DYNAMICAUDIO 5555/5F/諸石

H.A.L's 「M」 Recommendation!

VOL.21


Ayre Acoustic
 「VX-R
パワーアンプ


Ayre Acoustic 「VX-R」
定価:¥2,100,000 (税別)
 
アメリカ・ボルダーの「Ayre Acoustic

独特な音量調節機構を備えた伝説的なプリアンプ「K-1(終了モデル)」で、多くの方々を魅了して来た事が記憶に残っています。
ここ数年の大きな評判はやはり、フラッグシップ・モデル「MX-R (モノラルパワーアンプ)」、「KX-R (プリアンプ)」でしょう。アルミ削り出しの筺体と、そのコンパクトな美しい外観から生まれる宝石のような容姿には、誰もが惚れ惚れしてしまうでしょう。
元々ロングランであったK-1,V-1は言わば音質を最優先にしデザインは二の次ではないにしろデザインの洗練さは少なかったと言えます。
しかし、形やデザイン、金額や蘊蓄・・・等は二の次で、一番評価されているのは、当然出て来る「音」にあるわけです。
だからこそハイエンドブランドには「高いレベルでの音質、デザインの両立」
が必要になると思うのです。 しかし、MX-Rの登場で大いに驚かされました。音質は素晴らしい上に、このアルミ個体からなるデザインが優雅がさとエレガントさを生みだしているのです。
これでAyreは音質とデザインの両立する真のハイエンド・ブランドと進歩しました。

そのトップエンドのリファレンス・シリーズから生まれる音は、あくまで自然体で誇張することなく聴き易く、ふっくらとして、風の様に軽々とした低域を味わえる所にあるのでしょう。
そして“Ayre”には、高額なフラッグシップ・モデルだけでなく、シンプルなプリメインやCDプレイヤー、USB DACまでラインナップがございます。
そして、以前ここでも紹介しました、プリメインアンプのAX-7e等は現在でも音の良いアンプとして多くの方にご愛用、求められています。
MX-R,KX-R、今回のVX-Rと、リファレンスモデルから大きくこれはAyreにとって大きな進歩でしょう。 音質は非常に磨かれ、その上デザインまで美しいほどに洗練されたのですから。
今まででも素晴らしかったですが、ここにきて大きく羽ばたいたブランドです。

そして今回のリファレンス・ステレオ・パワーアンプの登場です。
VX-R

それでは、「VX-R」の説明に入らせて頂きます。

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≪VX-Rスペック≫
  • 出力パワー : 200W×2(8Ω),400W×2(4Ω)
  • 入力 : XLR×1系統(2番HOT)
  • ゲイン : 26dB
  • 入力インピダース:2MΩ(Balanced,1MΩ,Per Phase)
  • 周波数レスポン : 250kHz
  • 電源:AC 100V 50/60Hz
  • 消費電力:45W(Stanby mode)
       200W(Operating mode,no signal)
       800W(MAX)
  • 外形寸法(W×H×D):440mm×95mm×480 /mm(突起部含む)
  • 質量:35kg
  • 外装フィニッシュ:Silver,Black(オプション)
※その他、製品詳細はメーカーサイトをご覧下さい。

分かり易く抜粋して、「VX-R」の特徴をご紹介致します。

筐体・ヒートシンク一体型アルミブロック切削モノコックシャーシー
VX-Rの筐体・シャーシーは、MX-Rと同様に分厚いアルミ塊を切削し、電源ブロック、AC給電ブロック、表示ブロック、アンプブロック、出力ワイヤーブロックの各セクションを完全独立コンパートメントとしてシームレスに形成したモノコック構造。同時にそれは、巨大なヒートシンクの役割も担い、また、回路への外部からの振動抑制と電磁シールドの効果と同時に各ブロック間の相互干渉の徹底排除をも実現。深いS/N感と鮮度の高い躍動感を音にもたらします。
Ayre伝統のゼロ・フィードバック、フル・バランス構成とEquiLock増幅回路
カスコード/カレントミラー増幅回路を高度に発展させたAyre 独自のEquiLock 回路を採用。ゲイン・デバイスの電圧変動に由来するコンダクタンス/キャパシタンス変化を防ぎ、極めて安定した動特性を獲得することで、超低歪率ですば抜けたリニアリティーとワイドバンドウィズを達成し、Ayre伝統のゼロ・フィードバック、全段フル・バランス回路の優位性を比類なきレベルにまで高めます。超低損失素材によるサーキットボード、カスタム設計のハイグレード・レジスター、高品位ポリスチレン・キャパシター、そして、超低損失の回路基板素材の採用など、すべての搭載パーツは独自の解析テクノロジーによって選別された最高級品を使用。音のクラリティーと開放感に優れた効果を発揮します。

