《HAL's Monitor Report》


No.0059 - 2001/03/24

神奈川県川崎市在住 HM様

モニター対象製品:zoethecus z.3/R system

使用機種

トランスポート  PO-S
DAC       マークレビンソン30.6 
プリアンプ    コヒレンス2
パワーアンプ   X-350
スピーカー   ノーチラス802
その他     村田ES103

 いつかはゾーセカスとは考えていましたが、なかなか吹っ切れずに今日まできました。
 このたびHALSエントリーにより特別価格ということで買ってしまいました。搬入前、川又さんより感想を書いてくださいよと言われ2つ返事でOKしてしまいましたが、後悔しました。なぜなら私自身ラックでそんなに音が変わるとは信じていなかったからです。貸しだし試聴も出来るとは知っていましたが、セッティングをいちいち変えるなど腰痛持ちの私にとってはとてもつらい仕事のためお願いしませんでした。また、ゾーセカス有りと無しを比較試聴することも同様の理由で出来ません。満足な感想は書けないかもしれないと不安になりながら搬入の日を迎えました。

 大きなダンボールがやってきました。私が購入したのはz.3/R。いつも川又ルームでPOが乗っている3段ものです。これがすっぽり収まる丈夫なダンボールに入っていました。腰痛ベルトを巻いてセティングを終え、さあ音を出してみました。音が出たとたん、感想が書けないかもという不安は吹き飛びました。

1、 ワーグナー マイスタジンガー前奏曲

 フルトヴェングラー指揮ベルリンフィル(1949年録音)
 私にとって元気がでる演奏です。最初の1音が出た時、音量を間違えたかとか感じました。それほど音がはっきりとしました。今までもわもわとしていた金管がはっきり聴こえます。
 また、弦の刻みもはっきりと聴こえます。終結のティンパニもピントがあった密度の濃い音になりました。古い録音ですが、まだまだ聴いていなかった音がつまっていたことを認識しました。

2、ドヴォルザークチェロ協奏曲
  マイスキー、 バーンスタイン指揮イスラエルフィル

 ソロのチェロはもちろん伴奏の楽器のひとつひとつが際立ってきました。決してうるさくなく調和して、それでいてそれぞれの楽器が明瞭に聴き取れるといった感じです。

3、バルトーク管弦樂のための協奏曲
  カラヤン指揮ベルリンフィル(1974年録音)

 数ある同曲の演奏の中でこれが1番好きです。これほどまでにこの曲を一糸乱れぬ演奏を行うことは不可能でしょう。さて、ラックを換えて楽器のひとつひとつが際立つのはもちろんですが、中でも低音(チェロ、バス)が明瞭になりました。今までわからなかった低弦の位置感というか存在感というか、音だけでなくそこで弾いているとうことが感じられました。

4、ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番皇帝
  ルービンシュタイン、バレンボイム指揮ロンドンフィル

 ルービンシュタインの弾くピアノの1音1が明瞭での焦点が合い、立体的に感じます。それでいて硬くなくこのピアニスト特有の骨太で格調高い音を感じました。

5、ドヴォルザーク交響曲第9番新世界から
  ケルテス指揮ウィーンフィル(1960年録音)

 演奏は好きだが、ステレオ録音初期の音で薄っぺらな感じだなと思っていました。それがどうでしょう、音の粒がしっかりし、まるで最新録音のようではないですか。この変化には恐れ入りました。

6、ベートーヴェン交響曲第9番
  フルトヴェングラー指揮ベルリンフィル(1942年録音)

 録音は古いものの観賞に十分耐え、迫力も満点の演奏です。第4楽章の終結部でものすごい速さのティンパニの連打がありますが、今までは完全に音が割れていました。オリジナルテープの経年変化によるものだとずっと思っていましたが、今回はなんとはっきり聴こえるではないですか。この音楽の懐の深さをさらに体験することが出来ました。

 たかがラックされどラックを認識させられました。こんなに変化するとは思ってもみませんでした。また、オーディオ機器がいかに振動に影響されていたかがわかりました。そして自分のシステムの潜在能力をさらに引き出すことが出来てうれしく思っております。
 これからも宜しくお願い申し上げます。


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