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No.259 小編『音の細道』特別寄稿 *第20弾*
     「近年まれに見る驚き!! 私のレベルで感動できる
       ケーブルとは!? その.2」

1.事実は小説よりも奇なり!?

今回はGケーブルと勝手に命名した製品を検証するに当たり、私は長年PADと
DOMINUSを標準としてきたこともあり、慎重にも慎重を期するという姿勢で
試聴を続けているものだ。さて、前回の試聴のシステムを再度確認しておくと…。

     -*-*-*-*-今回のリファレンスシステム-*-*-*-*-

ESOTERIC G-0s(AC DOMINUS) →ESOTERIC X-01(Moebius“10000952”)→
PAD BALANCE DOMINUS 1.0m→Brumester Pre-Amp 808 MK5(AC DOMINUS)→
(PAD BALANCE DOMINUS 7.0m) →Nautilus付属Channel Divider(AC DOMINUS
 & BALANCE DOMINUS 1m×4 SAP RELAXA2PLUS×2)→JEFFROWLAND MODEL 304×2
(AC DOMINUS×2) →B&W Nautilus→murata ES103B With PAD ALTEUS 3m

前回はG-0sからX-01へワードシンクを送るBNCケーブルで、上記のシステムで
PAD DIGITAL COLOSSUS(\92,000.)との対比を行ったものだった。

さて、今回はGケーブルのBNCデジタルケーブルをそのままに、いよいよ
インターコネクトGケーブルを試聴するのだが、サンプルとしては1.0m
のものしかないので、当然ESOTERIC X-01→Brumester Pre-Amp 808 MK5
の接続に使用することになる。手始めに前回で最後に使用した押尾コータロー
『STARTING POINT』の一曲目「Fantasy!」をかけてみて、ケーブルの差し替え
をより短時間で行うことは出来ないかと考えたのである。
http://www.toshiba-emi.co.jp/oshio/

Brumester Pre-Amp 808 MK5はバランス入力とアンバランス入力の両方が
あるのだが、GケーブルのサンプルはアンバランスのRCAピンケーブルしか
ないので、X-01とプリアンプの双方をアンバランス端子で接続した。さて、
他のケーブルとの対比を使用とした場合には、プリアンプのAUXは1から6
までと六系統あるので、ここに複数のケーブルを接続しておいてX-01の
出力のみ差し替えれば時間の節約になるだろうと考えたものだった。

今までAUX1には入力を与えており、システムエンハンサーでも十分に
バーンインしてあるのが、はて? 他の入力系統と差があってはいけない
だろうから、ここはひとつ万全を喫して確認しておくか!? と考えたのが
運の尽きである(^^ゞ

私も多年に渡って色々な経験をしてきたが、アンプの入力に複数のケー
ブルをつないで色々なテストをしてきたことは数多い。基本的にアンプ
の入力端子はどれも同じスタンスで…、ということが前提であり、これ
までにも複数の入力端子間で実験も行い問題なし、という考え方をして
きたものである。だから、今回も一応確認のため…、という気軽なテスト
であり半信半疑であったものだ。

「同じアンプの入力端子間の相違よりもケーブルの違いの方が大きいに
 決まっているから、本当は無視してしまってもいいんだが…」

という思いも強く、かつそれほどに厳密に試聴しなければいけないとい
うGケーブルに対する私の警戒心? も働いたようだ。

さて、使い込んできたAUX1にGケーブルRCAケーブルを接続して、まずは
「Fantasy!」の冒頭部分をリピートし、どれどれ…と高をくくってAUX2
に接続しなおし、まったく同じボリュームで再度スタートした…!?

「ちょっと…、ちょっと待てよ!? これは…?? 」

疑問符はたちどころに私の手を動かし、プリアンプにミュートをかけて
今度はAUX3に、そしてしまいには最後のAUX6につないで再度スタート。

疑り深い私はシングルトーンでの変化を感じ取って、それではとヴォーカル
を含んで多彩な楽音が録音されているディスクにかけて、再度AUX6で…?
そして、数瞬の間を惜しんで再びAUX1へ。

次第に冒頭の20秒間だけをしつこくリピートさせて、もう一巡繰り返す。
またまた押尾コータローに戻して再度繰り返す。自分で自分の耳と感性を
疑う気持ちと信頼する気持ちが拮抗するので、念には念を入れた実験を
何度も繰り返し、その間に試聴室に来られたお客様には不思議な顔をされ
るのもかまわずに30分以上繰り返した。そして…!?

