No.0651 2013年5月7日
 【新着投稿⇒H.A.L.'s Hearing Report-MarkLevinson No.52 inspection event!!】

本企画のために輸入元であるハーマンインターナショナルよりNo.32Lのデモ機
をお借りしたのが昨日のこと。No.32Lが現役時代から電源投入直後の音質は
当てにならないと承知している私は昨夜からバーンインを行い、本日じっくり
と比較試聴してみました。

↓ここで紹介しているシステム構成でスピーカーはThe Sonus faberを使用しました。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1032.html

そして、下記のTRANSPARENT RXLAESを使用しています。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1037.html

14年前に発売されたNo.32Lが現在のH.A.L.にやってきたというのは私にとっても
得難い学習チャンスです。先ず最初に課題曲をNo.32Lで聴き、一曲ごとにNo.52
と切り替えると言う手間暇をかけて試聴しました。

1999年に当時のベストを尽くして開発されたNo.32Lを現在のH.A.L.リファレンス
のシステムに組み込んだわけですが、第一印象としてはNo.32Lやるじゃないか、
という音を聴かせてくれました。

しかし、同じ曲をNo.52で聴くと…、いや〜、これをどう語ろうか!?
No.32Lオーナーの心境を思えば、No.32Lを踏み台にしたような表現はしたくない。
でも、この歴然たる進化の証しは誰が聴いても明らかでしょう!!

私が組み合わせしたシステムで両者を比較してみれば分かります!!
今日は私の体調もベストではありませんので多くは語りません^^;

そして、セミナー形式は止めてお一人ずつ体験して頂くことにしました。
それが皆様のためになるというものです。聴けば解かります!!

【新企画⇒DYNAMIC AUDIO 5555 Monthly Hi-Fi Special-MarkLevinson No.52 vs No.32L徹底比較】
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1040.html

★更に4人目の個別試聴は、やはり三時間に渡りじっくりと聴いて頂きました!!
 早速次のようなご感想を頂きましたのでご紹介致します。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■前回の投稿をご紹介します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0647.html
【H.A.L.'s Hearing Report-MarkLevinson No.52 inspection event!!】

東京都台東区 T.I 様より

『No.32L vs No.52。Mark Levinson最新鋭リファレンス・プリの衝撃』

正直に申し上げよう。

試聴前、Mark Levinsonの最新鋭リファレンス・プリNo.52に、実は殆ど期待していなかった。
No.53というデジタルアンプを出した以外殆ど沈黙を守ってきたメーカーへの
落胆もあるし、何より自身が所有するNo.32Lに最強プリの座を守って欲しいと
いう、オーナーの希望でもある。

もう少し詳しく書こう。

私がNo.52に期待しない理由が3つある。1つ目は、そもそもMark Levinsonと
いうブランドに対する信頼の失墜である。創業者自身がいた時代、或いは創業
者が去った後マーク・グレイジャーが率いていた時代、同ブランドのアンプ、
特にプリは文字通り世界の頂点だった。

しかし、色々とあった…とは言え、彼が去った後10年近く殆ど製品を発表して
いなかった同社に、再びリファレンス・プリを開発する力が残っているのか…?  

スキャンダルに関して私はあまり詳しく知らないが、正直、作る作品が良ければ
別に目くじら立てて追い出す必要もなかったのでは?とさえ思ってしまう。

医療業界で手を洗わずに手術に臨む医師がいたら…いないですけどね…それは
殺人者に等しいですが、凄腕の職人や設計者が少々清潔に無頓着であっても、
作り出す作品が凄ければそれで良いのでは??と思ってしまうのは、私だけでしょうか??

二つ目、そもそもアンプという機械は既に完成しているのではないか、という先入観。
日進月歩のデジタル業界のCDプレーヤや、未だに不完全なものしかない印象の
ラウドスピーカーと異なり、アンプの回路設計自体は、最早完成していて改善
の余地はないのでは?と思っていました。

だからこそ、マランツやらJBLの骨董品が、ヴィンテージオーディオとして
現代の最新鋭と比肩する実力と価値を保っていられる…などと。

だから、高々十数年でプリアンプが進歩する訳がなかろう、と。
実際にNo.52のパンフを読んでも、一部にスイッチング電源導入したのと、
基盤の材質が良くなった位で、基本思想はNo.32Lと変わらないじゃないか、
と…まぁそう理解していた訳です。

三つ目、近年の環境保護思想や省エネ思想の高まりで、PS法やら無鉛ハンダ
使用強要、電源効率の悪い (発熱する代わり、飛びっ切り音が良い!!) 音響
機器の排除、と、寧ろ音を取り巻く環境は悪化しているのではないかと。

環境保護それ自体は良いことですが、そもそも無駄の多い趣味の世界に、中途
半端な思想持ち込むのは害悪以外の何モノでもない。そういう基準をクリア
する必要上、寧ろ昔よりも音が悪くなる可能性も十分あり得るのではないのかな?と。
(Original Nautilusのチャンネルデバイダーが、最早国内で入手困難となって
いるのなど、その好例でしょう。)

