《ESOTERIC 論文コンクール応募作品 Vol.4》


No.1000 - 2002/2/11

仙台市青葉区在住 M・W 様より

                     「P0と結婚!?」

【Introduction】

 どうしてこのような題名になったかというと、約5年前に結婚(というよりも
式も挙げずに突然入籍したのだが)したときにちょうどP0の購入を決意したから
である。

簡単に言うと結婚してしまうと自由に趣味にお金を使えなくなるだろうと考え、
妻をだまして結婚前に滑り込みで購入してしまったしろものなのだが、確かに
結婚を機に私の趣味=audioを取り巻く環境も大きく変化したので、そのあたり
のエピソードを中心にまとめてみたいと思います。

【Materials and Methods】

川又さんとHAL

 以前H.A.L.'s Circle Reviewでも川又さんと私のつき合いは妻とのつき合い
よりも古い…と紹介されたことがあったと思うのだが、確かにその話は本当で
ある。

P0の購入を決めた時から更に2年ぐらい前(今から約7年前?)だと記憶してい
るのだが、私ははじめてHALを訪れ川又さんに出会いました。

当時、私は大学を卒業し東京の某病院で研修医として勤めていたのですが、
生活や収入面でも少し余裕がでてきて、趣味であったクラシックをよりよい
音で聴こうとaudioの世界にはまりつつありました。

ほとんど衝動買いでソナス・ファベールのガルネリを購入したのですが、当時
使っていたサンスイのプリメインで簡単に鳴ってくれる程このスピーカーは
あまくなかった。

Audio雑誌を読んだり秋葉原のaudio店を巡ったりしながら、自分なりに当時
発売されたばかりのジェフのコンセントラならと考え、当時サブで?ガルネリ
とコンセントラが置いてあった川又ルームに足を踏み入れたのである。

Highend audio初心者の私には川又ルームに入るのは正直ちょっとこわかった
が、勇気をだして入ってみると川又さんは意外にも?親切に相談にのってく
れた。

しかし、こともあろうに(コンセントラ)はへたなセパレートよりはずっと
いいですよ、という川又さんの言葉に、じゃあへたじゃないセパレートはど
んな音なんですか?と言ってしまった私もバカだった。(^^ゞ

結局シナジーとモデル6の組み合わせと比較試聴して、その日のうちにシナ
ジー(当時発売されたばかりのOT付き)とモデル6に加えてBPS 6(バッテ
リー)まで買うことになってしまったのである。

高い買い物であったが、ガルネリは見違えるほど美しく歌ってくれるように
なりスピーカーもアンプもいまだ現役で活躍中である。

エソテリックP0

P0購入前に使用していたのはデンオン(現デノン)のDCD S-1という一体型
のCDPでした。いまだに販売されている?のかどうかは定かでありませんが、
かなりのロングランを続けていて中域重視の滑らかで安定した一体型として
はなかなかよい機種だったように記憶しています。

スピーカー、アンプとくれば次は当然デジタル系の前段、CDPのグレード
アップとなりますが一体型からセパレートになるとその間には価格的にもか
なりの敷居があってなかなかグレードアップできずにいました。

今ならP-70+D-70といった価格的にも内容的にも魅力のある機種があります
が、当時はセパレートで内容的にも良さそうなものとなると….ちょっと
手がでなかった。

エソテリックはVRDSなど定評なあるメカを造っていて、ちょっと気になる
存在でしたが、そのエソテリックが満を持して究極のトランスポートとして
発売してきたのがP0でした。

話がちょっとそれますが、男ってメカフェチというかモノ、それも職人が
こだわってつくりあげたモノとかメカに弱いじゃないですか。^_^;

女性ならまあブランドもののバックとか靴、服、アクセサリーに相当する
のだと思いますが…。

私もかなりそう言うところがありまして、中学生の時は天体望遠鏡を設計、
自作してしまうほどの工作好き少年でしたし、最近でこそ自分でいじったり
はしませんが、車も職人が手作業でエンジンのポートを磨いていると聞いて
発表された翌日には某メーカー某車種のタイプRというグレードのものを
購入してしまったり…。

そんな人種にはあのP0のメカってかなりそそるものがあるんですよね。
1万分の1mmの精度でピックアップをスレッド送りしてCDに記録されたピット
を正確に読みとる、う〜ん、しびれる。当然欲しくてたまらなくなってし
まいました。


DAC

P0が発売されたのが97年?だったと思うのだが、私はそのころ98年の4月
からは4年の東京での生活を終え母校の大学院に進学するために仙台に転居
することになっていた。

当時つき合っていた今のカミさんと仙台にいっしょに行くなら結婚しよう
か、と何となく考えていたが(ちゃんと考えろよ)、貯金通帳をみると
少ないが先のことを考えなければ(大学院に進学して収入も激減するし
結婚もするなら普通はもう少し慎重になるものだが)何とかP0本体の
120万円は何とかなりそうでしたが、問題は…!?
そう組み合わせるDACです。

dCS, Wadia, レビンソンにゴールドムント….P0の相手にふさわしいも
のとなるといずれも手がでない。

川又さんに連絡してみると、P0はあの動作音はうるさいが音はやはりすば
らしい、私と同様にP0と組み合わせで手頃なDACはないのかという問い合
わせが多いがビクターの新しいDAC (XP-DA999)はなかなかいい、という
ことであった。