「結論!! もっとも使い込んできたAUX1が一番いいぞ!! 」

主にエコー感の消滅する過程と音場感の広さが形成される相違点を私は
集中して観察していたのだが、実にNautilusとmurata ES103Bはそれを
正確に捉えていることか!!

そしてGケーブルとは、そんな微細な伝送条件の違いまで聴かせてくれ
ているということが、今回のテーマであるインターコネクトでの試聴の
プロローグとして私を熱くさせてくれたのである。これでは仕方ない、
他のケーブルとの比較試聴を行う時には、面倒でも時間がかかっても
入力端子は固定して試聴しなくてはと決意を新たにした。
それにしても…、このケーブルが有している情報量は只者ではない!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そもそも音楽を楽しみたいという欲求のもとに集められたのがここの
コンポーネントであり、それを私が楽しめないようでは本末転倒である。
この押尾コータローの他の曲も試聴してみた。6.Merry Christmas Mr.
Lawrence は独身時代に見た映画として大変印象深く、また色々な
カバーもされていて好きな曲だが、ここで二本のGケーブルを導入した
Nautilusシステムで久し振りにじっくりと聴き込んでみた。

一体、このギターは本当にソロでやっているのだろうか? と思わせる
ような超絶技巧のテクニックは、一本の弦に対して様々な音色を創造
する押尾コータローの才能が本当に素晴らしく目の前に展開するもの
である。ギターのボディーを叩いてリズムを刻むそのときにも、その
響きは強調されることなくNautilusの得意とする空間提示によって
音源があるはずもない虚空に打音を響かせる。

そして、何とも音場感が広いことか!? 録音のテクニックもあるだろが
優秀なシステムというのはレコーディングの現場で感じられなかった
音場感を創造するものであり、その一助としてのケーブルの影響力は
間違いなく存在していることを実感させてくれる。

そして、12.HARD RAIN では冒頭の低域の厚みと重量感に驚く。本当に
ギター一本の演奏なのだろうか? 左右からエレキベースを巧みに挿入
して低域を厚くしているのではないだろうかと疑ってしまうほど、
Nautilusのウーファーがストロークするので驚いてしまった。しかし、
ギターの弦が本当に6本なのだろうかという素朴な疑問を感じるほどの
情報量である。

Gケーブルを使い始めてからというもの、小学一年生が入学のときに
買い与えられた12色の色鉛筆を使い古し、新たに買ってもらった36色
の色鉛筆の大きな箱のセットに目を輝かせるように、同じシステムが
これほどまでに多彩な質感と色彩感を持っていたことに私の目と耳は
輝いてしまったようだ(笑) これは素晴らしい!!


2.バランスとアンバランス

さて、いよいよインターコネクトの試聴という段階になって、一体
何を基準にして私が比較するのだろうか? とお考えの皆様も多いこと
と思うが、ここの試聴室にこられた方はお解りのように、ここでは
DOMINUSをリファレンスとしてすべてに使用している。しかし、デジ
タルのBNC DOMINUSは使用していないので、前回は単独でGケーブルを
ワードシンクのリンク用ケーブルとして試聴を始めたということも
あった。しかし、インターコネクトのDOMINUSでも、ここではアンバ
ランスタイプも使用していないのである。

私は過去の経験の中でまったく同じメーカーの同じタイプのケーブル
であっても、バランスとアンバランスでは楽音の質感は同じ傾向であ
っても、各帯域で微妙に表現の仕方が違うということを承知している。

中低域の表現はバランス接続の方がいい意味で雄大に広がり、楽音の
あり方もフォーカス重視というよりは音場感の広がり方が上手に再現
されるという傾向がある。それに対比してアンバランス接続の方が
フォーカスを点に近付けようという傾向が見られ、解像度を重視して
楽しみたいという場合には私もそこを評価するところである。

また、インターコネクトのGケーブルは面白いことにDOMINUSとの価格
の対比においては“安くもあり高くもあり”という設定なのである。
1.0mではGケーブルの方が安いのだが、2.0mとなるとGケーブルの方が
高くなりDOMINUSの方が安くなるというものだ。

