発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18
ダイナミックオーディオ5555
TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556
H.A.L.担当 川又利明
    
2019年7月16日 No.1550
 Hi-End Audio Room Design / Produced by H.A.L.-Vol.5

         ■ 出会いから五年間の道のり ■

2015年12月16日 No.1271
ご記憶下さい!! Hi-End Audio Room Design / Produced by H.A.L.
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1271.html

上記を公開したのが4年前となりますが、その三日前に今回ご紹介する岡山県の
M.N 様へ私がお送りしたメールは次のものでした。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

2015/12/13 12:01、HAL-kawamata <kawamata@dynamicaudio.co.jp> のメッセージ:

■川又より

M.N 様
本日のご来店ありがとうございました。

実は、私のコンピューターで履歴を調べたところ下記のメモがありまして、
偶然にも昨年の同じ日付にてご来店頂いていたことが分かりました。

「2014.12.13ご来店 HIRO Acoustic MODEL-CCS Improvedなど試聴」

今後のオーディオルームを含めた新築の構想をうかがい、短時間ではありましたが
私達に何が出来るかという説明を聞いて頂きありがとうございました。

下記にご紹介する日本音響エンジニアリングの広告と記事がステレオサウンドの
最新号(32Pと310P)に掲載されていますので、進呈しようと思い後を追いかけた
のですがお渡し出来ませんでした。後日購入されましたら、ぜひご覧になって下さい。

本日、差し上げた資料による責任ある設計施工に関して、私の窓口となっている
担当者を下記にご紹介しておきます。

> ----------------------------------------
> 日本音響エンジニアリング株式会社
> 企画室 山下晃一
> 〒130-0021 東京都墨田区緑1-21-10
> Tel:03-3634-5307 Fax:03-3634-5327
> ----------------------------------------

今後、M.N 様のご希望に沿ってオーディオルームのプランニングから施工まで
上記の山下さんとフォローアップさせて頂きますので何卒よろしくお願い致します。
何なりとお申し付け下さい。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■川又より

上記のようにM.N 様が最初に来店されたのは五年前の同じ12月13日だったのです。

そして、以後の記事をお読み頂く前に他のお客様の事例と最も大きく異なる点を
ここで述べておきたいと思います。

M.N 様の場合は新築でも改築でもないのです。増築によるオーディオルームの
新規建築というものでした。その増築プランとはどういうものなのか、概略にて
説明するために先ずは下記をご覧下さい。住宅関連雑誌に掲載されたM.N 様邸です。
https://www.sdc-project.jp/okayama/details/512/

上記ページの最初の写真としてリビングルームの様子がありますが、当初の計画では
この三階の部屋の左側にある大きな窓の先に続くベランダと同じ高さを二階の天井と
なるように、隣接する地所に鉄筋コンクリート造りによる一階がガレージで二階建ての
もうひと棟の建物を増築し、その二階にオーディオルームをというというものでした。

つまりは既存の建物から新設したドアによって、隣の二階に作るオーディオルームへと
通じる階段を作り、行き来できるようにしたいというのが初期の構想であったのです。

この構想に基づく新居の設計とオーディオシステムの選択という両方がスタートしました。

この五年間でM.N 様とやり取りしたメールの総数は200通以上、私はコーディネーターとして
関係業者との通信量を含めると300通以上のメールのやり取りを行った履歴があります。

オーディオルーム完成前にM.N 様のお宅を訪問させて頂きましたが、完成に至る
長い道のりがここから始まったということでした。

日本音響エンジニアリング株式会社に基本構想を伝え設計が開始されましたが、
それからというものM.N 様は何度となく当フロアーにて試聴して頂き、肝心な
オーディオシステムの選考が始まったのでした。

私がM.N 様にお送りしたメールの文章量は相当に多いものとなり、それを紹介する
ことは大変なもので、同時に一部の個人情報を含むために本稿にて掲載は致しませんが、
上記のような出会いからオーディオルーム完成に至る経緯をM.N 様から頂いたメールの
抜粋によって時系列順に紹介し、その中に各種のエピソードを織り込んでいこうと考えました。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■2016/03/17 (木) 23:08

川又様

先日は急な訪問にも関わらず丁寧にお教え頂き大変ありがとうございました。
その後日程の調整を重ね、4月3日の朝にお店に試聴にお伺い出来ることになりました。

今後の一年間は、私のオーディオ人生において大変大きな局面が訪れる事となります。
特に今回のスピーカーの決定はその中でも最も大きいものであると思っております。

Wilson Audioが奏でる世界に大変期待しております。
試聴したその日に購入を決定するつもりでお伺いしたいと思っております。

が、先日試聴したMAGICO Q1の音にも大変好感を持ち、少なからず気になっています。
もし可能であれば同日にMAGICO Q3も試聴することはできませんでしょうか。
そうすればより心残りなく、どちらかに決定できると思っています。

それと同日スピーカーを決定する場合、それを生かす部屋の設計、機材の選定、
インストレーションすべてに川又様に関わって頂くよう、お願いしたいと思っております。

更に、リスニングルーム完成の暁には岡山までおいで頂いて、最終の機材の調整、
セッティングをして頂くことは可能でしょうか。

またその後のメンテナス、調整にもご指導頂けますでしょうか、その点も
ご確認させて頂ければ幸いです。

お忙しい中身勝手なご依頼で恐縮ですがどうぞよろしくお願いいたします。

■2016/03/27 (日) 23:25

川又様

お世話になります。4月3日の試聴で聴かせて頂きたい曲のリストを決定致しました。
トータルで一時間弱になります。もし多すぎるようであれば調整いたしますのでお教え下さい。

キースジャレットトリオ So tender
エリッククラプトン Signe 
スティーリーダン(シングルレイヤーSACD) Asia 
上原ひろみ  In A Trance 
キースジャレット I Loves You, Porgy 
ベイビーフェイス Shower the people
キースジャレットトリオ You took advantage of me(5分から)
ジェネシス  Cinema Show (6分から) 
ラッシュ YYZ
ジェイソンムラーズ Living In The Moment 

各曲でボリュームレベルがかなり違っています。適切に調整したいので当日は私に
ボリュームのリモコン操作をさせて頂いてもよろしいでしょうか。

先日、B&W 802D3で聴かせて頂いた上原ひろみの演奏は私にとって理想の音でした。

Wilson Audio、MAGICOでそれに勝る音が出せるものと信じておりますが、万が一
二機種ともに予想外であった場合に備え、B&W 802D3も比較試聴できるように
セッティングしておいて頂くことは可能でしょうか。

4月3日に素晴らしい体験ができることを今から大変楽しみにしています。
どうぞよろしくお願い致します。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■川又より

上記のようなご依頼を頂き私は各社にデモ機を要請し、更にM.N 様のご要望により
B&W 802D3も用意し、遠路はるばる岡山県からこのためにご来店頂けるということで、
万全の体制にてご来店をお待ちしました。その様子が下記の画像です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709124351.jpg

当日の試聴は数時間に及びM.N 様が持参されたCDはもちろん、私の課題曲を交え
半日がかりとなりましたが、その結果で第一候補として浮上したスピーカーが
ありましたが、ここでは非公開としておきましょう。

また、上記の写真にはHIRO Acoustic MODEL-CCS Improvedも写っていますが、
当時上記のスピーカー三機種を試聴した後でHIRO Acousticを参考のために
最後に聴かれたM.N 様から「これは別格ですね〜」という高い評価を頂いた
ことを記憶しています。

しかし、今回の新築とオーディオシステム全体の予算の関係からHIRO Acousticは
高価すぎて対象外となりました。だって、スピーカーだけでフルセットよりも高く
なってしまうのですから仕方ありません。

