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H.A.L.担当 川又利明


No.301 『問題発言を糾弾!! VRDSの真実はこうです!!』

相互通信を気軽にということで、日頃ハルズサークルの皆様から私に色々な
お問い合わせやご意見を頂いておりますが、先月のこと都内にお住まいのH様から
下記のような思いもよらない問い合わせを頂きました。
以下はその顛末を抜粋でご紹介いたします。

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H様より

いつもお世話になっております。
突然ですが川又さん、「EsotericのVRDSメカの弊害」として、
長年繰り返しCDをVRDSにセットするとディスク本体が壊れ徐々に「音が悪くなる」
といったような話を耳にしました。
(VRDSの場合、ディスクに圧力をかけているためらしいのですが)
そしてこれはEsotericの技術も認識しているが、手前上公表してはいないものだと。
この衝撃的なお話、本当なのでしょうか?

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

メールを拝見して驚きと共に本当に根拠のある
話しをしているのだろうかと思わず呆れてしまいました。

初耳です。そして、技術的に考えても私には理解できません。

CDの演奏時間にディスクをクランプするための圧力をかけているのは事実
ですが、それがディスクを壊すなどとは私には想像も出来ません。

また、長年私もVRDSのプレーヤーは多数販売してきましたが、そのような
報告をユーザーから受けたことはありません。

CDの構造上ディスクそのものの耐久年数自体が半永久的ではないと思います。
しかし、それをプレーヤー側の責任にするなどは考えてもみませんでした。

例えば同じディスクを二枚買ってきて、VRDSと他社のプレーヤーで毎日一定
時間を再生し、それで何年間か、または何千回か繰り返したらVRDSではこう
なった。というような具体的な事例があれば別ですが。

いや、その実験とてプレーヤーのメカニズムの問題なのか、ディスクの耐久
性の個体差なのかは証明できないでしょう。

科学的に考えても私には理解できないことです。

私にはご返事する根拠がありませんし信じてもおりませんので、ESOTERIC
より何らかの回答がありましたらお知らせするということでご理解ください。
よろしくお願い致します。

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

H様より

なるほど、そうですか。川又さんもご自身が長年販売されてきたVRDSだけに、
もしそういう弊害があるならば、真っ先にご存知かとは思ったのですが。
私も自身でEsoteric製品を使う(以前川又さんから購入)手前、この話は最初
耳を疑いました。ただ、その相手とは付き合いもまだ浅く、私としてもあまり
突っ込んだお話ができないような状況で、その場はその人の妙な迫力と
自信に圧倒されるだけでした。

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川又より

そうでしたか・・・・、それほど自信を持って発言されているとは・・・。
H様のように誤った認識から愛用中の製品に対して価値観を失ってしまうような
ユーザーがいたら私も心理面でサポートし誤解を解きたいと思います。

さて、このVRDSのターンテーブルに対して圧力をかけているからいけない、と
いうことなのですが、高速回転するディスクを安定ホールドするためにはすべ
てのCDプレーヤーでは何らかの圧力をかけてディスクを固定しているのは誰でも
お解りのことと思います。

では、VRDSのターンテーブルはどのような目的があるのか? と言いますと下記の
私の随筆第52話の第一部をご覧頂ければ光学式ディスクの宿命としてサーボを
どのように扱うかということを合わせてご理解頂けることと思います。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto52-01.html

それでは、大変微妙に中心がへこんでいるすり鉢型のVRDSのターンテーブルは
ディスクを圧着した時にどのような変位をさせるのでしょうか? これを調べて
みました。

VRDSのターンテーブルは中心部は外周よりも若干低いというか深くなっているわ
けですが、その高低差はなんと0.3mmしかないということ、またこれは角度にする
と27分(1分は60分の1度)ですから傾斜は1度もないわけです。たったこれだけです!!

従って、これほどわずかな変位量であり、これを圧着するためにかける圧力が
過剰になるということも考えられません。

これほど緩やかな傾斜をつけてターンテーブルに圧着しますが、そこにディスクを
傷めるような要素はありません。
むしろ、皆さんがCDケースから取り出す特にディスクのフチをもって引っ張り上げる
時の曲がり方の方が大きいものですね(笑)

次に、LPレコードもそうなのですが、CDの素材であるポリカーボネイトという
素材にも“弾性限界”というものがあります。塩化ビニールで出来たLPでは
マイクログループという音溝をスタイラスチップがトレースすると、その瞬間
では音溝の表面は針先の極めて小さい接触面に加わる圧力で変形し、針先が通過
すると元の形状に復元するものです。それはレコードの“弾性限界”の範囲内
であれば受けた圧力による変形は完全に元通りになるということなのですが、
当然CDにも同様な“弾性限界”があります。

では、ポリカーボネイトの“弾性限界”とはどういうものなのか? という事例
を示す意味でも興味深い製品が下記のように作られています。

http://www.samini.co.jp/stocksp/sawane_SSv15_87.html

そう、このように多目的に応用できるスプリングとして工業的に認められた
“弾性限界”がポリカーボネイトにはあるということですね。

であれば、上記のように高低差0.3mm角度にすると27分という肉眼では確認し
にくいほどのごくわずかな変形をCDに一定時間加えたとしてどうなるという
のでしょう!? 前例のように皆さんがディスクをケースから出すときの例え
をイメージして頂ければ、CDの弾性限界がいかに大きいものかがお解りに
なると思います。と、いうわけでご指摘の問題には根拠はないものと思います。

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

昨今は大手自動車メーカーのリコール問題が大きく取り上げられていますが、
こと人命に関わることですから大変憂慮すべき問題です。しかし、今回の
H様からのお問い合わせについては、これまでに述べてきたようにまったく
根拠がないものであり、ましてやメーカー内部の人間が認めているだなどと
いうことは事実無根であると思わざるを得ません。当然、私もESOTERICの
しかるべき人物に問い合わせをしましたが、彼らもどうしてそのような
根も葉もないことが吹聴されるのかまったくわからないと嘆いていました。


私も過去にP-0sをはじめとしてVRDSを搭載した製品を多数販売して参りまし
た。そして、初代P-0のシリアルナンバー1001の製品は現在でもここで演奏
を続けておりますし、ここにあるディスクで音質劣化したと言うようなこ
ともありません。そして数多くのVRDSユーザーの皆様も同様だと思います。

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私は各社の製品が公平で正当なセッティングによる良好な環境とシステムに
おいて実演した音質でユーザーの皆様が自分の感性で製品を選ばれるという
ことが最も自然で無理のない、そして正確な販売の方法だと考えています。

今回の出来事は事実無根の風評を広めることによって何らかの利益を上げ、
そしてユーザーに正確な情報を提供しないどころか
誤った認識でユーザーの投資と価値観を台無しにしてしまうことになって
しまうと思われましたので、敢えて私は数多いVRDSオーナーの皆様のため
に正しい知識を広めていきたいと考え、ここに反論を公開いたしました。

皆様の愛器には原理的に何の問題もありません!!
VRDSメカを搭載したプレーヤーをご愛用の皆様、どうぞ安心して末永く
音楽を楽しんで頂ければと思います。



このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.co.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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