実は、インターコネクトにおけるDOMINUSとの比較の第一印象を既に
私は持っているのだが、バランスのDOMINUSとアンバランスのGケーブル
という対比であり、それでは正確な比較が出来ないと考えられ、急遽
シーエスフィールドに要請して同じケーブルをRCAプラグに変更して
もらうという周到な準備をしたのである。

しかし、プラグ交換と共に「マグネストリクション」という磁気処理
をしてしまうので、一旦は初期化されてしまい正確な比較が出来ない
ということが判明した。ちなみにGケーブルはどれでも出荷前に80時間
のバーンインを行ってから発送しているという。

この大切な大一番では不十分なコンディションで両者を比較したくな
いので、両方のケーブルに同時に一晩システム・エンハンサーをかけ
て明日慎重な比較をしようと考えたものである。

そして、翌日…。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

3.第一ラウンド

更に!? 事実は小説よりも奇なり!?

昨日このタイトルで途中経過をお伝えしたものだった。そして、本日は
下記の流れでインターコネクトの試聴を開始したのだが、その第一曲目で
私の口はあんぐりと開いたままの状態となってしまった。

     -*-*-*-*-今回のリファレンスシステム-*-*-*-*-

ESOTERIC G-0s(AC DOMINUS) →GケーブルBNC DIGITAL CABLE→ESOTERIC
X-01(Moebius“10000952”)→PAD BALANCE DOMINUS 1.0m or Gケーブル
Interconnect1.0m→Brumester Pre-Amp 808 MK5(AC DOMINUS)→
(PAD BALANCE DOMINUS 7.0m) →Nautilus付属Channel Divider(AC DOMINUS
 & BALANCE DOMINUS 1m×4 SAP RELAXA2PLUS×2)→JEFFROWLAND MODEL 304
×2(AC DOMINUS×2) →B&W Nautilus→murata ES103B With PAD ALTEUS 3m

実は、RCA Interconnect DOMINUSは昨日も述べていたように、あることは
あったのでつまみ食いという感じで音は聴いていたのである。その時には
「まずい!! DOMINUSが敗れてしまうのか!?」という印象を持ってしまった
のであるが、「マグネストリクション」を行って初期化されているという
ことがわかっていても比べてしまったものだ。

そして、上記のシステムにRCA DOMINUSをつないで、本日の第一声として
昨日何度も聴き比べた押尾コータロー「Fantasy!」ををかけたのだが…。

冒頭のシングルトーンの響き、余韻の拡散する空間の大きさ、質感には
透き通るようにクリアーな空気感を含み、「いや〜、おみそれしました!!」
というDOMINUSの真価を見せ付けられたのであった。たった一晩の徹夜の
バーンインで恐ろしく鋭さが加わるDOMINUSはやはり素晴らしい!!
昨日は厳密な比較試聴に入らないで正解であった(^^ゞ

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さあ、いよいよ第一ラウンドの開始である。DOMINUS同様に並列してバーン
インを行っていたGケーブルInterconnectに差し替える。昨日の思わぬ発見
と教訓を鉄則にしてラックの後ろまで回りこんで、四箇所の接続をひとつ
ずつ差し替える。席についてからミュートを解除して、同じ曲をまったく
同じボリュームでX-01をスタートさせた。

「お〜、やるじゃない、Gケーブル!!」

DOMINUSが描き出していた空間のスケールを正確にトレースするように音場
感のサイズを同一までに維持しており、余韻の再現性という情報量のあり方
についてはまったくの互角と言える。実は、バランスDOMINUSのままで比較
した時には、この曲の冒頭の20秒程度のシングルトーンを何度も比較し、
ギターの弦一本の音像表現と高域の情報量はGケーブルの方が勝っているの
ではないか…、印象を持ったものだった。しかし、私の推測は正しかった。
アンバランス仕様に変更したDOMINUSは中高域の解像度、言い換えれば音像
のシャープさにおいては以前のバランス仕様よりも鋭くフォーカスを描く
ようになっているではないか!! やはり中途半端な状態では厳密な比較は
出来ないものだ。

さて、曲が進むうちに楽音の質感、余韻というフィールドの大きさ、テン
ションの張り方、アタックの鋭さ、などなど…、DOMINUSで聴いたイメージ
を土台にしてGケーブルでの比較対照を頭の中のメモリーで進めていく。

「う〜ん難しい(^^ゞ拮抗しているな〜両方共に…」

新参者を迎えてのDOMINUSはディフェンディング・チャンピオンよろしく
軽がると自らのパフォーマンスを披露し、またGケーブルもこの曲に関して
はまったく情報量の総量で引けをとらず互角の勝負である。しかし…。

何とか両者の個性を捉えようとする私の耳では、音階の低い弦の質感に
相違点を発見した。それでは、確認だ。曲を12.HARD RAIN に変えて再度
チェックする。最初に今聴いていたGケーブルで試聴し、次にDOMINUSに
変えるようにしよう!!