それに、その時点ではあのスピーカーはまだ発売されていませんでしたから。

とにかく、二年前の初めてのご来店から始まった本格的なオーディオシステムの
選考が開始されたというものでした。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■2016/08/01 (月) 21:06

川又様

開店15周年、本当におめでとうございます。
素晴らしい日本一のhigh-end audio shopがまだ15周年なのは意外でした。
ぜひ150周年を目指しがんばってください! 応援しています。

PS 以下の記事、おもしろそうですね。
が、iPhoneでは文字化けして読めませんでした。後程PCで開いてみます。

2016/08/01 20:09、HAL-Kawamata <kawamata@dynamicaudio.co.jp> のメッセージ:

> 本日は当店の開店15周年記念日です!!懐かしい記事を下記にてご紹介!!
> http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/154.html
> http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/158.html

■2016/09/19 (月) 15:02

川又様

先日は遅い時間に大変ありがとうございました。今、帰路の新幹線に乗っています。
全容が少し理解できたことで不安が減りました。

全てが新たな体験であるため、色々とご助力をお願いすることが多いと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

川又様のよい音を構築することに対する経験と知識の素晴らしさにいつも感服しております。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■川又より

この一年間で何度ご来店頂いたことでしょうか。その度に試聴、そしてオーディオ
ルームの構築に当たり私が持ち得る商品情報も多数お知らせし、当フロアーでの
打ち合わせと試聴を繰り返すたびに将来のシステム構成が少しずつ見えてきました。

そして、この後にいよいよというスピーカーが登場してきたわけです。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■2016/11/25 (金) 20:40

「聴きたいB&W 800D3」

■2016/12/14 (水) 17:26

それは貴重な情報をありがとうございました。もし可能であればぜひ試聴したいと思います。
前回Q3を聴いており、とても気に入ってますので800D3がこれに及ばなければすぐに
決断できると思います。

いずれにしてもその時点で納得できればどちらかの購入を決定するつもりです。
私としても大変大きな決定ですので悔いが残らないようにしたいと思うのですが、
いかがでしょうか?

■2017/02/01 (水) 19:13

川又様

昨日は大変お世話になりました。僕なりに昨日の試聴での800D3についての感想を
まとめてみました。稚拙な表現でお恥ずかしいですが、送らせて頂きます。
ありがとうございました。

中高域の繊細な表現にとても優れたスピーカー。ただ音がきれいというだけでなく、
分解能に優れており、同時に低域の迫力も持ち合わせています。

今まで聴いていて一つの音と思っていたものが、800D3で聴くと実は複数の音色からなり、
強弱も強くついていたことを知り驚かされます。

一つの音の周りに無数に漂う様々な音色が流れ出てきます。
演奏している場所の空気、雰囲気といったものを感じとることができます。

この感覚は聞き慣れたアルバムを初めてハイレゾ音源で聴いたときの印象に通じると感じました。

更に空間の表現力がすごい。
定位はしっかりしており音が発せられる場所はクリアなのですが、
それが拡散していく空間の広大さが違います。

その音が前後方向にも広がっていきます。
まるで映画館で3Dの映像を見ているようです。

800D3では様々に出てくる音色がどれも美しく、きらめきながら流れていき、
「もっと聴いてみたい」という興味が高まります。

音楽を楽しく朗らかに聴かせる800D3。
「これは面白い。このスピーカーでいろんなジャンルの音楽を聴いてみたい。」
そんな気持ちになりました。

■2017/03/21 (火) 19:53

川又様

昨日はご多忙の中ご丁寧なご対応誠にありがとうございました。その後じっくり
考えてみましたが、やはり今回悔いの無い選択をしたいという思いが強くなりました。

お薦めである800D3(MR)、Grandioso M1、Grandioso C1、Grandioso P1、Grandioso D1の
組み合わせで決定したいと思います。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■川又より

年をまたいでからのご英断を頂きました。ここに至るまでの数回にわたる試聴と
音質本位な取り組みによって、M.N 様が目指すシステム構成が決定した瞬間でした。
ありがとうございました。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■2017/09/03 (日) 18:30

川又様

さて、自宅の増築の件ですが、建設会社からの最終見積もりが以前に提示があった
ものよりも極端に高いものとなり、建設業者を再度募集し入札により選定しようという
方針となりました。そのため着工、完成時期はまだ見通せない状況です。

一刻も早くよりよい音で聞きたいと思っている私としてはリスニングルーム完成が
あまりにも先になるのを大変辛く感じています。

その解決策としてそれまで今の3階のリビングにオーディオを設置してはどうかと思っています。
(音響的には広さ、壁の形状など大きな問題がありますが)

まず川又さんに現在の三階にオーディオを設置して頂き、増築完了後に再度計画の
通りに移設して頂けないかと思っております。二度こちらに来て頂くことになり、
お忙しい川又様にお願いするのは大変心苦しいのですが、いかがでしょうか? 

■2017/11/22 (水) 23:01

本日は大変お忙しい中、わざわざ岡山までおいで頂きありがとうございました。
ひとまず綺麗にセッティングでき安心しております。

今後音をさらに磨き上げていきたいと思いますので、ご指導の程どうぞよろしく
お願いいたします。取り急ぎお礼まで。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■川又より

さて、上記の要請を頂きまして、あくまでも仮にということになりますが、
M.N 様のお気持ちは大変良く理解できるものであり、また私も現地の様子を
拝見しておかなければということで納品のため訪問させて頂きました。

その当時にセッティングした状況を履歴として記録しておくべきと考えまして、
下記のように撮影してきたものを紹介させて頂きました。

既存のテレビ壁面前にて天井からのスクリーンを妨げない位置にB&W 800D3をセット
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190708173202.jpg

リビングルームの後方にコンポーネントをコンパクトにまとめてセッティング
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190708173212.jpg

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■2017/11/23 (木) 11:06

川又様

昨日は大変お世話になりました。
丁寧で的確なセッティング、ご説明にとても感謝しております。

実は妻がお持ち帰り頂くように地元の洋菓子を買ってきていたのですが
少しの差で間に合わずお渡しできず申し訳ありませんでした。

さて、その後設計事務所と工務店との面談があり、やはり現計画は建築費用の膨大な
増加の点で折り合わないということがわかりました。

妻ともよく相談しましたが、根本から計画を変更し、裏の空いている敷地に平屋で
オーディオ、シアターに最適なサイズの建築を作る方向で検討をしたいと思っております。

川又様には色々と時間をかけ、ご協力頂いたのにも関わらず、このような結果と
なり大変申し訳ありません。私としても無念でなりません。

自宅の一階の玄関に続く廊下の先に中庭があり、その後方に10m×8.4m程度の広さの
空き地を所有しています。まずは現在の構想から最適な建築のサイズ、仕様を
ご提案頂ければと思っております。

インストールして頂いた素晴らしいオーディオシステムにふさわしい空間を用意
したいと思っております。今後ともご教示の程どうぞよろしくお願いいたします。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■川又より

そして、この段階でM.N 様のプランは大きな転換期を迎えることになりました。

既存の住居の各階のレベルに合わせて隣接地に同じフロアーレベルで増築しようと
すると、既存設備や各種配管の存在、現在のリビングルームからの導線確保、
そして最も重要な容積率からのオーディオルームとしての空間がどうしても小規模に
なってしまうという問題もあり、その複雑な設計と建築コストの高騰という事態が
決定的な計画変更の要素となってしまったわけです。

しかし、今になって思い返せば当時の英断が大きな成功への手掛かりとなったと言えます!

