DYNAMICAUDIO 5555/5F/諸石

H.A.L's 「M」 Recommendation!

VOL.13

「INT1-50」
プリメインアンプ

PASS「INT-150」
PASS  「INT-150」 定価:¥787,500 (税込)
 
アメリカを代表するオーディオメーカー“Pass Lab”。

その濃厚で躍動感のある表現力は、個性を押し出すよりもニュートラルな方向性へ向かう傾向が強い昨今、貴重な存在です。 PASSにおいて共通する魅力は、厚みのある表現力と、ドライブ力にあると思います。
2007年に発売した「INT-150」は、PASS初のインテグレーテッドにして、その良い所を凝縮させた素晴らしいアンプです。

発売から数年経ち、新製品というカテゴリーではないのですが、現在でもPASSのラインナップとしてだけではなく、他社製品も多く存在するプリメインの激戦区の価格帯の中でも 自信を持って推薦出来る製品ですので、今回取り上げさせて頂きます。

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    ≪スペック≫
  • ゲイン : 32dB
  • 出力 : 150W+150W(8Ω) / 300W+300W(4Ω)
  • 入力端子 : input1、2⇒XLR or RCA / input3、4⇒RCA
  • Pre出力端子 : XLR or RCA
  • スピーカー出力端子 : 1系統 バインディングポスト
  • ボリュームコントロール : 63dB、1dB step
  • 電源 / 消費電力 : 100V 50/60Hz、225W(idle)、600W(max)
  • 外形寸法 : 483(W)492(D)×177(H)/ mm
  • 重量 : 27.3kg
※その他、製品詳細につきましては、メーカーサイトより、ご確認下さい。

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PASSの初となるプリメインアンプですが、一体型でシンプルになったとは言え、PASSサウンドは十分に味わえますし、違和感もありません。 それもそのはずで、同社の代表的なパワーアンプ達と同じく、すぐに“PASSのアンプだ”と分かる特徴的な男らしいデザインは共通しています。
音以前に、デザイン的に外見のゴツゴツした感じに好みの別れる点があるでしょうが、無難な所でまとまらない所が、音にもデザインにもPASSの一貫した主張を感じます。

フロントパネルにあるのは電源ON/OFFボタン、INPUTセレクトボタン、MUTEボタン、ヴォリュームのみで、実にシンプルです(リモコン付属)。
INT-150フロントパネル

内部構成に関しては、評価、人気ともに高く、PASSの顔とも言えるモデルだったパワーアンプ「X150.5(生産完了品)」をベースにしています。
プリ部には、同社プリアンプ「XP-10」相当のものが組み込まれ、一体化させたアンプと言えます。 ハイ・コストパフォーマンス、スペースファクターにも優れた、まさに“良い所取り”の製品です。
回路も、PASS伝統の信号経路にコンデンサーを使用しない完全なDC結合で、高出力のMOS-FETを最小のNFBでドライブして、150W+150W(8Ω)という大出力を実現しています。

INT-150ヒートシンク そして、外観でまず目を引くのが、このヒートシンクでしょう。(右画像→)
発熱はそれなりに高温になりますが、それでもこのヒートシンクの効率のお陰でこの温度までで抑えられている、と言った方が正しいでしょう。

また、このアンプはPASSにしては重量こそ“そこそこ”ですが、内部は非常にPASSらしいのです。

INT-150内部

それはどういう事かと言うと、このヒートシンク以外では、本体のほとんどをこの巨大なトランスが占めている、と言う事ですね。(↑上画像)
つまりこの製品は、“パワーアンプの中にプリアンプ「XP-10」の回路が融合している”と言えるのです。

INT-150リアパネル


背面は各種inputに加えて“Preout”がありますので、今後パワーアンプを追加してのバイアンプや、「INT-150」をプリアンプとしてセパレートにする、 というシステムへの発展型にも対応しています。

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さて、試聴ですが、小型スピーカーではSonus Faber「Minima Vintage」、フロア型ではJBL「4319」を用意しました。

一聴して音色の存在感が濃くなる印象で、どんなに小音量に絞っても薄くなりません。
音が整然と再現され、奥行き感を味わうというより、音圧だけと言う事ではなく、力感が増し温度感が上昇した様に前に出て来るイメージです。

この「INT-150」はスペック的に見れば、どこかが他社より秀でているという訳ではないですし、S/Nや静寂感等も特筆して良いと言う訳ではないと思います。
しかし音楽を躍動的に聴かせ、元気に、そして難しい事は抜きにして気楽に楽しもう、という気にさせてくれるのです。
聴く音楽は選びませんが、むしろ音数の多い物やRock、Fusion等、様々なものをどんどん聴きたくなります。

ドライブ力はやはり流石で、きつく神経質にならずに、非常に堂々と、そして朗々と鳴らしてくれます。 大らかに伸び伸びと、楽しく聴こう!と言われているような鳴り方です。
ある意味でPASSのセパレートアンプより、コストパフォーマンスや扱い易さ、安心さという意味ではこちらでも良いのでは?とさえ思ってしまう所もあります。 それはセパレートである以上、同ブランドでも“組み合わせ”での音になります。それはオーディオにおける楽しい悩みとも言えますが、 逆にその組み合わせによって音色の幅は広がって行く訳で、そこに好みの差が出る場合もあります(あくまで「優劣」ではなく「好み」)。
それが異なるブランドであれば躊躇になるでしょう。

しかしこの「INT-150」は一筺体でありながら、セパレートと同等の魅力を味わえます。
レンジは割とありますが、ハイスペックを売りにする製品とは異なり、自分たちの音色の個性で勝負している感じです。

解像度の高さ、S/Nや定位感に優れている・・・等という事は、その製品が優秀である事の一種の目安ですが、時に音楽を分析的に聴かせてしまう事もあります。
また、あまりに個性の偏った音色や、雰囲気に走り過ぎて情報量不足に陥ってしまう製品は、時に神経質に感じ、本当にはまった音楽のみを磨きあげて聴くという事も一種の立派な楽しみ方ですが、 すぐに飽きてしまったり、音楽を聴く幅を制限してしまい、折角広がる可能性を無くしてしまう事もあるかもしれません。
その点、「INT-150」は同社の上位機種のセパレートとの比較などで隅をつつけば、高いレベルでは僅かに欲は出るものの どんなものも満遍なく、楽しく音楽に浸れるのです。

しばらく聴いた後では、天板に触れると発熱は大分ありますが、それを象徴するように、厚みがあり安定した音で、小音量時でもぶれません。
動作は正確にはAB級ですが、そのほとんどはA級動作であり、音色もずばり濃厚で、どんな音楽でも、小音量に絞っても、存在感を持ちながら聴かせてくれます。 Aクラス動作に多い、音色の滑らかさとどんな音楽でも聴かせてしまう魅力でしょう。

スピーカーをまずドライブさせたいのであれば、このアンプを使ってみて欲しいですね。
ずっと付き合いたいと思える様なスピーカーを選んで、これで鳴らしてみて下さい。

どんな大きいスピーカーでも、鳴らしにくいと思うスピーカーでも、この「INT-150」なら活き活きと歌いますよ!

-お問い合せはお気軽に諸石までお尋ね下さいませ-