TAD TAD-E1詳細ページ



	TAD TAD-E1
 	定価 \2,000,000(2本一組/税別) 
     \2,100,000 ピアノブラック(2本一組/税別) 
試聴レポート

使用機材

CD/SACD PLAYER ESOTERIC      K-01 \1,400,000
PRE AMPLIFIER  JEFF ROWLAND   CORUS
POWER AMPLIFIER JEFF ROWLAND   MODEL725 \4,000,000(予価)




まずオーディオファイル御用達のカンターテドミノより11曲目「Julsang」を試聴し
ました。
この曲は教会の音場、パイプオルガンの低域、そして人の声のハーモニーを感じとる
ことが出来るディスクですが、誇張したサウンドステージを作り出すのではなく、ス
ピーカーの外までしっかり臨場感を出してきます。海外のスピーカーメーカーのいく
つかは箱をならすことで、そのメーカー特有の響きを出し、個性を出してくることが
多いのでが、TAD-E1はまったくそういったところがないかと言われると逆にそういう
ところを程よくさせ、モニターっぽい中にも、音楽性を感じることが出来ております。
低域に関してですが、底面に装備させたせいもあり、過大になることがなく、また膨
らむことが無く、しっかりダンピングの効いた低域となっております。量感を求める
場合は少し足りないようにも感じますが、深いところまで沈みこんで、中高域の見通
しも良くなっているように感じます。音像に関しては前後感もしっかりしており、や
たら奥になることもなく、前に出すぎるということもなく、非常に良い位置に定位し
てくれております。



次に私のリファレンスディスクの一枚 EXTREME III SIDES TO EVERY STORYを
試聴しました。このディスクはロック好きのお客様へはご紹介してきました。
このアルバムはエンジニアがこだわり抜いて作ったアルバムというのを随所に感じる
ことが出来ます。音楽だけではなく、それを演出している効果音的なところも聴き所
ですが、良いシステムやセッティングがうまく行けばその録音の凄さがきっとお解か
りいただけると思います。
「TRAGIC COMIC」では、バスドラとベースラインの明瞭度ということで、うまく低域
がコントロールできていないと、バスドラの音がベースを邪魔してベースラインが聞
き取れなくなるのですが、TAD-E1はそのベースラインをしっかり聞き取ることができ
ました。AUDIO MACHINA C.R.Mの時にも似たような印象を持ったのですが、アーティ
スト、エンジニア側がこういったところを聞かせたいという表現を感じとることが出
来ました。エレキギターの場合などはエフェクターを使い音を作ります。
そのサウンドが手に取るように解るのもこのスピーカーの魅力かもしれません。
EXTREMEのギタリスト ヌーノ・ベッテンコートの超絶ギターが本当に気持ちよく聞
けました。



ヒラリーハーンのヴァイオリンでは、ベリリウムが持つ個性とスピーカーエンジニア
アンドリュー・ジョーンズ氏のチューニングに寄るサウンドを感じ取ることが出来ま
す。ツィーターに関しては、ソフトツィーター、アルミ、ダイヤモンド、そしてベリ
リウム、最近ではマグネシウムなど各メーカーこだわりを持っております。
以前WILSON AUDIO社デビット・ウィルソン氏にツィーターに関して質問したことがあ
りますが、その時に他のツィーターの素材ではWILSONが出したいサウンドを再現する
ことが出来ないという風に答えられたことを思い出します。どうしても同価格帯のB&
W 802SDと比較をしてしまうのですが、自然さよりも実在感を重視しているように
感じます。それぞれ感想をもたれるところですが、その実在感がお客様によってはき
つく感じることもあるのだと思います。しかしそれがこのスピーカーの個性であり、
ほれ込むポイントの一つです。ハーンのヴィオリンが凛々しく感じるのはその個性か
もしれません。



サンサーンス 交響曲 第3番 4楽章では、スケール感と躍動感を定位感をチェック
するときに使用しますが、大型ウーファーのような量感はもちろん感じませんが、そ
の分引き締まっており、反応がよく静寂の中から各楽器のい現れる表現はかなり
評価が高いポイントです。音楽をリラックスして聞くというよりもその世界の中に
引き込まれてしまいます。



手嶌 葵 Christmas Songsより「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」はVOCALとアコ
スティックギター、そして後半ピアノが入ってきますが、お化粧していないVOCALが
落ち着きをかもし出し、アコスティックギターはボディーが奏でるホールトーンと
温かみのある弦の音がVOCALを引き立ててくれます。またL.Rに分かれてピアノ、ギ
ターと録音されておりますが、そのエコーがセンターできちんとハモっておりました。
録音を褒めているコメントにも感じますが、それだけ再現能力が高いとご判断いただ
ければと思います。

この曲でワイヤリングの実験を行いました。



上位モデルも今回のTAD-E1もバイワイヤリングになっており、今回は付属のジャン
パーケーブルを使用しております。そうなりますと4通りの接続が可能となります。
@高域の+−A低域の+−B高域の+低域の−C高域の−低域の+
ということになります。
@ABCすべて実験しましたが、かなり音質の変化を感じます。
TADの上位機種の場合はどちらかに入れたほうが位相がしっかり合うので、どちらか
に入れるようにしましたが、TAD-E1の場合は私はCが中域の張り出しが良く、自然に
感じました。実際はバイワイヤー接続が好ましいと思いますが、アンプ、部屋などに
よっても変わってきますので一概に言えませんので、ご購入の際はお試しいただけれ
ばと思います。ただエージングがある程度進むまでは@Aの方をお勧めします。

ジャンパーケーブルですが、付属のものはYラグとなりますので、メインのスピー
カーケーブルがYラグですと2枚重なることになります。個人的には片側バナナで作っ
てもらえるとうれしいような感じがします。

さてセッティングに関してですが、私個人的にはあまり角度はつけないのですが、TA
D-E1もさほど振らなくて良いようです。スピーカーに角度をつけることで横方向の響
きが弱くなるということもあります。指向性はあまり広く感じませんので、スピー
カーを振りすぎてしまうと試聴ポイントが狭くなってしまいます。さほど振らなくて
も奥行きはしっかり出てきますが、部屋、設置環境で変わってきますので、お試しい
ただければと思います。


全体的な感想としてはモニタースピーカーで忠実な位置づけでありながら、音楽性を
感じ取ることが出来るようになったのではないかと思います。

先日の試聴会では国産のスピーカーで始めてグルーブ感を感じた。デザインがも
う少し良ければ、ガチガチと思っていたところ、とてもバランスがよく各楽器がきち
んと聞こえる一方で、ハーモニーがハーモニーとして気持ちよく聞けたことが驚き
でしたなど様々なご意見が出ております。それだけ高評価となっております。

今日現在まだエージングの途中ですが、早く立派な音に育て上げたいと思っておりま
す。

2011.12.6 H.A.L.3 島 健悟