私としては関係業者全てに計画変更による新規設計のコーディネートを行い、
逆に以前よりも大きな容積にてM.N 様の希望に答えうるプランニングを開始しました。

また、同時進行でM.N 様には何度もご来店頂き、私が提示できる頂点とも言える
システム構成にて試聴して頂き感性を磨き経験値を高めて頂きました。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■2018/02/08 (木) 13:04

「聴きたい! MODEL-C4CS」

■2018/02/11 (日) 20:32

川又様

本日は素晴らしいプレゼンテーション、リスニングルーム建築のアドバイス、
そしてランチまでご馳走になりまして大変ありがとうございました。

帰りの新幹線の中でお聴かせ頂いた音を思い出しておりました。
パーカッションがあそこまでリアルに再生できるとは、、、驚きでした。

まるで目の前で実際に演奏されているかの様でした。
スネアの革が震える様子が伝わってきました。

理想の音として新たな目標ができました。
本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

■2018/07/11 (水) 8:28

川又様

お気遣いありがとうございます。
私は自宅も職場も大きな問題はございませんでした。
このあたりでは経験がないほどの水害であったと改めて痛感しております。

自宅の増築計画は順調に進んでおり、7月末に着工の見通しとなっております。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

■2019/01/04 (金) 18:57

謹賀新年

川又様

あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。

本年はいよいよ念願のオーディオルームが完成いたします。
ここまで来ることができたのも、川又様の豊富なご経験と類い希なる先見性と
統括力、音への情熱のおかげと感謝しております。

素晴らしいものにしたいと願っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

■2019/02/18 (月) 23:35

川又様
関係者一同様

長期間に渡りリスニングルームの建設にご尽力頂き大変ありがとうございました。

本日も短い時間ではありますが、じっくりと音を聴かせていただきました。
正に自分が手にしたことのないレベルの音質と感じています。

これから、少しずつこれまで聴いていた音楽をこのシステムでもう一度
確認していきたいと思っています。

皆様の多大なる努力の結集が作り上げた作品と思っています。
ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■川又より

さあ、お察しの通り2019年2月17日の事、二年前に納品したコンポーネントたちを
完成したオーディオルームに移設し、スピーカーのポジションから最適なリスニング
ポジションの設定、配線ピットを使用しての各機材の配線なども無事完了しました。

その詳細は後述するとして、足掛け五年間に及ぶM.N 様の夢の実現に際して私からの
メッセージを次のようにお送りしたものでした。

2019/02/18 16:27、HAL-kawamata <kawamata@dynamicaudio.co.jp>のメール:

■川又より

M.N 様
関係者の皆様
いつもお世話になります。
昨日、予定通りM.N 様のオーディオルームへのシステム移設と音質確認を行いました。

フォルム設計 安井様
ご挨拶が出来まして、お目にかかれて良かったです
ありがとうございました。

kack 妹尾様
セットアップありがとうございました。
ESOTERICプリアンプRCA2のスルー設定は完了しておりますので、後日の
サラウンド設定よろしくお願い致します。

日本音響エンジニアリング 平田様 藤原様
昨日も口頭で申し上げましたが、今回は大変良い仕事をして下さったものと
私からもお礼申し上げます。

第一声の再生音から直ちに判定することが出来ました。
伝送周波数特性、残響特性も大変良好であり、定在波もなく外界との遮音性も
素晴らしいものであり、大変高品位な音響環境であると感動致しました。

正に、今回のM.N 様のオーディオルームの音質を持って帰りたいと言いましたが、
私の知り得る中でもトップクラスの音質でした。私からもお礼申し上げます。

関係者の皆様
改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。

M.N 様
長らくの計画が素晴らしい音質となって実現できました事、本当におめでとうございます。
これで音質的環境は私のフロアーよりも数ランク上の音質となりまして、
音楽とオーディオを最高レベルの音質でお楽しみ頂ける事と思います。

そして、素晴らしい環境であればコンポーネントやケーブルやアクセサリーなどの
音質評価も高い次元で行うことが出来ますので、これからのアップグレードにも
楽しみが出来たものと思います。

引き続きよろしくお願い致します。
ありがとうございました。
先ずはお礼まで。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■2019/03/25 (月) 19:59

川又様

いつも大変お世話になっております。

数多くの細かな調整の結果、驚くほどの音質改善が得られ、エソテリック、
B&Wの本当の実力がついに姿を現しました!

思えば一昨年12月、三階にオーディオを搬入して頂きましたが、その時には川又様から
「これらの機器の実力が出せているとは言えません。」というコメントを頂きました。

今、やっとその実力の高さがこれ程であったのだと実感することができました。

川又様からのご紹介でお願いした日本音響エンジニアリング様の高い技術と熱意に
感動を覚えました。素晴らしい方々をご紹介頂きありがとうございました。

また、長期間にわたり、オーディオルーム作製に力を注いで頂いた皆様に心より
感謝をいたしております。

今回お願いしたメンバーはオーディオビジュアル環境改善について世界最強のチーム
であると思います!

本当にありがとうございました。
今後ともぜひいろいろとご相談させていただければ幸いです。

取り急ぎお礼まで。


      ■ M.N 様邸オーディオルームの構築過程 ■

■川又より

M.N 様よりもったいないお言葉を頂戴してしまいましたが、それだけ喜んで頂き
ご満足頂けたということで私も大変嬉しく思っています。

このような経緯により紆余曲折を経て、初めての出会いから五年越しで完成した
オーディオルームとはいかなるものかを、やっとここから紹介させて頂きます。

https://www.sdc-project.jp/okayama/details/512/

既存の住居として住宅関連雑誌に掲載されたM.N 様邸を上記にて紹介しましたが、
同じコンセプトにより増築されたオーディオルームの外観は下記のようになりました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713135214.jpg
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709174955.jpg

鉄筋コンクリート製による建築で外観は既存住居と同様なデザインとなっており、
大よそ9メートル×7メートルというサイズとなります。外観での高さは大よそ
7メートルですが、室内空間としての天井高は約5メートルとなります。

ただし、吊り天井による空間が1.2メートルあり、そこに日本音響エンジニアリング
独自の音響調整機構が組み込まれ、更にプロジェクターやスクリーンなどを格納して
下がり天井となり、仕上げでの天井高は約3.2メートルというものになりました。

下記の概略図をご覧頂ければと思います。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713162745.pdf

日本音響エンジニアリングのノウハウというか企業秘密に近いものですが、
今回は各工程において貴重な画像資料が入手出来ましたのでご紹介致します。

★防振浮き床の各工程について

■ベタ基礎の上に防振ゴム307個、グラスウールを敷き詰めた最下層の行程
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713135622.jpg

■その上に40枚に及ぶコンパネを敷き詰め絶縁のためのポリフィルムを張っていきます
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713135635.jpg

■出入口の境界線にある段差に注目。浮き床は基礎から約23センチの高さと厚みがあります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713135645.jpg

■その上に15センチのコンクリート層を形成するための鉄筋ワイヤーを敷設します。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713135653.jpg

■いよいよコンクリートの打設を行います。この質量は多分7トンくらいでしょうか?
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713135715.jpg

■コンクリート打設後の状況です。本格的な防振工事とはここまでやります!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713135724.jpg

■この床の上に構築される遮音層と吸音層の位置出しが行われ電源用配管も敷設。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713135734.jpg

■電気式床暖房を設置しながらフローリング貼り付けの仕上げ
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713143332.jpg

■一般的なフローリングは床の端から張られていきますが、オーディオルームとして
 部屋のセンターをしっかり定めるため、きっちりとセンターから貼り付けていくと
 いう細かいこだわりの工事となります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713143343.jpg

■浮き床構造が完成し仕上がった状態となります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713143353.jpg

