DYNAMICAUDIO 5555/5F/諸石

H.A.L's 「M」 Recommendation!

VOL.17

「M1i」
ブックシェルフ・スピーカー

Transmission Audio「M1i」
Transmission Audio  「M1i」 定価:¥609,000(生産完了) (税込)
 
今回ご紹介したい製品は、Transmission Audio社のスピーカーなのですが、これまで日本には輸入されていなかったという事もあり、 あまり(ほとんど?)見慣れない/聞き慣れない・・・日本での知名度は低いブランドではありますが、本国のスウェーデンでは30年もの歴史を持つ スピーカー・メーカーであり、その技術は信頼のおける、しっかりとしたものです。

現在、国内で取り扱われているのは、この「M1i」1機種のみです。

Transmission Audio社は、スピーカーに独自の技術で開発したリボンツイーターユニットを搭載させており、それが最大の特徴でもあります。
サランネットにも“Transmission ribon tweeter Campany”とある通り、リボンユニットを理想の振動板と考え、製造/採用しているメーカーです。

※Transmission Audioについては、こちらをご覧下さい。

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    ≪スペック≫
  • 型式 : 2ウェイブックシェルフ型、リアバスレフ方式
  • ユニット :
    12.5cmアルミコーンウーファー
    4エレメント・アルミリボンツィーター
  • 再生周波数特性 : 40Hz〜30kHz ±2dB
  • インピダース : 6Ω
  • 出力音圧レベル : 87dB/W/m
  • クロスオーバー周波数 : 3.5kHz
  • 許容入力 : 100W(最大)・250W(ピーク)
  • サイズ : 195(W)×440(H)×240(D)mm
  • 重量 : 10kg
※その他、製品詳細につきましては、メーカーサイトより、ご確認下さい。

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Red Rose Music「R3」 この「M1i」には前置きがあり、知る人ぞ知るあの(現在でも現役エンジニアですよ!)マーク・レヴィンソンの設計した、影では名機と言われ根強い人気を持っている Red Rose Music「R3 Baby reference」(右画像→)というモデルが母体でもあります。
(メーカーサイトに掲載されている画像で、マーク本人が抱いているスピーカーです。)

そして、この「R-3」を製造していたのがTransmission Audio社なのです。
その設計を基本として、更に強化・改善を図り、全面的にリファインして音質的にも一回り向上させ誕生したスピーカーが、このTransmission Audio社「M1i」です。

M1iリボンツィーター
R3からの改良された点は、以下の通りです。
■ リボンを4枚に追加、耐入性を上げた
■ クロストーク周波数を下げ、繋がりを良くした

R3のリボンは、音は良かったのですが、非常に脆弱だったのです。
R3は2エレメント/2枚のリボンツイーターでしたが、やはり2枚ですと、許容入力の小ささと指向性の狭さ、音場再生の表現力に限界を感じてしまいますが、 この「M1i」は4エレメント/4枚のリボン層ですので、許容入力が大きくなり、またリボン自体の放射面積を2倍にした事で、振幅ひずみを半減しています。

しかし何より、マーク・レヴィンソン設計、“R3”のブラシュアップ・・・云々ではなく、「M1i」自体の音質が非常に良質で独自性を持っているという事が、今回ご紹介する意味があるのですよ!


また、この特徴的と言うのかアマチュア的と言えるのか、独自なデザイン設計ですが、構造上、真後ろにも180度で前面と同じ音が放射されているのです。 ダイポール型(背面開放型)の特徴的なエンクロージャ―の形は、前面と同じ様に真後ろにもに、M1iの特徴でもある独特な音場表現が出来るのです。
また、上部にキリンの首の様に伸びたツイーター部はそれだけでも意味があり、ほとんど多くのスピーカーは一つのエンクロージェアにツイーター、ウーファーが同居しています。
主に中低域を受け持つウーファーの振動は非常に大きく、同じ箱の高域を受け持つツイーターを振動で歪ませているとも考えられます。 もちろん高価な製品はそれらも踏まえて、材質や構造までも考慮していますが。
「M1i」の場合も、同じ箱の中では無いにしろ、箱の上に付いているので振動歪は避けられませんが、その影響は低減していると言えるのです。

リボンを4枚にし、発音部分の面積を確保しながら、低域との歪の干渉を避ける為に首を伸ばしている事に加えて、ツイーターが筺体内に無い為、容量も確保出来ているので、 見た目以上の低域も出ます。