長年DOMINUSをリファレンスとしてきたが、その間にも道場破りよろしく
数社のブランドが挑戦状を持って参上してきたが、皆返り討ちにあって
しまったというエピソードがあり、中には私がブラインドテストをして
挑戦者のケーブルとDOMINUSを比較試聴させたこともあった。テスト曲の
演奏が終わって挑戦者のメーカーの人(アメリカ人)にどちらが良かったか?
と私が問いかけるとDOMINUSの方がいいと答えて、私が種明かしすると
「Oh!!」と言って笑い話になったこともある。そんな私が認めたGケーブル
は(^^ゞさすがという分解能で押尾のギターの激しい演奏もこなしていく。

「これはいい!!」

さあ、先ほどの曲で感じた低域のニュアンスを確認するか!! ということ
でいそいそとDOMINUSに差し替えて席に戻り、X-01を再スタートさせた!?

「お〜!! これがDOMINUSだ!!」

低域の質感に柔軟性を含ませた重厚さがありDOMINUSが1ポイント得点だ。
この時に印象に残るのは低域の質感だけではない。先ほどの1.Fantasy!
とこの12.HARD RAINでは録音のスタイルが対照的であることに気が付く。
センター定位でぴーんとフォーカスを引き締める1.Fantasy!に対して、
この12.HARD RAINでは左右にギターが定位しておりセンター不在なので
ある。時折センターに流れてくる弦はあるものの、上手くまとめた録音
で左右からの掛け合いの形式でハードなギターが展開していく。

この演奏ではDOMINUSが両翼からのギターのエコー感が本当に気持ちよく
空間で混ざりあり、そして解像度を落とさずに再現してくれる。これは
ちょうど両手の指が自然に交互に挟みあってしっくりくるような、余韻
の浸透圧が空気に対して極めて高くなったような印象なのだ。言い換え
れば、交じり合うエコー感がNautilusをして絶妙に再現されていると
言うことだろうか。この曲はDOMINUSに軍配が上がった!! しかし…、
Gケーブルで私が着目している美点は必ずあるはずだ!? そこで…!?
同じアルバムで選曲を変えることにした。それはセンター定位で見事な
アルペジオから広い空間表現を漂わせる6.Merry Christmas Mr.Lawrence
である。さあ、今度はDOMINUSから聴いていく。

お馴染みのメロディーがトゥイーターの間隔2.8メートルにセットした
Nautilusのセンターから気持ちよく浮かび上がる。本当にバーンイン
した上でのDOMINUSでは昨日と情報量が違いすぎるほどに豊かであり
潤いがある。ここでのリファレンスとして、やはり安泰である!!
そして、ギターのボディーを叩く打音とそのエコー感が音源が存在
していない中空にぱっと花咲くように展開し、ギターの弦が24本も
あるのではないかと思われるほどの豊富な色彩感を見せ付ける。
もう、これにかなうものはないのではないか!? などど、過去の自分
の選択にしばしの優越感を持ちながらGケーブルに差し替えるべく席
をたって、またまたケーブルに手を伸ばす。ところで、Gケーブルの
RCAプラグは外側のカバーを回転させることによってチャッキング
ロックするようになっていて、ことのほか安定感と信頼感があり
太さもスマートであり重量も適度なものである。DOMINUSと比較
してということだが(笑) さあ、差し替えが終わったぞ!?
先ほどの音を忘れないうちにと自然に早足になって着席し、もどか
しさも手伝っていそいそとアンプのミュートを解除して…!?

「あっ…、こ、これ…、美しい!!」

GケーブルはDOMINUSに対して一回り中高域のギターのフォーカスが
小振りになるのだが、引き締まったと言って良い中空の一点に表れた
音像から放たれたエコー感のえもいわれぬ美しさをどう表現したものか!!

音楽というエネルギーを無色の光に例えて、その光を赤い輝きのルビー
に当てたとしよう。そのときのルビーから周囲に拡散する赤い光は
穏やかな温度感に支えられた情熱的なきらめきを見せているとしよう。
これがDOMINUSのイメージだ!!

