《HAL's Hearing Report》


No.0294 - 2006/4/9

千葉県松戸市 S F 様より

H.A.L.'s “Special event”Hearing Report

Vol.82「小型スピーカーで一切言い訳の必要がないというだけでも大したものだ」

前回の投稿をご紹介致します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0262.html

今晩は、川又様。

松戸市のFと申します。
まず最初にお詫びしますが、長文になってしまいました。すみません。

先日はウィルソンオーディオを聞く会に参加させていただいてありがとうございま
した。ウィルソン氏にお会いするのはこれで3度目。

一度は大場商事主催の試聴会でWatt+PuppyにWhowを加えたシステムで、不遜なこ
とにその時は「Watt+Puppyは低域がとてもよく伸びているとTAS誌で読んだの
ですが、Whowは必要ないのじゃありませんか。」などと余計な発言をしてしまった
のですが、ウィルソン氏はその時も「サイコ・アクースティック」という言葉を
使って丁寧に説明してくれました。

その後インターナショナル・オーディオショウ(当時は九段のグランドパレスで
したか)でグランドスラムX−1の文字通りすごい音を聞かせてくれてからもう
10年以上たってしまいました。

さて、当日まずDuette の音を聞かせていただいたのですが、普通はこのサイズの
スピーカーにしては という但し書きで製品を聴かなければなりません。

昨年聞かせていただいたガルネリ・メメントにしてもやはりその範疇から抜け出た
製品とは言えなかったと思います。

良し悪しでなく、そういった前提で作られたのだ、と思いました。
Duetteに関してはそれがいらないな、と思いました。

よほど大きな部屋で聞くのでない限り、ごく普通の大きさのスピーカーを聴いてい
るのと音のバランスや低域の伸び、エネルギーでも聴きおとりしません。

後で聞かせていただいたAlexandria X-2とは質量が全然違うのですから、比較した
らえらく貧相な音に聴こえるはずですが、それはない。

小型スピーカーで一切言い訳の必要がないというだけでも大したものだと思います。

もっとも指定された音量での試聴ですから、自分が普段聞いている音量まで落とす
とまた変わってくるのでしょうか。

音のイメージもきちんと収束して定位しているところまでは確認できたのですが、
遅刻ぎりぎりセーフ状態で参加したので、例によって席は端っこですからサウンド
ステージを見渡すところまでは行きませんでした。

それで後のウィルソン氏への質問になったのですが、本来soundstageというもの、
というか現象をおそらく世界で最初に発見した人物にむかってサウンドステージが
どうの、という話をしたのですから、これも不遜の極みでした。

古い1992年1月号のAVFrontを見てそれを確認しました。
言い訳にもならないですが、壁面近くに設置するスピーカーで、十分なdepthを
伴って壁の向こうにsoundstageを作れるスピーカーというものを聴いた体験が
なかったのです。

ウィルソン氏に投げた言葉も間違いでした。make clear image beyond the wall
ではなくて、recreate the precise image beyond the wall でした。

ウィルソン氏の言うように現在壁からの反射音を伴っていても鮮明な音のイメージ
を(人工的に、でも)聴こえるようにすることは技術的に十分可能なのでしょう。

録音現場の正確な再生を前提にして、となるとそこまで簡単ではないでしょうが。
その後のAlexandria X-2は これは見事でした。無論Duette より大きなスケール
で鳴っていましたが、かつてのX-1でバスドラム等の低音楽器を聴くと、「ズンズ
ン、ズン」という感じで体が速くて切れのいいパンチをもらっているかのような
エネルギーとスピードに驚いたものでした。

X-2はもっと、特に中低域が自然に聴こえました。
何気ない、しかし実はスピードもダイナミックスもすごいキャパシティーがあって、
音が入ってくればおっと驚くような再生音を聞かせる。

途中ウィルソン氏が低音楽器が入ったCDをかけてくれたのでそのあたりは以前の
X−1との比較ではっきり感じ取れました。中低域の音だけではなくて、全体の音
の広がりなども向上の後が聴き取れたと思います。

今回の会でpropagation delay  group delay にウィルソン・オーディオがどのよ
うに対処しているのか、部屋に置く限り必ずつきまとうルーム・アコースティック
の問題、壁に近く置いたときに特に問題になる低域の強調、定位を不明確にする
ヘリのところでの反射、放射 の問題などをどう対処するかという講義を2時間に
わたって実際の製品を聴きながら受けたようにも思えます。

しかし、楽しい講義でした。
aspherical group delay についても雑誌soundStageのホームページにある文章を
見て何とか理解できたように思います。

あまり理解の良くない小生の頭で今回の試聴会の内容をまとめるにはまだ数日かか
りそうです。

ウーファーのdispersion をコントロールするとか、どうやっているのかはわから
ないけれど、なるほど、そうやってやるのか、と思える内容がたくさんありました。

そう言えばウィルソン氏はカメラもお好きだったですね。
10数年前はキョーセラ=コンタックスのカメラの話をしたのを思い出しました。
では、最後にこの機会を下さった川又様に心から感謝致します。
長文、乱筆お詫び申し上げます。

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川又より

S F 様ありがとうございました。楽しんで頂いた様子で何よりでした。私も海外の
多数のメーカーの社長、設計者たちの話しをしてきましたが、本当にDavid Wilson
そのものがブランドの存在感として大きく輝いているものです。これからDUETTEも
次第に日本での評価も高まってくるものと思います。期待しましょう!!


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