リボンツイーター採用のスピーカーは数あれど、この「M1i」の様に後方も開放されていると、より自然な広がりが前方向、後ろ方向にも再現されます。
ですので、リボン型ツィーター搭載スピーカーを聴き慣れているという方でも、「M1i」は是非一度、試聴してみる価値は大いにあると思います。

M1iツィーター背面 ちなみに、背面にも同じリボンの振動板がありますので(右画像→)、サランネットは前後取り外し可能となっています。

ただし、他の多くのリボンツイーター搭載スピーカーでも同様ですが、非常に繊細なユニットですので、取り扱いには若干ご注意頂きたい点もあります。
リボン振動板自体が薄さ数mmのリボン膜ですので、一応ネットはありますが、突いたり、金属を近付けたり(時計、ネックレス等)、息を強く吹きかけたりすると、リボン膜のダメージになりますので ご注意下さい。

ウーファーはEJジョーダンの12cmのアルミウーファーです。
口径サイズは小さめですが、箱の容量と設計もあり、このサイズの低域不足は感じません。力強いユニットの音と言うより空気感を感じる低域です。
アルミウーファーなのは、ツイーターとの音色バランスを考えての採用でしょう。
鳴らしているのは新品ですし、アルミウーファー自体は多少タイトな面も見え隠れしそうですが、M1iはサイズ容量もあり、箱を上手く鳴らし響かせているので、低域の量感だけではない、 豊かなスケール感のある音で、非常にバランスが良いです。

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試聴ですが、CDプレーヤーはアメリカのメーカーAyre「CX-7eMP」、 アンプは異なる音色の、Octave「V70」、PASS「INT-150」という2機種のプリメインを用意しました。

 

ストレスの無い気持良い音が味わえます。
フワっと出て来る音は軽やかで心地良く、神経質な印象は受けませんし、ヴォーカルや小編成ものはV70の滑らかさと、良い意味で低域の輪郭を多少緩めた暖色感のある音色が好感を持てますし、 PASSの元気で明るく、十分なパワーから繰り出されるスケール感も良好です。
ある程度パワーを入れて聴くフュージョンも非常に気持の良く、このサイズ以上のスケール感に驚きますし、 V70で鳴らすアコースティックものの透明度のある微小な表現力はリボン自体の出す音色にも思います。

また、M1iの特徴でもある独特な音場表現があります。
4層リボンがもたらす指向性の広い再現性は、音がふわりと透明感を持りながら、空間に表れます。
セッティングに関しても、通常ですとほとんど内振りにはしないのですが、かなり極端に振っても広がりは十分出ますし、より色濃い音像感が味わえます。 ですが、この場合はほぼ正面で、多少角度を付ける程度の振りが、M1iの音場の広さとセパレーションの良さが最大限に再現され、リボンの持つ独特の透明度が味わえると思います。

リアバスレフ型+ツイーター背面からも放出されるダイポール型という事もあり、通常のハスレフ型同様、背面の距離は多少取って頂くと、 スピーカーの前後・左右の空間表現と気持のよいヴォリューム感が再現されます。

そしてこれもブックシェルフ型全てに言えますが、スピーカースタンドでも大きく変化します。 (現在はAcousticRevibe製の、かなり重量級のスタンドに乗せています。)
スタンド選びも音色の調整には非常に影響して来ますので、その際にはご相談頂ければと思います。

通常のユニットを持つスピーカーの様に1ポイントから音が放出されるのと、前後180度で放出されるのとでは、聴感上の印象はかなり異なります。
スピーカーの存在を中心にベストポジションで聴かなくても、部屋のどこで聴いても空間全体が鳴っている様な感じです。 現代的スピーカーの、音が出た瞬間に音像が浮き上がり、スピーカーの存在が消える様な聴かせ方とは多少異なり、スピーカーのある空間全体から風の様に包まれる様な表現です。

Geraman PhisyiksのDDDユニットも360度の開放型ですが、若干それに似た印象も受けます。
それはやはり背面にも前面と同じ音圧で放射している事が挙げられるでしょう。

この背後まで音が放出される感じが特徴でもあり、デザインも奇抜?ではありますが、他には無い魅力でもあり、推薦ポイントなのですが、 この辺は人によって感じ方や好みが出る所ですので、一度試聴して頂きたいものです。

-お問い合せはお気軽に諸石までお尋ね下さいませ-