ThermalTrak 方式 バイポーラ・パワートランジスターの搭載による比類なき安定性
出力ステージにはThermalTrak バイポーラ・パワートランジスターを搭載。自身の熱管理を瞬時に行ない完璧なバイアス管理を実現しています。一般的にクラスABバイアスのアンプデザインに於いて常に悩まされ問題となるのは、出力ステージのバイアスの変動と実動のあらゆるレベルでの熱変動による不安定性要素。通常、熱の変動による不安定性に対処するためには、出力トランジスターが取り付けられているヒートシンク上にバイアストランジスターを近接配置して、熱変動を補償しようとします。しかし、それでも、熱が安定的に均衡が保たれるまでにはウォーミングアップと称される、ある一定時間を経過する必要があり、それまでの間は不安定な動作を余儀なくされます。また、バイアスレベルが高すぎると発熱の変動に抑えが効かなくなって熱暴走を起こします。そのためしばしばアンプのデザイナーは安全のため設計の念頭に置いたレベルよりもバイアスを低く抑えてしまいますが、それは音質を犠牲にしてしまうのです。 ThermalTrakシステムは、出力トランジスターのパッケージ内部に直接、温度検出ダイオードを組み込み制御可能とすることで、こうした問題をクリアします。トランジスター内部の温度検出ダイオードは出力トランジスターの温度変化を瞬時に読み取り、リアルタイムで正確に出力ステージのバイアスを制御し、熱暴走をも阻止します。ThermalTrak 方式出力バイポーラ・トランジスターの搭載は、その比類ない安定性によって理想的アンプ動作を実現しています。

完全バランス出力ステージの回路構成 完全バランス出力ステージを達成するためチャンネル当り16個(NPNx8 ,PNPx8)のThermalTrak 方式バイポーラ出力トランジスターを使用。4ペアのNPN/PNPでホット側、4ペアのNPN/PNPでコールド側をそれぞれ組み、理想的なAB級駆動をさせています。
ロジックサーキット
洗練されたマイクロプロセッサーが増幅回路の動作パラメーターをモニターし、コントロールします。同時に、他のAyre機器とのシステマティックな連携を可能とするAyreLinkコミュニケーションも司ります。コントロール系は光アイソレーターによって電気的に遮断され、また、通常はスリープモードに入るなど、オーディオ回路への干渉を根絶しています。アンプ内部のステータス情報は、電源スイッチとランプを兼ねたフロントパネルの一個のLEDの色の変化と点滅回数によって表示されるスマートなシステムです。

優れた音質のEIトランスとリニアー・アナログパワーサプライの搭載
電源はパワーアンプの心臓部です。中でもAyreが伝統的に採用してきたのは音の良いEI型トランス。VX-R にはL/Rのそれぞれのチャンネルに独立したマッシブな2個のEIトランスを搭載し、極めてノイズレベルの低いリニア整流回路に電力を供給。いかなる負荷にも揺るぎない底力を与える極めて大容量でS/N 感に優れたダイナミックな電源能力を誇ります。 また、Ayre独自のパワーフィルター「Ayre Conditioner」を搭載。ACラインから混入してくる電源の高周波ノイズを熱エネルギーに変え、ピュアなACパワーをトランスに供給します。非磁性体素材による構造は、磁化による電磁歪を起こさせず、クリーンな電流を常に安定供給し、深く芳醇なサウンドをもたらします。
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VX-R


とにかく美しいアンプです。
アルミ素材の個体は多くあれどここまで洗練され宝石の様なデザインは希少です。
音を聴く前に見とれてしまいます。
そして、開梱し持って見ると驚くほどの重量級です。
この重量35kgです。アルミの削りだしの無垢からなる個体の重量です。 日頃各重量の製品を設置しているので35kgというのは特別驚きませんが、このサイズでこの重さはずっしりと感じます。
そしてこのデザイン、意匠です。
これを購入する方(した方)はしばらくは音を聴く前に撫でているのでしょう。
私も想像に違えず電源を入れつつ音を出さずに個体を触ったりその上質なシルキーな質感に見惚れておりました。
音も非常に良し、見ても触っても良し、値段も良しと良い事尽くめですね。
このヒートシンクも見事に美しくデザイン性のエレガントと美しさ、クオリティの高さに貢献しています。




