VOL.80 Aurender S10 試聴レポート




aurender S10(ネットワークオーディオトランスポート)

 希望小売価格\882,000(税抜840,000円)
  

今回は代理店エミライ取り扱いのaurenderをご紹介させていただきます。

こちらの製品はネットワークトランスポートということで、デジタル出力のみの製
品となりますが、非常に考えられた製品となっております。

そこでひとつひとつ紐解いていきたいと思います。




■ネットワークトランスポート

ネットワークトランスポートということで、出力はAES/EBUとCOAXのデジタル出力と
光となります。
DACは他社に任せるといった割り切りも実に素晴らしいと思います。



写真クリックで画像拡大できます。

■2TBの内蔵ハードディスク

総称としてネットワークトランスポートと表現しておりますが、一般のネットワー
クプレーヤーと違う点として中に2TBのハードディスクを内蔵している点です。

このこの2TBのハードディスクに音源をためることで、アルバム、アーティスト、ジ
ャンルなどの検索が専用のアプリでコントロール可能。

もちろんNAS経由での再生も可能ですが、こちらに関しては、アーティストやアルバ
ムで検索できず、フォルダーから追いかけての再生となります。

本体で選曲はできませんので、ネットワークにつながっている必要がありますので、
ご注意ください。

■専用アプリによる操作



写真クリックで画像拡大できます。

aurenderに関しての操作はiPad/iPad miniでの操作となります。
本体の設定もこのアプリで行います。

設定項目として大きく分けて

「サーバー」「スキャナ」「AMOLEDディスプレイ」「一般」「更新完了」
「NAS共有」「NAS」「ミュージックプレーヤー」「」バージョン」「ヘルプ」



操作面ですが、
曲、アーティスト、アルバム、ジャンル、作曲家、指揮者、フォルダ
ということでしっかり「タグ付」できていれば検索も簡単です。

またその下の段にはフォルダーの名前も表記されます。

画面左側にはプレイリストも作成でき、保存も可能となります。
ご自身のオムニバスも作れるのもうれしいですね。

色々な操作ソフトがございますが、こちらのAurenderはUPnPではございませんので、
基本的な操作は専用のアプリでしか使えません。

こちらは音質を重視しての設計ということでご理解いただければと思います。

■遊び心のあるディスプレイ



写真クリックで画像拡大できます。

本体、もしくはアプリでの設定でディスプレイの変更が出来ます。
通常はアーティスト名、曲名、周波数などの表記ですが、ディスプレイを変更する
ことでVUメーターに切り替わります。そのVUメーターも、マッキントッシュ風とラ
ックスマン風の2種類あります。
これは遊び心ですね。

■USB端子から自動取り込み



写真クリックで画像拡大できます。

USBメモリー端子が背面についておりますが、音源が入っているUSBメモリーを
さしていただくと自動に取り込んでくれます。



■PC上で簡単にデーター編集が可能

お使いのPCのネットワーク上に本機が表示されますので、そこの中にデーターを
入れることも削除することも可能です。
既にNASを使われているお客様は、NASの音源をコピーして、張り付けていただけれ
ばよろしいかと思います。

NASはバックアップとしてご使用いただいてもよろしいかと思います。


■日本語対応

今となっては普通となりましたが、メニュー等に関しても日本語表記というのはう
れしいところです。


■Air Play対応



iTunesの音の再生も可能となります。

その他スペックはこちらをご覧ください。





それでは、試聴コメントに入らせていただきます。


D/AコンバーターにはESOTERICのK-01のDAC部分を使用し、
デジタルケーブルはTECHDAS Digi-DAS RCA 1,0m¥ 21,000を使用しました。

まずはいつも使っているQNAP TS119のNASの情報をiPadで呼び出して、再生を行いま
した。

数曲聞いた印象としては、非常にみずみずしく、解像度が非常に高い印象を持ちま
した。女性VOCALは非常に透明感も高く、また音像肥大することなく、程よいバラン
スで奏でてくれました。