と、まぁ前置き代わりに偏見を並べるだけで随分と長くなってしまいましたが、
そんな気分で大して期待せず (失礼 m(._.)m 川又店長ごめんなさい) 試聴に臨んだ訳です。

試聴は…機器の説明の詳細は川又店長の配信を御覧下さい…
上流は "dCS Vivaldi"、プリは"No.32L"と"No.52"を交互につなぎ替えつつ、
パワーは"No.53"、スピーカーは"The Sonus Faber"、ケーブルはSeraphimを
中心に目が飛び出そうな品々、と豪華絢爛たる品揃え。

前半は店長の選んだ課題曲を、プリを相互に入れ替えつつ比較。
後半は自由試聴、というスタイル。

最初の課題曲は石川さゆり『朝花』、ギター1本のシンプルな伴奏で、人間が
最も聞き慣れた楽器である『声』のみを集中して聞く、ある意味オーディオに
とって最も厳しい曲です。

まずはNo.32L…うん、流石我が愛器、やるじゃん?という印象。

ただ、HAL-Iの30畳以上のスペースに、やはり弩級のSonus Faberという大型
システム、音場が広く拡がる反面、少し口元がぼやけるというか、口元が凄く
大きくなってしまう印象がありました。

『良いシステムだけど、小編成やボーカル物を聞くのだと、ブックシェルフや
小型システムには敵わないな…まあ…それも個性。流石に川又店長の実力を
もっても、適材適所には敵わないのかね?』

と余裕を持って聞いていました。
…が、No.52につなぎ替えての第1音を聞いて、笑顔が引きつります。

『え!??』 

そう、No.52につなぎ替えた途端、大システムのスケール感は維持したまま、
口元が実物サイズにきゅっと小さくなったのです。

『音の解像度を上げ、音源がピンポイントに定位するまで音を磨き上げて初めて、
その音源が生み出す残響・リバーブ、そして空気感を楽しめるのです』との解説。

『Mark Levinsonのプリアンプは、さながら日本伝統の『筆』のようなものです。
繊細きわまる極細の線も、大胆で勢いある太い線も、1本で書き分けることが
出来る、だからこそ広く支持されるのです』との店長の言葉に思わず頷きました。

正にその通り、と10年前にNo.32Lを購入したときのことを思い出しました。
当時はプレーヤーの出力段の大幅な改善と、某i社のパッシブプリ (日本人、
確かパイオニア出身者の設計だった記憶が…) など優秀なアッテネーターが
次々発売されたこともあり、プリアンプ不要論が広く語られていました。

実際家庭用の用途では、CD出力の音量>>プリアンプの出力レベル、となって
いる訳で、Pre Amplifier (増幅器) とは名ばかり、実際は "減衰器" として
機能している訳です。

だから、不要、というのも自然な理屈かな、と流されていました。
そんな頃に出会った稀代の銘器No.32L、私に『やはりプリアンプは重要だ、
システムの要だ』と教えてくれた恩人 (恩器?)です。

最大の魅力は、繊細さと大胆さの両立。顕微鏡で覗き込むかの如き解像度高い
表現、これだけを実現するアンプは、例えば当時ライバルだったJeff Rowland
などからも出ていましたが、同時に野蛮なまでの力強さを併せ持つのは、私が
知る限りではNo.32Lのみでした。

就職したての私には分不相応なこのアンプを清水の舞台から飛び降りる覚悟で
導入、以来、引っ越しや転勤に伴いプレーヤやスピーカーの処分を迫られる中、
No.32Lだけは常に私と共にありました。

しかし、現実は残酷なモノです。
違う方向性で良さを発揮するとか、一長一短という形でNo.32Lに近かったり
超えたりするのであれば納得がいきます。

が、No.52は正にMark Levinson リファレンス・プリの正当後継機、No.32と
同じベクトルを向いていて、しかもそのレベルが格段に上、という… 脱帽です。

試聴の感想を続けます。

同じ石川さゆり『天城越え』など少し編成を大きくしたものが続きます。
スケール感の拡大、音源数の増加に伴い、No.32LとNo.52のピンポイント定位力
の差は目立たなくなるかな、と予想しつつ耳を傾けると…半分正解、半分間違い。

確かに音数が増えると、個々の定位は気になりにくくなります。
が、音楽では常に全ての楽器が鳴っている訳ではなく、その時々で演奏されて
いる音の数が目まぐるしく変わります。

新しい楽器が鳴り始め、音数が増えた瞬間、No.32Lでは、僅かですが歌手の
口元のサイズが変わってしまうのです。音が増えることでより混濁し混ざり
合い処理が難しくなるのか、口元が大きくなっていくのが分かります。