電源スイッチはメインスイッチはなくフロントスイッチのみで、電源ケーブルをインレットに挿しこむと自動的にスタンバイ(待機)状態になります。
フロントのスイッチを押すと動作モードになり、青になり動作状態となります。
スタンバイ 動作
なのでON-OFF含めても触るのはこのフロントのみです。通常はスタンバイと動作状態の緑と青だけなのですが、保護回路なので関係で各種表示があるのです。

ディスプレイLED 点灯表示
LEDの点灯表示
動作モード
説明
グリーン(緑)スタンバイスタンバイ(待機)モード
ブルー(青)オペレート動作モード
オレンジオーバーヒート規定以上にアンプ温度が上昇した時
レッド(赤)DCオフセット規定以上のDC出力を検出した時
赤の点滅内部FUSE切れ過電流出力/ショート出力
バイオレット(紫)AC電圧低下
AC電圧が規定の75%に低下した場合
紫の点滅コンフィギュレーション・モードLEDの点灯照度の設定モード

またフロントの電源スイッチの照度は三段階で調節可能です。
その方法をお知らせいたしましょう。

電源ケーブルを抜いた状態でLEDの点灯が消えた状態まで待ち、電源スイッチを押したまま電源コードを挿すとLEDが紫に点灯します。
この状態が「コンフィギュレーション・モード」です。この状態は10秒間続きます。
このコンフィギュレーション・モード(10秒)以内に
電源スイッチを一度押すと 照度「低」
          二度押すと 照度「中」
          三度押すと 照度「高」
     この間に押さないと、工場出荷状態の「高」モードに設定されます。
10秒経過すると、LEDは緑のスタンバイ・モードになります。

以上が照度の調整です。



SPターミナルはCARDASの端子でこれが非常に使いやすく、Yラグ専用です。

入力はXLR一系統と他には何もなく非常にシンプルです。 RCA入力の場合はXLR-RCA変換が必要です(CARDAS製を推薦します)。
このSPターミナルがが非常に付き易いのです。+、−共に締め上げられますので楽ですね。Ayreは一番廉価なAX-7eでも同系の端子がついています。

足元は非常に小型の足です。これが3点支持となっています。


個体が非常に剛性が取れているとしても振動対策は影響しますのでインシュレーター等の導入も追い込みしてもいいでしょう。



オーディオ機器は「電気回路と個体の融合」で成り立つものですから、個体が持つ重要性は内部回路と同じくらいに重要とも言えますし、 個体が一つの音の土台(グラウンド)ともいえるわけです。
ですからアルミ素材の削り出しということは継ぎ目のない安定した個体ともいえますし、個体の仕上げや内容は大きく再生音にも影響します。 この電気回路と個体の融合でこの音があるのです。
大音量にしても音がぶれずに堂々としているのも、そして、どっぷりとした密度の濃さを味わえるのもアルミ削り出しの個体の恩芸は非常に大きいと思います。
Ayreは個体の重要性を十分に理解しているのでしょう。だからこそデザインだけではない音の重要性も知り尽くしているのでしょう。 VX-RはMX-Rと同じく発熱は中々ありますが、それがこの個体だからでもあるのです。


このヒートシンクも大きいのですが、アルミは良質の熱を通すのですが、個体が削りだしで大きなアルミブロックであるから個体全体で放熱効果があるのです。なので通風孔などはありません。
アルミの削り出し個体は個体そのものがヒートシンクとも言え、個体の各場所触ると全体的に均一の温度と言う事が体感できます。

個体は内部も素晴らしく、ほぼMX-Rを1個体に収めたと言えるでしょう。
MX-R
大きく異なるのがトランスで、MX-Rでは方chに二つのトランスであったのに対しVX-Rは方chに1個にし、サイズも若干の変化がありますが、他には内部のトランジスタの数を含めほぼMX-Rと同じなのです。
それを1個体にうまくまとめたのがVX-Rと言えるでしょう。