同社独自の浮き床構造には「乾式」と「湿式」の二種類があり、木造建築や基礎の
強度が鉄筋コンクリートほどない場合には「乾式」という方法を取ります。

これは生のコンクリートを打設するのではなく、ある単位面積で製造されたコン
クリートパネルを防振ゴムの上に敷き詰めていくという方法です。

M.N 様の場合には地面へのベタ基礎ということで強度は万全のため、総合質量も
強大となり完璧な防振設計ということで上記のような「湿式」の採用となりました。

今までは仕上がった状態でしか浮き床構造の紹介が出来ませんでしたが、実際には
スタジオレベルという厳密さで上記のような重厚な床を先ず作っていくものです。

★遮音層の構築

■鉄筋コンクリート造りの躯体内部の天井がむき出しになっている状態です。
 ここに遮音層を構成する前の状態で空調ダクトとアンカーボルトによって
 吊り下げ天井用のフレームが取り付けられた状態です。この天井裏の空間は
 約1.2メートルに及びますが、更にこの下にもう一層の吸音層が作られるのです。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713145618.jpg

■遮音層を構成する天井裏の他方の状況です。本格的なオーディオルームでは
 一般家庭用のエアコンは使いません。緩やかに空気を循環させるダクト式の
 空調設備を使用しますが、本体は室外に設置します。そのためのダクトは十分な
 太さがないといけないので、このように天井裏のスペースが必要となります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713145627.jpg

■空調機本体の室外機とダクトを連結する部分にも鉛板を使って貫通部を補強し、
 空調関係でも共振が発生しないよう見えないところまでこだわっています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713151154.jpg

■遮音層の点検口です。このように吸音材が敷き詰められており、目に見える
 下がり天井の吸音層の上に更にもう一層の空間があることに注目です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713154123.jpg

■遮音層の壁面部分です。この段階で電気系の配管を施設していきます。
 この壁面は既に躯体から約40センチの空間を経て作られていることに注目です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713154140.jpg

■このオーディオルームの独立した建屋の屋上には空調機本体を収納するための
 設備用スペースが設けられており、屋外からアクセス出来るように下記のような
 扉を付けた小部屋を設置している。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713151715.jpg

■その設備用スペースの内部には空調機本体があるが、これも吊り下げ式として
 機械振動が躯体に伝搬しないように配慮しているというこだわりがある。
 空調機の左右にダクトの開口部がふたつあるが、吸排気両方をこの太さの
 ダクトで行い、スクリーンを揺らさないようにゆっくりと循環させるため。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713151706.jpg

★吸音層の構築

■床の仕上げの前に壁面と天井に吸音層を構成していきます。実は、この画像は
 鉄筋コンクリートの躯体壁面の内側に断熱材を貼り付け、約40センチの遮音層を
 躯体内部に設けて作った浮き遮音層が壁面として見えているという状態です。
 部屋の中にもう一つの部屋を作っているということです。
 https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713142917.jpg

■この写真も同様に壁面として見えるのは遮音層が出来上がった表面であり、
 その裏側に吸音層の空間をを設けているということを追記しておきます。
 これらのLGS(軽量鉄骨下地材)によって構成される空間に同社独自の音響調整
 機構が格納されていくということになります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713142926.jpg

■天井への吸音材充填の前段階で音響調整機構を組み込んでいく途中過程です。
 お見せ出来ない要素として、この他にも低域周波数を拡散・減衰させるための
 独自の反射構造が天井にも仕込まれていきます。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713142936.jpg

■遮音層にグラスウールを充填し防音ドアのフレームを取り付ける過程です。
 上記の浮き床構造での画像であった段差はここでなくなっています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713145331.jpg

■この防音ドアを通路側から見た状態が下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713154150.jpg

■更に既存の住居からオーディオルームへ向かう通路からの仕上がり景観が下記です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155446.jpg

★仕上げに向けて

さて、以上にて構造的なことはイメージして頂けると思いますが、内装の仕上げに
関しては次の三種類の提案がなされました。下記のパース画像をご覧下さい。

第一案として赤を基調としたデザイン
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709181315.jpg

第二案としては濃紺によるデザイン
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709181329.jpg

最終的にM.N 様が採用された黒を基調とした仕上げ
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709181342.jpg

■上記の選択により室内仕上げにかかりますが、下記のようにANKHを取り付けていきます。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155009.jpg

■防音ドアの両脇にソフト収納用のラックも特注にて組付けられていきます。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155019.jpg

■スピーカーと反対側のドアと壁面の仕上がりが下記のようになりました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155701.jpg

■以上の概略による施工が進行し、配線ピットなどの細かい仕上げは残していますが、
 機材搬入前の室内の状況が下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709182509.jpg

■その配線ピットをクロースアップしたのが下記になります。ここに各種ケーブルを
 格納して最後にカバーを取り付けることになります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709182816.jpg

■その反対側が次の写真です。ちょっと荷物が散乱していますがご容赦下さい。
 分かりにくいですが天井に4K高画質プロジェクターが仕込まれています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709183056.jpg

■竣工後に撮影したものが下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155822.jpg

■スピーカーとパワーアンプをセットして配線ピットのカバーも取り付けた状態です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709183512.jpg

■日本音響エンジニアリング撮影による竣工後の写真が下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155847.jpg

■コンポーネントは右サイドに移設完了し配線も完了しました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709183706.jpg

■同じ方向から日本音響エンジニアリング撮影による竣工後の写真が下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155858.jpg

■最後にスクリーンを下ろしてスピーカーの位置関係を微調整しています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709184318.jpg

■角度を変えてシステム全景とスクリーンが下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190709184100.jpg

■スクリーンを降ろしての日本音響エンジニアリング撮影による竣工後の写真が下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155832.jpg

■最後にスピーカーとリスニングポジションの関係は下記にてご確認頂けると思います。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713155634.jpg

上記のようなスピーカーのレイアウトとなりましたが、結果だけ見ると簡単なように
見えますが、入念に設計されたオーディオルームであっても、スピーカーのポジションと
いうのは大変重要なポイントなのです。

2チャンネル再生を最優先するというM.N 様の要望に従い、スクリーンを降ろさない
状態でスピーカーの位置を試聴しながら何回も動かし、低域に関する課題曲を何度も
繰り返して試聴しながら上記のポジションを決定するのに30分近くかかりました。

そして、当フロアーで聴き慣れている課題曲を聴き、オーディオルームとしての
完成度を見極めるべく本格的な試聴を開始しました。


      ■ M.N 様邸オーディオルームの試聴報告 ■

M.N 様はクラシック音楽よりはポップス、ロック、ジャズ方面の音楽を聴かれると
いうことは以前から承知しているので、私が持参したディスクもそれらのジャンルを
主体としたものであり、先ずは何と言っても最初の曲はこれにしようと決めていました。

■FIFTY SHADES OF GREY ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
  3.THE WEEKEND / EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL)
http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262

この曲は大変録音レベルが高いのですが、同じコンポーネントで当フロアーにて
聴いているボリュームとしてスタートしました。すると…

「おー! いける! まだいける! それにしても全帯域のバランスの良さは完璧だ!」

この曲は長年の経験から当フロアーではGrandioso C1のボリュームは-32dBで聴いてきた。

スネアのアタックと同期した音源位置から重厚な低音が広大に広がっていく過程を観察し、
低域が最も濃厚な部分から余韻が拡散していく空間領域の壮大さを直感する。これは凄い!

室内の写真を見て解かるように、16列の特注ANKH総数58台が完璧に機能し、拡散する
一次反射音の質感はAGSの目的通りの拡散効果として素晴らしい仕上がりとなり、
低域から高域までのレスポンスを見事に平坦化し、各帯域の楽音のエネルギー感を
高度な次元で均等化し、同時に残響成分の最後の一滴までをも忠実に描き出す
パフォーマンスに、私の胸中にいる厳格な審査員が迷うことなく満点をつけていた!

