《BRASS SHELLレポート》


No.0110 - 2002/9/27

東京都港区  ソノピー様より


N802ユーザーです。他のシステムは、P0-s、Wadia 9(Degilink30経由)、
Coherence、Model 12という状況です。COPPER HEAD を発売当初から利用して
きましたが、今回『BRASS SHELL』を購入しました。

COPPER HEADユーザーには存在を受け入れがたい『BRASS SHELL』ですが、
サンプル(BRASS EDGEの1ピースタイプ)を自宅試聴させて頂いた結果、
やはり導入に踏み切ることにしました。

度々送られてくる試聴レポートはあえて目にふれないように心がけていたの
ですが、自宅試聴により有意な差を感じてしまったのでやむを得ず再度の出費
を決意しました。

しかし、このように専用のアクセサリーが開発されて、それを自分で交換して
音の変化を楽しんで遊ぶようなことができるのもNautilus 800シリーズを
選択した特典とみることもできます。

ある程度ユーザー数が多くなければこのような商品化はできないでしょうし、
何よりも『BRASS SHELL』は川又氏のNautilus(Signatureを含む)への
こだわりがなければ生まれていなかった商品なのですから。

さて、本題に入ります。私の場合、COPPER HEADから『BRASS SHELL』に
交換した場合の変化を中心に述べさせて頂くのが適当かと思います。

まず、COPPER HEADの導入時を思い起こすと、最大の驚きは音像のフォーカス
の良さでした。楽器やボーカルのポジションがわかりやすくなりました。

その効果は、オリジナルのプラスチックのフェイズプラグを外した状態、
プラスチックをつけた標準の状態、COPPER HEADに交換した状態を連続して
比較してみることにより、明確に確認することができました。

そして、このような差が生まれる要因がフェイズプラグの材質の違いに
あることは直感的にも納得しやすいものでした。

なぜなら、フェイズプラグ同士をぶつけてみると、プラスチックでは
「カチッッ」と軽薄な音が鳴るのに対し、COPPER HEADでは「コツ」という
重量感のある音がしてすぐに消えるためです。

このような先入観をもっていたため、実は今回のサンプルに対しては音を
聞く前にはやや不信感がありました。

重量はCOPPER HEADよりやや軽く、COPPER HEADとは表面の処理が異なるた
めです。COPPER HEADは銅の表面を覆うコーティングの膜が厚く、これが
ぶつけた時の音の発生を抑える要因になっているように思えます。

これに対して、『BRASS SHELL』は、膜が相対的に薄く見えます。

よって、「コツ」という重量感のある音がするのは同様ですが、ややその
音が高いように思えます。

しかし、実際に音を出してみると驚きました。川又氏と同じくFILIPPA
GIORDANOのカルメン「ハバネラ」を課題曲にしてみました。

曲の出だしから鮮やかさが増したことがわかります。

その影響か、特にバックの演奏での変化が大きく、今まで聞こえにくかった
音が聞こえるようになります。全体的には音場が広がった印象です。

これらの変化が印象としては大きいのですが、よく聞いてみるとCOPPER
HEADでみられたフォーカスのよさにもやや磨きがかかっているようにも
聞こえます。

私の非常に直感的な印象では、金属の材質の差は音場の広がりに、表面処理
の美しさはフォーカスのよさとなって現れているように思います。

このような印象なのですが、人によって好みがわかれる可能性のある問題が
1つあります。それは音に金属音がのるかどうかということです。

材質を変えることによって音が変化するといっているわけですから、金属音
がのらないといえば嘘になるのだろうと思います。たとえ、どのような材質
で作成されたフェイズプラグでも、その材質固有の音がのること自体は避け
られないと考えると、問題となるのはこの音に違和感を感じるかどうかです。

いくつかのボーカルや波の音なども聴いてみましたが、私の場合は有意な差
は見つけられませんでした。実は金属音がのっているのかもしれませんが、
鮮やかさが増したり、今まで聞こえにくかったバックの演奏がよく聞こえる
ようになったことはそれに勝るメリットであると感じました。

ところで、今回、実験をするに当たって比較試聴しやすい方法を編み出しま
した。スピーカーを傷つける危険がある方法なので、自己責任としてやりま
した(皆さんにお奨めできる方法ではありません)。

かねてから比較試聴をする時に、切り替えの時間をどうすれば短縮できるか
と考えていました。そこで、まず比較したい曲の30秒くらいだけをリピート
するようにしました。そして、音を鳴らした状態のままフェイズプラグを交換
したのです。

このような実験をしている際に発見をしました。フェイズプラグはしっかり
閉めないといけません。フェイズプラグのない状態からフェイズプラグを差し
込もうとすると一旦音がこもります。

そして、ネジを回すうちに徐々に音が出始めます。『BRASS SHELL』も根元で
3種類の円盤を交換することによって音が変化することを考えても、根元に
向かう音の反射(回折かも?)が重要なのでしょう。

最後に、BRASS FLAT、BRASS EDGE、CUPPER FLATの比較を簡単に述べます。
傾向としては他の方がレポートされているものに付け加えられることはあり
ませんでした。

私の場合、基本的にはBRASS FLATを利用することになると思います。
CUPPER FLATはもしかすると交換したいと思うときが来るかもしれません。
BRASS EDGEは音がこもってしまう気がして今後使わないと思います。

BRASS EDGEは大穴狙いの実験もしてみたのですが結果は駄目でした。
これは、BRASS EDGEのリングを反対に取り付けるというものです。
EDGEの方がFLATより接触部分が少ないため圧着度を高められるとすれば、
2ピースがより密着するのではと思いましたが、中にできることになる
空洞が悪さをして音をさらに篭らせてしまうようです。

これは画期的な使用方法を編み出したかと思いましたが残念です。

本当はB&Wにこのようなアクセサリーを出されないベストな商品を出して
欲しいという気持ちもあります。しかし、すべての人へのベストという
ことはない趣味の世界だと考えると、自分の好みに合わせてアレンジでき
るオプションが充実していることの方がありがたいともいえます。

このような意味でこれらのフェイズプラグ類を試聴されたことのない
対象ユーザーの皆様には、せっかくの特典を利用して一度遊んでみられる
ことをお奨めいたします。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私の担当する「ハルズファン」の記念すべき第一号の投稿をして下さった
のが、このソノピー様でした。これからもよろしくお願い致します。
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0001.html


HAL's Hearing Report