《HAL's Monitor Report》


No.0066 - 2001/05/21

宮城県角田市在住 OT 様

モニター対象製品:copper head

 ダイナミックオーディオのホームページでcopper headの貸出試聴を行っていると知り、メールで早速申し込んでみました。ただ、これまでいちども、ダイナミックからは購入したことがなく、地方に住んでいて、面識も無い者に果たして貸出などしてくれるのだろうかと半信半疑でした。失礼!(笑)
 2日後、仕事を終え帰宅すると、もう小包が届いているではありませんか。対応の早さに感心してしまいました。常連の方々にとっては当たり前のことなのかもしれませんが、とても新鮮で嬉しかったのです。すぐに小脇に抱えて、オーディオルームに直行。開けてみると、小さな黒い小箱が出てきました。ロングサイズのタバコ1.5倍程度の大きさでしょうか。これが意外とずしりと重いのです。中には,砲金製と思われる色をした砲弾型 が2個。手にとってみると、いかにもいい音のしそうな重さです。オリジナルは、ただのプラスチック?なのですから比べようもありませんが。すぐにでも聴きたいのをこらえて、まずはオリジナルのまま,聴いてみることにします。試聴記に入る前に、オーディオルーム(そんなたいそうな部屋ではないのですが)と使っている機種の紹介をします。

1.オーディオルーム
 今から6,7年前に、母屋の隣に30坪程度のログハウスを建てました。それをオーデイオと書斎用に使っています。音響学的な知識等,皆無に等しいので、木なら自然な響きだろうし、心やすまる空間になるだろうということで、ログにしたのです。周囲の土地は,我が家の私有地で、近く(50m以内)に住宅もないので、ログとしてはごく普通の建て方で、防音等特別なことはほとんどしていません。唯一、深夜にかかわらず大音量がだせるというのが取り柄といえば取り柄でしょうか。
 ただ、近くのオーデイオ店の方の勧めで、オーディオの専用回線を引き、1m四方の銅板を2枚地中に埋めてアースをとったこと。各分電板からコンセント1個づつイギリス製のブルーケーブルで繋いだことぐらいでしょうか。床は、多少丈夫にしてもらった程度です。広さは20畳プラスαといったところだと思います。実際建ててみると、設計段階では気づかなかったことがいろいろと出てきましたが、省略します。

2.使用機種
 CDプレイヤー:ヴィクター XLZ−999EX
 プリアンプ:マークレヴィンソ ン  パワーアンプ:マークレヴィンソン 334L,335L
 スピーカー:B&Wノーチラス スピーカーケーブル:シナジスティック リサーチ デザイナーズ
 ラインケーブル:ニルバーナSX−LTD
 電源ケーブル:ニルバーナ
 他

3. 試聴記
 それでは,試聴に入りましょう。
 (1)長谷川きよし「アコンテッシ」
 1曲めは,長谷川きよしの「アコンテッシ」(1993年録音)から、「バイレロ」。長谷川きよしは、「別れのサンバ」1曲が有名ですが(こういうと長谷川さんに怒られるかな?)、地味ではあってもなかなかいい音楽活動を続けてこられた方です。ライヴにいき、すぐ目の前でギターをプレイし、歌う長谷川さんの姿にすっかりしびれてしまいました。

  ○イコライザーなし
 試しに、オリジナルのイコライザーを外して聴いてみました。生で聴く長谷川さんの声は,小柄な身体からはちょっと想像もつかないようなろうろうとした艶っぽい声なのですが、その声がややかさついた感じで、きれいに響いていきません。ピアノも、安酒場にあるようなチャラチャラした音で 、明瞭さにもかけるようです。

○オリジナルイコライザー
 オリジナルイコライザーを装着すると、声のかさつきがぐんと減り、艶も感じられるようになりました。ただ、生で聴いたときの声と比べれば、さらに滑らかさと艶がもっとほしくなります。また、子音の強調も若干気になるところです。ピアノは、音色に多少芯が出てきた感じで、きれいに響いていきます。やはり、イコライザーは、だてについていた訳ではありません。(当たり前か!笑) イコライザーなしとの差は明らかなので、イコライザーなしで聴くことはやめました。

