VOL.76 ESOTERIC G-01 試聴レポート
今回はESOTERICの最新クロックジェネレーターのG-01をご紹介させていただきます。
ESOTERIC G-01 クロックジェネレーター
希望小売価格1,417,500円(税抜1,350,000円)
クロックジェネレーターは今からさかのぼること10年数年ほど前にESOTERIC社トラ
ンスポートP-0が発売された時から注目されたと思います。もちろんその前から業務
機器で名高いdCS社のD/DコンバーターやD/Aコンバーターを使用していたお客様や業
務機器に詳しいお客様はご存知だったと思います。一世風靡したSTUDERのD730にも
クロック入力は装備されておりましたが、多くのお客様はあまり関心を持っており
ませんでした。
ESOTERICのP-0はクロック入力を装備しており、そこに入れるクロックに多くのお客
様が関心を持ちました。
またP-0発売以来、ESOTERICは多くの機器にクロック入力を装備しはじめました。
その後に自社で水晶(クリスタル)モデルのG-0、ルビジウムのG-0Sを発売し、ESOT
ERICユーザーの注目の的となりました。ESOTERICと平行して人気だったdCSももとも
と業務機ブランドだけあり、当時VERDI、PURCELL、DELIUS、ELGAR
などにクロック入力を装備し、音質向上としてクロックジェネレーターの992や992m
k2を導入するお客様も少なくはありませんでした。
そもそもクロックジェネレーターとはという疑問を持たれるお客様もいらっしゃる
と思います。
実際ESOTERICやdCSユーザーはクロックジェネレーターを増設できるようになってお
りますが、他のメーカーでは使用できないケースの方が多いと思います。マランツ
やSONY製品の一部は対応できますが、まだまだクロック入力できる機器は少ないと
思います。そういうこともありご存知ではないお客様や何をする機器なのか解らな
いお客様も多いのではないでしょうか。
下記はESOTERICの資料より抜粋した説明となります。
全てのデジタルオーディオ機器は、クロック回路を搭載し、そこで生成するクロッ
ク信号を使って回路を動作させています。マスタークロックジェネレーターは、対
応するクロック入力端子を備えたデジタル機器(トランスポート、
D/Aコンバーター、スーパーオーディオCDプレーヤーなど)に対して、外部からクロ
ックを供給する発振器です。
デジタル機器が内部で生成するクロックよりもさらに高純度なクロック信号を供給
することで、音質を向上させます。
ESOTERIC資料より抜粋
昔は基本的にCDのサンプリング周波数44.1kHzの周波数で同期しておりましたが、こ
こ数年の間でデジタル機器も進歩しており、もっと上の周波数まで入力できるよう
になりました。
今回紹介させていただくG-01に関しましては、P-02、D-02などに対応し、
22,5792MHz、K-01、K-03等に対応した10MHzの出力を装備しております。
まずはG-01の詳細をご覧ください。
クロック出力端子
[CLOCK OUT]
44.1kHz系列: 44.1 / 88.2 / 176.4 / 352.8 / 705.6kHz
1.4112 / 2.8224 / 5.6448 / 11.2896 / 22.5792MHz
48kHz系列: 48 / 96 / 192 / 384 / 768kHz
1.536 / 3.072 / 6.144 / 12.288 / 24.576MHz
共通: 100kHz、10MHz
端子: BNC不平衡 (75Ω)
出力レベル: 矩形波 (TTLレベル/75Ω)
10MHz出力端子
[10MHz OUT] 10MHz
端子: BNC不平衡 (50Ω)
出力レベル:サイン波 0.5±0.1Vrms/50Ω
出力クロック安定時間
電源オンから発振器安定まで :約10分
PLLロックタイム :約1分
周波数安定度:±0.1ppb以内 (-20℃〜65℃)
周波数精度:±0.05ppb以内 (出荷時)
基準周波数入力
[EXT IN]
入力周波数: 10MHz 1pps信号
端子:BNC不平衡 (50Ω)
入力レベル:10MHz サイン波:0.5〜1.0Vrms/50Ω
10MHz 矩形波:1.5〜3.0Vpp/50Ω
1pps信号 矩形波:TTLレベル、正パルス
その他
消費電力:85W (ウォームアップ時)、28W (安定時)
外形寸法(W×H×D):445mm×131mm×360mm(突起部含む)
質量:13kg
付属品 :電源コード×1
それでは、機能的なことをご説明いたします。
このG-01はA,B,Cのグループに分けられており、各グループ2系統の出力を装備して
おります。それにプラスして今回10MHzの正弦波出力を2系統装備しております。
本体「MASTER/MENU」ボタンを押すことで各設定が出来ます。
FREQモードは44(44.1kHz)、48(48kHz)、44EXP、48EXPとなっており、ESOTERIC
製品でしたら基本的には44でお使いいただければと思います。
また周波数の切り替えはA,B,Cボタンを押すことで変更できます。
EXPモードは業務用機器など幅広く対応できます。
10M OUT ON/OFF → 10Mの正弦波の出力設定
DISP → ディスプレイの設定