オーケストラも試聴しましたが、ハーモニーで聞かせるといった面よりも、それぞ
れの楽器の個性を際立たせている印象を持ちます。

不自然に響きを増やしているような印象はありませんので、音楽性を全面に出す
というよりもいかにデーターを充実にデジタル変換するかというところに
力を入れているような印象を持ちました。恐らくクロックのこだわりなどが
そうさせているのでしょう。

その後に、NASの音源をパソコンを使ってaurenderのハードディスクにコピーして再
生を行いました。

実に違います!!

まずは位相がしっかり揃い、比較してしまうとNAS経由ですと、スピーカーに音が張
り付いていたのだというイメージを持ってしまいます。
華やかだと感じたところも実際雑味がそうさせていたのか、落ち着いた印象に変化
します。それでいてしっかり音が伸びていきます。
この音を聞いてしまうとNAS経由には戻れないという部分もあります。

ジャズ、ロックはベースがしっかりして音楽にに芯が出てきた印象です。

その後にCDをリッピングした音とハイレゾリューションを同じアーティストのアル
バムで比較しました。

こちらは如実に違いを浮き彫りにしてくれ、ハイレゾリューションの楽しみがより
一層増します。
どうしてもサンプリングが上がってしまうと低域が痩せて聞こえてしまったり、位
相があいまいになってしまうところを感じてしまう時もありますが、奥行き感、
立体感、繊細さなどはハイレゾリューション音源の方が優れており、聞き入ってし
まいます。

このAurenderは基本的には専用のアプリでの再生とのみとなりますが、どうしても
無線の環境などで操作が遅くなってしまう部分もありますが、LINNの再生ソフトと
比べても遅いとはさほど感じず、比較的使いやすいアプリだと思います。

こちらはUPnPには準拠しておりませんので、UPnPに対応しているもの
との併用的なことは出来ませんが、NASを共有することは可能ですし、今現在でも
各メーカー専用アプリでの操作が多い現状ですので、そういった意味では抵抗なく
ご使用できると思います。

今後廉価モデル、そして上位モデルの発売も予定しているとのことですので、引き
続き注目していきたいブランドですね。

また様々なD/Aコンバーターで引き続き検証していきたいと思っております。

今後の注目ブランドになっていくことでしょう!!


おまけ

このネットワークオーディオの楽しさは、お客様ご自身が音楽データーを
いかに管理するかになります。

そのキーポイントはTag情報になります。


Tag情報とは一つの曲データーに対して紐つけられた情報で、
アーティスト、アルバム名、ジャンル、アルバムに対しての順番など、私が見てい
るもので14項目あります。
通常メインになるのは、アーティスト、アルバム名、ジャンルになると思いますが、
これをしっかり管理すること、これはLINNにしても各社ネットワークプレーヤー、
そしてPC AUDIOにしても同じだと思います。

アルバムが100枚ぐらいでしたら、アルバムジャケット検索でも良いと思いますが、
1000枚管理するとなると、結構大変になります。

取り込んだ後でもTag編集は出来ますが、特にアルバムジャケットを後から張り付け
ると時間がかかります。

出来れば取り込む際にアーティストであれば、英語なのか、カタカナなのか、苗字
と名前を空かすか、ジャンルもあまり幅広いと大変ですので、ある程度絞り込むな
どしたほうが良いかもしれませんね。

このTag情報の編集も楽しくて、今お気に入りのアーティストで20枚以上出している
場合はアルバム発売順に並ぶように番号をふっております。
そうするともっていないアルバムも解ってしまいますね(笑)

ただし数字の場合1から9は順番に並びますが、10は1の次に並んでしまいます。
その辺りは工夫してみると面白いライブラリーが出来上がると思います。

これも音楽好き故ですね!!


2013年6月9日 H.A.L.3 島