“CD Sound Improver” Impression

同じCDでも、音楽データが記録されたCD(CD-DA) とパソコンソフトのような
音楽以外のデータ (CD-ROM) では、フォーマットにおいて同一のところと異
なっているところがある。

両者とも Cross Interleave Reed-Solomon Code (CIRC) という仕組みを用い
て、読み込んだディジタルデータのエラー検出とその訂正が行われている。

しかし、セクタに関するフォーマットは異なる。CD-ROM には Layered Error
Detection Code and Error Correction Code (Layered ECC) というエラー検出
・訂正部分が加えられているが、CD-DA にはそのようなエラー検出・訂正機能
は存在しない。

CD-ROM はエラー検出・訂正を2重に行っており、データを正確に読み込むこ
とに大きな関心が払われていることがわかる。

程度のよいディスクでもエラーは1秒間あたりの平均で高々10回は発生してい
るらしいが、いかなるエラーに対しても CIRC は信号を元通りに完全に復元で
きるのではなく、エラーの内容によっては信号の補間を行う。

CD-ROM はデータを正確に読み込みができないと致命的だが、CD-DA は少々不
正確な読み込み結果でもデータの補間まで行って音楽を極力奏でられるように
なっていると考えられる。

このため、私のように音にこだわる人間にとっては、セクタフォーマットで
エラー検出・訂正機能が省かれている CD-DA からディジタルデータをいかに
して正確に読み出すかが問題となる。

これが現有のCDトランスポート (P0-s) への拘りの1つである。

CD-ROM の読み取り時に発生するエラーは2重に検出・訂正されるため、パソ
コンソフト用の CD-ROM ドライブの読み込み性能は、32倍速などのように読み
込み速度が問題にされることが多い。

もし、74分の音楽データが記録可能なCD-R に、Layered ECC として CD-ROM
モード1 というフォーマットで記録し直したとすると、74*2048/2352 = 64分
程度しか記録できないことになる。

CD-ROMモード1 では、12.9%ものデータが Layered ECC のために消費されている。

今回購入した CSI であるが、音楽 CD に記録されているディジタルデータを
正確に読み込むのに大きな効果がある。CD の外周を角度をつけて削って黒色
の油性マジックを塗ると、その部分にレーザの散乱光が吸収され、それだけ
データの読み込み精度が高まるのであろうか。

試してみた個々の CD に対してのコメントはしないが、CSI の効果は、情報量
の増大、定位の明確化、ニュアンス表現力の増大などいろいろな点で大きな改
善があった。商品の発注後 HAL でもその効果を確認したが、到着が待ち遠しか
った。機能の割りに少々高価かなとも感じたが、購入してよかったと思っている。

いまのところ、230枚ほど削った。まだまだこれからも CSI 作業は続く。
なお、DVD でも CSI 処理は可能であるが、DVD と CD ではレーザの周波数が異
なるため、CD ほどの効果は期待できないと思われる。DVD にはそれに応じた角
度で削る必要があろう。




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