VOL.76 ESOTERIC C-02 試聴レポート



  

今回はESOTERICの最新プリアンプのC-02をご紹介させていただきます。



ESOTERIC C-02 プリアンプ

 希望小売価格1,470,000円(税抜1,400,000円)
  

2008年3月に待望のプリアンプC-03を発売し、CDからアンプまで自社で揃えた展開を
行っておりましたESOTERICですが、数年の開発期間を経て、フラッグシップのプリ
アンプC-02を開発いたしました。

本日はそのC-02の魅力に迫ってまいります。

左右独立完全デュアルモノ設計

電源部から左右チャンネルを独立。
左右チャンネルそれぞれの電源トランスを用いることで電源ラインを経由したノイ
ズ混入を防ぎ、クリーンな増幅を可能

フルバランス構成

入力系統ごとに専用の入力バッファーアンプ(完全バランス設計)で信号を受けま
す。その後は低インピーダンスのフルバランス信号伝送を行うことで、すべての入
力に対してコモンモードノイズを除去し、かつ信号経由でノイズの影響を受けにく
くしております。

ESOTERIC-QVCS

ボリュームコントロールですが、QVCS(Quad Volume Control System)を採用。
Quadは4つという意味合いをもちますが、左右チャンネル、正、負ごとに独立させた
4回路のゲイン可変式ヴォリュームを一括連動しております。
これによりオーディオ基盤からボリューム素子への配線をなくすことができ、音質
劣化を防いでおります。

5トランス構成

左右の入、出力、コントロールと5つのトランスを搭載しております。


ESOTERIC-HCLD

パワーアンプ駆動能力を飛躍的に高める独自の電流伝送強化型バッファー回路
ESOTERIC-HCLD(High Current-Capacity Line Driver)

シンプルなフロントパネル

フロントには電源スィッチとセレクターとヴォリュームのみのシンプルなフロント
パネルとなっております。

多彩なメニュー

リモコンの「SET UP」ボタンで各種設定が可能となります。

通常のSET UPモード

1)Bal:各チャンネルの左右バランス
2)Level:各チャンネルのゲイン
3)Invert:ON/OFF(位相切り替え)

上記3つは入力ごとに設定できます。

リモコンボタンのSET UPを長押しすると別のメニューに入ることができます。

1)Disp:dB/step(ヴォリューム表示)
2)VolTable:ABCDE(ヴォリュームカーブ)
3)Out:XLR、RCA、BOTH(出力設定)
4)Light:ON/OFF(ON時はヴォリューム、セレクター操作時にライトが点灯)
5)XLR1=XLR1(など):入力の名前の変更が可能(使用しない設定も可能)
6)Flaoff:15,30,60、OFF(ディスプレイ表示が消える時間設定)

SPEC

周波数特性:5Hz〜120kHz(-3dB)、10Hz〜35kHz(-0.5dB)
定格出力 :2V
出力インピーダンス:RCA出力:47Ω、XLR出力:100Ω
全高調波歪率:0.005%(1kHz、2V入力)、0.001%(1kHz、2V入力、Awgt)
S/N 比	 :100dB(2V入力、Awgt)
ゲイン	0dB/+12dB/+24dB 切換式
入力感度  :定格出力時:2.05V
850mV出力時:870mV
400mV出力時:410mV
(Gain=0dBモード)
入力インピーダンス:40kΩ
最大許容入力電圧 :7V
最大出力レベル	 :7V
入力端子	 :RCA×3系統、XLR×2系統
出力端子	 :RCA×2系統、XLR×1系統
入力レベル	 :TTLレベル相当/75Ω
電源	:AC 100V 50/60Hz
消費電力:18W
外形寸法(W×H×D):445mm×129mm×383mm(突起部含む)
質量	:約22kg
付属品	:リモコン(RC-1156)×1、リモコン用乾電池(単3)×2本、
     電源ケーブル×1、フェルト×3枚、取扱説明書×1、ご愛用者カード×1

ESOTERICのホームページはこちらをご覧ください。





それでは、試聴レポートに入らせていただきます。

折角ですのでESOTERICで揃えてみました。

試聴システム

CD/SACD PLAYER ESOTERIC K-01 \1,470,000(税込)

PRE AMPLIFIER  ESOTERIC C-02 \1,470,000(税込)

POWER AMPLIFIER ESOTERIC A-02 \1,260,000(税込)

SPEAKER SYSTEM B&W 802SD \2,100,000(税込)