鉄筋コンクリート造りの完璧な遮音・防音設計が施されるということは、室内で
スピーカーから放射された音波が外界に漏れていかない、そして同時に外界の騒音も
室内には侵入してこないという気密性の高さも意味するもの。

従って、スピーカーが出力した音響エネルギーは室内にとどまり外部に漏れていかないので、
木造建築や和室などのように音波の透過性が良い建材による音圧の流出はない。

つまり、再生音の中でも特に波長の長い低音が壁や天井をすり抜けて音圧を減じて
くれるということはないので、逆に言えば室内に残留するものであり、ルーム
アコースティックの設計がいかに重要であるかという反証となる。

以前から一般公開されている某著名人の***式というオーディオルーム設計法があります。
これは基本的には反射面と吸音面の面積比率で残響時間を予測するという考え方なのですが、
反射面が平面であれば一次反射の影響が出やすくなります。

そして、吸音面と言っても吸音材の材質と厚みによって吸音する周波数が異なるので、
一般的には中高域の特定周波数だけしか吸音せず伝送周波数特性に部分的な減衰が
発生してしまうことがあります。

以上のように反射と吸音の面積比だけということでは良好な音響設計には至らない
可能性があり、その両者のコントロールと同時に音波の拡散という項目を追加して
自然な音波の消滅と反射音の影響回避を設計に盛り込む必要性があります。

このような事例を多数経験してきた私の耳で聴いた第一印象は大変素晴らしいものでした!

その後の課題曲でも高次元のパフォーマンスを実感していくわけですが、
この時点で私の第一印象を裏付ける実測データを先にご紹介しておきたいと思います!

■M.N 様邸オーディオルームの伝送周波数特性(資料提供及び測定者:日本音響エンジニアリング)
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190710163748.pdf

音楽の主題要素となる帯域で±3dB以内という極めて良好な周波数特性を実現しています。

125Hzと500Hzの二点にわずかなピークがありますが、4オクターブの間隔による
倍音の関係ですから測定マイクの高さと位置によって過敏に反応したものと推測され、
測定ポイントを変えれば直ちに違う数値になってしまうものであり、試聴の上でも
音楽的には何ら問題なく議論の対象にするほどの事ではないと考えられます。

それよりも、もっと素晴らしいことは100Hz以下の帯域でのフラットレスポンスと
いうことが音楽再生にとって最も重要な測定結果だと言えます。

この部屋の寸法比から算出される定在波としては約70Hzと50Hzということになりますが、
その帯域で1KHz以上と比較して同レベルの伝送特性ということは、これだけ遮音性が
良くて低域の音圧が抜け出ていかない室内において、設計によっては音圧が残存して
しまい定在波の発生、もしくは特定周波数帯域の残響時間の異常な延長ということが
あり得るのですが、最も危惧すべき低域特性の乱れというものが全くないということです。

それでは、上記のように極めて優秀な伝送周波数特性を実現したオーディオルームの
残響時間特性はどうか?

一個の測定項目が優秀でも他の測定値が悪ければ仕方ありません!
この項目の評価法として次の解説から一部引用します。

2019年5月15日 No.1540
H.A.L.'s Special Installation - HIRO Acoustic Laboratory MODEL-C4CS 5月20日改訂
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1540.html

上記より引用開始

「高い天井からステンドグラスを通して色とりどりの外光が降り注ぐ壮麗な建築物である
 教会などでは残響時間は6秒から7秒ほどあると言われている。

 オーケストラを中心としたクラシック音楽を演奏するコンサートホールは響きの
 美しさ重要さで評価されるが、その残響時間は2.5秒から3秒程度は欲しいという。

 人間一人で一坪くらいの面積の吸音体となり、実際に観客が入れば残響時間は
 簡単に1秒ほどは短くなると言われているほどで、コンサートホールの設計には
 響きを作るという目的が重要視されることは周知のことである。

 では、オーディオ再生のためには残響時間はどれくらいが適正なのかというと、
 コンサートホールの1/10くらい、0.2秒から0.3秒程度というのが目標値となる。
 ちなみに録音スタジオの残響時間もほぼ同一レベルという事になる。

 そして、肝心なことは残響時間特性に関しては周波数による変化量が少ないことが
 求められ、全帯域でほぼ均等な残響時間であることが重要とされる。」

                                引用終了

以上を予備知識としてM.N 様のオーディオルームでの測定値を下記にてご覧下さい。

■M.N 様邸オーディオルームの残響時間特性(資料提供及び測定者:日本音響エンジニアリング)
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190710163757.pdf

可聴帯域の中心1KHzにて見事に測ったように0.2秒という理想的な残響時間を実現し、
高域に向けての変化量も0.26秒と極小であり均一な残響時間を実現しています。

そして、前述のように波長の長い低域周波数の残響時間がポイントとなるわけですが、
4オクターブ下の125Hzに至るまで見事にフラットな残響時間特性を示しています!

この実測値は私の最初の課題曲で直感した低域特性の素晴らしさを裏付けるものであり、
M.N 様が聴かれる鮮明かつ高解像度なスタジオ録音の醍醐味を余すところなく発揮して
くれるという、これ以上望むべきものがないほどの素晴らしい残響特性と言えます!

以上の測定結果をご理解頂ければ、「おー! いける! まだいける!」という私の
最初の一言の意味がお分かり頂けると思います。

実は、この一言の意味は再生音量のことなのです!!

ある音響特性の限られた空間でオーディオシステムで音楽を聴いた場合、何らかの
問題を感じた時に人は一種のストレスとして問題点を認識します。

本能的・生理的に感じたストレスを感じた場合の反応は全ての人に共通する動作となり、
それは再生音量を下げることでストレスを回避しようとする行為となります。

想像してみて下さい。

お風呂場のように残響が多い、ある音量に上げると聞きづらい歪感がある、
特定の周波数では耳に刺さるような刺激がある、低音ばかり強調される、などの
簡単な言葉で表現できる問題点は全てルームアコースティックに由来するものであり、
そのストレスは音量を上げていくうちに強くなっていくので反作用として音量を
下げたくなってしまうのです。

私が感じた「おー! いける! まだいける!」というのは全く逆に、まだまだ音量を
上げていける、もっとボリュームを上げたくなるという意味だったのです!!

最初の課題曲 THE WEEKEND/EARNED IT を当フロアーでは同じプリアンプでは-32dBで
いつも聴いていると述べましたが、M.N 様邸オーディオルームでは更に気持ちよく
音量が上がっていったのです!

もちろん、M.N 様が選択されたスピーカーとコンポーネントの低歪、フラット
レスポンス、広いダイナミックレンジという基本性能が素晴らしいという土台の
上で実現された音質であり、この後の課題曲でも次々に証明されていったものでした。

低域のダイナミズムと素晴らしい測定結果で更に音量を上げて聴きたいという次の
選曲はこれです!

■Martin Grubinger - Drums 'n' Chant  
http://www.universal-music.co.jp/martin-grubinger
http://www.youtube.com/watch?v=v9kuxJYLsuA
http://www.martingrubinger.com/

1980年に録音されていたドイツの修道院僧によるグレゴリア聖歌に、ホール録音に
よるパーカッションなどを合成して作られたユニークな試みのアルバム。

そのトラック.1 Introitus: Ecce, advenit dominator Dominus ではMartin Grubinger
本人のマリンバの演奏から始まり、荘厳なコーラスが空間を満たしたところで
ウーファーを揺さぶる大振幅の低域を含む各種パーカッションが登場してくる。

この中で重厚であり強烈な低音打楽器が最初は緩やかに、次第に大音量の打撃音と
して響き渡るパッセージが続く。今までは聴く部屋によって、あるいはスピーカーに
よって最大振幅の打撃音ではウーファーが飽和点に達し、また再生音として破綻する
という経験が度々あったこの曲。

前述のようにストレスを感じるかどうかというのは、この曲の後半で叩かれる
強力な低音打楽器の有様によって音量を下げたくなってしまうものだが、いや!

