equipment
I m p r e s s i o n
ここでは、日々接した機器のことや試したシステムのことを中心にご紹介します。

08.5.30
NuForce P-9 / Reference9 V2 SE




プリアンプの"P-9"が45万円、パワーの"Reference9 V2 SE"がペアで70万円とセパレート・アンプとしては比較的リーズナブルな価格ですが、ここ最近ちらちらと噂も入ってきていたので、聴いてみたと思いデモ機を輸入元様のご厚意で用意してもらいました。
"B&W 802D"なんかがあればちょうど良かったのかも知れませんが、今のところは鳴らせるスピーカーが強者の"MAGICO V3"ということで、ちょっとどうかなぁーとも思ったのですが、せっかくなのでプリの"P-9"だけでなくパワーも一緒にお借りすることにしました。

最初は慣らしもあり、プリはJ1の"プライマリー・ラック”パワーは同じくJ1の”アイソレーション・プラットホーム”に「ポン置き」状態です。

スピーカーは"V3"ですが、全体のトーンとしてはパステル・カラー調で一聴して高S/Nからくる音抜けの良さにまず感心します。
しかし、低域はバランスとしてはおかしくない鳴り方ですが、やはりややストレスを感じるというか、低域の一番美味しいところ・・中低域から低域にかけて出てくる深みのある響き、残響感はもの足りません。
それ以外は、本当に「良く鳴っている」という感じなのですが。

一日ほどここまま鳴らして、翌日にまず"P-9"から手を付けることにしました。
"P-9"は電源/コントロール部とプリ部の2筐体になっています。

まず、手軽にできるところから"P-9"のプリ部だけにインシュレーターを使用してみましたが、これは効きました。
フィニッテエレメントの"Ceraball Universal"を使用することで、エッジが立つことなく音像が明瞭になり、相対的に空間も深くなりました。

プリをセットしたJ1の"プライマリー・ラック”は、濁りの原因になる微少な振動による附帯音に対する消音性に優れたラックですが、効き過ぎると少し表現に対する抑制も目立つ傾向にあります。
フィニッテを使用することで表情に開放感がでてきました。

"NuForce"の造り自体も悪くは無いのですが、何しろ小さくて軽いせいかインシュレーターも含めて、セットアップの仕方によって敏感に反応しそうです。
調子に乗って、"P-9"の電源部にジェフ・ローランドの"JS-32"、そしてパワーには"StillPoint"を使用してみましたが、中域のコントラストがより出てきた他、気になっていた低域もきちんと下がり切るようになり、自然な納まり方になってきました。

そして、激変したのは電源の取り回し。
ACをとるコンセントの組合せや、アース処理で驚くほど変化します。
もちろんACケーブルの選択も、同クラスの他の機器よりもセンシティブに反応するのではないでしょうか。
電源環境はまちまちなので、こうすると良いとはなかなか言えませんがこの"NuForce"に関する限り、そこまでやらないとせっかくの製品がもったいないことになります。

もちろんデリケートな音色や音楽的な陰影感の表現など、はるかに高い他社の上位機種と比較すれば言いたくなることもいろいろありますが、結局は最初に感じた中・低域に対する不満も払拭されて、均整の取れた自然な鳴りっぷりはコストパフォーマンスで評価すれば「抜群」ということになると思います。


08.5.04
YG Acoustics ANAT Reference II




遅ればせながらのインプレッションになってしまいました。

先月の27日までの約10日間じっくりと聴かせてもらいました。
今回このフローアーに来たのは以下のシステムになります。
・ANAT R II-MM
・ANAT R II-SS/P
リファインしたANATにパッシブ・サブ・ウーファーというシステムです。
このシステムをほとんどの場合、以下のシステムで鳴らしていました。
<プリアンプ>
Ayre KX-R
# AC Cable:Shunyata

<CD/SACD>
ESOTERIC P-03 / D-03
#Clock Link Cable:JORMA Digital BNC X 1
# Dual AES/EBU:NBS OMEGA Digital X 2
# D-03-KX-R InterConnect:Stealth Indra
# AC Cable:Stealth

<アナログ・プレーヤー>
LINN LP12 / EKOS SE / KEEL / LINGO / TRAMPOLINE 2
LYRA HELIKON
Sutherland PhD

<パワーアンプ>
Ayre MX-R
HOVLAND STRATOS
# Pre-Power InterConnect:Transparent Music Link ULTRA / XLR
# AC Cable:NBS

