第五十一話

「古典的理論と新技術の融合がなせる感動とは」



プロローグ

近年にない冷夏となった2003年の8月某日。ふと考えてみると、この「音の細道」を書き始めてちょうど10年目になったことを思いついた。
これを書き始めた当時はワープロを使っていて、わざわざ印刷して希望者に郵送したり店頭で配布していたものである。 そのワープロで執筆した原稿をMS-DOSに変換できればweb に上げられるという技術的な問題が解決して、私が過去に蓄積していた膨大な文章が有効活用できるということが判明し、 当社のホームページが開設された96年当初から全社の中で唯一私一人が専用サイトを作り最新情報を公開してきたものだった。
懐かしい開設当初の当社のホームページがこれである。
 当時のwebの管理者からも、「ワープロはいい加減にやめてPCを導入したらどうか…?」、と言われ続けながらも、顧客管理と執筆だけならワープロで十分だ…と、 高をくくって三年間もMS-DOSに変換したフロッピーでweb担当者に原稿を持参する日々を繰り返していたものだ。
その頃はH.A.L.'s Circleもなく、eメールも店に一台あったコンピューターで他のスタッフに原稿を渡して返信させるというような状態だった。
 その私が始めてコンピューターを手にしたのが2000年の4月のこと。キーボードには長年親しんできたが、初めてマイPCを手にしたとき私の想像力は一気に開花した!! それがどのようなコンテンツを生み出してきたかは周知の通りであろうが、PCを使い始めるまでと根本的に変わったことがいくつかある。
まず、お客様からの電話の数が激減したことだ。
お陰さまで、ここ数年は当社でトップの実績を上げさせて頂いているが、それだけの仕事量をこなしているのに電話を頂く回数は当店でも最も少ない。 それほどeメールでのコミュニケーションに徹しているということだろうか。
 そして、この「音の細道」の執筆回数がワープロ時代には月一程度の割合で手がけていたものだが、PCを使い始めてからは年に一回程度となってしまった。
これはデスクワークの時間が大変充実してきたということと、取り扱う商品数、入手する情報量が以前にも増して多くなってきているということ。そして即時性のある通信手段が確立されたということで、 皆様にお知らせすべき情報を蓄積させる必要がなくなったということ。
逆に言えばメールマガジンとweb siteの活用で発信する情報量が格段に増加し、ワープロ時代の仕事のペースでは追いつかなくなってきているということだ。
しかし、商品を分析評価するという専門店本来の姿勢をおろそかにしているということは決してない。ただ、この誌面で時間と労力をかけても詳細に語りたいという優先順位がどうしても必要になり、 ショートエッセイという短編ではなく、正式版の随筆を手がけることには大いなる動機が必要になってきたということだ。
これを言い換えれば"私のレベル"で感動できる作品が表れるかどうかということになろう。
 仕事柄数多くのコンポーネントを聴くのだが、"いい音のアンプ"にはしばしばお目にかかることがあるが、"私のレベル"で感動できるアンプというものは滅多にない。 そして、それにめぐり合えたときには誰に言われるまでもなく、この「音の細道」正式版の執筆意欲が自然と湧き起こってくるものである。
そして、それは2003年6月18日から始まった!!


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