M.N 様邸オーディオルームではいっこうに、その兆候が聴き取れない。すなわち
ストレスを感じることなく気持ちよく聴き、またちょっとボリュームが上がる!

スタジオで使用しても耐えうるダイナミックレンジを低域でも有する優秀なB&W
800D3のウーファーが悲鳴を上げるところまで私はポリュームアップしてしまった!

その強力なウーファーが叩き出す低音打楽器の音圧は肌に感じるほどに強烈!

しかし、それほどの低域であっても室内に余分な残響を残すことがなく、高速な
立ち上がりでアタックを捉え、空気を揺さぶる音圧が録音されている通りの余韻を
一瞬のうちに消滅させるという響きの新陳代謝が正確に行われる快感に我を忘れた!

当フロアーの方がエアボリュームがあるので、この低域の減衰時間はM.N 様の
オーディオルームよりも長めになり、響きが空間に留まっているというミリセコンドの
現象を私は感じ取っていたが、ここでは更に高速な残響処理が施され、正に録音
されている強烈な打音が記録されている信号として終了した時点を明確に音にする!

この大胆かつ精緻な響きがコントロールされた音というのは私にとっても初体験!!

別の着目点から同ディスクにて次の選曲でトラック.4 Kyrie 14章で確認してみることに。

冒頭の二分間程度はバスマリンバではないかと思われる極めて低い周波数での
重々しい旋律が演奏され、その後に軽快なカウベルのリズムが叩かれて、正に
百花繚乱という多種のパーカッションが躍動する一曲。

ポイントはグレゴリア聖歌が雄大に展開する空間の大きさを背景に描き出した後の
比較的高い音階による実に多数のパーカッションのインパクトの鋭さと、その後の
響きの整理と打音の消滅時間の的確さ、パルシブな応答性がどうかという視点で聴く!

高音の金物をヒットする音も鮮烈を極めB&W 800D3のミッドレンジとトゥイーターの
高速応答性が高次元で発揮されていることに気が付く。この切れ味が実に素晴らしい!

また、800D3をM.N 様が選択された理由の一つとしてドラムの再現性があったが、
特にウーファーとミッドレンジの共同作業によって発せられる中域の打音が凄い!

パンパンに張りつめたタムのヘッドをカメラでも捉え切れないほど高速のスティックが
ヒットし、逆に弾き返されて次の打撃を加えるための加速を得ているような、そんな
ハイテンションな各種パーカッションの連打が続く。それが左右スピーカーの中間と
更に左右両翼までも音場感として広がり展開するスリリングな演奏が嵐のごとくうねる!

しかし、これほど音階も異なり打音の質感も違う多数のパーカッションが入り乱れて
叩かれているのだが、その一個ずつの音像はピタリと静止するがごとくの素晴らしい
定位感で眼前に展開する。なぜ、これほどに切れ味がいいのか!?

「あっ! 一次反射音が素晴らしく高品位だからだ!」

M.N 様邸オーディオルームでのセッティングではスピーカーとリスニングポジションの
距離を当フロアーのそれとほぼ一致するように心がけ、試聴する椅子の位置も何段階か
動かして調整してきました。

よって、スピーカーからリスニングポジションに音波が到達するまでは約1/100秒程度。
左右スピーカーに近い壁面からの一次反射音が到達するまでは約1.5/100秒程度。
また左右スピーカーの反対側からの一次反射音が到達するまでは約2/100秒程度。

もちろん、反射面の位置がリスナーからの距離によって異なる場合には少しずつ
ずれが生じるが、的確に設計された音響調整機構が格納されている天井の反射音は
壁面ほどではないので気になるところはない。

極めて高速でありパルシブな打音の定位がピクリとも動かず、かつ滲むことなく
これほど正確に聴き取れるということは壁面に仕込まれたANKHの機能性が高い次元で
発揮されているということであり、またANKHがない壁面にも日本音響エンジニアリングが
誇る音響調整機構によって一次反射音に適切な響きの寿命を宣告しているからに
他ならないだろうと結論する。この部屋はある意味でスタジオ以上じゃないか!

超低域から高域まで未体験の高速反応による打楽器の数々を試聴の焦点として捉え、
課題曲の音量は当フロアー以上まで気分爽快に上げていけるという歓喜に酔いしれる。

しかし、その強烈な打撃音の洪水のような演奏は広大な音場感の中にあってこそ、
アーチストのセンスが録音に発揮されているという裏付けとなるが、空間を構成する
響きのレイヤーの再現性と音像の明確さによる表現力もチェックしたい。そこで次!

■UNCOMPRESSED WORLD VOL.1
http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html
http://www.dynamicaudio.jp/file/100407/UncompressedWorldVol.1_booklet.pdf
TRACK NO. 3 TWO TREES / TRACK NO. 4 SAMBIENTA

私の試聴には欠かせない選曲で、先ずはトラック3.TWO TREESです。ご存知の方も
多いと思いますが、ピアノとサックスだけというシンプルな小編成の録音です。

「おー! これがスタジオで作られた本来の音場感ということなんだ!」

マンフレート・アイヒャーによるECMの素晴らしい録音を彷彿とさせる広大な空間を
展開する一曲なのですが、それはルームアコースティックに左右されないスタジオ
エンジニアの手による空間スケールというものが存在していると考えている。

それは一種の空間コントロールであり、重複し交叉するリバーブでの匠の技によって
楽音が拡散していく壮大な空間をリスナーの眼前に展開させ、サックスとピアノ両者の
音源位置も同時に空間にピン止めするという明確さも表現されなければならない。

先ずはサックスの音像、というよりも響きの原点となるサックスの定位する位置関係が
M.N 様邸オーディオルームでは極めて鮮明に感じ取れるという驚きが先行する!

サックスのリードの湿ったバイブレーションがセンター左寄りの空間にポツンと浮かび、
その立ち位置を克明にマーキングしてから右チャンネルの方向に向けて長く美しい
余韻の連鎖を送り出してくる。

連鎖というのはサックスの余韻がフレーズごとのディレーがかかったように反復し、
響きの領域を拡張していく過程までもが聴こえるからだ!

その響きが伝わっていくセンター右方向にピアノが浮かぶのだが、演奏する音階による
鍵盤の広がりというイメージは打鍵の際の一打ずつの音像として空間に定位し、それが
一音ずつを明確に表現すると同時に左右にパンさせてピアノの立体感を補強する!

そして、ピアノはサックスという単音の楽音ではなく、和音を構成する際に必要な
空間サイズもきちっと提示するので、その余韻感は一定領域にとどまり破天荒な
広がりにならないようにコントロールされていることが分かる。これ凄いことです!

瞬発力を競うパーカッションによる音像のあり方だけでなく、ルームアコースティックに
影響されずにレコーディングエンジニアのセンスが正確に表現される部屋。

まさにスタジオを超えた音響環境として私の経験という歴史にぶ厚いページが加わった。

更に、トラック4.SAMBIENTAの重低音によってスタジオ録音の正確さが確認される。

この曲の冒頭は多種多様なパーカッションによるきらびやかな演奏で幕が開く。

ただし、前曲のMartin Grubingerによるパーカッションとは演出が異なり、
楽器のひとつずつにリバーブが施され空中を飛び去りながら残響を振りまくという
空間スケールの大きさを先ず最初に聴かされることになる。これがまたきれい!

華々しい前奏部の後にシンセサイザーの重厚な低音が沸き上がり、その低音は
スピーカーと部屋、それに音量によっては飽和状態を引き起こすほどの壮大な
低域が展開される。それを何度も経験してきたが、この時は違った!