微妙な差異ではありますが、演奏中に石川さゆりの口の大きさがコロコロと
変わる訳です…心穏やかに音楽を楽しめようはずもありません。

…いえ、拘って聞かなけりゃ、全く気にならないくらいの違いですよ、勿論。

という訳で、No.52の特徴その1
『音の解像度と、左右のチャンネルセパレーションが大幅に改善している』 
完全デュアルモノ構成のNo.32Lも十分すぎるセパレーションが確保されている
筈ですが、No.52の音の左右への広がり感は、前者のそれを軽く凌駕します。

続いて、徐々にクラシック、大編成のライブ録音に移っていきます。
ここでも先ず明らかなのは個々の音の分離の良さ。

勿論『指揮者や演奏者は、個々の音を混ぜて音楽にしようと努めている。
混ざるからこそ良い。それなのに、オーディオマニアは何故か分離して聞こう
とする…?』との音楽ファンから反論があるのは知っています。

が、個々の音の粒が分離して聞こえる心地よさは… 大体、上記の主張をして
いた筆者の友人の演奏家も、『じゃあ客席から音楽聞くのと、オケの中で個々
の音が分離している中で音楽を聴くのと、どちらが楽しい?』と問うたら、
『うーん、やっぱオケの中で聞く方が楽しいなぁ…』と宣ったじゃないですか?  

楽器の1つも弾けない我々にも、オケの中の気分くらい味合わせて下さいよー

…閑話休題。

次いで分かるのがワイドレンジさとハイスピードさ、ティンパニなど打楽器で顕著です。
音がスッと立ち上がる、これは当然なのですが、さっと消えていく、ここに差がある。

無駄な低音が残って他の音域を汚す、ということが少ないため、高域までより
明瞭に聞こえるのです。という訳で…

No.52の特徴その2
『低域から高域までハイスピード』

筆者が持ち込んだ VPO / KarajanのTschaikowsky "Sym. No.6 Pathetique" 1984年
デジタル録音盤 (Karajanは新いもの好きなので、当時からデジタル録音なのです。

これも、1970年代の録音と比べ、1980年代の録音が酷評される原因の1つでしょう)
低域がスッパリ切れていて全然入っていない、のが明らかになったのも、やはり
このNo.52及び他システムの実力があってのものでしょう。
残念な発見ではありましたが…

まだまだ課題曲はたくさんあります。
小澤・ボストンのMahler、ダイレクトカット版。No.32Lでの演奏でも十分な
スケールと繊細さがあるのですが、No.52に切り換えると…

『えっ??  前後方向の広がりが格段に増した!??』 

そうです、No.32Lでは左右スピーカーの間にスクリーンがあって、そこに
写った平面画像を覗き込んでいるような感じだったのが、No.52に換えた途端、
立体画像…いや、オケそのものがその場に展開しているような、前後の距離感
奥行き感が圧倒的な存在感で出現したのです。

理由は解りません…おそらく位相管理の厳密さなどでしょうか?…が、
とにかく全然違います。ただ唖然とするばかりです。

その後も、無理を言って店長に次々No.32L→No.52→No.32L→No.52と切り替えて
頂きつつ、貪るように聴き続けました… 気がついたら3時間、申し訳ありません
でした m(._.)m 
最高に楽しい一時を過ごさせて頂きました。

繰り返しますが、私、別にNo.52の回し者ではありません。
むしろNo.32L側の人間…何しろNo.32Lのオーナーですから…であり、どちらか
というと『No.52なんて買わなくて良い。No.32Lで十分』と自身を納得させる
ために試聴に来た、という立場です。

しかし、そんな私をも誘惑し、気がついたら『あれとこれを処分し、これを
我慢して貯金をすれば、年内にNo.52を導入出来る…』と資金計画を考えさせ
てしまう程の魅力が、実力が、No.52にはあります。

繊細さと大胆さの更なる高レベルでの両立、音がピンポイントで定位する分離感・
チャンネルセパレーション、ワイドレンジかつハイスピード、前後方向に拡がる
立体表現…そして何より、音楽を楽しませる力が、圧倒的に優れています。

必ずしもNo.32Lと比較する必要はありませんが、連休中限定のこのチャンス、
もし、少しでもNo.52に興味のある会員の方がいらっしゃれば、是非一度比較
されてみて下さい。

きっと世界が拡がります!!

拙文に最後まで御付き合い頂いた方…何人も居なさそうですが…に最後に
こんなことを申すのは気が引けますが、私なんぞの文章を読む暇があったら、
是非5555-7Fに行きましょう。

其処には当分…は展示するんですよね?>>店長…、最高のシステムの中で至福
の音楽を奏でる、Mark Levinsonの新リファレンス・プリ No.52が、最高の
コンディションで待ってくれている筈です。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

T.I 様ありがとうございました。はい、No.52は当分展示しております。
しかし、No.32Lは明日まで…、厳密に言えば5/7に輸入元が引き取りに来る
までということで、比較試聴が出来るのは明日までか5/7の午後までという
ことになります。皆様のご来店をお待ちしております<m(__)m>



担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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