《“Sound buffet”Hearing Report》


No.0396 - 2007/9/21

神奈川県 N様より

Vol.5「このクラスになるとしっかり個々の個性を聴かせてくれました!!」

これは大変な企画に応募してしまいました。

あれだけの設備と人力を1時間も私だけのために占領させていただくことなど、
事前には考えていなかったのです。知らないって強いことですね。

個々のSPの試聴は可能でも、同じ条件で比較試聴などの機会はあるとは思えない
ので、貴重な機会をいただきました。本当にありがとうございます。

またシステムの繋ぎ換えをたんたんと迅速に行っていた天野さんに感謝いたします。

現在はLINNのAkurate212を中心にした小型のシステムでこのSPの実力を最大限
出せるよう、私の出来得る資源と情熱を注入しております。

言い換えれば、今得られているパフォーマンスをもう一山超えたいと思うと、物量
投入が全てではないことは分かっていますが、多くの機器に現在の何倍もの投資を
しないと結果が得られないと思われるようなところまで来てしまったと言えます。

このことはある意味幸せなことで、住環境含めた現実的な環境を考えると、
対コストパフォーマンスとしては本当に良いところを突いている状況だと思って
おります。

しかし現システムを追い込んでいくにつれて、ますますオーディオが音楽が楽しく
なりました。聴く音楽も70年代80年代ジャズやボーカル中心から、クラシックが
素晴らしい、過去の名演奏をもっと聴きたいと思えるようになるまで幅広くなって
きました。

私が今回応募した目的は、今は狭い部屋でSPにあい対して、聴いていますが、近く
オーディオに専念できる比較的広い空間に移れることから、数年以内には大編成の
ものが堂々と空間で聴けるシステムにしていきたくなるに決まっている。

・・と自分を分析しています。その場合一番の肝であるSPをどうするか?
今度は人生最後まで楽しめるモデルのイメージ作りという目的でした。

前置きが長くなりました。普段からあまり音そのものを分析して聴くことも無く、
当然力もなく、好きか嫌いか、どっちが好きかというレベルで機器の選択をして
きましたので、感じた印象のまま記載させていただきますので、トンチンカンな
面は一笑していだたいて結構です。

一曲目はマイケル・ブーブレという素晴らしい歌唱力の男性ボーカル。

Avalonから聞かせていただく。
中域音は太めに感じ低域、中域とも穏やかな出方をしますが音はしっかりしていて
制動感良いです。またAvalonの各SPの配置の特徴か他のSPと比べて低域がボーカル
とかぶり点音源に近いまとまり感がありました。

Wilsonでは低域が一気に太くなり、ベースとボーカルのエッジが鮮明に聴こえます。
ブラスのアタックも強調されていて、とにかくパワフルでした。セッティングとか
楽しそうな印象です。

続いてB&Wは低域がさらに太いが実に落ち着いている、高音のアタックもするどい
がうるさくなく美しい。ボーカルはWilsonより聴きやすいと思いました。

次にAmatiです。なんといっても声に独特の艶があり色っぽいです。
ブラスのセクションでは遠近感を一番感じることができました。

最後にUltima。大きいです。さすがに3連ウーハーで低域の高さ感が他のSPとは
異なり、ぐっと低域に高さが出ての空間の音の配分が変化しました。
ボーカルでは繊細な表現も丁寧な感じで透明感がある品位のある音だと感じます。

そして、2曲目は有名なくるみ割り人形でチェレスタという独特な金属音から管楽
器そしてティンパニーに続きます。聴き順は折り返して、こんどはUltimaからです。

美しいチェレスタの響きから、管楽器に優しく入っていきます。高音部が良く伸び
ますね。綺麗です。

次にAmati。管の音色は独特の表情で美しいです。またティンパニーの音が飽和す
るのではなくよく伸びていました。

そしてB&W。チェレスタから続く管楽器がうまく混ざりあい、優しくゆったりと
聞かせます。ティンパニーはずーんと余韻が鳴り止まない迫力がありました。

続いてWilson。チェレスタ、管楽器も明るく楽しい感じで元気一杯。ティンパニー
は瞬発力があってドーンときますが、引きも早いです。

最後にAvalon。チェレスタの余韻は一番綺麗に感じました。ティンパニーはここで
も高域から重低音まで点音源で他とは少し編成の位置関係が別に感じます。
他のSPよりは音圧が低く中音域での他のSPでは押してくる場面が穏やかに感じます。

