《ESOTERIC 論文コンクール応募作品 Vol.8》


No.0125 - 2002/2/3

群馬県沼田市在住 Mr. Bear 様より

「素敵な演奏を毎日ありがとう!」

 私が、初めてconpact discの音を体験したのは、近くの電気店にヘッドホン
付きで展示して試聴ができるようになったSONY製の据え置き形CDプレーヤ
であった。

当時、中学生であった私の家庭には古いレコードプレーヤーがあった。
お小遣いを何ヶ月分か少しずつ貯めては、気に入ったレコードを買って音楽を
楽しく聴いていたが、実際の演奏会とは違って、レコードの聴き始めや曲間に
聞こえてしまうノイズ、曲の演奏途中で時折聞こえることのあるあのブチッと
聞こえてくるノイズがとても気になっていた。

ところが、一体どうしたことであろうか。ヘッドフォンを装着しSONY製
CDプレーヤの再生ボタンを押して、演奏を心待ちにしていると、突然、ノイズ
のほとんど聞こえない世界から音楽が始まった。

演奏途中でも家庭のレコードプレーヤのように、急にノイズが入って興ざめにな
ることもなくスムーズに演奏が進んでいく様子や、曲間の静けさにも驚愕した。

異論のある方も多数いらっしゃるに違いないが、きっと今後の音楽パッケージ
メデイアの主流になるだろうと確信した。

 時は流れ、最初にCDプレーヤの音を体験してから20数年、職業こそ音楽関
係に携わる機会はなかったが、演奏会にも時々足を運び、趣味としてピアノや
フルートの演奏もする私には、自宅においても、多くの感動する演奏体験ので
きるシステムを常に考えてきた。

P-0の奏でる演奏を聴いたとき、最初にCDプレーヤの音を聞いたときよりも遥か
に強い感動を覚えた。

しかしながら、P-0自体が発生する再生時の動作音にも閉口した。
私の考えでは、演奏中は、演奏装置の存在すら忘れさせてくれることもとても
重要であるからだ。その時は、再生音の見事さを認めつつも購入を断念した。

P-0を視聴してから数年後、幸運にもP-0sに邂 逅した。その外観を見た瞬間、
以前P-0には感じることのなかった美しさと落ち着きを覚えた。

いったい何が変わったのか?

思い巡らせると、表示の発色がオレンジからブルーになっていることにやっと
気付いた。たとえP-0に以前出会うことなくはじめてP-0sにめぐり合ったとして
も是非手元において使用したいと考えたことであろう。

色ひとつで大きく製品の持つ印象が変わったことにも驚いたが、素敵な色を
選択した開発陣のセンスの良さにも感心した。

早速、トレイをopenしCDをセットしてみようとボタンを押す。

しかし、動作音は大きい。少なからず落胆を隠し切れずに、CDが本体に収容さ
れて音楽が再生するのをしばし待つ。

すると、どうしたことであろう。今まで、感じたことのない零囲気で空間が
すべて満たされるのをすぐに感じ取ることができるではないか。

空間全体が、演奏会場なのではないかとの錯覚すら覚えた。

立体感・透明感にあふれ、演奏会場の奥行き感や零囲気まで伝えうる恐るべ
き再生能力。今までにこのように感じることができた製品は正直なところ皆無
であった。

ふと、我に返ると、P-0s演奏中の動作音を、まったく気にしていない自分自身
に気付いた。動作ノイズに関しても、とても改善されている!SACDやDVD-AUDIO
といった次世代音楽パッケージの出現しているいま、P-0sのような素晴らしい
CDトランスポートは二度とこの世で作られることはないと直感した。

熟慮の末、購入。たとえ、自宅にある数種類のDAC、プリアンプ、パワーアンプ
やスピーカとつなぎ替え、あるいは組み合わせを変えたとしても、P-0sの持つそ
の魅力はますます輝きを増すばかりである。

ただ、素晴らしすぎて、ときに精神的・肉体的に疲労しているときには、リラッ
クスして音楽を楽しむことができないことがあるのは、自分としても理解しがた
い不思議なことである。

このようなときには、別のCDプレーヤを使用し、しばらく演奏に身をゆだねる
ことにしている。しかし、その浮気心はやがてすぐに薄れ、贖い難いP-0sの
魔力に支配されるかのごとく、再びP-0sの演奏を枯渇することになる。

P-0sよ、素晴らしい演奏をいつもありがとう!
いつまでも素敵な音楽を奏で続けることができますように!

付記:最後になってしまいましたが、類まれなるP-0sを製品化なさった開発陣
スタッフには大変感謝しております。P-0sレベルの高次元の再生が可能なSACD
DVD-AUDIO再生システムがこの世に生み出されることを心待ちにしております。



HAL's Hearing Report