WILSON AUDIO
「 SASHA 」 

SASHA
WILSON AUDIO 「SASHA」
定価 : \3,465,000 (スタンダードカラー/税込



WILSON AUDIOは1981年アメリカで誕生したスピーカーブランドですが、日本ではその実力は非常に評価されており、 既にハイエンドスピーカーの代表メーカーの一つとして挙げられております。

さて“WILSON AUDIO”といえば直ぐ思い浮かぶモデルは「SYSTEMシリーズ」だと思います。 そのSYSTEMシリーズは「SYSTEM5(5.1)⇒SYSTEM6⇒SYSTEM7⇒SYSTEM8」へと進化を遂げてきました。 この“SYSTEM”というのはウーファー部の「PUPPY」とアッパー部の「WATT」を組み合わせてSYSTEMという名称となっており、上下分割出来る構成となっておりました。 このSYSTEMという名称を外し、今回新たなネーミングで登場したモデルがこの「SASHA」となります。 だだこの製品では「WATT」と「PUPPY」という表記は今まで通り残しております。

この「SAHSA」という名称は、主宰のデビットウィルソンの愛犬の名前に由来しているそうなのですが、同ブランド、フラッグシップモデル「Alexandria(アレクサンドリア)」の略称も“サーシャ”と言うようです。
こちらは余談でした・・・

それでは、新たなWATT&PUPPY「SASHA」をレポートします。

まずはスペックを先にご紹介致します。

≪ 「SASHA」スペック ≫
  • ユニット :
    2.5cm チタントゥイーター
    18cm ミッドレンジ
    20cm ウーファー× 2
  • 能率 :91dB ( 1W at 1 meter )
  • 周波数帯域 : 21〜22.5kHz(+0,-3dB)
  • インピーダンス : 4Ω(ノミナル)最低1.8Ω@92Hz
  • 寸法 : W)360×H)1120×D)540 / mm
  • 重量 : 89.5kg(1台、上部モジュール / 下部モジュール)

  • ※その他詳細はメーカーサイトをご覧下さい。
参考までに「SYSTEM8」のスペックも紹介します。

≪ 「SYSTEM8」スペック ≫
  • ユニット :
    2.5cm チタントゥイーター
    18cm ミッドレンジ
    20cm ウーファー× 2
  • 能率 :92dB ( 1W at 1 meter )
  • 周波数帯域 : 21〜22.5kHz(+0,-3dB)
  • インピーダンス : 4Ω
  • 寸法 : W)330×H)1041×D)476 / mm
  • 重量 : 77kg(1台、2ピース)

  • ※その他詳細はメーカーサイトをご覧下さい。


PUPPYの上にWATTを乗せるという従来の設置方法は変りませんが、WATTとPUPPYのサイド部分のデザインがそれぞれ変更になっております。

WATT WATT背面
アッパー部分のWATTですが、今回ネットワークをウーファー部分のPUPPYに装備しております。 その為PUPPYとWATT間の接続ですが、PUPPYから太さの違うケーブルが2本出ており、ミッドレンジ、ツィーターへそれぞれ接続するバイワイヤの接続となっております。 ネットワーク部分をPUPPYに装備することでWATT部分は軽量化され、以前のモデルではあった背面のキャリング用のハンドルはなくなっております。

■ツィーター部分
上位モデル「MAXX 3」にも搭載されている、強力マグネットのインバーテッドドーム型トゥイーターを採用しております。 以前、デビット・ウィルソンと直接話したことがありますが、このツィーターは相当こだわりを持っていると伺いました。 WILSON独特の音色はこのツィーターが支配している所も大きいですが、それは従来通りにこだわってるという事に安心しました。

■ミッドレンジ
今回一番こだわった部分だと聞いておりますが、以前のモデルと変らず「18cmセルロースファイバー/バルブコーンユニット」を搭載しております。 バッフル面はウレタン素材ではなく、新たな素材となっております。

先にも説明しておりますが、今回WATT側にはネットワークを装備しておりません。
その分ミッドレンジ、ツィーターの内部反射が弱まり、より開放的なサウンドに仕上がっております。

PUPPY PUPPY背面
ウーファー部分の「PUPPY」ですが、変らず20cmのダブルウーファーとなっておりますが、バッフル面はWATTと同様新素材となっております。
PUPPYの上面(通常はWATTで隠れる部分)ですが、これも以前と同様WATTの角度調整用のスパイクの種類を指示するプレートが着いております。 説明書にも記されておりますが、私共でセッティングする場合、お客様もなかなかお気づきにならない部分ですが、 こういう部調整が可能な、肌理細やかさを持っているという事を書いておきたいと思います。

スパイク部
スパイクに関しては従来どおりでスペーサーを使って、高さ調整できます。 専用のスパイク受けも付属されておりますが、サイズが小さく、動かすということであれば安全の為別のスパイク受けをお勧めいたいところです。