先ず、シンセサイザーの正確な波形による低音の脈動感というか、重々しい響きの
バイブレーションが繰り返されているという低音の骨格が感じられなければだめ。

しかし、前述のように課題曲の各種チェックポイントによる低域の分解能という
事では極めつけの素晴らしさがあり、楽音の質感というものがここまで克明に
表現されるのかという室内音響の完成度の高さを思い知らされていた私には何も
不安はなく、予想通りの重厚さと鮮明さを見事に両立させた低域が空間に溢れた!

そして、その重低音は驚異的な残響時間特性のグラフに示された通り、素晴らしい
響きの新陳代謝によって大迫力でありながらストレスは皆無であり、スピーカーに
対峙する聴き手の表情を緩ませるだけの感動と満足感をそっと差し出す! いいです!

そんな低音の充実感に心躍らせているとセンター奥にサックスのソロが登場する!
このサックスの遠近感と漂う残響が他の楽音とくっきりと区別されて描かれる見事さ!

この辺はスピーカーB&W 800D3の本領発揮というか、当フロアーでの再生音の更に
上をいくパフォーマンスであり、絶対に他の場所で聴く800D3では得られない快感と
満足感を私は保証することが出来ます! 輸入元スタッフにも聴いてもらいたい!

さて、ソロ楽器の描き方とバックの演奏の壮大なスケール感という区分で感動した私は、
ではヴォーカルではどうか? と恒例の選曲で確認することにした。

そこで、更に私の課題曲で克明な楽音で検証すべく、スタジオ録音の課題曲として
外すことは出来ない■大貫妙子/ATTRACTION「四季」を聴いた。
https://www.universal-music.co.jp/onuki-taeko/

この曲のイントロは小倉博和のギターと高水健司のウッドベースで始まりますが、
両者ともにスピーカーの軸上には定位していない。

ギターはセンターの左寄りの中間、ベースはセンターから右寄りの中間という位置で、
そもそも音源がない空間に定位する。

当たり前のようでいて簡単には出来ない音像の立ち位置の正確な再現性に注目した。
すると…

「えっ! こんなに独立した音像だったっけ! ヴォーカルなみにスポットが当たってる!」

正直に言って驚き、あ〜負けた! というのが本音です。
いやいやスピーカーで負けたということではありません。
部屋で負けたということです!

イントロのギターとベースだけで、そこまで言い切っていいのか?
はい、仕方ありません、完敗です!

M.N 様邸オーディオルームでは、明らかにギターとウッドベースに独立した専用
ステージがあるがごとく、各々の楽音は立像として鮮明なシルエットを示しながら、
楽音としての音色の忠実さという初歩的な次元ではなく、弾かれ擦られた弦が楽器の
胴体やサウンドホールから引き出した響きによって音像の背後に余韻のオーラを
まとわせたごとくの美しさに私は目と耳を奪われてしまいました!

Grandiosoシリーズの類まれな情報量の素晴らしさは残響成分の徹底的な抽出という
事に尽きると思うのだが、今までになかった響きの連鎖が空気を伝わり、左右
スピーカーの中間から更に音源位置よりも広がる両翼に広大な音場感を展開する!

そして、この曲のイントロで今度はジャストセンターから発せられる輝く音が!
このトライアングルの打音でも負けました。いや!痺れました!

立て続けに発見と驚きがあり、過去の経験との違いはヴォーカルでも発揮された!

以前にも述べていましたが、実はこの曲ではヴォーカルが入ってきた時には深い
リバーブがかけられていて、センター定位の口元から左右の空間に広大な音場感を
展開して進行していくのですが、CDトランスポートのカウンターが01:02になった時、
「風が立てば 心寒く 陽だまりの冬」というフレーズが終わった時、篠原ストリングスの
弦楽器が入ってくる時からヴォーカルのリバーブがふっと消えるのです。

背後に展開するストリングスの残響とヴォーカルのリバーブが重複しないように
というミキシングエンジニアの操作なのでしょうが、この大貫妙子の背景の響きが
回り舞台の風景が一瞬にして変わってしまうがごとくに豹変する有様が実に鮮明に
分かってしまうのです!

先ずは歌い始めのリバーブの施し方による余韻感の美しさにため息が出ました。

それは言い換えればヴォーカルの音像が極めて鮮明であり、スピーカーとESOTERIC
Grandiosoシリーズコンポーネントの情報量の素晴らしさをピンフォーカスとして
示していることによるものだと直感したからです!

そして、スタジオ録音の弦楽器であっても、そのパートに施したリバーブが引き
立ちながら独自の音場感をもって展開する美意識を録音テクニックとして感じる
ことが出来るものです。

M.N 様邸オーディオルームではノイズフロアーが究極的に抑え込まれた環境、
言い換えれば住宅の周辺環境の静けさも当然ありますが、遮音性能の素晴らしさが
見事に発揮され、サビに近づいての演奏で更なる発見が続くのでした。

大貫妙子の楽曲では多数に参加しているピアニストがFebian Reza Paneですが、
この曲でもすこぶるつきの美しい響きをもつピアノが録音されています。

あくまでも伴奏という位置付けでのピアノで自己主張は強くありませんが、
イントロのギターとベース同様に左右スピーカーの中間にぽっかりと浮かぶ鍵盤が
イメージされ、しっとりとした旋律を奏でるピアノの粒立ちと余韻感に、
この部屋の威力がさり気なく表れているポイントを私は見逃しませんでした。
これは素晴らしいです!

そして、最終部で歌詞が終わろうという時に二つの小さな楽器が活躍します。

以前にも述べていましたが、センターに表れる鈴が最初のひとつです。
鈴といっても下記のようなハンドベルと呼ぶ多数の鈴がついた楽器のことです。
http://www.kikutani.co.jp/itemlist/5263

スタジオで作られた素晴らしい音場感を展開するオーディオルームの空間表現性能
という魅力に加えて、前述したように楽音の質感、音色までも当フロアーと違う
レベルで変化させるという一例がこの瞬間に分かります!

鈴の個数が増えたのか? ハンドベルだけにリバーブをかけたのか?
そんなシンプルな疑問が浮かんでくるような清涼感ある音色に驚きを隠せません!

次は右側奥に定位するクラベスです。このクラベスの音が私の記憶と違うのです!
http://www.kikutani.co.jp/?post_type=itemlist&s=%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%99%E3%82%B9

このシンプルな打音はスピーカーとシステム構成によって千変万化の違いを見せるのです。
シンプルな楽音だからこそ、再生環境によって大きく変化するのが分かりやすいのです。

前例にもありますが、先ずは余韻感が大変美しい響きの延長として感じられますが、
クラベスの音にもリバーブが施されています。

そのリバーブ・エフェクターの音作りの質感そのものが顕著に表れてきます。

ちょっぴりノイジーとも聞こえるシィーンという残響が何ともくっきり見えるようですが、
それがスムーズに減衰しながら消滅までの時間軸をストップウォッチで測れるほどに
長く尾を引きながら空気に溶け込んでいくのですから堪りません!これは美しい!

クラベスの音色に木の香り、木製の響きという質感が実に見事に表れるのです。

これは前述した一次反射音に対する拡散と平坦な伝送周波数特性という測定結果にも
絡んでくるものであり、シンプルな楽器であるがゆえに倍音成分の忠実な再生が
質感に大きな貢献をしているということと結論するものです。

聴き慣れたヴォーカルですが、聴き慣れているがゆえにM.N 様邸オーディオルームの
性能というものが再生音の完成度として実感できるものだと納得出来ました!

この他にも多数の課題曲を聴きましたが、M.N 様のお好みではないにしても最後は
やはりオーケストラも聴いておかなければと、定番の課題曲もしっかりと聴くことに!

