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H.A.L.担当 川又利明


No.153  「聴きました!!いいですよ〜LINN KOMRIの艶やかさ!!」
さて、既に-H.A.L.'s Circle Review-No.0138でダイナミックオーディオ5555のオープニングイベントとしてKRELL LAT-1との対決を予告していたLINNの新製品であるKOMRIですが、私にしては珍しくまだ音を聴いていなかったのです。イベントのテーマとして採用するには対応するLAT-1とデザイン的にも好対照であり、面白い比較になると思っていたものでした。しかし、聴かずして語るべからずという私の信条から、この忙しいさなかではありましたが輸入元に無理を言って持ち込んでもらったのです。
さて、KOMRIの評価は…??
http://www.linn-jp.com/product/speaker.html

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KOMRI(コムリ)はグラスゴーから北へ車で二時間あまりのスコットランド 中央部に位置する風光明媚な土地、COMRIEから採られたネーミングであると いう。COMRIEには地質学調査史上初の地震計を設置する小屋“アースクエイク ハウス”があり、地震の科学的調査研究の発祥の地として知られているという。 また、三本の河川が合流する土地でもあり、古くは交易や交通の要所としても 知られ、南部の都市への窓口として栄えたという。KOMRIの特徴のひとつで あるユニットの集合配置とサウンドの広がり、また地震のようなエネルギー 感をモチーフにしているという。さて、そのKOMRIがどのような音を聴かせる のだろうか。

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7/3の午後、搬入されたKOMRIはステレオサウンドの表紙を飾った実物その ものであり、まだ最終的な製品ではないという。詳細なスペックなどは雑誌や web siteに紹介されるだろうから省略して、私の試聴した印象を述べていくこ とにしたいと思う。今回のシステムはP−0s、No30.6L、JEFF Coherence2、 同Model 12というシステムにつなぐことにした。このKOMRIは二つの25センチ サブ・ウーファーをサーボコントロールされた内臓の1.400Wのパワーアンプ が120Hz以下で受け持っており、その上から200Hzまでを上部にある角をモチ ーフとした4ウェイ・ユニットが収まっている黒い楕円形の中にあるミッド バスが担当している。その角をイメージした銀色のモジュールの中に3ウェイ ユニットが収納されており、ミッドレンジは200Hz〜2KHzを担当し、ミッド ハイ・ドライバーが2KHz〜12KHzを、そして一番小さなトゥイーターが12KHz から40KHzを担当している。これらはすべてオクターブあたり24dBという スロープでクロスされており、音源をポイント化した構成がこれからの聴く 演奏に大きな成果を上げていたのだ。しかし、初日の音は聴かない。いつも のようにシステムエンハンサーをリピートさせて一晩のバーンインを行う。

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さて、一晩明けた7/4の昼。私はいつもの手順でKOMRIの試聴を開始した。 まず最初は定番のYO-YO MA 「SIMPRY BAROQUE」(SONY SRCR2360)である。 第一声を聴いてすぐにひらめいたのは、なんと言ってもその楽音のディティ ールの鮮明さと濃厚な色彩感であった。とにかくヨーヨー・マの演奏はがっ ちりと骨太の質感をもち、かつバックの弦楽器の各々が本当に鮮明に、そし て彫りの深い表情で背後に整列している。さて、いつもの一曲目を聴いて、 すぐに10トラック目の「ポッケリーニ・チェロ協奏曲ト長調G480」にジャン プする。ここではチェンバロがヨーヨー・マのすぐ後方から響いてくるの だが、なんと分離のいいことか…。そして弦楽の合奏が引き伸ばす余韻が 何と暖かいことだろうか…。この辺の印象はLAT-1とは対極的なものかも しれない。ここにもKOMRIの後ろに置いてあるシルバーのLAT-1の音を思 い出しながら、来月のイベントの前哨戦として、早速二者のスピーカーで 比較する曲が何曲も頭に浮かんできた。 「う〜ん、このヨーヨー・マはKOMRIに軍配が上がるんじゃないかな〜?」 などと、きわどい予想が脳裏をよぎっていく。

