DYNAMICAUDIO 5555/5F

H.A.L's 「M」 Recommendation!

VOL.9
SFORZATO 「DST-01」
デジタル・ストリーム・トランスポート

DST-01
SEORZATO 「DST-01」
定価:¥630,000 (税込)
 
日本のSforzatoから昨年末発売されたデジタル・ストリーム・トランスポート「DST-01」。
簡単に言えば“ネットワーク・トランスポート”です。

“ネットワーク・プレイヤー”という分野に関しては、先陣を切って取り組み、音質と操作性とを高いレベルで良質させ、音楽再生の新たな領域を確立したLinn“DSシリーズ”によって、 既に多くの方に認知されており、オーディオファイルの興味と志向を広げたものですが、これは“トランスポート”としての存在。

ネットワーク(LAN経由→NAS)からの音楽データ信号(最大192kHzまで)を“S/PDIF”、“AES/EBU”でのデジタル信号として出力するもので、音を出すには別途、外部DACが必要になります。
一つでプレイヤーとして完結している物より、D/Aコンバータを使用して色々なチューニングを楽しみたいという方も多く、発展性のある興味深い製品です。

ネットワーク・プレイヤー関連で重要な事は、“利便性”と“音質”を高いレベルで両立しているという事。これが、この分野でどの製品を推薦するかという点において重要です。
2筺体から成るこの「DST-01」は“定価¥630,000-”と、最近出始めた各社国産製品と比較しますと少々値が張が張る様にも感じますが、その分多くの拘りを詰め込んだ製品となっております。

まずは下記スペックをご覧下さい。

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≪スペック≫
  • サポートファイル :
    AIFF / Apple lossless / FLAC / MP3 / WMA lossless / WAVE
  • 対応サンプリング周波数 :
    44.1K、48K、88.2K、96K、176.4K、192K(MP3は44.1K、48Kのみ対応)
  • 対応bit数 : 16bit / 24bit(WMA、Apple losslessは44.1K/16bitのみ)
  • デジタル出力 : XLR(AESシングル、AESデュアル)、RCA(S/PDIF) 各1系統
  • ワードクロック出力 : BNC×1
  • ワードクロック入力 : BNC×1
  • LAN : 100Base-T RJ45
  • 消費電力 : 29W
  • サイズ :
    本体)390(W)×78(H)×195(D) /mm
    電源部)380(W)×90(H)×230(D) /mm
  • 重量 : 本体)8kg / 電源部)10kg
※その他、製品の詳細につきましてはメーカーサイトをご覧下さい。

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■ アルミブロック削り出し筺体
この2筺体の削り出しアルミブロックは上部が本体で下部が電源部です。(右写真→)
本体8kg / 電源部10kgの重量があり、実際持ってみると非常にしっかりとしていますし、アルミ筺体の質感も宜しいです。

■ 大型トロイダルトランス搭載の強力アナログ電源
内部は大型のトランスを3機搭載、それぞれ「クロック用」・「デジタル制御部用」・「デジタル出力部用」にと別電源を配しており、電源部は非常に充実しています。

■ OCXO(温度制御型水晶発振器)によるジッター排除
OCXO(温度制御型水晶発振器)によるジッター排除も大きなポイントであり、ネットワークからの信号をいかに精密にD/Aコンバータに送るかという事に、非常に重点を置いている点が このDST-01の大きな特徴です。

■ アップサンプリング機能
「DSP-01」フロントパネル 「44.1kHz / 88.2kHz→176.4kHz」、「48kHz、96kHz→192kHz」にそれぞれアップサンプル。

フロントパネルのスイッチで操作出来ます。
(右写真→)
パネルにはシンプルにスイッチが左右一つずつあり、左側が「DISP(ディスプレイ表示切替)」で、ボタンの押すと“曲のタイトル→アーティスト→ファイルの形式→Off”の順で切り替わります。 右側が「U/S(アップサンプリング切替)」で、アップサンプル・フィルタが“UP1 / UP2”の2種類あります。こちらもボタンを押す度に“UP1→UP2→表示無し”と切り替わります。 この違いは「UP1」は通常フィルタのプリエコー・ ポストエコーがあるもの、「UP2」はプリエコーの無い最少フィルタのもの、「表示無し」はアップサンプル無しの状態です。
ちなみに、メーカー推奨は「UP1」となっております。

アップサンプリングさせるとさらに見通しの良くなる傾向です。Vocalものや小編成の音楽には特に好都合の様に感じます。
ただ個人的には、若干低域からの力感が変化する印象もあるので、常時固定ではなく、聴かれる音楽で切り替えて頂くと良いかもしれません。

■ 各社D/Aコンバータとの接続可能
また各社D/Aコンバータとの接続が可能なのも大きな利点でしょう。
“同軸デジタルで192kHzまで出力可能”という事で、現時点では(特別なブランド間の互換性制約が無い限り)ほとんどの外部DACとの接続が可能です。
デジタル出力は「S/PDIF」・「AES」ですが176.4kHzの信号をAES/EBU“2本”で受ける、“AESデュアル”にも対応しています。
AESデュアルに対応しているDACは、パッと思い付くメーカーと言うと“ESOTERIC”、“dCS”、“CHORD”ですが、高サンプリングでの余裕を持った伝送には大きな意味がありますね。 S/PDIF、AES共にシングルでも192kHzが出力出来ます。