しかし、この時にNautilusという媒体を使って表現されたGケーブルの
印象は、まさにダイヤモンドに光を当てたところ、七色の色彩感を伴って
周辺に極彩色の輝きを撒き散らしているがごとくのイメージなのである。

センター定位という音源なき虚空に引き絞られたフォーカスを結び、
ミラーボールのように余韻感を発散するGケーブルは、それを見つめる
人々を虜にすること間違いなしである。この輝きに魅せられたら私で
なくてもひとたまりないだろう!! Gケーブルに1点だ!!

さて、そうこうしながらも、この両者が戦うフィールドを変えて更に
検証してみたいという欲求が脳裏をよぎる。よし、次だ!!


4.第二ラウンド

さて、センター定位のフォーカスのあり方という着目点で聞き分けた
後で次にどんな選曲をもってくるのか? 既に私は次の曲を考えていた。

せっかくX-01を使っているのに、なぜSACDのソフトを使わないのか?
といぶかる方もいらっしゃるでしょうが、ESOTERIC G-0s(AC DOMINUS)
→GケーブルBNC DIGITAL CABLE→ESOTERIC X-01(Moebius“10000952”)
このフロントエンドで聴くCDの素晴らしさと言ったら、十分に私の
レベルでもOKのクォリティーなので何も心配は要らないものであり、
かつ求めるチェックポイントは普通のCDで十分に発揮されていく。

いずれにしても、後日はP-0sのシステムに移行して検証を続けるので
どうぞご安心を(^^ゞ さて、使用するのは、これもご存知のアルバム
で下記の「Muse」から1.ハバネラである。
http://www.universal-music.co.jp/classics/healing_menu.html

フィリッパ・ジョルダーノのオーバーダビングによる左右に広がるハー
モニー豊かなイントロのコーラス、これはセンターのフィリッパを中心
にして両翼に広がり、先ほどのギターソロのセンター定位か両サイドで
の定位か、などという一定の位置関係による分析というよりはヴォーカル
を中心に多数の楽音で個々をチェックできる重宝なテスト曲なのである。
それでは、早速先ほどのGケーブルのままでX-01をスタートさせた。

「この曲は数え切れないほど聴いてきたけど、この低域はいいぞ!! 」

冒頭のコーラスとメインヴォーカルの分離感、距離感をそつなくこなし
その後に入っているのがグランカッサと思われる大太鼓をバチを緩やか
に当てるようにセンター下方にずーんと響くドラムである。この質感と
重量感を私は数多くのシステムで聴いてきたが、きゅっとヒップアップ
したように引き締まって、絶妙ながら見えにくい打撃の瞬間を鮮明に表
現してくれる。Nautilusのウーファーの下に沈みこんでしまうような低
域ではなく、ウーファーの少し上に顔を出したように打音の位置関係を
修正するような表現は初めてである。

イントロのコーラスでも口元のひとつずつを鮮明に描き出すというフォ
ーカシングの見事さは低域にも同様な作用をもたらしており、Gケーブル
によって私でさえも初めて体験するNautilusの更に新しい表情である。
Gケーブルに一点だ!!

先攻のGケーブルがしょっぱなから好印象をもたらし、持ち前の情報量の
多さが雄弁にヴォーカルもこなすので、この状態ではまったく不足感は
なくポストDOMINUSという実力を軽々と見せ付けてくれた。このままで
いいのか!? と、あっけない世代交代を認めるのも癪に障ると内心では
モゴモゴと言葉にならない言葉をささやきつつ、再度ケーブルの差し替え
のために立ち上がった。さて、チャンピオンの意地を見せてくれるのか!?

「おー!! これだ!!」

Gケーブルとの対比でDOMINUSの個性が冒頭のイントロで直ちに発揮された!!
バックコーラスのハーモニーで低音階のパートが何ともくっきりと聴こえる。
その結果としてコーラスに厚みがのり、Nautilusの裾下に向かっても音場感
が拡大している。これはいい!! 更にフィリッパのヴォーカルでも音階が下が
るパートで生々しさがひとしおのリアルさで展開される。フォルテッシモの
オーケストラと背後の合唱の余韻感も美しく尾を引く。低域の表現力にお
いてのテンションの引き立ち方はGケーブルに譲ったが、ハーモニーの重厚
さというところでDOMINUSに一点だ!!