○copperhead(ノーチラス イコライザー)
 この曲は、シンセサイザーのイントロから始まるのですが、そのシンセが澄んでいてきれいです。荒れた響きを伴わないためか、おとなしく感じます。シンセが始まるとウインドベルの音が聴こえてきます。すると、これまで聴いていたウインドベルが錆びていた(笑)のではと思うほど、きれいに空間に響き渡り、減衰していくのがわかります。さきほども書いたシンセの出だしの一瞬で「おや?!これはいい感じかも」が、ウインドベルで「これはいい!」と確信に変わります。イントロをちょっと聴いただけで、このイコライザーの威力?はあきらかです。いよいよ長谷川さんのボーカルが始まります。「恋にー悩める者はー ..........」ライブで聴いた印象がよみがえってきます。声に厚みと艶があり、滑らかさが増しました。ちょっと気になっていたピアノも、音色に刺が無く、柔らかさが出てきたようです。そばで聴いていた妻が「これまで何か曇りガラスを通して見ていた風景が、透明なガラス越しに見る風景に変わった。」と鋭いことをポツリ。

 (2)ウイントン・マルサリス「black codes」
 ラストの7曲目、「blues」。これは、マルサリスのペットとチャーネット・モヘェットのベースによるデュオです。オリジナルとノーチラス イコライザーを分けて書くとちょっと面倒なのでまとめて書くことにします。

○オリジナルとノーチラス イコライザーの違いについて
 オリジナルでは、ややベースが控えめで、デュオにしてはベースの存在感が薄いように私の耳には聴こえるのです。これをノーチラス イコライザーに変えると、ピチカートで弦を弾いたときの感じがリアルで、音がぐんと伸びていきます。ベースの音が厚く柔らかく、生のベースに近い印象を受けます。マルサリスのペットも、リアルで、スタジオに響いて減衰していく様子がはっきりとわかります。二者が対等にプレイしているのだなと実感します。

 (3)鼓動「鼓」
 鼓動はみなさんもご存知のように、佐渡を本拠地にして世界中で活躍している、日本を代表する和太鼓の集団です。オーデイオファイルの間では鬼太鼓座のアルバムがよく話題にのぼりますが、音が良いと評判のヴィクター盤は我が家ではめったにかかりません。響きが不自然で,和太鼓のサークルに入って活動している妻は「気持ち悪い」と言って聴こうとしません。もし、和太鼓が好きなかたがいれば,鼓動もぜひ聴いてみて下さい。私自身も和太鼓は好きなので、鼓動のコンサートにも(もちろん鬼太鼓座のコンサートにも・・・座長さんなかなかの美人)何度か行きましたが、すばらしいですね。ここでは、鼓動の最新作である「鼓」から5曲目、「shake」をきくことにします。

○これはもう、出だしの瞬間にわかります。ノーチラス イコライザーに変えると、ジャンガラのアタックが鋭く,響きがきれいにでます。また、締太鼓の音の抜けが格段に上がります。この曲には、他にも桶桐太鼓、沖縄太鼓、平桐太鼓が加わってきますが、それぞれの太鼓の位置関係が明瞭で存在感が増し、しかも調和しています。聴いていると、自然に身体がリズムを取り始め、のってきます。

 (4)まとめ
 実は、ここで今一番聴いているクラシックの曲でレポートを書こうと思いつつ、なんと半年が過ぎてしまいました!!仕事が忙しかったこと、このレポートを書き終わる前にノーチラスイコライザーを注文し買ってしまったこと(もちろんダイナミックさんから)等々、いろいろ理由はつけられるのですが、一番の原因は、私の怠惰なる性格のゆえです。自分でも、あきれ果ててしまうのですが、これが私、ま、仕方ありませんね。川又様からは、「いつまででもまちますよ。」と親切なるお気遣いの言葉をいただきましたが、いくら川又様でも半年後にレポートを送られてくるとは思わないでしょう。(笑)この半年でシステムもCDプレイヤーがヴィクターの999EXからPO−sに変わるなど、少しずつ進歩(だといいのですが)してきています。アクセサリーもいくつか試しましたが、あるところが良くなるとべつなところがいまいち、といった感じですべてOKというわけには、なかなかいかないのです・・・・で結局、使用をやめてしまうということがありました。それが、今回の製品レポートであるノーチラスイコライザーにはないのです。人によっては、ノーチラスイ コライザーを換装したことによる音の変化を激変とは言わないかもしれませんが、確実に音はランクアップします。もちろん、副作用のようなこともありません。わずか(?)6万円でこれだけの音質の向上がみられれば、安いと思います。もし、ノーチラスシリーズをお持ちで、まだノーチラスイコライザーを装着していない方がいれば、強くお薦めします。損はしないと思いますよ。長らくお待たせしてしまって(誰も待っていないって)、すみません。快く試聴させていただいた川又様、ありがとうございました。この次も気になる製品がでてきましたら、これに懲りずまたお貸しください。


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