<スピーカー・ケーブル>
#Speaker Cable:JORMA NO.1 Cable Triple Wirewring
#脚は純正スパイクではなくフィニッテエレメントの"CERA BASS"を使用

ほとんどの場合パワーアンプはMX-RでのAyre純正組合せでしたが、途中STRATOSを数日お借りして鳴らすことも試みました。

さて、"YG"と言うとどんなイメージをお持ちでしょか。
「精密機械のような再生をするスピーカー」
こう言ったら一度でも聴いた事のある方でしたら、全てではないにしてもある部分うなずいていただけるのではないでしょか。

私が最初に聴いたのは2005年だったと思いますが、最初のANAT-MMのそれも新品だったものですから、印象は強烈でした。
「精密機械」から放射される音に違和感を感じながらも、その精緻で全く隙のない音場空間に恐れ入った、という感じだったでしょうか。

今回、"ANAT II"になり最も大きな変化はツィーターがそれまでのヴィファ社のリングラジエーターからスキャンスピーク社の新設計ドームツィーターへの変更で、これに合わせてツィーター廻りの形状の変更と新設計クロスオーバー・ネットワークの採用があります。

音を出しての第一印象は「音質が変わったな。」というものでした。
エキセントリックとも言えるほどの個性的な音場の構築力はそのままですが、入ってきた音全てを素のまま出し切る「精密さ」に「繊細さ」も加わった感じでしょうか。
また、以前の"ANAT"ではあまり感じることの無かったウェットな質感も楽器や声によってはかなり感じます。

簡単に言うと、インパクトが薄れた分私にはこの方がナチュラルに聴こえます。

しかし、これまでの"YG"同様揺るぎない、淀みない音場の中に微細な音ひとつひとつが際立ち、決して埋没したり崩れたりしない絶対的な安心感があります。
私は普段それほどの大音量派では無いのですが、今回は気が付くとかなりの音量で試聴していました。
音量をいくら上げても、一音たりとも崩れずまた音場空間の変化も見られません。
そして、全くうるさくならない。
しかし、聴き終わった後はいつになく疲れていましたがそれは「心地よい疲れ」でした。
ここまで鳴らせば聴く方も自然と力が入る、ということでしょうか。
真剣に対峙する"Reference"の名にふさわしいスピーカーだと思います。

08.4.06
Ayre KX-R ...その2





"KX-R"の展示を正式に開始してから今日で10日ほど経過しました。
通電時間では100時間を超えており、実際に鳴らした時間も50時間は超えていると思います。
"MX-R"の時のことを考えると400時間は欲しいところですが、取りあえずで語ることができるくらいには鳴り始めました。

これまでのところ常時以下のシステムで使用しています。
<プリアンプ>
Ayre KX-R
# AC Cable:Shunyata

<CD/SACD>
ESOTERIC P-03 / D-03
# Clock Generator:ESOTERIC G-0Rb
#Clock Link Cable:JORMA Digital BNC X 2
# Dual AES/EBU:NBS OMEGA Digital X 2
# D-03-KX-R InterConnect:Stealth Indra
# AC Cable:Stealth 他

<アナログ・プレーヤー>
LINN LP12 / EKOS SE / KEEL / LINGO / TRAMPOLINE 2
LYRA HELIKON
Sutherland ph3D(新製品)

<パワーアンプ>
Ayre MX-R
# Pre-Power InterConnect:Transparent Music Link ULTRA / XLR
# AC Cable:NBS

<スピーカー>
Wilson Audio:System 8
#Speaker Cable:JORMA NO.1 Cable

この10日間でもっとも感じたことは、"KX-R"のことよりもこれまで約一年間使っていたパワーアンプの"MX-R"に対する認識が少々変わってきたことです。
"MX-R"はすでに評価も確立しており、その駆動力とスピード感は私も自分のフロアーで充分認識していたつもりですが、"KX-R"で"MX-R"を鳴らすことで正に血が巡り出すというか、アドレナリンが体内を駆けめぐるような躍動感が出てきて音楽表現としてのダイナミックレンジが格段に増幅されたよう感じました。
そう、"MX-R"が本当に歌いだした感じ、とでも言ったらいいのでしょうか。