【Results】

98年の3月にようやく結婚の決まった(というか入籍して仙台に連れ去る
ことになった)妻を連れて川又ルームを訪れた。

目玉の飛び出るような高価な器機の並ぶ川又ルームに連れて来られて妻は
びっくりしていたが、これから先結婚後も私の趣味を理解してもらうには
(結局いまだ理解されていないが)これくらいのショック療法は必要かと
思ったのと、さすがに結婚直前にだまって買うわけにもいかず妻を連れて
の商談となった。

ビクターのXP-DA999と組み合わせて聴かせてもらい妻の承諾も得て購入
することになった。随分簡単に承諾したなあ、川又さんの接待がよかった
からか?

と思っていたら実はこの時、妻はビクターのDACだけを購入したのだと
勘違いしており後でP0もいっしょに送られてきて実は200万円近い買い
物をしていたことを知り怒っていた。(-_-;)

98年の7月、仙台での新婚生活も落ち着いてきたころ、待ちに待ったP0と
ビクターのXP-DA999が我が家にやってきた。

音を出してみると確かにすばらしい、音に実体感というか厚みがあって
解像度も高く、弦の響きなどもいい。

ただどうしても気になるのがあの動作音である。

Diskに編心があるとあのキュキュと言う音が大きく気になって音楽が
楽しめない。今まで気に入っていたDiskも編心があって音がでると言う
だけであまり聴かなくなってしまったりもした。

音質的には不利になるのを承知でプロテクトポジションにすることも
多かった。音楽が本当に楽しめるようになったのは正直いってP0sに
アップグレードしてからである。

P0sにアップグレードしたのはP0がウチに来て1年半いまから3年ぐらい
前だったと記憶している。H.A.L.'s Circle Reviewの1号が2000年の6月
だからその前後だったと思う。

こうして考えるとH.A.L.'s Circle Reviewで、たまに私は仙台市在住で
古くからのお客として紹介されるのだが、本人はあまり古い気がしてな
かったのだが、やっぱり結構古くからのつき合いなのね。(笑)

とにかくP0sへのアップグレードがある、あの動作音がほとんどしなく
なるだけではなく音もずっと良くなると川又さんにきき、すぐに申し
込んだ。

妻は35万円のアップグレードを相談なしに決めたので当然怒った(余談
だが最近は3歳の息子にも音楽のCDばかり買ってないでママにも時計や
アクセサリーを買うように言われている)。

しかし結果は大正解だった!!

動作音がほとんど気にならないレベルになっただけでもうれしいのに
音がまったく別物?というぐらい良くなったのです。

音の透明感と響きがきれいになり、音場感というか音が左右のスピー
カーより外側まで広がって音場に音が満たされるような感じになって
きたのはアップグレードをしてからだと思う。

書き忘れたがP0がアップグレードを受ける前に子供ができ(99年3月)
99年の9月にはマンションを購入し転居した。

転居前はリビングでゆっくり音楽を聴くことができたが、転居後は子
供の攻撃を避けるためaudioシステムは6畳の洋室に避難した。

現在上の子はもうすぐ4歳、下にもう一人1歳の女の子がいる。
さすがに上の子はいたずらしなくなったが下の子も女の子だと思って
あまくみていたらとんでもないいたずらっこで、ガスのレンジはひねる、
ルームヒーターのスウィッチはチャイルドロックをしていてもいじって
はずす、夜中にコンピュータを作動させすぐにフリーズさせる、携帯電
話は勝手にかける、全く手に負えない知能犯です。

ゆくゆくはまたaudioシステムをリビングにと思っているのですが、今
持ってきたらP0など格好のイタズラのターゲットでしょうね。

ピカピカひかるボタンはいっぱい付いているし、トレイは開くし、P0の
トレイに煎餅でも突っ込まれた日にはご自慢のVRDSはどうなってしまう
のだろう。

おそろしい、おそろしい。(-_-;)


【conclusion】

結婚してもうすぐはや5年、P0がうちにきてもう4年半になりました。
幸いいまのところ離婚することもP0を売り払うこともなく仲むつまじく?
暮らしております。

長くいっしょにいると、たまには喧嘩をしてもお互いなくてはならない
存在になるようで、結婚もP0の購入も甚だ衝動的ではありましたが、P0も
今やうちのシステムにはなくてはならない存在になってきました。

独身時代ほど趣味にばかりお金をかけてもいられなくなり、時にはP-70
ぐらいの方が身分相応か?などと思ったり、次のアップグレードもアップ
サンプリングには少々懐疑的なこともあり少しためらってはおりますが、
これからもP0でいい音楽を楽しみたいと考えています。

ペアとなるDAC,ビクターのXP-DA999も何回か買い換えを検討して、他の
DACと比較試聴したりもしましたが、最近クロックの交換などの改造も受
けつついまだ現役です。設計も少々古くなって88.2kHzは受けられない
(96kHzは入力可能だが44.1しか使っていない)し、K2プロセッサーと
いういいのか悪いのかよくわからないDSPを積んでいたりしますが、基本
はとてもいいDACなのではないかと最近あらためて感じています。


HAL's Hearing Report