VOL.87 LUXMAN社 D-08u レポート
LUXMAN D-08u \1,100,000(税別)
今回はラックスマンの新しいCD/SACD PLAYER D-08uをご紹介させていただきます。
ラックスマンフラッグシップCD/SACD PLAYER D-08が2014年に春にD-08uとして生ま
れ変わりました。D-08の発売は今から遡ること6年前。各社新製品が出る中で沈黙を
続けておりましたが、満を持して発売となりました。
実際D-08は発売して6年経っても安定した人気がありました。それだけラックスマン
のサウンドが他にないサウンドで、好まれるお客様が多かったという証拠です。
昨年末プリアンプ、パワーアンプが900シリーズに代わり、今回の新製品はD-09と思
いきやD-08uという型番で登場しております。そう聞いてしまうとマイナーチェンジ
のように感じてしまいますが、実際はそうではありません。それは音を聞いて頂けれ
ばご納得いただけるのではないかと思います。筐体がほぼ同じということでD-08u
にしたという話であり、逆にラックスマンの真面目さが伝わってきます。
それでは、リニューアルされたD-08uの魅力に迫ってまいります。
まずはスペックの違いをご覧ください。
≪D-08U、D-08 比較表≫
型番 |
D-08U |
D-08 |
定価(税別) |
\1,100,000 |
\950,000 |
アナログ出力 |
RCA/XLR(3番/2番切替) |
RCA/XLR(3番) |
デジタル出力 |
同軸 1系統、光(TOS-LINK)1系統 |
同軸 1系統、光(TOS-LINK)1系統 |
デジタル入力 |
同軸 1系統、光(TOS-LINK)1系統 (32、44.1、48、88.2、96、176.4、 192kHz) (16、20、24bit) |
同軸 1系統、光(TOS-LINK)2系統 (32, 44.1, 48, 88.2, 96kHz対応) |
USB入力 |
USB入力(PCM) 32、44.1、48、88.2、96、176.4 192k、352.8k、384kHz (16、24、32bit) USB入力(DSD) 2.82M、5.64MHz(1bit) |
無 |
ディスクドライブ メカニズム |
LxDTM (ダストプル−フ・シャッター付) |
LxDTM (ダストプルーフ・シャッター付) |
D/Aコンバーター |
バーブラウン PCM1792A(モノラルモード)×2 |
バーブラウン PCM1792A(モノラルモード)×2 |
出力アンプ回路 |
完全バランス・ディスクリート ODNF Ver.4.0 |
完全バランス・ディスクリート ODNF Ver.3.0 |
消費電力 |
36W(電気用品安全法) |
32W(電気用品安全法) |
外形寸法(W×H×D) |
440×154×413mm |
440×154×413mm |
重量 |
22.5kg(本体) |
22.5kg(本体) |
フロントボタン |
DIGITAL IN、DIGITAL OUT PHASE INVERT、CD/SACD |
DIGITAL IN、DIGITAL OUT DSD/PCM、CD/SACD |
ラインフェーズ センサー |
無 |
有 |
電源ケーブル |
JPA-15000 |
JPA-15000 |
■ディスクドライブ・メカニズム
LxDTM(ダストプル−フ・シャッター付)ということで変わらないように見えても、
取付等での音質の変化というのもあり、もっと研究、追及してファインチューニン
グを施しております。
■内部DSP処理
PCM信号を最大384kHzにアップサンプリングするTI社最新の32bitデジタル・シグナ
ルプロセッサーTAS3152を採用。
PCM信号は32bitDSPによる3種類のデジタル・フィルターを、DSD信号はDACチップ内
蔵のアナログFIRフィルターによる2種類の音質を切替可能。
(リモコンでの対応)
PCM
P-1(ノーマルFIR フィルター)
P-2(ローレイテンシ―IIR フィルター)
P-3(ハイアッテネーションFIR フィルター)
CDもしくはPCMデータ
DSD
D-1(ノーマル・アナログFIR フィルター)
D-2(ハイアッテネーション・アナログFIR フィルター)
SACDもしくはDSDデータ
ソフトや好みによってお試しください。
■USB入力
次世代フォーマットを見据えて、最大384kHz/32bitのPCMデータと
DSDデータ(2.82M、5.64MHz)に対応しております。
同社DA-06に象徴されるように、次世代デジタル関連にも力を入れております。
付属のUSBドライバーと再生ソフト
■アナログ回路
出力アンプ部には、高域の歪特性を大幅に改善した独自の帰還方式ODNF回路の最新
バージョン4.0を搭載。(D-08はバージョン3.0)
■内部基盤
全てのオーディオ用基板に、音質ヘ悪影響を与えるレジストを廃したピールコート
基板を採用。こちらは現物をみせてもらいましたが、この基盤のこだわりはかなり
のものでした。
■位相切り替えスィッチ搭載