これは"K-1XE+V-1XE"のイメージとは違い、また"MX-R"を単独で他社のプリと使っていた時とも印象は違います。
また"K-1XE+MX-R"も使ってみたことはありますが、それとも別物です。
これまでのエアーのイメージ・・スピード感と空間表現の巧みさといったところに、音像そして音場全体に彫りの深さと抑揚のダイナミズム、深みが加わった感じです。
実体感のリアリティー、そのグレードが違うと言ったところでしょうか。

ここにあるウィルソンのシステム8がこれまでで一番良く鳴っていると思います。
このシステム8は展示品を売りに出しているのですが、まだ売れてなくて良かったといったところです。
システム8を売りに出している理由は、約一年使って程度の良い内に処分したいのと、もう一つの大きな理由が"MX-R"でも鳴らし切れていないのではと思っていたことです。
このフロアーで、更に強力(高額?)なパワーアンプをその為に常備するのも物理的にしんどいなぁ・・ということだったのですが、"KX-R"とのセットでその認識も変わりました。
セパレートアンプの場合、いろいろな組合せを試みることができるのも魅力のひとつですが、純正組合せにはやはり「なるほど」と思わせる何かがあるようです。


08.2.19
Ayre KX-R


輸入元アクシスのHPにスペック等詳細が載りましたので、細かな仕様についてはそちらをご覧下さい。
→ Ayre KX-R

このフロアーにあったのは実質1日、その中で飛び飛びに聴いていたのでもっともらしいことは言えませんが、こういった初めての製品と対峙した時の最初の印象が、そのまま確信に変わることも珍しくないというか、そういった場合の方が多いのではないかとも思いますので、極々簡単に印象だけお伝えしようと思います。

システムとしては、"P-03+D-03+G-0S" - "KX-R" - "MX-R" - "System 8"でセットし途中でアナログ(XERXES 20 + Sutherland)も少し聴いたりしました。

時間が無かったので、あれこれしないで手の空いた時に聴くとという感じでセットもただ置いてつないだだけ、というのに近いです。

まだ耳も馴染んでいない状態で最初に感じたのは「音数が多い」と思ったことと「左右のセパレーションが気持ちいい」という何とも素朴な感想です。

「音数が多い」というのは、まぁ分かるとしても「左右のセパレーション」というのは自分でも可笑しくなりました。

音質はもちろんですが、情報量とか密度とか空間の構築・定位というスタンスで計る姿勢が身に付いていると思っていたのですが、「左右のセパレーション」ですからね。
このクラスで今時 「左右のセパレーション」が悪いものなんてあるんだろうか?と思わず 考えてしまいましたが、これまでリファレンス的に"MX-R"とつないで聴いてきた機種、代表的なものはレビンソンとか同じAyreの"K-1XE"とかになりますが、 それらとは音場の納まり方が少し違うように感じました。

在りもしない空間を創造するのではなく、正直に再現するといった感じでしょうか。
それで、ステレオの左右のスピーカーから出てくる感じが妙に「懐っこい」雰囲気なんでしょうか。

その辺が良いのか悪いのかは今は全く分かりませんが、アナログを鳴らした時の古臭い音楽でもあまり違和感は無かったです。

ただし、「音数が多い」のと「懐っこい」雰囲気がどう両立するのかがまだ分かりません。

何と言っても、まだろくに聴いていないに等しい状態で今あれこれ書くと後で後悔することになりますので、この辺で止めておきます。

いずれにしても、これまで"MX-R"はそれなりに販売しておりその責任もありますので"KX-R"はこのフロアーに導入します。
出荷が始まれば真っ先にここにくると思いますので、ちゃんとしたインプレはその後にしたいと思います。



08.2.10
NAGRA CDC

ナグラのプリアンプ機能付きCDプレーヤー"CDC"です。
アイデンティティーのある独特のデザイン、精密感漂う仕上げ、ルックスでまず10点満点です。
スイッチやつまみの操作感、質感も操作するたびに嬉しくなるような作り込みです。

ナグラと言えば業務機ですが、その制作チームによって作られたCDフォーマット専用のプレーヤ3機種が昨年市場にでてきました。
この"CDC"、プレーヤー"CDP"、トランスポートの"CDT"ですが熟慮し、そして"CDC"と"CDP"は実際に比較した上で"CDC"の方をフロアーに導入しました。

ここでは、"CDC"からパワーアンプへダイレクトの時もあれば敢えてプリ・アンプを介して鳴らしている時もあります。

アナログ変換は24ビット8倍オーバーサンプリング、しかしアルミ削り出しのシャーシでDAC部をカプセル化するなど、パーツの選択と無駄を排した作り込みで濁りも揺れも無い一音一音の粒立ちを実現しています。