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次はヴォーカル、大貫妙子の「アトラクシオン」(東芝TOCT24064)の5曲目、 おなじみの「四季」をかける。まず驚いたのがイントロのギターの解像度の 素晴らしさである。本当に振動する弦のありさまが鮮明に描き出され、これ は只者じゃない!!というインパクトが頭の中を駆け巡る。そして、極めつけ に印象に残るのはギターとベースの後に続くベルの音!!これが何ともハイビ ジョンレベルの鮮やかな輪郭を余韻の最後まで引っ張っていくのである。 アメリカ人の作家がこんなときによく使う表現では「あんぐりと空いた口の ままで目だけが動いている」ような驚きと言ったらいいだろうか。そして、 心待ちにしたヴォーカルが入ってくると…、「おおっ、こりゃぁ、いい!!」 何とも文章量を意識した単純な表現で申し訳ないのだが、ノーチラスとは 一味違った克明さで大貫妙子が眼前に迫ってくるリアルさなのである。 これは明らかに前述の4ウェイ構成の解像度向上効果の賜物であると、私は 直感的に演奏の素晴らしさから技術的な背景を察知することができた。 しかし、同じ英国製でありながらもノーチラスとは本当に対照的な表現 であると言える。むしろ、アメリカ製のKRELL LAT-1よりも音像の張り出し 方はより前方に展開し、英国製の従来のイメージとは大変に異なる。 その個性は次の曲によって更に鮮明に表れてきたのであった。

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オール・アルミのボディーをもつKRELL LAT-1の上質でありタイトな低域。 それに対してウッドキャビネットをもつKOMRIはそれほどでもないのでは? などと予想していたのだが…、これがまったくの予想外れとなった。 ブライアン・ブロンバーグの「WOOD」(KING KICJ 414)は豪快かつ緻密な ウッドベースのソロ演奏が楽しめるアルバムなのだが、この11トラック目、 なんと曲は「星条旗よ永遠なれ」をウッドベースのソロで演奏してしまう。 この曲を私はノーチラスで、そしてクレルで聴いてきたのだが、120Hz以下 を専用のサブ・ウーファーが受け持つKOMRIはまざまざとその低域のコント ロールされたパフォーマンスを開放してくれたのである。他社のスピーカー では量感を意識してか、解像度よりもボリューム感で低域の楽音をキャビ ネットごと表現しようという無意識の設計が演奏に表れるものだが、何と このKOMRIの低域は素晴らしいことか…。重々しいウッドベースの音、これ はうなりの部分だけが強調されるスピーカーが多いのだが、ピッチカート の切れ味が爽快であり、弦がベースの胴を響かせる分離感が並々ならぬ 制動感として私の耳と全身をとらえるのである。木のキャビネットをもつ スピーカーからこんな低域が出るとは思ってもいなかった。N801の低域と も違うし、LAT-1とも違う。しかも、このサブ・ウーファーは独自のレベル コントロールが出来るので、リスニングルームの特性を考慮して調整が 出来るという優れものなのである。120Hzから200Hzを大事にするという 4ウェイの考え方、いやKOMRIは実質5ウェイとなるのだが、低域の解像度が 高まるということがこれほど楽音に魅力を上乗せするということを今まで 誰が想像したことだろうか。LAT-1に本当のライバルの出現を告げる経験 であった。「う〜ん、来月のイベントはやりがいがあるぞーーー!!」と 張り切る私でした。

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さあて、これで私は納得できました。それは、私に対して説得力を持つ スピーカーは当然皆様に対しても大いなる魅力を発揮するという経験に 基づく判断です。KOMRIは十分に私を納得させてくれました。そして、 KOMRIの魅力に触発されるであろうオーディオファイルは、この日本にも 多数いるはずであるという期待が今回の試聴から湧き起こってきたもの です。現にLAT-1の登場からも、その価格帯で十分な選択肢と実際の販売 実績があるということが私の推測を裏付けてくれるものです。 これをどれほど良好な環境で皆様に聴いて頂けるのか、それがこれからの 新しいフロアーの使命であると考えています。皆様、どうぞご期待ください。


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
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