■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団

今回はM.N 様が志向されるジャンルを意識した選曲でスタジオ録音での細かい楽音の
品位を確認する事を優先してチェックしてきたので、いつもであれば最初に聴く課題曲を
温存していたがごとく最後の選曲として聴いてみることにした。

ここに至るまでに各項目で確認してきたことの集大成という意味もあり、オーディオ
システムを再生するにふさわしい環境ということで、ホール録音のオーケストラに
関しては室内音響に相反する条件が考えられるのです。

それはオーケストラを中心としたクラシック音楽を演奏するコンサートホールの
残響時間は2.5秒から3秒程度は欲しいと言いながら、オーディオ再生のための
残響時間は0.2秒から0.3秒程度というのが望ましいということ。

であれば、最初からクラシック音楽を聴くのであれば長めの残響時間を持つ部屋を
作ればいいのではないか? という単純な考え方によるものです。しかし…、私は
ここで上記で述べた次の一言を再度引用したい。

「おー! これがスタジオで作られた本来の音場感ということなんだ!」

オーケストラを始めとするクラシック音楽の録音作品はあたかも著名なコンサート
ホールの響き、残響をそのままに商品化されたという思いの人が多いと思いますが、
実は演奏空間で収録された録音データは相当な時間をかけてスタジオで編集や
マスタリングを行った結果の音であるということを知らない人が多いと思います。

特にオーケストラの録音では、昔のようにセッションレコーディングとして無人の
ホールで入念な準備と数テイクの録音を行うということは近年ではほぼない状態で、
観客を入れたコンサートでのライブレコーディングがほとんどです。

そのために演奏の失敗は許されないという事、また都合の悪い部分を録り直すと
いうことも出来ないものであり、観客が入ったホールの残響時間も短くなって
いるという状況での録音となります。

よって録音された演奏内容に対してスタジオでの可能な範囲での修正と編集、
そしてマスタリングの際にリバーブを施して響きの調整も行っているというもので、
すなわちクラシック音楽であってもスタジオワークの結果によって作られた音質で
あるということなのです。

ですから、クラシック音楽作品であっても、その作品にふさわしい響きや余韻と
いうものを商品としての音楽データに含んでいるものであり、それを再生する
環境においての残響時間は生演奏に都合の良いライブな残響の部屋では不適切と
いうことになってきます。

つまり、記録されている残響成分を正確に再現する必要があり、リスニングルーム
特有の不必要な残響があると再生音と録音の両方に含まれる響きが混濁してしまう
ときれいな再生音として楽しめないということになります。

さあ、こんな理屈を頭に入れてスタジオ録音の多数の曲で試聴してきたM.N 様邸
オーディオルームではどんなオーケストラを聴かせてくれるのか!

「あっ! 違う! サウンドステージの造型が違う! 曖昧さなき美意識! これだ! 」

この録音はシューボックスタイプのボストンシンフォニーホールで行われた。

私は若き日の小澤征爾がテレビ番組でボストン交響楽団を紹介するシーンを見たことがあり、
その際の解説を今でもしっかりと記憶している。

小澤征爾がボストン交響楽団の楽員に対して指導を行う際、無人のホールだと
響きが良すぎて演奏の強弱に関して正しい感覚がつかめなくなるという。

そこで長方形のホールの真ん中に天井から巨大な緞帳、厚いカーテンを吊り下げて
響きを調整し、残響時間を短くして観客が入った状態の響きをシミュレーションして
リハーサルを行うという説明でした。なるほどな〜とよく覚えているものです。

以上は余談のようではありますが、私が感じ取った音場感の造型の違いということを
イメージして頂くための事前説明であったわけです。

それは冒頭の弦楽五部のアルコによる合奏が始まった瞬間に、数え切れないほどの
スピーカーとシステム構成で聴いてきた経験とは異なるサウンドステージがそこに
あると直感したからに他なりません。

ここでも、前述の一次反射音による音像への影響がほぼないという理想的な環境の
違いがオーケストラのステージ感という特徴を立体像として提示してくるのです!

それはどのような意味かというと、管弦楽の各パートの定位感は殊更に鮮明であり
素晴らしい音像を細かく表現するのだが、演奏者一人ずつが奏でる楽音が空中で
三次元的に独立した存在感を示し、反射音による曖昧さという要素が皆無なのです!

当フロアーでは左右方向における音像と定位感については充分な分解能を有しており、
楽器の配列から周囲に拡散していく余韻感までもしっかりと再現しているという自負が
あったのですが、M.N 様の部屋で聴くオーケストラでは左右水平方向への展開よりも
前後方向での奥行き感が素晴らしく感じられる響きの遠近感が備わっており、
楽音の背景に深々とした空間があるというイメージで展開するのです!

管楽器などは見事にその特徴を反映し、演奏者の背後と頭上にステージ奥の壁と
見上げるほどの天井があるという錯覚を催すほどに広大な奥行き感を提示する!

そして特筆すべきは楽音の質感です。瑞々しい弦楽器はしっとりと潤いを含んだ
美しい音色にて多層構造の響きを放ち、その余韻感にも艶やかな色彩感を感じる。

最も聴き慣れた課題曲で音場感の造型というものを確認し、オーケストラの美しさ
というものを再発見したという感動に熱くなりました!

更にティンパニーやグランカッサも含めてステージの奥から響いてくる打楽器の
奥行き感が正確に感じられ、前述の残響時間が周波数に対してフラットであると
いう素晴らしい特性がオーケストラ全体の遠近感を忠実に提示してくれるのです!

素晴らしい演奏を鮮明に録音し、入念なスタジオワークで各パートの解像度を高め、
更にコンサートホールでの実態感に近い残響を付加することで仕上げたオーケストラを
一部の曖昧さもなくくっきりと、私の目の前に展開することでオーディオルームと
コンポーネントの価値観を他では得られないクォリティーで聴かせてくれたのです!

岡山県にH.A.L.を超える音が誕生した瞬間に立ち会えたことに感動し感謝致します!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■川又より

2019年4月20日 No.1539
H.A.L.'s One point impression & Hidden Story - HIRO Acoustic Laboratory MODEL-C8CS
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1539.html

M.N 様のオーディオルームは私も脱帽という素晴らしい仕上がりでしたが、そこに
将来はどんなスピーカーとシステム構成へと進化していくのか!?

まだまだ好奇心と向上心は旺盛であり、上記の究極システムも試聴すべく来店されました。
そのご感想は…。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

2019/04/20 (土) 23:55

川又様

本日は素晴らしい体験をありがとうございました。
それにしても鋭く、迫力に富んでいながらどの音も繊細で美しく癒される。
異次元の音ですね。驚きました。

ハイエンドオーディオではだんだんと音楽の作り手の姿勢が問われるようになると
感じていましたが、それが極まった一時間でした。

この所はライブのような細工をしない音源が好ましく感じることが多くなっています。
なにも加工せずそのまま録音することができないものかと思いましたが、録音という
行為自体が恣意的なものですからそれは無理なのでしょうね。

また次の頂きを見た思いです。ありがとうございました!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

2019年7月

■川又より

M.N 様より頂いた最後の一言がハイエンドオーディオを追求する私たちにとって
素晴らしい金言になったと思います。

以上にてご紹介した五年間に渡る情熱の集大成としてのオーディオルームと、
その時代の最高峰として選択されたコンポーネントの理想的な活躍の場所。

その夢を実現された後にも「次の頂きを見た…、見たいという思い!」それこそが
未来に向けて更なる向上心と好奇心を持ち続ける若さではないでしょうか!

私はそんな皆様のサポート役としてこれからも頑張っていきたいと願っているものです。

最後に日本音響エンジニアリングのProject Reviewにて掲載されるページを抜粋
したものを結びの一節として下記にてご紹介致します。ありがとうございました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190713162756.pdf

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.co.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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