そして、これがナグラ・モノブロック・トレーと呼ばれるピックアップ・メカ、ディスク・トレー、そしてプレイバック・モジュールを一体化したフロント・ローディング部です。

メカそのものはフィリップスのCD-Pro2Mを搭載、これがトレー部と一体となって開閉する様は、なかなかのものです。

下の写真はCDをセットしたところ。
クランプは削り出しで、マグネットで固定されます。
これにより、センターが確保されサーボシステムのエラー補正も有利にはたらき情報の正確な読み取りに貢献します。


これが背面。
見えているケーブルはXLRの出力と、向こう側は付属の12V外部電源からのケーブルです。

出力はXLRとRCAがそれぞれ1系統、デジタル出力が3系統ありますが入力はありません。
非常に潔い設計です。

輸入元:大場商事 NAGRA CD Player


ナグラのプリアンプ機能付きCDプレーヤー"CDC"は昨年の7月下旬頃マインドショップの時から使用していて、このフロアーの定番のひとつでもあります。
展示導入した時の最初の印象が以下です。
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ひとつの音が出てくるまでの間(ま)、そしてひとつの音が消えてゆくまでの時間の流れ、それらが繰り返しお互いに重なり合いながら大きな波長を作っていく・・なんだかこのプレーヤーで聴いていると別々の波長が共鳴しあって次第に大きなひとつのバイブレーションになっていく様がよく分かる・・と言うかそういった聴き方になってしまいます。
まだ使い始めたばかりですが、このCDプレーヤーを語るのに解像度がどうこうとか、実体の存在感云々といった言葉の羅列が陳腐な感じがするほど、どんな音楽も自然に鳴らすような気がしております・・さてどんなもんでしょうか。
*2007年7月28日 (土)
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この印象は今でも変わっていません・・簡単に言うと私の好みです。
もう一つ好みということで付け加えると、 「開放感」を感じることです。
この場合の「開放感」は、突き抜けるようなとか底抜けの明るさということではなく、感情を自然に解き放しているとでも言えるような、深い悲しみや至上の喜びを素直に現してくれているように感じることです。
表情や表現に「用意」されていたようなスクェアーなところが無く、 機器を意識することなく音に耽溺できる、といったところでしょうか。
このフロアーでリファレンスとして使用しているESOTERICの"P-03/D-03"とは違った意味で、しばらくの間は手放せないプレーヤーです。
07.12.31
B&W Signature Diamond

木曜日に"B&W Signature Diamond"の試聴機が来ました。
当然今年の大注目機種なのですが、どうも私のタイプでは無いかも・・とか、ダイナの他店で主に(私から見て)若手のスタッフが入れ込んでいるようなので、何となくこちらからは輸入元様にはここでの試聴の声をかけませんでした。
「短期間ですが年末年始急遽空きました。」とのことで 声をかけていただき、ならば!と言うことでお借りしました。

送り出しは"ESOTERIC P-03 / D-03"で、NBSの"OMEGA AES/EBU"2本でデュアル接続しています。
現在、ここに外部クロックが無いため"JORMA Digital-BNC"でD-03送り出しでのクロックで凌いでいますが、それでも解像度、情報量ともこのフロアーのリファレンスに恥じないクォリティーです。


プリとパワーは"VIOLA"の"Cadenza"と"Forte"です。
"Forte"は元々ここにあるのですが、そもそもはB&Wの"802D"をとことん気持ちよく鳴らそうと思って"Cadenza"の試聴機をお借りしました。(1月中旬まで)

今回たまたまその組合せで、"Signature Diamond"を鳴らす機会に恵まれましたが、もちろんここのフロアーのリファレンス"Ayre MX-R”との比較にもなります。

D-03からは"Transparent MUSIC LINK ULTRA"での接続、SPケーブルはいつも通りの"JORMA NO.1"です。


私の感じたことをそのまま言葉にすると「素晴らしい!」「希に見る完成度!」「至上のバランス!」と言うことになります。
"MAGICO V3"のすぐ後にそんなことを言うと「節操の無い奴」と思われるかも知れませんね。
そこで、あえて 付け加えると「好みかそうでないか」で言えば「好みではない」と言うことになってしまいますでしょうか。

世の中の99%の人には私の好みなど関係ないと言うことは分かっていますので、恐れず「好みでない」と言ってしまうわけですが、それと素晴らしい作品へ対する評価と尊敬はやはり別のものです。

