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H.A.L.担当 川又利明


No.149  「ブルーリングの誘惑!!えっ? あのNautilusが…!?」
さて、このタイトルを見て一体何のことだ?と思われた方も多いことでしょう。 この製品の電源をいれてパッと灯ったリング状のランプを見て思い付いたもの ですが、私の好きな作家の一人であるA・J・クィネルの代表作のひとつのタイ トルが「ブルーリング」というもので単なる連想ですが妙に印象に残りました。 その製品というのがこれです。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/pho/010605/tas.jpg

ご存知KRELLの新製品「TAS(Theater Amplifier Standard)」なのです。

http://www.axiss.co.jp/whatsnew_krellTAS.html

Theaterと名乗るアンプがなぜ私のフロアーにあるのか。賢明な方であれば すぐに思い当たると思いますが、そうです5chのパワーアンプがこの一台に 搭載されているのです。従って、この一台でノーチラスの片側を鳴らすこと が出来るわけです。同様なコンセプトのアンプではJeffRowlandのMC6が

http://www.ohbashoji.co.jp/jeff/mcsix1/mcsix1.html

ありましたが、そちらはなんと言っても300万円という価格です。しかし、 このTASは日本価格は何と138万円なのです。これ二台でノーチラスを 鳴らすことが出来れば何と助かることか…。

しかも、このTASは5chのうち2chをBTL接続して800Wの超強力パワーに設定 出来るというのである。そこで輸入元であるアクシスに早速電話をした。 6/4運び込まれたTASは今までのKRELLのイメージとはまったく異なる概観 であり、優雅、優美、美しい仕上げでマッチョな印象は微塵もない。 事前に4/5chをBTL接続に設定してもらい、それをノーチラスのウーファー に使おうと思った。システムはP-0sからPAD RLSデジタルケーブルで No30.6Lへ、そしてPAD RLSインターコネクトケーブルでJEFFのCoherence2へ、 そしてTASからノーチラス用RLSスピーカーケーブルでノーチラスへと結ぶ。 夕方にやっとセッティングを終えたが、私はいつも初日の音は聞かない。 早速得意の一夜漬けバーンインをPAD System enhancerのリピート再生で セットして、その日はじっくりと聴くことはしなかった。しかし、その 第一印象は私の期待以上のものがあったのです。

6/5の翌日、一晩かけたバーンインが最後の一回を終了するのももどかしく、 早速試聴を開始。真剣に聴き始めたら浮上したのがウーファーの鳴り方。 確かに800Wのパワーは頼もしいのだが、いかんせん質感が他の帯域と違い 過ぎる。「こりゃいかん」ということで早速アクシスに相談し、せっかく 搬入前にセットしてもらったBTL接続を解除してもらった。しかし…、 今度は私が忙しくなってしまいじっくりと時間が取れない。ええい!! こうなったら二番目のバーンインだ。ということで再度System enhancer を回して更に磨きをかけることにした。

6/6の今日は朝一番のメールを処理して早いうちに試聴を始めることにした。 まず最初は定番のYO-YO MA 「SIMPRY BAROQUE」(SONY SRCR2360)であるが いつもの一曲目を聴いて、すぐに10トラック目の「ポッケリーニ・チェロ 協奏曲ト長調G480」にジャンプする。いやはや、これが5chで138万円の アンプだろうか!!とにかく弦楽器が美しい。滑らかさが際立つノーチラス の鳴り方に興奮すら覚える。「ええっ!!これ本当にKRELLの音なの!?」と 自分の記憶のライブラリーにあるクレルの再現性に照合しても一致する ところもあるが、とにかく今までのクレルと違うのである。その印象を 確認するために10トラック目を聴き込んだものです。

今までのクレルは太目のボールペンのタッチと例えましょうか。若干でも 筆圧を加えないと線がかけない。言い換えれば、そこに独特の力強さがあり ハイパワーの実力を力感を持って表現していた。しかし、このTASにおい ては正に絵の具を含んだ絵筆のそれのごとく、キャンバスにごくわずかでも 触れるだけで柔らかい質感で色彩を残していくのである。そこに筆圧とい う力加減は必要ない。とにかくスムーズに繰り広げられるYO-YO MA と バックのバロックオーケストラの弦楽の質感は大変に魅力的なのである。 「こりゃあいい!!」ノーチラスを採用するにあたり課題となるパワーアンプ の選択にまったく新しい切り口をポッカリとTASが空けてくれたのである。

さてさて、次にはこれも定番の大貫妙子をかける。昨日は800Wのパワーに よるウーファーの独り善がりが消えてまったく自然にバランスが取れている。 ギターの弦が弾かれるありさまに手応えをガチッと求めるというよりは、 ソフトな指使いが好まれるイントロであって欲しいものだが、それが程よく 実現されているので素直にヴォーカルに入っていける。「あっ、暖かい 声だ!!」そこにはクールに口元だけの解像度を追求していくのではなく、 適度にテンションを緩めながら歌い始めた彼女の声に安堵感を覚える。 「いいじゃない〜、これ!!」もちろん前述のJeffRowlandのMC6とは 異なる質感なのだが、妙に分析の度合いを高めるということがなく、 情報量としてはエコー成分のあり方に上級機の価値観を認めざるを 得ないものがあったとしても138万円というプライスに私は納得した。

さあ、私はノーチラスの導入に際して今まで数え切れないほど同じご質問 を頂いてきた。「川又さん、ノーチラスを鳴らすのに必要最低限のアンプ には一体いくらくらいかけたらいいの?」そうなんですね、最低限と言われ ると、どのくらいのクォリティーを求めるかで私も応えに躊躇してしまい ますが、これまでの納入事例でユーザーが予算対比で納得された価格では 一台あたり当時55万円のAyreのV3でした。しかし、今ではそれもなくなって しまい、次なる候補が見つからなかったのです。でも、このTASの登場に よってチャンネル当り\276.000.というコストでノーチラスを鳴らす ことが出来るようになったのです。もちろん上級レベルのアンプはこれ までにも様々なケースで実演し販売もしてきましたが、まずノーチラスを 導入してスタートを切るという段階では本当に重宝する新製品です。

今の状態は6/13まで継続し、将来はノーチラスをと考えておられる 皆様に実演が出来るように致しました。ぜひ、スターターセットと してのノーチラスをお試しになってください。お待ちしております。


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
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