5.第三ラウンド

さて、両者の個性が更に見えた来たところで、双方の聴かせどころをどの
ように把握していくか、特に各帯域におけるエネルギーバランスの表現性
にその特徴が見え始めたので、次にはオーケストラで更にそれを抉り出し
てみようと考えた。ご存知ゲルギエフとサンクトペテルブルク・キーロフ
管弦楽団・合唱団による「くるみ割り人形」に早速ディスクを入れ替える。

http://www.universal-music.co.jp/classics/gergiev/valery_gergiev.htm

なんだ、またこのディスクか〜、とバカの一つ覚えと失笑を買いそうな
選曲であるが、それが今回は裏目に出ることになってしまった。例のように
1トラックの序曲から15トラック目の「中国の踊り」、そして16トラック目の
「トレパーク」を何と5回も聴き比べたのだが、良好にして爽快な演奏が
繰り返されるだけで、これは!! という発見が出来ないままに時間が経過
していった。トライアングルの輝き、管楽器の響き、弦楽器の余韻感など
どれをとっても対等であり互角であり、このディスクでは相違点が見出せ
ないもどかしさがあった。ただ、唯一先ほどのフィリッパのヴォーカル
で感じられた低域方向に行くに従ってDOMINUSの情報量が若干多くなって
くるだろうか…という程度だった。それでは、と次に選曲したのがこれ。

http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/akiko-suwanai/index.html

Crystal/諏訪内晶子Bestである。その12トラック目「マズレック」(ド
ヴォルザーク)が解決の糸口を提供してくれた。私がこのディスクを
選択したのはヴァイオリンのソロとオーケストラとの対比でGケーブルの
個性が見えるのではないかという期待感である。さて、まずはGケーブル
でこの全曲を聴きき次にDOMINUSに差し替える。すると…!?

「そうか!! なるほど、これか〜!!」

Gケーブルで聴き進むうちに感じていた諏訪内のソロはオーケストラとの
対比において間違いなく楽音を浮き上がらせ、あるいは輝かせてソリスト
としての存在感を中央より若干左の位置でスポットライトを浴びたような
演奏者が立像としてステージに立っているイメージが伝わってくるのだ。
大編成のオーケストラに対してソリストを主役としての位置に押し出して
くれる、その自然な振る舞いのGケーブルに自信を持って一点だ!!

それに対してDOMINUSは、ソリストを浮かび上がらせるという演出はGケー
ブル程ではないにしろ、さすがというべき情報量の提示が感じられた。
ホールに存在するエコー感というものは楽音の倍音に相乗するような高域
成分だけではない。低域の楽音の豊かな余韻感、コントラバスのピッチカ
ートのようにホールの響きにサポートされて空間に漂ってくるものなど、
オーケストラの底辺を支えるべき重厚さと厚みが欲しいものだが、その
点においてはDOMINUSは素晴らしい演奏を聴かせる。DOMINUSに一点だ!!


6.第四ラウンド

さて、第一ラウンドではギターソロにおけるセンター定位と両サイドで
定位する演奏によって評価が分かれ、第二ラウンドでは中央と両翼に
展開するヴォーカルにおいてもそれを確認し、更に低域方向での情報量
の違いを確認した。そして、第四ラウンドでは大編成のオーケストラと
ソリストの対比ということで両者を比較しながらも低域の情報量に言及
している。DOMINUSの低域をそのように評価し続けているとGケーブルの
低域は一体どうなの!? という誤解を受けてしまうかもしれない。
そこで、私は次の選曲でそれらの疑問を晴らすテストを試みてみた。

http://www.jvcmusic.co.jp/cincotti/

PETER CINCOTTIのデビューアルバムから4トラック目の「SWAY」を
選んだのだが、まずこれはヴォーカル、ピアノ、ベース、ドラムが
すべてセンター定位としてスピーカーユニットがあるはずもない
空間に定位させた録音なのである。従って、これまでのように編成や
音階によって定位感との相関関係を気にする必要はない。大編成の
オーケストラからいきなりトリオという小編成への切り替えがまたまた
両者の個性を引き出すことになった。先ほどに続いてDOMINUSが先攻だ。

「う〜ん、さすがにゆとりを感じさせる低域だ!!」

ベースがひとしおの重量感を伴ってNautilusのセンターに浮かび、
ヴォーカルのフォーカスもドラムのシンバルも一点に集約されて欲しい
楽音の再現性が望み通りになる快感は何とも言えないものだろう。
そして、PETER自身のピアノが何とも気持ちいいテンションなのだが、
その中に低弦の響きが重厚さとして隠し味を忍ばせる。これはいい!!
文句なしでDOMINUSに一点だ!!