聴く前のイメージでは、高域がもっと立つイメージだったのですが、思いの外強調感もない・・どころか大人しい印象を持ちました。
最低域の伸びや低域の残響感のきめ細かさなどは、普段聴いているスピーカーがもう少し大型のものなので、それと比較すれば「出し切っている」という感じではありませんが、先ほどの「あまり頑張っていない高域」との絶妙なバランスがそれでちょうどとれている、といった印象です。

そして、一番感動したのはそのちょうど良い具合に設定されたレンジの中での解像度が抜群なことです。
これは、ヴォーカルの微妙なニュアンス、弦楽器やリード楽器の生々しい振動、抜けが良く尚かつ厚みのある空気感、背景の自然な落ち着き等々、「2ウェイスピーカーとはこうあるべき」と思わずポンと膝を叩く・・です。
ダイヤモンド・ツィーターを使った機種もいくつかありますが(一番上の写真は偶然ですが3機種ともそれですね) この"Signature Diamond"が一番しっくりいっているのかも知れません。

レンジが狭いのを「中域重視」と言っているのとは次元が違います。

パワーアンプは"Forte"でも"MX-R"でもそれぞれのアンプの持ち味、特徴が良く出ます。
"Forte"では、微妙に緩く滑らかな感じが心地よく、 "MX-R"ではタイトで最高域、最低域ともより伸びます。

さて、こんなに素晴らしいのに「好みでない」理由ですが、私としては何となくかけるソースを気にしてしまうんですね。
ソースの新しい、古いは関係ないと思います。
また、大編成のオーケストラでもその満足度はかなりのものです。
恐らくほとんどの方は、このサイズからは信じられないスケール感を感じることができると思います。

ところが、大雑把に言うと私にはアナログよりもCDの方がいい音に聴こえてしまうんですね。
これは、同じ音源をアナログとCDで比較してと言うことではなくて、全体の印象がそう言う感じなんですね。

CDの方がしっくりくる、というのはある意味「福音」でもあるのですが
私のように「アナログでしか持っていない」ものが多い場合、「・・・」となってしまいます。
そして、やっぱりこのスピーカーでこてこてのサザン・ソウルやスワンプはかける気にならないですね。

「好みでない」という理由もけっこう低次元だなと自分でも思いますが、これもオーディオですね。

結論:"Signature Diamond"はこれまで聴いた2ウェイスピーカーでは最高です。


07.12.14
速報!MAGICO "V3"

ミッドとトゥイーターです。
ミッドとウーファーに使われているのが「カーボン・ナノチューブ」です。
ロハセルを真ん中にナノ・カーボンでサンドイッチにした構造だそうですが、アルミニウムの半分の軽さ、鋼鉄の20倍の強度、そしてダイヤモンドすら凌駕する引っ張り強度だそうです。

いずれにしても、初めて見るものは新鮮ですし興味もあります。

素晴らしいたたずまい、私はこういうのが好きです。
遠目で見るとシンプルなだけですが、近くで見るとグッとくるものがあります。

3Way、4スピーカー、完全密閉・・ユニットの口径も小さいし
いかにも鳴らし難そうだけど、鳴らしてみたいという感じです。

これは昨日の写真です。
ESOTERIC"P-03+D-03"MarkLevinson"NO.326S"+Lindemann"855"で鳴らし始めましたが、それまで鳴らしていた"Thiel CS3.7"よりもさらにアンプに厳しい手応え。
しかし、新型のLindemann"855"はけっこう気持ち良くドライブします。
厳しさとかはありませんが、大人の雰囲気というか輪郭を甘くすることなく音楽の持つ波長をジワーっと出してくる感じです。
この良さは年をとるほど分かる・・といったところでしょうか。

昨日はその後パワーを"Ayre MX-R"に代えてドライブしましたが、その時の印象はLINDMANNの時に感じた音の切れの良さと情感の密度のバランスが更にデリケートにそしてストレートに、背景に溶け込んでいるのに、くっきりとぶ厚い音になったように感じました。

左が今日のセットです。
思うところがあり、CDは"NAGRA CDC"プリは"B.A.T VK-51SE"でパワーは"MX-R"でセットしました。
接続ケーブルは、CD-プリが"STEALTH INDRA"プリ-パワーが"StraightWire Crescendo"でスピーカーはいつもの"JORMA NO.1"です。


