『PITHECANTHROPUS
  ERECTUS』
THE CHARLIE MINGUS
JAZZ WORKSHOP


チャールス・ミンガス(b)
ジャッキー・マクリーン(as)
マル・ウォルドロン(p)
ジャック・モントローズ(ts)
ウィリー・ジョーンズ(ds)
ATLANTIC AMCY-1183
●1956年1月30日録音


『ピテカントロプスの叫び声』
・・・『直立猿人/チャールス・ミンガスを聴きながらお読み下さい』
 普段、特上のにぎり(ブルーノートの音)ばかり食べて(聴いて)いると少し変わった物(音)が欲しくなる・・・。そんな時に聴きたくなるのがこの「直立猿人/チャール ス・ミンガス」です。わたくしが初めてこの曲を聴いたのは、高校生の頃でした。
なぜか自宅にこのレコードが置いてあり、何とは無しに聴いていました。その
当時、普段はポップスばかり聴いたのでこのチャールス・ミンガスの直立猿人は、はっきりいってよく判りませんでした。唯、スリルと迫力を感じたのをよく憶え ています。今、改めて聴いてみると、ミンガスは比類稀な個性的なジャズマンという事がよく判りますが、当時はまだこういった大人の雰囲気は、全然理解出来 ませんでした。まぁ、子供が「銀だらの西京漬け」の味が判らないのと同じように・・・。昔話はさておき、改めて聴くミンガスの曲は本人のベースはもとより、
グループのリーダー、ならびに編曲者としての才能はまさにデューク・エリントンに匹敵する程で、素晴らしいものを持っています。絶対にまねの出来ないその
個性は、良い、悪いを超越してしまう程魅力的です。ミンガスの音楽は、確かに万人の方に受け入れられるものではないかもしれませんが、一度、はまって
しまうと、なかなか良いものです。

 オーディオの魅力は色々ありますが、その中の一つに大音量で聴くという事があります。この「直立猿人」はまさに大音量で聴きたい曲です。昔、ローリグ
ストーンズのレコードのジャケットに出来るだけ大音量でお聴き下さいと書いて
あり、当時、その通りにしていたら近所から怒られた記憶が甦って来ました。
このアルバムもストーンズと同じ様に出来るだけ大音量で聴く事をお薦め致し
ます。すると、ミンガスの思想や主張が肌に伝わってきます。なかなか都会では 気兼ねなく大音量で聴ける環境は出来ませんが、そんな理想を夢見ながら
ご近所に気兼ねしながら聴いているのが実情なのですが、いつの日かは、専用 のオーディオルームを造り、耳から血がでる程の大音量で聴いてみたいと思う、今日この頃です。(ご近所から苦情がきても、一切責任は負いません。)

《一言いわせて》
ミンガスのアルバムの中でも特に個性的な1枚です。

5月△日『晴れ』糸井 司

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