DIMMER → ディスプレイの明るさ設定
クロックジェネレーターの発振器ですが、基本的なものとして水晶(クリスタル)
というものがデジタル機器には内蔵されております。今回のG-01はその上の精度の
ルビジウム発振器を採用しております。この精度としては
±0.05ppb=±0.00005ppm
先に発売しております、同社G-02に関しましては水晶発振器でその精度は±0.01ppm
ですので、ルビジウムの精度の高さがお解かりいただけるかと思います。
ちなみにルビジウムより上のの精度のクロックになりますとセシウムというものになり
業務用途で使用されておりますが、高価な為一般には販売されていないと思います。
それでは、試聴レポートに入らせていただきます。
試聴機材
CD PLAYER ESOTERIC K-01 \1,470,000(税込)
PRE AMPLIFIER OPPHEUS TWO V2 \1,050,000(税込)
POWER AMPLIFIER ORPHEUS THREE MONO V2 \1,575,000(税込)
SPEAKER TAD TAD-E1 \2,100,000(税込)
CLOCK CABLE CHORD SARUM/BNC \220,500
さて今回のG-01の特徴としては各A、B、Cから出力される矩形波と、それとは別に2
系統出力される10MHzの正弦波があります。
矩形波で10MHzをK-01に入力しましたが、音像がぐっと前に出てきて、リアリティが
非常に増します。この変化はケーブルなどで補えるようなものではなく、VOCALから
マイクまでの距離が手に取れるほどです。また録音現場の空気感まで伝わってきま
す。矩形波の44.1kHzなどはどちらかというと奥行き感が増し、全体的に引き気味に
感じるのですが、この10MHzですと、実在感が増しますので、VOCALは少し前に張り
出し、楽器は後ろにしっかり定位し、前後感が増します。逆に44.1kHzの倍数ですと
音楽的な音色感や透明感を感じますが、10MHzの場合はスタジオ的な実在感の向上と
なるイメージです。
こういう試聴は入れた時よりも外した時のほうが変化が大きく、一度これで味わっ
てしまうともう戻れないですね。
次に正弦波の10MHzを試聴しました。
何故この正弦波の出力をつけたかというところにもポイントがありますが、今回ESO
TERICが採用しているルビジウムに関しては10MHzの正弦波になります。それを矩形
波に変換させて通常は出力させます。また通常デジタル機器は矩形波で動きますが、
あえて素の正弦波の出力を装備させました。
同じ曲で試聴しましたが、これまた違うサウンド聞かせてくれました。
先日より他社の機器でも10MHzを試聴しておりますが、音像が少し前に出てきて実在
感が増すのは10MHzの特徴のようにも感じます。
正弦波と矩形波の違いですが、音色感が強いのは矩形波で、自然な変化は正弦波の
ように感じます。甲乙つけがたく、矩形派はESOTERIの音色が強くなり、透明感や純
度、表現力、スケール感が向上し、変化の度合いは大きくなります。またオーケス
トラでもサウンドステージが広がり楽器一つ一つのリアリティが向上します。しか
し正弦波の何気ない表現力もなかなかのもので、安心感を持つ部分もあります。ESO
ETRIC側としての推奨はもちろん矩形波ですが、こういう違いを楽しんでもらいたく
正弦波を装備させたのだと思います。こういうところも最近のESOTERICの良いとこ
ろだと思います。
今回手嶌 葵のTHE ROSEでは、VOCALの実在感とリアリティの向上が見られ、着色が
ない、自然な雰囲気をかもし出し、ラフマニノフの交響曲3番2楽章では、スケール
の大きさと各楽器の質感、そして心地よい響きと見通しの良さ、そして臨場感が非
常に良く伝わってきます。
マイケルブレッカーのNEARNESS OF YOUの7曲目「SOME TIME I SEE」ですが、全体的な
バランスが非常に良くなり、ベースがしっかりと沈み込み、ドラムではブラッシン
グのリアルさ、シンバルの余韻、サックスのふくよかさ、など言えばきりがないの
ですが、先ほども話しさせていただきましたが、外した時に残念な結果となってし
まいます。慣れというのは怖いものです。
使い方としてソフトによって周波数を変更するのも面白いかと思いますので、A,B,Cの
矩形波出力でお使いいただくのがよろしいかと思いますが、その辺りは好みになり
ますので、ご自由にお選びください。
ESOTERICのセパレート P-02、D-02に関しましては、22 .5792MHまでの周波数まで
の入力が可能となりますが、先日試聴しましたが私個人的には10MHzでも十分なよう
にも感じますが、こちらに関しては効果はK-01以上です。というのも2台に接続する
分効果は大きく感じます。しかしK-01単体でも非常に効果的です。
お客様によっては
K-01+G-01 > P-02+D-02もありえると思います。
価格は安いものではありませんので、じっくり試聴して頂き、
納得の上お選びいただければと思います。
クロックで更なる高みを目指してください!!
2012年7月14日 H.A.L.3 島
今回の試聴ディスク
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