前置きはここまでにして試聴レポートに入りますが、以前SYSTEM8のレポートを書いておりますので、SYSTEM7との違いは 「今週のチェック“VOL.37”」を参考にして下さい。

今回SYSTEM8との直接比較は出来ませんでしたが【 H.A.L.3 】では長期展示しておりましたので、その音はまだ記憶に新しい所なのですが、 まずパッと試聴した印象では、今までのモデルの中で最も洗練されているスピーカーだと思います。
WILSON AUDIOは個人的に特に強い思い入れのあるメーカーという事もあり、新製品が入荷されると比較的早い段階で試聴させて貰えるのですが、今回も輸入代理店の大場商事にお願いし、 いち早くデモ機をお持ち頂きました。新製品となりますと気が急いてしまうのか、毎度の私の悪い癖でエージングを終えない段階でコメントしてしまいますので、 実は既に7月にお持ち頂いていたのですが、ある程度鳴らし込みした状態でのコメントをしたいので、発売から遅れてレポートする事にしました。

≪ 試聴システム ≫
  • CDプレーヤー : METRONOME 「CD1 Signature」(定価:\1,050,000)
  • プリアンプ : OCTAVE 「Jubilee Jubilee Preamp」 (\4,725,000)
  • パワーアンプ : GOLDMUND 「TELOS1000」(\8,190,000)

  • ※価格は全て税込
≪ 試聴ソフト ≫
試聴ソフト
1. ヒラリー・ハーン 「バッハ:シャコンヌ」
2. マーツァル(指揮)/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 「ドヴォルザーク第5番&第9番」
3. ノラ・ジョーンズ 「come away with me」

WILSON AUDIOと言えば、特に独特な個性を持った高域の音色が魅力なのですが、今回の「SASHA」は今までの“SYSTEMシリーズ”から比べると、その出方が非常に滑らかです。 簡単に言ってしまえば“聴き易くなった”イメージなのですが、それでも他メーカーと比較するとこの高域の出方にはやはりWILSONらしさがキチンと出ております。

ヒラリーハーン演奏のJ.S.バッハ無伴奏ですが、全体的な広がり感が良くなり、ソフトによっては時折感じていた高域の雑味やヒステリックさが この「SASHA」では影を潜めております。ただ、この場合に用いた“雑味”という言葉は否定的なものでは無く、 それが良い意味で音楽に味を出しているケースも多々あります。
この“雑味”が“個性”となって好き嫌いの別れるポイントでもあり、「より聴き易くなった」という事で この「SASHA」はより“洗練された”といった方が良いかもしれません。

EXTONレーベルよりリリースのマーツァル指揮/チェコフィルハーモニー「ドヴォールザーグ第9番“新世界”」ではアンプが「TELOS1000」ということもあり、実に朗々と鳴ってくれます。 全モデルよりもサイズが大きくなったで、量感も増え、低域の沈み込みも非常に良くなっております。懐が深くなったという感じです。
また、スケール感といった面でも、今までに無いダイナミックさがあり、同社上位モデル“MAXX3”とまでは行きませんが、それを彷彿とさせるようなエネルギー感を感じます。 今までのシリーズよりも音が前に出てくる印象もありますが、奥行きも申し分なく、立体的な音場を再現してくれます。

ノラージョーンのVOCALでは、今までですとシステムによってはやや“若くなりすぎる”感じがありましたが、もっと味を持ち、陰影が出てきたように感じます。 あくまでも比較すればですが、明るい曲は楽しく、バラードはしっとりと聴ける、音楽の幅が広がった感じがします。



音楽を聴く環境というのは、お客様によって様々に違うと思います。
例えば、“夜中にしみじみと音楽に浸りるように聴きたい”というケースもあれば、“休日には元気にノリ良く、楽しく聴きたい”など、それこそ人の数だけ、数え上げればきりがないでしょう。 私のイメージとしては、WILSON AUDIOは“明るく楽しく”というイメージが強かったのですが、この「SASHA」では非常に完成度が高くなり、どういう聴き方にも順応できるスピーカーへと進化したのではないかと思います。

SYSTEM5から始まりここまできましたが、5のようなインパクトは少ない分、音楽の幅がぐんと広がった素晴らしいスピーカーだと思います。

最後に価格に関してですが、SYSTEM8よりも価格は下がっておりますが、こちらはWILSON AUDIOの企業努力によるもので、 「SYSTEM8」のブラッシュアップモデルが「SASHA」となります。

常時展示は検討中ですが、是非機会がありましたらご試聴頂ければと思います。

試聴のご予約、お問い合わせ、ご注文も承っております。
当フロア担当“ ”まで、お気軽にご連絡下さい。



“ 今週のチェック ”TOPに戻る