初めての製品で「感動」に近いものを感じたのは久々です・・CDC以来でしょうか。
聴感上でスピーカでの「かぶり」のようなものは感じません、実にクリアーなのですが「人」がそこにいる感じ「実在感」があります。
それも半歩退いた実在感と言いますか、聴き手が集中して入り込んでくるのを待っているかのような実在感です。
いかにも・・とか、あざとい感じの実体感、実在感ではありませんね。
これは、音楽を聴く時にフレーズではなくてその人が音を出した瞬間に「好き、嫌い」を何となく感じ取るようなところに似ていて、その「好きな感じ」が波状で来るとでも言ったらいのでしょうか。

また、背景との距離感や空間表現も私的にはドンピシャリです。
これは、プリをレビンソンに代えても同じで、こってり感や音像の分布が多少変わるくらいで「趣味の違いですね」で片づけられると言ってしまいたいくらい、どちらもOKでした。

オーディオで一番大事なのは「何をどう聴きたいか」だと思いますが、真剣勝負するつもりならこのスピーカーは音楽のジャンルを問わないのではないでしょうか。
リスナーが演奏者の波長を感じた時にスッと迎え入れてくれるスピーカーで、その意味ではジャズもクラッシックもロックも、更に言えばCDもアナログもゴキゲンでした。

パワーアンプを"NAGRA MPA"に代えても鳴らしましたが、ヴォーカルやソロ楽器などはより親近感を感じる鳴り方になります。
最高域や最低域のハイエンド、ローエンドは若干丸くなる感じはありますが、それはそれで微妙な味わいに昇華しているようなゆとりもあります。
ただし、21世紀のハイ・ファイということだったらやはり"MX-R"かな・・。

しかし、ステサンのグランプリにあれが入ってこのV3が入らないなんて人によって好みが違うんだなーと実感した次第です。
まぁ、いずれにしても一緒にこのV3を試聴したお客様共々その出来栄えにいたく納得した次第です。

追記>明日このデモ機の貸し出し延長をお願いしてみるつもりですので、叶ったらお知らせします。


07.11.25  
Wilson Audio "System 8" を NAGRA" MPA"のB.T.Lモノで鳴らす。

-- いちばん奥の縦型2台が"MPA" --

すでに生産完了になっているNAGRAのステレオ・パワーアンプ"MPA"ですが、このアンプがB.T.L接続できることは意外と知られていません。
元々あった1台にもう一台を追加して、モノ・ドライブでウィルソンの"System8"がどう鳴ってくれるのか。

ちょっと分かりにくいかも知れませんが、B.T.L時の接続はこうなります。
スピーカー端子の間に、ステレオとブリッジの切り替えスイッチが付いています。
ただ、取説を見ても「8Ω時最大250W」とあるだけなので、はっきりとは分かりませんが、実効はこれの2〜4倍の出力ということになります。

プレーヤーは同じくNAGRAの"CDC"です。
プリ機能が付いていますので、SYUNYATA"Antares"で"MPA"にダイレクトに接続します。
"CDC"の下に見えるインシュレーターはJEFF ROWLANDの"JS-32"
音像の鮮度が上がり、 試聴時には最適です。

さて、"System8"ですが・・どんなもんでしょうか、これまでのよく聞く印象としては一言で言うと「ファイブからの流れからくる鮮烈なイメージが若干後退した代わりに大人になった・・」というところではないでしょうか。
はたして、そんなものではないことが今回分かりました。

今回のこの"MPA"モノ・ドライブでは今まで経験したことのなかった"System8"の鳴りっぷりを聴くことができます。
ジャズもクラッシックもロックも、極めてタイトで音像が活き活きと浮かび上がり、まさに演奏者の一挙手一投足が手に取りように伝わってきます。
ウッドベースや生ギターの胴鳴りも、スピーカーからと言うよりもあたかも"System8"自身が楽器と共鳴しているかのようなリアルな波動を感じることができました。
NAGRAの持つナチュラルなざらつき感とでも言うのでしょうか、決してきれいなだけではない生の人間の演奏を肌で感じます。

以前のモデルから"System8"を進化したととらえるなら、それは「深み」だと思います。
パシッとほほを叩かれるといった印象から、高性能なだけでなくググッーと演奏の場に引きずり込まれる強力な引力を身につけたスピーカーです。


お問い合せ:秋山 akiyama@dynamicaudio.co.jp
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