さて、もう何回目か記憶にないくらいだが、再度Gケーブルに差し替える。

「お〜、これは!!」

まず冒頭のベースの輪郭が先ほどよりも一回り小振りになっているのだが
それはどうやら音像の周辺に飛び散っていくエネルギーがもったいないと
言っているように、散らばっていくベースのエネルギーをそのに留めた
ようなイメージなのである。これはいい!! そして、ヴォーカルが入って
くると同様にPETERの口元がきゅっと引き締まる。高域の情報量は互角と
言えるので、私は低域のコントロールという微妙な違いに評価を与えた。
これはGケーブルに二点だ!!


7.第五ラウンド

昨日DOMINUSとGケーブルを偶然にも比較試聴されていかれたNautilus
オーナーの一人はGケーブルを大変気に入られ、次のようなコメントを
残していかれた。

「Gケーブルって低い方で何をやっているかをはっきりと見せてくれ
 ますね〜、いいですね〜これ!!」

という一言が象徴しているような分析が進んでいるが、今度は量感と
情報量が豊富であると思っていたDOMINUSの低域が逆にいけないもの
なのか? という逆な展開になってきてしまったようだ。そこで私は
更にその疑問点を解きほぐす次なる選曲でテストすることにした。

http://www.wbjazz.com/

まずは「The Best Of fourplay」(WPCR1214) 5トラック目の「Chant」の
冒頭の約20秒間のドラムを何度も何度も繰り返しGケーブルで聴く。次に
DOMINUSで同様に違いを確認し、各々の特徴を頭にインプットしてから…

間髪をおかずに次は…

「TRIBUTE TO ELLINGTON」DANIEL BARENBOIM AND GUESTS」

http://www.daniel-barenboim.com/recordings/398425252.htm
13. Take the 'A' Trainの冒頭に展開するドラムロールをこれも同様に
何度も繰り返しDOMINUSとGケーブルで比較した。すると、面白いことが
わかってきた。

低域の情報量の総量としてはDOMINUSの優秀さがどちらでも感じられた。
しかし、Gケーブルの低域は決して不足感があるというものではなく、
整然とコントロールされた輪郭表現を持ちDOMINUSに比較しても昨日
のコメントのように何をやっているかを鮮明に見せてくれるのである。

このような前提からfourplayの「Chant」に関しては、キックドラムの
重々しさはDOMINUSがさすがだが、その音像の投影面積はちょっと大き
めとなり、Gケーブルは引き締まった音像をフロアータムとキックの
両方で提示する。この両方を多数のユーザーに比較してもらったとしたら
恐らく7対3か6対4でGケーブルの個性を支持する方が多くなるものと推測
出来るものである。次にTake the 'A' Trainのドラムロールだが、これ
はまったく逆に7対3か6対4でDOMINUSを支持される方が多数派となるので
はと推測される。

さあ、どちらも迫力ある打楽器による演奏だが、こんな推測は矛盾して
いるのではといぶかる皆さんもいらっしゃると思うのだが、これから
述べることが両者の個性としてわかってきたことなのである。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

fourplayの「Chant」はオンマイクでドラムヘッドを間近で捉えた正確
なスタジオ録音ということでディテールを大切にした“センター定位”

Take the 'A' Trainのドラムは距離感を持ってビッグバンドが居並ぶ
空間のスペースを思わせるようにオフマイクぎみに遠めに定位する
“両チャンネル個々に打音を発する展開でセンターにはドラム無し”
という録音手法の違いがあるのである。そろそろ皆様も気が付いて
来られたでしょうか?