最後3曲目はMUSE HealingRefreshingから全てのSPの低域の出方に特徴がでること
を注目することを川又さんから指示がある。 

また折り返してAvalonから。女性ボーカルの声の混ざりかたは絶妙。
低域のアタックは穏やか。音楽としてのまとまり感の印象が良い。

そしてWilson。声のエッジがやはり立ち。ただただ明るい。低域バスはHALの床が
ビリっと足下で響いた。凄いです。ただその後ボンボンとバスが耳につき私の頭の
中では暴れ出してしまい、他の音が離れてしまいました。

次にB&W。女性の声があっさりしているが、正確なピッチで音楽が進行している
ような印象です。低音の低さとボリュームは一番でした。とにかくどの曲も聴き
やすく安心していられます。

次にAmati。女性の単調ではない微妙に重なって出る声の表現に痺れました。
こういうのが聴きたい。低音は見た目より濃密な温度感のある音がよく出ている
と思います。

最後はUltimaです。女性の声の出方は押さえが利いていてストレスが全くない。
高地で聞いているような空気が軽いような感じです。
低音部は出過ぎず、ゆっくりながら広い空間を無理なく満たしていました。
その後次のかたの一曲目の大編成のものも参考に聞かせていただきました。

いや、困りましたね。皆凄かったです。このクラスになるとしっかり個々の個性を
聴かせてくれました。 

現実的な自分のための総括です。

AvalonIndra:自分にとってデザインや製品イメージでは一番。
現実的な自分の部屋の空間や音圧。そして生活しながらの、ながら聞きで部屋の
どこにいても美音で音楽を楽しめる、しかも自分だけの贅沢な空間をイメージし
ます。ここまでくるときりがないがDiamond。どんなに素晴らしいだろうか?

WilsonSystem8:次にどんな音がするんだろう?と常にワクワクできるSP。
映画館で緊張感を持って映像と音を聞いている場面が思い出されます。
10歳若かったら、迷わずこのSPです。オーディオを機器やセッティングで攻めて
攻めて、苦労する楽しみでは一番魅力です。楽しいだろうな。

B&W800D:想像以上に大人の素晴らしい非の打ち所が無いSPだと思います。
ただどうしてもデザインが・・。私はダメかも。実力はまさにリファレンス。
正確、余裕、安心感。私が何か器楽のプレーヤーであったら、このSPで決まりです。
802Dの人気も納得。

Sonusfaber AMATI:デザインが音にも現れている。気難しさを感じますが、ここぞ
とオーディオとして向き合うときに、またハマった時に何物にも変え難い魅惑の
濃密な音が聞けるSPだと思います。底知れないものを感じます。簡単には鳴らせ
そうもないし、私はこのSPを操るほどおしゃれでは無いことが気になります。

TheRevelUltimaSalon2:背の高さだけかもしれませんが、私の環境には少し大き
すぎて無理があります。大編成にも余裕があり、低域から高域まで美音系です。
広いリビングで多くのいつも多くのお客様が家に音楽を楽しみに来ているような
家のシーンが似合います。                

以上  **夢に向かって**

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

N様ありがとうございました。お楽しみ頂けた様子で何よりでした。私のように
各社の個性を知り尽くしていると、この曲ではこう出るぞ〜、ほら〜!! と事前に
予測できてしまうものですが、一般の皆様はもとより初めてのことでしょうし、
また今後も同様なことが出来るかどうかわからないので貴重な経験をして頂いたと
思います。

このようなスピーカーの個性との対峙をじっくりと行って自分自身の感性を再発見
して頂くことがシステム構築の基礎になっていくわけですが、実際の導入に際して
はもっともつと色々な曲で試聴して頂きたいものです。

その選曲のコースを私は幾通りも用意してありますので、今後は皆様のご希望に
応じてじっくりとお楽しみ頂けますよう、ご来店をお待ちしているものです。

これで参加者全員からのレポートを頂戴したことになりました。本当に今回の企画
に立ち会って頂いた皆様ありがとうございました。改めてお礼申し上げます。


HAL's Hearing Report