まずは最近はまっているGUSTAVO DUDAMELのFIESTAというアルバムより♪マンボを試
聴しました。
この曲は非常に楽しくアグレッシブな演奏なのですが、その熱気が非常に伝わっ
てきます。洗練された部分と表現力という部分の2面性をしっかり持った印象を持ち
ます。また各楽器の位置が明瞭に解るところはさすがESOTERICといった部分ではあ
ります。奥の楽器と手前の楽器の前後感もしっかり出てきており、全体的に押し出
しの強い感じも受けました。

野宮真貴のGRATEST SELF COVERSS&MORE!!!より♪マジック・カーペット・ライド
こちらはコーネリアスとコラボしている曲で録音の良さもさることながら非常に
個性的なサウンドになっております。
試聴してみましたが、非常に鮮やかに描写してくれ、この曲の聞かせたいところが
ひしひしと伝わってきます。音の強弱も非常に素晴らしく感じますが、張り出しが強
すぎて重たく感じるところもありました。

ジャズボーカルの露崎 春女のアルバムRESPECTの2枚目の♪Run to you
こちらは目黒ブルースアレイでのライブ録音ですが、中域の安定感が際立ち、
またライブ会場の雰囲気も伝わってきます。ESOTERICのイメージはどちらかという
と高域に特徴を感じてしまいますが、CD/SACD PLAYERのK-01以降、控えめにな
っているというか、自然になっているというか印象が依然よりも変わってきております。

甘い声はどう聞こえるかということで手嶌葵の虹の歌集より「元気を出して」を試
聴いたしました。

ほんのりした感じの歌声は届きますが、楽器の張り出しが若干強く、VOCALが帯域に
よってマスキングされているように感じる部分もありました。
密度感が高く芯がしっかりしていますが、もう少し中域と高域のつながりが良け
ればもっと良いかなと思いますが、こちらはパワーアンプの影響も大きいかもしれません。

アントニオ・パッパーノ指揮ベルリンフィルハーモニー 
ピアノLeif Ove AndsnesのラフマニノフピアノコンチェルトNO2の第一楽章を試聴し
ましたが、こちらはスピーカーの外まで音が広がり、ピアノの強弱の表現力が非常
に高いように感じます。また誇張しない響きは嫌味がなく、全体的に音楽を楽しめ
る感じもします。すこしセパレーションが良すぎて、楽器一つ一つに耳が行ってし
まうところもありますが、決してHi-Fi調ということではなく、個性が引き立つとい
う感じに聞こえます。

最後にJam at basie featuring Hank Jonesより名曲COOL STRUTTIN’を試聴しま
した。

この曲は雰囲気とグルーブ感だと思いますが、最初の拍手がリアルで、会場の臨場
感が伝わってきます。ベースも膨らむことなく、シンバルも心地よく、音楽全体の
統一感を感じることが出来ました。ここでも音の強弱の表現能力の高さと浮かび
上がる音像の自然さを感じることが出来ました。

今回特徴をつかむためにも多くのディスクを試聴いたしましたが、S/Nの良さ、
分解能の高さなどオーディオ的なクオリティだけではなく、開放的なサウンドの中
の実在感を感じることができ、海外製品までとは行かずとも、音楽表現も多彩にな
ったイメージを持ちました。
実はこの試聴の前にC-03とC-03X、そしてC-02と同じブランド3機種を比較しました
が、C-02はストレスが少なく、派手すぎない高域の響きと中域の安定感を感じまし
た。電源の取り組みなどいろいろこだわっているところも多く、ESOTERIC社のフラ
ッグシップモデルとしては十分なクオリティを持っており十分にコストに見合った
サウンドだと感じます。どうしてもサイズが大きくなってしまっておりますが、こ
れは電源を重要視した結果で、このサイズだからこの音の再生ができると思ってい
ただければと思います。
また多機能なところも良いところですが、出来るだけシンプルな設定にしていただく
ことで音質も上がります。また電源ケーブルでの音質の違いも良く出てきますので、
追い込みも楽しくなると思います。

100万以上のプリアンプですと海外製品が目立っておりましたが、LUXMANや最近では
FUNDAMENTAL(SOULNOTE)、TADなど国産も増えてきており、その中にESOTERICも参
戦してきた感じになっております。

国産ならではの安心感と音楽性にも是非注目していただきたいと思います。

2012年12月18日 H.A.L.3 島

今回の試聴ディスク




2012年7月14日 H.A.L.3 島