Gケーブルはセンター定位として音像のフォーカスが引き絞られた方
が聴き手に鮮明さを感じさせる傾向が高域から低域にまであると
思われるのです。そして、DOMINUSをそれと対比すると楽音の定位が
両翼に広がる演奏に関しては、その低域の情報量の豊かさに裏打ち
されて聴く人を感動させてくれるのである。ただし、ここで言う情報
量の豊かさというのは質感であって輪郭表現とは違うということを
ご理解頂ければと思う。つまり演奏の体系というか録音のあり方で
双方のケーブルが魅力を発揮しあう局面が違うということなのだ。

しかし、肝心なことは、これらの多方面の音楽のどれをとってみても
クォリティーとしては同レベルとして私は評価したものだった。

結論!! インターコネクト部門でのDOMINUS対Gケーブルは引き分け!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

オーディオ信号が流れるシグナルパスとしてのインターコネクトは
二日かけて慎重に分析し、双方の傾向と魅力が大分理解されてきた。
もっと他の曲での試聴も続けたいのはやまやまだが、これから先にも
Gケーブルを評価するアイテムが残っている。いよいよ次はデジタル
ケーブルだ。X-01での試聴を終えて、真打P-0s+dcsのシステムにて
今後の検証が続いていく予定だ。どうぞご期待あれ!!


8.試聴を終えて、ちょっと一服(^^ゞ

最近は東京も本当に冷え込むようになりました。私は通勤途中で子供たち
の姿を見かけるたびに、ふと思うことがあるのですが、自分の人生で朝か
ら晩まで土の地面を一度も踏むことなく生活するようになったのはいつ頃
だろうか…と。

私が子供の頃は雨上がりの道路には水溜りがあって、車のオイルが漏れた
ところには虹色の油膜が子供心にきれいに見えて、真冬ともなれば水溜り
にはった氷をバリバリと割りながら遊びながら歩いていたものだ。そして、
庭には霜柱がたくさん出来て、光る氷が土のじゅうたんを持ち上げて見せ
る風景を鮮明に記憶している。

地球温暖化が進んだのか、靴を汚す土の道路がなくなったのか、今の子供
たちの季節感が昔に比べて大分変わってしまったものだと思うのです。

私が通っていた小学校に今は私の子供たちが通っているが、私が在学中の
頃は校庭には芝が植えられていて土のグランドだった。真夏にはスプリン
クラーで水がまかれ、体育の授業ではいやいやながら草取りを何時間も
やらされたものだった。

ところが、今の校庭には芝はまったくなくなり、風が吹けば砂埃が舞う
赤土の校庭になってしまった。芝を管理する人手がなくなったのか、私た
ちの草取りがへたくそだったのか(笑) ゆとり教育と言いつつも草取りな
どはナンセンスということなのだろうか?

家内とも自分たちの子供時代と様変わりしてしまった子供たちの環境と
遊び道具の変化を話すたびに「今の子供たちは贅沢すぎる」と口にする
のだが、もしも私の子供時代に今と同じような遊び道具があったなら、
自分たちの子供時代のように泥まみれで外で遊ぶようなことはなかった
のではないかと思ったりもする。いつの時代も子供は子供であり、魅力
あるものがあれば見境無しというのが本当のところだろう。

人間の本能というか欲というのか、子供たちが代わったのではなく時代
が変わったのだと自分を納得させる場面が最近多くなってきたものだ。

一応、この駄文はここでおしまいとして…(笑)

オーディオとはまったく関係ないことのようだが、時代が変わったと
いう自覚をどこで割り切るのか。アナログしかない時代にはデジタル
コンポーネントの登場を業界もユーザーも心待ちに期待し、いざCDが
普及すると少数派に回って、やっぱりアナログはいいと発言する人が
目立ってくる。少数派に回って人と違ったことを発言することで自己
主張をしようとする人たちが多いものだが、果たして本当に感性が求め
た結果なのだろうか?

オーディオコンポーネントは間違いなく進歩しているのだが、ふと
ケーブルの分野では進化をどこで捕らえるのかという疑問符が浮かぶ。
材質なのか構造なのか、その二つがケーブルという単純なコンポーネ
ントの要素なのだが、ここにアイソレーションという概念を実証し
始めたメーカーがある。トランスペアレント(MIT)とPADだ。しかし、
もう一社 Gケーブルがその領域をパフォーマンスとして達成しつつ
あるようだ。時代によって進歩したケーブルは、その時代の進歩に
よるコンポーネントの性能向上によって必要とされ吟味される基準が
年々高まってきたものだ。しかし、最先端のケーブルで歴史的な古い
オーディオシステムを鳴らしてみて悪いということは決してないだろう。

今、私が取り組んでいるGケーブルの検証が、すべての年代のコンポ
ーネントのユーザーに認めて頂ける日を待ち望んでいるものだ。

では、また次回(^^ゞ


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