティブモジュールやDPS(ダイナミックパワーサプライ)のアップグレード作業でLINN製品はその都度製品内部を触る事があるけれど、アップグレード作業のステップが分かりやすくスムーズに行えるようになってるんです。こういうところまで考えてデザインしてある事にも毎回驚きがあります。(※製品内部の作業は LINN JAPAN 及び販売店スタッフのみが行います)

 
こちらの画像はモジュール1台仕様

柴田:そう言えば、SELEKT DSM のパワーアンプモジュールは今までのチャクラテクノロジーなんですか?

山口:あ、良い質問ですネ。LINNパワーアンプは1999年にKLIMAX TWINを発表して以来、主に「チャクラテクノロジー」を採用してきました。パワーICとバイポーラトランジスタを組み合わせ、ローレベルのリニアリティーとハイパワーの両立を実現したこのテクノロジーはアンプの1つの理想形であり、どのクラスの製品にあってもLINNパワーアンプは期待を裏切らない優れたパフォーマンスを誇っています。

柴田:静寂から音が浮かび上がる感触というか、そういう音の世界をはっきり感じる事ができたのを覚えてます。それでいて爆発力を備えている。どのクラスを使用してもLINNのサウンドイメージに共通するものを感じるのはそういうことですね。

山口:SELEKTのコンセプトが出来上がった時、LINNは新しいアンプ回路を投入することを決意しました。SELEKTで採用したのは「アナログクラスD設計」です。非常に高効率でスピーカードライブ能力に優れるこのテクノロジーでは、一般的にしばしば歪みの高さが問題となります。SELEKTに搭載するパワーアンプとしてLINNは、PFF(ポスト・フィルター・フィードバック)と呼ばれる独創的なフィードバック技術で徹底的に歪率を低くし、またスピーカーへの制御力を高めています。元来この方式の高効率・ハイパワーという特色と合間って驚異的なクオリティーをもつアンプが出来上がりました。SELEKTをきっかけに新しい時代に入ろうとしていると言えるかもしれません。

柴田:目に飛び込みやすいデザインやモジュール式という仕組みに惹かれがちだけど、基本的な音質へのアプローチへ徹底的に手を入れている、しかもこういうことを大きく謳わず静かに落とし込んでいるところがニクイんですよね。

山口さん:それではまず、スタンダードDACとパワーアンプアウトプットモジュールを積んだ「SELEKT DSM SA:¥880,000」から聴いてみてください。

 
ディスプレイ表示はある程度の時間で消える仕様、何らかの操作を行った時に自動で表示され、またはフロントディスプレイに手を近づけることで表示される

試聴曲 <Ella & Louis #Tenderly>

柴田:うん。十分良いですよね。つまりこれで例えばDACだけを変えたりできるんですよね?

 
モジュールのDAC部分はスタンダードとKATALYSTで選択可能、もちろんスタンダードからKATALYST DACへのアップグレード(交換)も可能 (画像はKATALYST DAC)

山口さん:はい。カタリストDACモジュールを用意しているので、入れ替えてみましょう。(カチャカチャ)できた!

佐藤:瑞々しさが増した感じありますね。

厚木:うん。こっちの方が楽しいね!

山口さん:カタリストDACモジュールは単体で¥300,000ですが、最初から搭載した場合 (KA) のSAとの価格差は¥220,000です。更にこれにパワーアンプアウトプットモジュールをもうひとつ追加して、バイアンプにしてみましょう。

厚木:楽しい!!

佐藤:最初のバージョンでも十分サッチモしてましたけど、録音されたその場の感じがより分かるような気がしますね。これが“質的に“最高のモジュール構成ということですね?

 
SELEKT DSM発売前から既存製品へのアップグレードとしても発表されていたサラウンド・プロセッシング・モジュール。今まではBDプレーヤーのデコードに頼ったPCMマルチチャンネルでの音声出力のみに対応していたが、このモジュール搭載で様々なサラウンドフォーマットに対応できるようになった

山口さん:はい。これ以外にもHDMIスイッチングモジュールやサラウンドプロセッシングモジュールという機能拡張的なバリエーションもあります。

柴田:これ一台で5.1chサラウンドシステム構築が出来るんですね。しかも Katalyst DAC でのクオリティーを想像すると。。。映像やサラウンド再生は機器の多さや接続のややこしさで面倒だと思っている方にこそ改めて楽しんでもらいたいですね。

厚木:よく出来てるなぁ〜、あっ!ハート見っけ♡

佐藤&柴田:ほんとだ〜♡

山口さん:それは偶然です。


 


SELEKT DSM は基本的に4つのモデルをご用意しています、スピーカーを繋ぐだけのプリメインアンプとして使用できるモデルがスタンダード仕様とKATALYST仕様、プレーヤーとして使用したい方のためのスタンダード仕様とKATALYST仕様、この4つのパターンから選ぶ事ができます。ここからは使用される皆様の環境、希望に合わせてカスタマイズ。例えば初めからバイアンプ仕様で組み上げたいという方には、プリメインアンプ仕様のSELEKT DSM-SA or KA のどちらかを決め、更にDACの仕様を選んでパワーアンプモジュールと合わせた追加モジュールを組み込めばバイアンプ仕様のプレミアム1BOXミュージックシステムの出来上がり。映画も音楽もさりげなく、最高の音を聴かせるプリメインアンプの出来上がりです。

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