DYNAMICAUDIO 5555/5F

H.A.L's 「M」 Recommendation!

VOL.18

「CRM」
ブックシェルフ・スピーカー

AUDIO MACHINA「CRM」
AUDIO MACHINA  「CRM」 定価:¥1,155,000 (税込)
 
アメリカのスピーカーメーカー、「AUDIO MACHINA」。

ULTIMATE MONITOR 初めてAUDIO MACHINAの製品を聴いたのはこの製品でした。
ULTIMATE MONITOR」→

「ULTIMATE MONITOR」はデザインも少々変わっていますし、サイズ的にも想像出来ますが、低域の量感自体に“迫力”というものを期待するスピーカーではないようです。 しかしながら、位相管理が非常に素晴らしく、見通しの良い音場再現に驚いたものです。
また、筺体を良く見ていくと、ユニットバッフルはアルミ合金、キャビネット自体はカーボンファイバーで製作していたりといった拘りがあり、感心したのを覚えています。 それに加えて、小さい事でより強度が上がり、ユニット・箱同士の干渉を最小限にしているのです。
ここまで箱に拘るのは珍しく、その時からこのブランドには一目置いていました。
多くのブランドと異なるところは、スピーカーをただの四角い箱に入れていなかったからですね。

この時からAUDIO MACHINAは“PURE SUSTEM”を始め、ユニークなデザインの大型製品も出して来ました。 個体も大型ですが、素材はアルミ合金の素材です。

そして“Compact Reference Monitor”なる小型スピーカー「CRM」を発売しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ≪スペック≫
  • 感度 : 87dB/W/m
  • 周波数特性 : 40Hz〜30kHz ±2dB
  • インピダース : 8Ω
  • サイズ : 200(W)×300(H)×150(D)mm
  • 重量 : 12.5kg /1台
  • フィニッシュ : ポリッシュシルバーアルミニウム
※その他、製品詳細につきましては、メーカーサイトより、ご確認下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大きさやデザインこそ「普通の」ブックシェルフ、ただの四角い箱スピーカーではないか!?と思いましたが 実際に目の前にし、手で触ると、それは全く“普通”ではなかったのでした。
他の製品と大きく違うのが、エンクロージェア(箱)がアルミ合金ブロックからの削り出しであるという事。

スピーカーを製作する設計者であれば、理想のユニットが手に入った場合は、ユニット以外のエンクロージェアからは鳴らない欲しいというでしょう。
箱が鳴ると共振するという事ですから、ユニットの意図した鳴りとは多少異なってくるのです。 “余計な振動による色が付く”と言った方が正確かもしれません。

それならば“筺体を固有の音色が無く、鳴きの無いアルミで包んでしまおう”という、分かりやす考えですね。

具体的には航空宇宙グレードのアルミ合金ブロックの二つを張り合わせています。
完全密閉型です。
また、拳で突こうが大音量で鳴らそうが、箱鳴きは皆無です。

エンクロージェアの“一部”を硬質な素材で製作したり、補強で共振対策をしたりする製品は数あれど、ここまでストレートで、 ある種シンプルな考え方は、理想の到達点の製法とも言えるのかも知れません。

しかしスピーカー製作の考えは製品の数だけあると言っても過言ではないですし、それこそブランドの数だけある訳です。
その中には、ある程度箱を鳴らし、言わば楽器の様に響きを巧みにコントロールして、大らかに聴かせるのもあります。
だから面白いのですね。同じスピーカーでもメーカーごとに考えや方向性が異なるのです。

各メーカー形や方法論は異なれど、共通している点を挙げるとするならば、単純に“高音質”であることに尽きるでしょう。
ユニットを単純にアルミニウムで固めれば簡単に良い音が出せるというはずもなく、やはり最終的にコントロールは設計者の耳とセンスに委ねれられるのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アルミ削り出しはその硬質さの印象から「音色も硬い」というイメージがありますが、アルミニウムで包まれた製品の奏でる音は 滑らかにですし、密度感良く、S/Nも上質です。 オーディオ製品は回路と筺体の融合であるので、筺体自体の持つ音も当然反映されますし、音質は大きく左右されます。
もちろん、それで全てが決定づけられる訳ではございませんが、密度のある音の安定感の良い表現には、多大な貢献をしているのです。