D-08では3番HOT固定でしたが、D-08uではボタンひとつで切替できるようになりまし
た。
■ディスプレイZOOMモード搭載
ディスプレイの表示をリモコンボタンで変更できます。
文字が小さくて見にくいお客様にとっては便利です。
■背面パネル
■リモコン
リモコンでしか操作できない機能もございます。
その他詳細はラックスマンのホームページをご覧ください。
メーカーサイトはこちら
それでは、試聴レポートをお届けします。
CD/SACD PLAYER LUXMAN D-08u
PRE AMPLIFIER LUXMAN C-900u
POWER AMPLIFIER LUXMAN M-900u
SPEAKER SYSTEM B&W 802Diamond
このD-08uが来て、1週間ほど経過したところでの試聴となりますが、さすがラック
スマンといえる出来栄えとなっております。C-900u、M-900uで感じたその進化を今
回も感じ取ることが出来ました。
まず音の純度といったところだと思います。
女性VOCALの透明感と音の消え際の描写が非常に素晴らしく感じます。
以前と比べると若干若返ったという感じも受けますが、そこはラックスマン。
上手くラックストーンを残しながら、リファインされております。
また楽器の位置関係も以前よりも良く解るようになっており、それは全体的に
立体感が増したせいとも言えるのではないでしょうか。
おそらくこの辺りは32bitのDSPによるところも多いと思いますが、それを強調
させず、解像度重視という表現をしていないところが実に気持ちよく聞けます。
透明感や情報量が上がるとエネルギー感が減ったように聞こえてしまいがちです
が、音の沈み込みが良くなった分低域の描写が良くなり、音楽に安心感を覚えます。
室内楽、交響曲も何曲も試聴しましたが、ステージが広く感じ、朗々となっており、
また包み込まれる臨場感もかなりアップしております。
これからもっと鳴らしこんでいくと落ち着いたサウンドになっていくと思いますが、
やはり個人的には型番をD-09にしても良かったのではないかなと思ってしまいます。
ただやはりオーディオは面白いもので、D-08が好きなお客様もいらっしゃるだろう
と思うところもあります。比較してしまうと言葉が悪いのですが、ある意味曖昧
さが聴きやすくさせている部分とと、音像が大きいので迫力がある部分も感じます。
さてこのD-08uの魅力のひとつは高性能のUSB DACです。DSDの5.64MHzまで対応と最
先端を行っていると言っても過言ではないかもしれません。
今回はH.A.L.3常設展示品でもあるオリオスペック社のRitmo DSD Play(本体のみ)
を使用して再生しました。
ソフトはfoober2000を使用しております。
CDを取り込んだ44.1kHzのFLACファイルと同一のCD ソフトと比較しましたが、こち
らはCDの方が味わいがあり、ファイルですと無機質に感じてしまったり音楽性に欠け
る部分もありました。ただ録音の悪いソフトですと逆にファイルの方が良い場合も
ありました。
今度は96kHzの音源と比較しましたが、ソフトによってまちまちでしたが、80%ハイ
レゾ音源の方が良い印象を持ちます。DSD音源であればそのクオリティは非常に高く、
やはりファイル再生の方に優位性を感じてしまいました。
SACDとDSDファイルであってもDSDファイルの方が良かったのですが、こちらはソフ
トがあまり充実しておりませんのでやはりSACDディスクの優位性も十分に感じます。
こうやって試聴するとTAD TAD-D1000の試聴の時も感じましたが、DSP部分とDACの
性能が今後左右してくるのではないかと思っております。
もちろん各社トレイ、ピックアップメカにもこだわりを持たれておりますが、良い
ハイレゾ音源ですとそちらの方が音質が良い場合も多くなってきております。
あくまでも音源にもよりますが、ソフト業界もハイレゾ化の動きが盛んになってき
ております。
とはいえCDクオリティのリッピングであれば普通にCDで再生した方が良かったとい
うのは安心しました。
日本はディスクメディアへの思い入れが世界と比べても断トツ強い国だと思います。
オーディオは趣味であり、音楽への愛情は人それぞれ違うものです。
今ですとまだまだ自由に選べますが、世界的マーケットを見た時には無くならない
とは思いますが、CD/SACDプレーヤーの数が少なくなってくると思います。
是非ディスクメディアに愛情を持たれているお客様はプレーヤーをこの機会にご検
討いただければと思いますし、また興味を持たれればファイル再生も是非チャレン
ジしていただきたいと思います。
またこうやって新しいプレーヤーが出てくるということに喜びを感じております。
是非新しくなったラックスマン D-08uをご試聴いただければと思います。
追伸
暫くは旧製品D-08も展示しておりますので、比較試聴可能となります。
2014年4月13日 H.A.L.3 島
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