DYNAMICAUDIO 5555/5F/諸石

H.A.L's 「M」 Recommendation!

VOL.11

「Evolution 302e」
ステレオ・パワーアンプ

EVOLUTION302E
KRELL「Evolution 302e」 定価:¥1,942,500 (税込)
 
アメリカを代表するオーディオ・メーカー「KRELL」。
いつの時代も、その大きな筺体から表現されるパフォーマンスは、十分な駆動力とリアリティで私達を魅了して来ました。

今回ご紹介のステレオ・パワーアンプ「Evolution302e」は、以前までの「302」のブラシュアップモデル。 内部の変更点は、増幅回路・電源部の改良が挙げられます。

従来のEvo302独自の回路「Active Cascode Topology」をブラッシュアップし、グローバルフィードバックを排除しながら超広帯域を低歪率でカバーする、独自のフィードバック回路を搭載しました。
また、電源構成も改良され、より高いS/Nとダイナミック・パフォーマンスを獲得した事に加え、“KRELL”と言えば、やや電力食いなイメージがありますが、スタンバイ時の電力がこれまでの150Wから2W(!)にまで大幅に低減している事は 色々な面で嬉しい改良点です。

ここ数年のシリーズは、今までの黒基調で男らしいマッシブなイメージから、大型でホットな部分は変わらずに、どこか涼しげなイメージのシルバー基調というのは(ブラック仕様もあり) “新生KRELL”を感じさせます。
しかしデザインは時代と共に変われど、アンプの音色はそのままに、構造は従来のものをベースにしながら進化しています。

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    ≪簡略スペック≫
  • 実効出力/ch : 300W RMS(8Ω) / 600W RMS(4Ω) / 1,200W RMS(2Ω)
  • 消費電力 : 
    2W(スタンバイ時)、150W(ハイカレントスタンバイ時)、
    320W(アイドリング時)、3400W(最大)
  • 入力端子 : XLR、RCA、CAST(4pin バヨネット)各1系統
  • スピーカー出力端子 : L/R 各1系統
  • 外形寸法 : 438W×248H×483(525※)D(mm) ※突起含む
  • 重量 : 54.3kg
  • カラー : シルバー / ブラック
※その他製品詳細につきましては、メーカーサイトをご覧下さい。

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これまでのKRELLのイメージというのは、古き良きアメリカンの様な、荒々しさと馬力を味わうには好都合ですが、 細かい奥行きや解像度に関しては得意・不得意という訳ではなく、好みが分かれる所でした。
しかしKRELLでないと成し得ない音場再現や、スピーカーをねじ伏せる様な力強い表現力は、KRELLの独壇場であり、非常に魅力的な点でした。

それでは、新“Evolutionシリーズ”ではデザイン等の外見イメージは変わりましたが、果たして音はどうなのでしょうか。

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試聴システムですが、スピーカーには現代的なリアリティ溢れるサウンドで、アンプの能力を試すには好都合のWilson Audio「SOPHIA3」、 CDプレーヤーにはWADIA「381」のCD専用機、プリアンプはやはり同社のシリーズ「Evolution222」での組み合わせです。(CAST接続)

「SOPHIA3」とKRELL「Evolution 302e」の組み合わせで是非聴いて見たかったロック、フュージョン等を多く聴きましたが、さすがにどんな音量に関わらず元気良く、軽々音が再現されます。
鳴りっぷりは健在で、KRELLらしく堂々としており、その抜群のドライブ力で前面にぐいぐいと前に出る押し出し等は特に優れています。
“そつなく”鳴らすという感じではなく、あくまで“堂々と軽々と”鳴らす、と表現したくなるような鳴らしっぷりです。



KRELLはある意味で支配力を持って、パワーでスピーカー鳴らすのですが、そのコントロールが非常に上手く、嫌な音を出さないどころか、もっと聴いていたくなるような音色です。 豊富な情報量を持って、どんどん湧き上がる印象と言えるでしょうか。
しかし、時間をかけ耳が慣れてくると、これまでのKRELLのパワーと音の密度感で埋まる様な表現とは、今回の“新KRELLサウンド”は、よりワイドレンジな印象を受けます。
KRELL特有の暖色基調は変わりませんが、細かなニュアンスも豊富で、ストレスを感じる冷たさや硬質さ等とは無縁です。
開放的で気持ち良く、音色としての表現力でアンプの存在は決して薄れずに、目の前の大きなサイズを忘れさせてくれます。
オーケストラ等のスケール感には驚かされますし、ヴォーカルの人肌を感じる温もりの音色も好感が持てます。
今回はアンプはKRELL同士の音ですが、様々な機器組み合わせで更に多くの表情を味わえるでしょう。プリアンプとの組み合わせで、その表情の変化の可能性は非常に大きく思います。

これだけの中身の詰まった大型アンプなので、電源投入時からの変化度合いは大きく、立ち上がりの出音は力感が薄く素っ気ない印象を受ける事もあるのですが、 一時間前後から本来の表情がゆっくりと表れて来ます。それは音もそうですが、天板に触れると徐々に熱気を帯びてくるのが分かります。

また、「8Ωで300W」というパワーを誇るKRELLらしいドライブ力は、リニアに「4Ωで600W」、「2Ωで1200W」と低能率な現代スピーカーでも十分過ぎるほどドライブする事が出来ます。
このパワーを支えているのは、この筺体の大半を占める巨大なトランスを初めとする電源部に集約されています。

KRELLは今までのとは音は後ほどとしてもデザインも変わり、大型ですがヒートシンクが表に出ていないので大きさから来る圧迫感は受けませんが、重量は大きさの通りで54kgです。

リアパネルの大型のレバー式メインスイッチを入れて、フロントパネルのタッチ式の電源スイッチ(→右画像上)で「スタンバイON」になります。
背面ですが、電源部を中心に左右で分かり易く配置されています。 これは内部構造から来るもので、KRELL特有の大型トランスを中心に、左右の増幅部分が視覚的にも分かり易い構造です。
(→右画像下)
ちなみに電源インレットは20Aですので、電源ケーブルの交換をする場合は20A用のACケーブルが必要です。 電源部を重要視して、より大電流に対応したKRELLらしい考えと言えます。


スピーカー端子はYラグか裸線が使用でいます。Yラグを前提としているのでしょう。
大型のターミナル(上画像参照)なのですがバナナ端子は使用出来ません。


入力は「RCA」、「XLR」、「CAST」となります。(上画像参照)
「CAST」はKRELLが推薦しているもので、電流伝送する接続です。接続にはCAST端子ケーブルが必要です。
また、XLR接続でも問題ありません。
CAST接続はあくまでKRELL同士に限っての互換性接続です。フロアでも他機器と組み合わせる場合はXLRで繋いでいます。

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大型アンプは数多くあれど、KRELLの堂々とした主張と説得力で音楽を感じさせる所は、非常に個性的で魅力があります。
ここ数年で、小型でも驚くほどのスペックとパワーを持つ製品も多くありますし、何といっても“小型で音が良ければ、これ以上何が必要でしょうか?” と思う事もありますが、KRELLの音を前にすると、この大きさの必然性を感じますし、この筺体でないと生まれない音があるとも言えます。
KRELLサウンドはいつの時代も埋もれずに存在を主張していると改めて感じました。

ちなみに302eの「e」はシリーズネームの「Evolution」の「e」と思ってましたら「enhanced(強化された)」の「e」のようです。

今までのKRELLの良さも大いに残しつつ、新たなKRELLサウンドの誕生と言えるでしょう。
既存のイメージや音で遠慮されていた方にも、是非体験して頂きたいです。



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