第四十五話「美音倶楽部」


あとがき

 ここまで読んで頂いて、まず「お疲れ様でした。」と申し上げたいし、「ありがとう ございました。」とお礼を申し上げたい。書かなくてはと思いつつも営業に忙殺され、 その間に取り上げたいテーマがたまってしまい大変な長編作となってしまいました。

 しかし、私はこれを読んで頂いている一時もエンターテイメントの一環であると考え ています。つまり、読んでいる時間を楽しんで頂ければと考えており、その中で音質を 表現する皆様との〈共通言語〉が発見できればと考えています。そして、それはなぜ可 能なのでしょうか。「実演できるからです。」それでは、なぜそうしたいのでしょうか。

「皆様が満足と幸福感にひたれる音楽をオーディオを通して堪能して頂きたい。その ために必要な情報の分析を皆様一人一人の耳と感性を通して行なうのに必要だからです。」

ハイエンドオーディオのセールスはテーラーメイドのスーツと同じです。採寸する対象 はお客様ご本人であり、当然のことながら世界中のどなたとも違うわけで、納得できる まで何度でも仮縫いをする。いわば、お客様一人一人にいかにフィットするかが腕の見 せどころであり、そこにクリェイティブな要素があると考えております。ただ驚くべき ことに、私の店では採寸と仮縫いは無料なのです。

注文音楽道具「ハイファイ・テーラー」店主
「美音倶楽部」会長ならびに高忠実度随筆作家

川又利明


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