処女作からこのメーカーの製品を見ていますが、設計者のKarl Schuemann(カール・シューマン)の真面目で頑固?な人柄を、製品を通して感じます。

CRMツィーター  CRMウーファー

ユニットはショートホーン型のMorel製シルクドーム製のツイーター(写真左)に、Scanpeakの15cmサイズのウーファー(写真右)です。

CRM天板

CRMは“アルミ合金削り出し”という事はご説明しましたが、上から見ると中央にスリットの様な線がが見えますが、 触るとその張り合わせ際が感じられないほどの非常に素晴らしい加工精度です。
AudioMachinaは設計アイデアをきちんと具現化するだけでなく、それを忠実に製品としてクオリティ高く作れる能力持っていると言えます。
実際にAudioMachinaが加工する訳ではないかもしれませんが、そのクオリティ・コントロール力が高いという事ですね。
木材を使用した製品等とはまた一味違った美しさがあります。

背面スピーカー端子部分

背面のSP端子はCARDADS製。シンプルなYラグ専用端子です。

また、このスピーカーのサイズですが、このコンパクトさからするとずっしり重い12.5kgという重量で、アルミニウム削り出し筺体ならではの重みでしょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


試聴ですがCDプレーヤーはLindemann「820」を、プリ・パワーアンプにはイタリアAUDIAの「Fight Pre」、「Flight50」の組み合わせです。

「箱が鳴らない魅力」と申しましたが、それは再生音の音場表現における歪の無さも挙げられます。
箱が硬質なアルミニウム素材でありますが、音色は硬質な印象など皆無です。至って滑らかに流れるように聴けます。
オーディオは組み合わせであるので、今回試聴で使用しているアンプ、AUDIAのペアの素晴らしい音色が効いているという事は 要素としてはありますが、それを実際に空気として振動させ聴かせるのはスピーカーですし、最終的にシステムの音色の一番大きな部分はスピーカーが担っています。

見た目の小ささを全く感じさせない広々したスケール感で、神経質にはならない音色は秀逸です。
オーケストラ等の大編成モノも、無難どころか抜け良く気持良く聴かせ、時折見せるふくよかさが堪らない持ち味です。
箱が共振して歪まないという事は、これほど再生音にメリットがあるのです。

しっかり音像を描きながらも密度のある中域、そして開放感のある高域。
サイズを忘れる肉厚な、しかし緩まない低域。
空間表現の安定感。
いずれも筺体の振動歪の無さが実現させる、安定した表現力です。

ある意味で「正確さを感じる」という事ではモニター的な印象も感じますが、 「モニター=正確だが無機質」と言う事は全く無く、至って聴き易く、楽器自体の音色をきちんと感じます。

CRMは“小さな巨人”とも言えるという能力と表現力を持っています。
アンプによっても大きく変化しますし、“スピーカーサイズが小型であるからアンプも小型”という事はなく、 しっかりとした駆動力のあるアンプで鳴らすのも良いですし、少し味を付けて敢えて真空管のアンプで鳴らすのも良いでしょう。

CRMは小型ながら、目を閉じるとその倍以上のスケールでサイズを忘れてしまうほどの鳴りっぷりがあるのです。
それはこれまでにご試聴頂いた多くの方々が「全くサイズを感じさせない」と口を揃えて仰る程です。

能率が85dBと低いのが気になりますが、私は端的に鳴らしにくいスピーカーという捉え方ではなく、それだけ奥が深いスピーカーだと捉えています。 今回鳴らしたAUDIAの組み合わせの音も非常に良いのですが、プリメインのOctave「V-70SE」やPASS「INT-150」でも良好に鳴りますし、アンプ選びはスピーカーの再生音を決定付けるので 色々試して選んで頂ければと思います。

CRMスタンド 小型(ブックシェルフ)ですと、音の事を考えてもスタンドが必要な事が多いのですが、CRMにはメーカー純正品ではないですが、 輸入元が用意した推奨スタンド(写真右→Sound Anchor製 / 定価:¥134,400 /税込)がございます。
もちろん、別ブランドで組み合わせる事も出来ますのでご相談下さい。

CRMは小型スピーカーとして、ある意味究極的な考えを具現化した製品でもあり、筺体の歪が出ない音はサイズを忘れるスケール感と表現力で皆様を魅了致します。

是非一度、ご試聴下さい!

-お問い合せはお気軽に諸石までお尋ね下さいませ-