言いかえればMX-Rを1シャーシにして多少出力を下げた製品となるわけですが、 セパレーションは流石にモノラルの独壇場のMX-Rが優位になりますが、ただ鳴らした時点でのバランスの良さや聴き易さと流れるような音は共通ですし、 密度の濃さと、まとまりはVX-Rの優位点も大きく感じます。

初めのしばらくは最上の組み合わせでもあるKX-Rとの組み合わせで聴いていました。
KX-R
非常に豊富な情報量、非常に広大な音場を前面に、名前のAyreのとおり流れるように滑らかに、風が吹く様に軽々と音が出てきます。
まず感じるのが非常に静かで、S/Nの良さを感じます。
音色は滑らかで柔らかく、刺激的な音は出さずに、楽に聴かせてくれますし、空間表現が秀逸です。
VX-R自体のパワーは200W(400W,4Ω)と通常のSPを鳴らすには十分であり、力の勢いで鳴らすのではなく、仲良く肩を組んで歌っているような楽しさを感じます。 レンジもこの価格帯とは思えない広い音場と奥行きも上質です。

低域の量感と簡単に言いますが、それも超低域の地響きに近い音ではなく、体感する帯域までのスムーズに溢れる再現性は驚きます。
低域から高域までのレンジのまとまりが素晴らしく、ぶれずに微動だにしない定位、立体的に再現され視覚的にも大きく訴えます。
音離れも素晴らしく、どんなDiscもかけまくりますが、気持ちよくさらけ出しています。

全く神経質な感じを受けませんし、ダイナミックレンジが非常に広いので遠慮なく大音量にしてしまいますが、それでも煩わしくないのです。
ただMX-Rと同じく、VX-Rもプリアンプの性能をさらけ出しますので組み合わせも重要です。それもVX-Rの能力の高さですね。
細かい事に神経質にならずに、音楽を全体として優雅に聴けます。
これぞAyreサウンドでしょう!

平面的な音とは真逆で、音楽を楽しく聴けます。 何といっても音が音の出方が、音の立ち振る舞い、佇まいが自然なのです。
人の、楽器の温度すらも伝わるような浸透感があるのです。
本当にSPからの発音が楽になったようです。SPとAMPが手を繋いで歌っている様な気持ちの良い音の出方です。
音が風や空気だとすると自分で立ち止まらず、部屋に空気が浸透しているような感じすら受けます。
音色の統一感も見事で、幸せに聴けるアンプです。

またSNの高さも特筆しています。これは組み合わせも大きな要素ですが、残留ノイズが非常に低く何度もツイーターに耳を近付けたものです。
開梱し設置した当初は神経質で硬い音色という印象が受けますが、2,3時間経つとこなれて表情が見えてきます。 ただ、冷え切った状態からですと半日ほど必要な感じですが、スタンバイモードにしていただければ数時間で万全です。
KX-Rとの相性は言わずもがなで素晴らしく、他を寄せ付けない程の魅力ですが、これまで各製品との組み合わせを試していますが、プリをさらけ出すという意味では 非常に高性能ですので、著実に再生音に表れます。

音では無く音楽を聴くのが楽になる・・そんなアンプですよ。


また、試聴は相性の良かった組み合わせでもあり、現在のメインシステムでも試聴しています。

・SP:Khama/CERAMIQUE 2.3
・PRE:Octave/Jubille Pre
・CD:Lindemann/825

気になるMX-Rとの比較ですが、完全モノラルのMX-R、1個体内でのデュアルモノ構造のVX-R。
モノラルの最大の優位性でもある空間表現におけるセパレーションは さすがに越えられない違いがあるのは確かですが、MX-Rで欲を言えば高いレベルでいえば全体でのまとまり、という中での中域が大きく改善され、中域を中心に密度が増している印象です。
まとまりと言うのか全体としての音の一体感や聞き易さをいう利点では大きな好感と賛辞を与えたくなるのです。
これは返ってVX-Rの大きな優位性とも言えるでしょう。



音色は全く同じで繊細で緻密です。 200万以内のパワーアンプで競わせれば大きくコストパフォーマンスの高さを感じずには居られませしライバルを探すのが難しいかもしれません。
音は当然ながらデザインも素晴らしく美しく、音が出ずともそばに置きたくなる製品です。
何とも欠点を探すのが難しいアンプです。

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-お問い合せはお気軽に諸石までお尋ね下さいませ-