Sforzato代表に伺うと、「積極的にユーザーの気に入ったD/Aコンバータを使用して欲しいので、敢えてリファレンスとしてDACを作る予定は無く(専用DACは開発中との事)、 他社製品でも十分にこの製品の魅力は発揮出来ます」と仰っていましたが、確かにこれまで試した他メーカーD/Aコンバータでも、共通した音の良さを感じる事が出来ました。

PhaseTEch「HD-7A」、Techdas「D-7」、Chord「QBD76」等で試聴してみましたが、一貫して情報量豊富でスケール感のある、粒立ちの良いサウンドが楽しめます。 偏りが無く、情報量も素直に出ますので、各DACはそれぞれの個性や良さを十分に発揮出来るでしょう。
しかしながら、折角デュアルAES接続での伝送やクロック入力などに対応している製品ですので、是非Sforzatoには「DST-01」と同じクオリティのリファレンスDACを発売して欲しいと思います。

「DST-01」背面 「DST-01」本体背面

出力端子などもS/PDIFはWBTを使用していたり、AES/EBU端子の作りもしっかりしています。 本体と電源部は専用DCケーブルでの接続です。

■ 外部クロックとの完全同期
外部クロックにも対応しているというのは嬉しい方もいるのではないでしょうか。
追い込みには欠かせませんね。

クロックで試してみたのは、こちらでも長く推薦しているオランダのGrimmAudio「CC1」。
CC1も「DST-01」に対する効果は大きく、精度や緻密さは向上し、レンジも広くなり、全体にふわりと広がって聴こえます。
が、これまでの単体CDプレイヤーとの同期に比べるとその効果が薄いような気もしましたが、これはDST-01が元々プレイヤーに比べ、より高精度なクロックを搭載していることにあるのでしょう。
トランスポートとDACを同期させた時は全ての音のタイミングが合うようで、クロック同期の魅力を納得せざるを得ない効果です。

■ iPhone、iPodを使ってコントロール
コントローラー用iPod画面 コントローラー用iPod画面
音出しをするに当たって、ここでは、楽曲データはHDD/PCまたはNASへ入れて、操作はiPod、NASからLANケーブルで「DST-01」へ接続し再生しています。
iPodでの操作では、iPhone / iPod用ソフトウェア「Media Link Player(¥600 / アルファシステムズ株式会社提供)」を使ってコントロールします。 これで毎回PCを立ち上げなくても、手元で操作出来ますので。

やはりこういったネットワークシステムでは、音と操作性を両立させている事が重要です。
どちらか片方だけが優秀でも良くはなく、音質が良いのも勿論必要ですが、高いレベルで表現する上で操作性が良いという事は必須条件と言えるでしょう。
LINN DSのコントロールでもお馴染の「Plug player」でも操作可能です。

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音色に関してですが、「DST-01」は外部DACが必要なので単体としてではなく組合わせでの音という事になります。

いくつかのDACと組合わせましたが、非常に情報量豊富で細部まで歪感少なく、静かな音場に音が現われます。
アップサンプリングしなくても十分な音の様に感じます。
「DST-01」単体での完成度が高いことを物語っていると思います。

そして、クロック同期についてですが「DST-01」は多くの人に“LINNの「DS」と音は別にしろ何が違うのか”尋ねられますが、あくまでネットワーク・トランスポートですので外部DACが必要です。 DACも重要ですから、ここも選びどころですね。
前にも書いた通り、これまで何社かのDACを試聴してみましたが、DACでも大きく表情は変化します。
しかし、一貫して“Sforzato”としての音色は感じる事ができ、豊富な情報量と流れるような音色には好感が持てます。
充実した内部構造とアルミの重圧で、精密な固体から生まれるのでしょうが、密度感に溢れています。
アルミと言っても、硬質さは感じませんし、緻密さはネットワーク再生機の中でも郡を抜いていると思います。

ちなみに数ヶ月試聴しながら追い込んでみて、設置方法や電源周り等の使いこなしで大きくそのポテンシャルを開花させる事は可能だと思います。
足元はTAOC製の3点足(スパイク)ですが、それに合わせるスパイク受けでも調整出来ますし、電源周りは当フロア推薦の中村製作所アイソレーション・トランスを使用する事で 更に静寂感と中高域の見通しの良さ、低域の安定感が増す印象です。
是非お試し下さい。

現在東京でも展示店が少ないので、目にされる機会も少ないと思いますが、ネットワークオーディオに興味をお持ちにお方は 是非とも実際にご体験頂きたい製品です。

CD、アナログ、ネットワークと音源は様々に存在しますが、皆様が一番拘りたいのは利便性以上にやはり「音質」ですからね!
薦める理由がそこにあるのです。